墓石にもサビができる?お墓の錆の種類と落とす方法

墓石にもサビができる?お墓の錆の種類と落とす方法

お墓は通常は石でできているので、鉄などでできている釘などのようにサビができるとは思わないでしょう。

しかし実は墓石にもサビがつくのです。
サビがついたお墓は見た目も非常に悪く、いかにも手入れができていない感じがしてしまいます。

サビがあっても宗教上の支障はありませんが、見た目にあまりいいものではありません。
ではサビてしまったお墓はどうしたらよいのでしょうか。

ここではその対策とサビを取る方法について解説します。

御影石で作った墓石にもサビができる?

お墓は石でできています。
さらに通常は石の中でも上質で耐久性の良い御影石で作られています。
しかしそれでもサビがついてしまうことがあります。

どのような場合にサビがつくのでしょうか。

サビの原因

サビの原因には以下のようなことが考えられます。

墓石の経年変化

墓石に含まれる金属がサビになるケースです。

現在お墓を建てるとしたら、ほとんどの方は御影石を使用することになります。
御影石とは主に花崗岩のことを言いますが、花崗岩にはなどの金属が含まれています。
この金属が酸化して、墓石にサビができます。

また、花崗岩には硫黄分を含む鉱物を含む場合があり、これが空気に触れて変化するとさらに激しいサビになります。

墓石は自然の素材から作るので、サビの原因となる物質をきれいに避けて作ることはまず不可能です。
加工の段階で、できるだけサビが出づらいように工夫するしかありません。

お供えからサビがうつる

墓石のサビの原因として挙げられるのはお供えが載っている場所に錆ができて、墓石にでも繁殖してしまう場合です。

特に墓石の上に置いたロウソク立てなどの金属製品がサビるとそのサビが墓石にも移ってしまいます。
さらにお供えの食べ物などがカビてそのカビ菌が墓石に移ってカビともサビとも言えない状態になることもあります。
サビた卒塔婆が墓石に寄りかかっていても、そこから墓石もサビてしまいます。

そもそも石にも鉄分は含まれているので、墓石自体が自分からサビることはないにしても、周囲から移されてしまえば、十分にサビる可能性があるのです。

サビの種類

ではお墓につくサビにはどのような種類があるのでしょうか。

掃除で除去できる赤いサビ

まず代表的なものは赤サビです。赤サビは墓石だけではなく、一般的なものにもつくサビで、石材に含まれていた鉄分や大気中から吸着した鉄分が、風雨によってサビになるというものです。

この赤サビは表面につくだけなので、掃除をすれば取り除くことができます。

ただし最近は墓石にする御影石を選ぶ段階で、含有されている鉄鉱石分が少ないものをセレクトする傾向が強まっていますから、この赤サビが生えるケースも減っています。

また同じ赤サビでも接着部分などについた水垢が赤く変色してサビのようになっている場合もあります。

除去できないサビ

赤サビは掃除で取り除けますが、取り除けない頑固なサビもあります。

その1つが黒サビです。
黒サビは黒くくすんだサビで、磁鉄鉱が原因です。磁鉄鉱とは磁石の原料にもなるものです。

この磁鉄鉱はお墓の石材に含有されていますが、磁鉄鉱自体が自然にサビるということはありません。
ではどのような時にサビるかと言うと、磁力が大気中の鉄分を吸い寄せ、その鉄分がサビることによって発生するのです。この黒サビは掃除では取れません。

またサビというものは鉄くぎのように酸化によって起こることが通常ですが、硫化によってサビができることもあります。

硫化は石材に含まれる磁硫鉄鉱という鉄の硫化鉱物が主な原因です。特にお墓に国産の花崗岩を使った場合に、この磁硫鉄鉱が多く含まれています。
磁硫鉄鉱は空気と触れると化学反応を起こします。その結果、ものを溶かす硫酸が生まれ、これが墓石に甚大なサビをもたらします。

この硫化サビが発生した場合は残念ながら対処のしようがありません。
さらに悪いことに硫化サビはどんどん反応を起こして墓石の上にだけではなく内部にも広がって行きます。

であれば磁硫鉄鉱を含まない石材を用いれば良さそうなものなのですが、現在人気の石材に限ってこの硫化鉄鉱を多く含んでいるので被害が発生しやすいのです。

墓石にサビができないようにするには

では墓石にサビがつかないようにするにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

サビの予防法

なかなか落とせない厄介なサビは、食べ物やロウソク立てなどのお供えから移る場合が多いのです。

したがって、できるだけお供えが直に墓石に触れないようにすることが最大のサビの予防方法です。
食べ物などを供える場合は必ず下に懐紙を敷き、ロウソク立てなどは放置せずお参りが終わったら速やかに取り除きましょう。

あるいはそもそも墓石を選ぶ段階で、鉄分や硫化鉄鉱分が少ないものにする、ということも対策の1つでしょう。

墓石の錆落としの方法

もしも墓石にサビがついてしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。

サビ取り洗剤で洗う

まず最も基本的なサビ落としの方法は、サビ取り洗剤でサビの部分を洗って除去することです。
サビ取り用の洗剤は、ホームセンターやネット通販で販売されているので、今日はお墓のサビを落とそうという場合は事前に用意しましょう。

ただし、通販などで販売されているサビ落とし洗剤は石材との相性まで表記されていませんし、そもそも自分の家のお墓に何の石材が使われていいるかを知っている人は少ないでしょう。

したがって間違った洗剤や粗悪な洗剤でかえって墓石を傷めないように、墓石の設置や墓地を管理している石材店などにどの洗剤を使ったらよいのかを確認することがおすすめです。

・サビ落としの流れ

まず用意するものは、水道水や油、傷のつかない柔らかい布、洗剤、硬すぎない小さいほうき、古い歯ブラシ、スポンジなどです。

まず最初に小さいほうきでお墓の表面のちりを上から下に掃いて取り除きます。
次に、歯ブラシで彫ってある文字部分や、墓石の縁の窪みなどの細かい部分からもちりを除去します。

次に桶に汲んだ水道水を墓石全体にかけスポンジで洗います。
この際、墓地によっては井戸などの地下水を水場で提供していることがありますが、地下水は、サビの原因になる鉄分を多く含んでるので、避けたほうが無難です。

全体の汚れを落としたら、サビ取り用洗剤をスポンジや清掃用の布に含ませて、赤サビの上をやさしくこすり、落としていきます。
またいきなり表の部分に洗剤を塗らずに、墓石の目立たない部分で試し、変色などが起こらないかを確認してから使いましょう。

最後にもう1度水で洗剤を流して終了です。

業者にクリーニングを依頼する

お墓は長年使うものですから、石材に合っていない洗剤などを使ってしまって劣化を早めるようなことがあっては困ります。
また年齢などの問題で清掃ができなかったり、そもそも清掃の時間が取れなかったりする場合もあるでしょう。
そういう場合は専門のお墓クリーニング業者に依頼しましょう。

お墓のクリーニング業者の頼めば、最適な洗剤と方法でお墓を洗浄し、サビを取ってくれるだけではなく、追加費用を出せば以下のような付帯サービスも行ってくれます。

・見栄えを良くし、吸水を防止するコーティングを施す
・ぼやけてしまった文字のくぼみをペンキで塗り、文字をくっきりさせる
・墓域の下の玉砂利などを追加したり、花立などの付属品を交換する

また洗浄方法も手洗いだけでなく、高圧洗浄機などを使って徹底的に行ってくれる場合もあります。
逆に丁寧に手洗いをすることが特徴だという業者もあります。
ですからよくその業者のサービス内容を確認して選びましょう。

クリーニングの費用の相場は、基本的な洗浄だけであれば、2万5千~4万円程度です。
ただし、墓石の大きさや、和式洋式の違い、外柵の有無などでも価格は変わります。
お墓の劣化が洗浄では対処できないほど進行した場合は、墓石を交換するサービスもありますが、その場合の費用は50万円以上になります。

サビ以外の汚れを落とす方法

またサビ以外の汚れを落とす方法もご紹介しましょう。

文字部分の掃除方法

彫られている文字の部分は凹んでいるので、非常に汚れが溜まりやすいです。
また彫ってある縁の部分は欠けやすく扱いには注意が必要です。

ですからこの部分を掃除する場合は、歯ブラシや習字用の筆など、表面を傷つけない細くて柔らかいもので優しく磨きましょう。

玉砂利のコケの除去方法

墓域の下には雑草防止と見栄えのために玉砂利が敷かれている場合が多いです。
玉砂利は見た目は良いですが、しかしコケが付きやすいという難点があります。
この玉砂利を1つ1つ洗浄するのは非常に手間で非効率です。

ですから苔などがついた場合は、その部分を取り除き、新しい玉砂利を入れることがベストです。

墓石の艶出し方法

また御影石などの場合は、その光沢がある点が非常に特徴で、できればこの特徴を最大限に活かしたいところです。
その場合の方法は、柔らかい布で墓石の表面を磨くしかありません。業者に頼めば、機械式のブラシで磨いてくれます。

墓石の黒ずみをとる方法

墓石はサビないまでも、経年劣化で黒ずんできます。
特に水鉢や花立の周辺など水分の溜まりやすい部分や、掃除をした時に見逃してしまう墓石の繋ぎ目などには、大気中の細かいほこりや花粉などが溜まり、そこが黒ずんでしまいます。

この場合は黒ずんだ部分に水をかけながら、上から下に布や軟らかいスポンジで水拭きをしましょう。
特に注意点は金属タワシや亀の子タワシを使わないことです。

墓石は石材でできていますが、硬いもので磨くと細かい傷ができ、その結果光沢がなくなります。さらにはその傷の部分に汚れが付着し、そこからサビが発生することもあり得ます。

まとめ

お墓は先祖のためにもお参りする遺族のためにも、いつもきれいでピカピカの状態にしておきたいものです。
そのような状態をい維持させるため位はこまめなメンテナンスが必要です。ぜひここで解説した内容を参考に墓石をきれいにし、いつまでも新品同様の艶を保たせましょう。

ただし、素人が手作業でサビを落とそうとすると、やりようによっては事態が悪化してしまうこともあります。
あまり自信がなければ、業者に任せた方が無難でしょう。