遺骨を土に還す方法を紹介!タイミングや土に還る年数


お墓の納骨室がいっぱいになってしまった、ということを考えたことはあるでしょうか。
実際問題、限りのあるスペースですからいずれはいっぱいになってしまうのは自明の理でしょう。
お墓の納骨室がいっぱいになってしまった時に、遺骨を土に還そうかという話が出ることがあります。
すでにお墓に入っている遺骨を土に還すとは、どういうことなのでしょうか。
今回は、遺骨を土に還す方法や、遺骨は何年くらいで土に還るのなどを解説します。
目次
お墓が一杯になってしまったらどうする?
まずはじめにお墓がいっぱいになってしまった場合の対処法について解説をしていきましょう。
納骨室に骨壺はどれくらい入る?
納骨室は一般的にはカロートとも呼ばれています。
その内部はコンクリートや石で作られた小さな空間になっており、お墓の内部を形成しています。
このカロートとも呼ばれる納骨室にお骨は納骨されます。
この深さはお墓によってさまざまで、構造自体も2段3段になっているものもあり、さまざまです。
基本的には遺骨は骨壷に入れて納骨室に置きますが、地域によっては遺骨をさらし袋にいれて安置する場合もあります。
さて、実際にどれくらい入るのかという問題ですが、そのお墓の大きさにもよるので難しいです。
しかし、平均的なお墓の場合、納骨室には平均で5~9個くらいの骨壺を埋葬する事が出来るそうです。
しかしこれは埋葬方法や、もちろんお墓の大きさについても全く違いますのであくまで平均値として見ておきましょう。
また、何人まで埋葬してよいのか、という決まりが宗教ではありそうですがその決まりはないとのことですので、上記の定員がひとつの数値になるでしょう。
納骨室がいっぱいになった時の対処法
納骨室がいっぱいになってしまった時の対象法で、おそらく最も一般的な対応は、古い遺骨から土に還すというものです。
その他、古い遺骨の骨壺を1つにまとめる、遺骨の一部を合祀のお墓などに移す、パウダー状にして体積を減らすなどの方法があります。
それぞれの方法について見ていきましょう。
お骨を土に還す方法
お墓がいっぱいになってしまったときの対処法として最も一般的な方法として土に還すという方法があります。
まずはその方法についてみていきましょう。
土に還すとは
納骨室が一杯になる、というのは基本的に骨壺の数が増えてきて埋葬スペースがなくなっていくのが原因です。
ですので、一般的にはこの骨壺から遺骨を古い順にあけていきます。
遺骨を、文字通り、土に安置することで自然に還していくことで納骨室のスペースを確保する方法をいいます。
土に還す方法
土に還す方法にはいくつかの種類があります。
その中でももっともよく行われるのが、息抜き穴とも呼ばれているお墓の納骨室の下層に設けられた穴からの埋葬です。
納骨室の下層には多くの場合、砂利が敷き詰められています。
その一部には、息抜き穴と呼ばれる穴が設けられており、土が露出している部分があります。
そこにお骨を埋めていきます。
お骨は最も古い故人から順番にその穴に還していくことになります。
地域のよっては、亡くなってすぐ還す場合や短順に古い故人から順番に行わない場合もあるので、地域や菩提寺に相談をしてから行いましょう。
手順としては以下のようになります。
・納骨室の骨壷をすべて取り出す
・対象のお骨の確認
・納骨室に敷き詰められた砂利を取り除く
・お骨を息抜き穴へ入れる
・骨壷も割って入れる
・最後に砂利や骨壷を元に戻す
また、最近では納骨室内部がすべてコンクリートなどで埋まっている仕様のお墓もあるので、その場合は別の手段が検討されます。
土に還すタイミングはいつ?
基本的のこの遺骨を土に還すタイミングは決まっていませんが、多くの場合三十三回忌や五十回忌といった法事の忌明け時に行われることが多いようです。
これ以降は一般的にその方の仏事を行わなくなります。こういった最後の法事のことを、弔い上げと言います。
このときに同時に、仏壇の位牌もご先祖様の位牌へと合祀されていきます。
遺骨はどれくらいの年数で土になる?
ご遺骨を土に還すと表現されますが、その期間は実に長い時間を要します。
土葬の場合は、数十年から百年程度で土に還ると言われています。
火葬した遺骨の場合は、遺骨の表面がセラミック状に変化するため土に還るまで数百年かかると言われています。
焼骨を土に還す場合は、細かく砕くなどすれば、土に還る期間を短くできます。
ただし、土に還る期間はお墓のある土壌の性質によって左右されるようです。
遺骨の主成分はカルシウムであるため、酸性の土壌であれば土に還る期間は短くなります。
いずれにしても、遺骨を土に埋めたからと言って、数年で完全に土に還るとは考えない方が良いでしょう。
お骨を土に還す以外の方法
お墓の形状によっては必ずしもお骨を土に還すということができない場合もあるでしょう。
そんなときのためにそれ以外の方法についても解説していきましょう。
古い遺骨をまとめる
古い遺骨から1つの骨壺にまとめていく方法です。
古い遺骨は、細かくなったり自然に崩れたりしているためカサが減ります。
1つの骨壺にまとめることができれば、減った分のスペースで新たに納骨できます。
分骨する
既に納骨されているお骨を、本山や墓地の合祀墓に分骨する方法です。
残った遺骨を小さな入れ物に移し替えれば、新たに納骨するスペースを作ることができます。
粉骨する
遺骨をパウダー状に砕く方法です。
自分ですることも可能ですが、すり鉢などで遺骨をつぶしていく作業は精神的にも体力的にも負担になるため、業者に依頼した方が良いでしょう。
粉骨のみの場合は7寸壷1つあたり1~2万円でできます。
ただし、以前から納骨されていた遺骨を粉骨するには、一度遺骨を乾燥させる必要があります。
粉骨に対応している業者であれば遺骨の乾燥もセットでやってくることがほとんどですが、1体あたりプラスで2万円程度かかります。
散骨する
古くなった遺骨を、海や山などに散骨します。
散骨は自力ですることもできますが、散骨に当たっては粉骨が必要になること、場所の選定が難しいことなどから、やはり業者に頼んだ方が無難です。
遺骨をまくところまで全て業者に代行してもらうものだと、1体当たり5万円程度でできます。
なお、東北地方では、骨を粉状にしてお墓に戻すことも散骨といったりします。
そうするとでお墓内のスペースを作りますが、もし骨が混ざってしまうことを懸念される場合は、さらし袋などにいれてもよいとされています。
また、納骨室の下層部分がコンクリートの形式の場合にもこの方法がとられる場合があります。
下層がコンクリートの場合は、新しいお墓を作ったり、永代供養墓にまわされる場合もあります。
改葬をするときに遺骨が土に還っていたら
遺骨を土に還した後に、改葬をすることになったらどうすればいいのでしょうか。
改葬とは、お墓を引っ越すことを言います。
お墓を移すのですから、当然遺骨も移動することになります。
かなり昔の土葬のお墓などで遺骨が完全に土に還っていた場合は、遺骨の代わりに墓地の土を骨壺などに入れて移動することがあります。
なお、改葬には通常、行政手続きが必要になります。
現在お墓がある自治体から改葬許可証を発行してもらわなければ、遺骨の移動はできません。
自治体にもよりますが、改葬許可証を発行してもらうには、現在の墓地の埋葬証明書などと併せて、改葬許可申請書を提出する必要があります。
ただし、遺骨が完全に土に還っている場合はこちらの手続きは不要です。
ですが、実際にお墓を開けてみるまで遺骨が土に還っているかどうかは分からないので、いずれの場合も改葬許可証はもらっておいた方が無難です。
まとめ
今回は納骨室の中が骨壷でいっぱいになってしまった場合の対処法について解説してきました。
今一度そのポイントを整理していきましょう。
・納骨室は平均で5~9個程度しか入らない
・いっぱいになったご遺骨は、一般的に土に還す方法がとられる
・土に還す場合、納骨室の下層に設けられた穴に入れる
・土に還すタイミングは三十三回忌や五十回忌が一般的
・土に還せない場合は骨壺を一つにまとめる、粉骨や分骨をするといった方法も行われる
・遺骨が土に還っているかもしれないお墓を改葬するときも、行政手続きをした方が無難
お墓がいっぱいになってしまったからと言って、新たにお墓を立て直す必要はありません。
今あるお墓を有意義に使っていきましょう。