自然葬の種類は何がある?海洋葬・樹木葬も解説!

  • 投稿日:2019/06/03
  • 更新日:2021/11/26
自然葬の種類は何がある?海洋葬・樹木葬も解説!

人間は無から生まれて、亡くなったら無に還ると考えている人がいます。
そういう考えを持った人たちは、自分の死後の埋葬方法として、土に戻って木の養分になったり、海に戻ってプランクトンの栄養になったりすることを望んでいる場合が多いです。

そのような人のための埋葬方法が自然葬です。
そして日本人の死生観の変化によってこの自然葬を望む人たちは今非常に増えています。

そこでここでは自然葬とは何か、そしてどのような種類があるのかということについて解説します。

自然葬とは

そもそも自然葬とはどのような埋葬方法を指すのでしょうか。

自然葬とは、石室に囲まれた墓に埋葬するのではなく、海や山林などの自然の中に遺体や遺骨を埋めたり撒いたりして、死後は、自然の中の1つの要素になって、生命の循環の中に戻っていくことを望んだ埋葬方法です。

大地に埋めれば根から木に吸収されて葉を出したり芽吹いたり、花を咲かせる栄養素になりますし、海に撒けばプランクトンに食べられ、そのプランクトンが魚に食べられ、という自然のサイクルに組み込まれていけるのです。

日本でできる自然葬の種類

日本で法律に違反しないでできる自然葬は、主に散骨と樹木葬の2つです。

散骨とは

散骨のイラスト

散骨とは遺体を火葬した後に、遺骨を粉末状にして、海や川、山などの自然の中に撒く方法です。

撒く場所によって散骨は以下のように分類されています。

海洋散骨

海洋散骨とは遺骨を海に撒く方法です。

ただし普通に海岸や岸壁で遺骨を撒くことは、漁業の障害になるので禁止されています。
ですから基本は沖に行って散骨をすることになりますが、自分で船をチャーターして撒くにしても、勝手がわからない場合が多いでしょう。

そういう場合には、海洋散骨を専門に行っている業者に委託すれば、業者が代行して散骨してくれるか、あるいは業者の船で沖まで連れて行ってくれ、散骨することができます。

山林散骨

山の樹木の下などに遺骨を撒く方法が山林散骨です。しかしどの山にでも散骨してよいということはなく、基本はその山林を自己所有しているか、個人が所有している山林で、その所有者から散骨許可を得ている場合しか法律では許されていません。

そのような用地が準備できなくて、なおかつ山林散骨をしたい場合も、やはり業者に委託すれば散骨を代行してくれるか、あるいは山林散骨が可能な場所を案内してくれます。

そのほかの散骨方法

以上が代表的な散骨方法ですが、最近ではほかにもいろいろな散骨が登場しています。

たとえば、ヘリコプターやセスナ機で上空から海上に散骨する空中散骨や、遺骨をカプセルに入れてロケットで打ち上げ、成層圏でカプセルごと散骨する宇宙散骨などがそれです。
またインドのガンジス川や故人が好きだった海外の場所で散骨をする海外散骨という方法もあります。

樹木葬とは

樹木葬のイラスト

一方で樹木葬とはどのような埋葬方法なのでしょうか。

シンボルツリーの下に埋葬するのが樹木葬

樹木葬の基本は、1本のシンボルツリーの下に遺骨を埋葬するものです。ただしどの場所に植わっている樹木でも埋葬しても良いということではありません。

樹木葬では「墓地、埋葬等に関する法律」(以下「墓地埋葬法」)によって地方自治体の許可を得ている墓地の中に用意された樹木の下にしか埋葬することはできないのです。

また樹木葬は遺骨1柱に対して1本の樹木を植える場合と、中央にシンボルツリーを1本植え、その周囲に複数の遺骨を埋葬する方法があります。

樹木葬の2つの埋葬方法

さらに埋葬方法によっても樹木葬には2つの分類があります。

1つは樹木の下に遺骨のまま土葬する方法です。
この方法であれば自然葬の名の通り、遺骨はカルシウムなどに分解され木に吸収されてその養分になります。
ただし後で遺骨を取り出して改葬する、ということはできません。

もう1つは遺骨を骨壺に入れて樹木の下に埋葬する方法です。
この場合は遺骨はずっと骨壺の中に保存されますから、正確な意味で自然に還るということはできません。
しかし後で改葬したいという場合は、遺骨を納骨室から取り出すことが可能です。

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世界の自然葬

このほか世界を見渡すといろいろな方法での自然葬が行われています。

風葬

1つは風葬(ふうそう)です。風葬は遺体を砂漠などに横たえて、そのまま風化させていく方法です。砂漠だけではなく、崖や洞窟、木の上などで行われることもあります。

世界中で有名な風葬としてはインドネシアのものがあります。
インドネシアの中でもスラウェシ島のトラジャ族の葬送は大規模なもので、現在も行われています。

日本では沖縄の風葬が有名です。沖縄の風葬には、特定の洞窟や山林の中にある共同の墓所に遺体を横たえて風化させる方法と、お墓の中に遺体を横たえて白骨化した後、遺族が遺骨を洗って改めて骨壺に納める方法があります。

鳥葬

もう1つ代表的な自然葬が鳥葬(ちょうそう)です。

鳥葬とは遺体を裁断して断片化し、それをハゲワシなどに食べさせる埋葬法です。

有名なものにはチベット仏教を信じているチベット人が行うものがあります。またインドやイランなどに多く住むゾロアスター教の信者の埋葬方法も鳥葬です。ゾロアスター教では火は清浄なものなので、遺体を火葬すると火を穢すことになると信じられており、そのため鳥葬を行うのです。

自然葬は法律上許されるのか

ここで気になるのは、散骨にしても樹木葬にしても日本の法律上、違反にならないのかという点です。

行政で許可された墓地に埋葬するならOK

国内で遺骨の埋葬が許可されているのは、行政の許可を受けて経営されている墓地に限ります。これは、「墓地埋葬法」で定められています。

したがって、行政の許可を受けている墓地で樹木葬をすることは合法です。
対して、庭の木の下に遺骨を埋葬することは違法になります。

散骨はグレーゾーン

散骨は、法律上許されるかはグレーゾーンになります。

墓地埋葬法は昭和23年に施行されましたが、この時にはまだ散骨という方法は一般的ではありませんでした。
ですから墓地埋葬法には、埋葬と火葬についての条文はあっても、散骨についてはOKともNGとも規定されていません。

したがって、散骨は合法であるとは言い切れませんが、現状は黙認されている状態です。
遺骨をパウダー状にする、周辺の環境に配慮するなど、最新の注意を払えば、自分ですることもできます。極端な例では、自宅の庭に散骨をするということもあります。

ただし散骨も実施の方法によっては法律違反になります。
たとえば、自宅の庭に散骨をしてその上に木を植えた場合、それは墓地埋葬法違反になります。

なぜなら木を植えるとその木が「墓標」だとして扱われるため、その方法は散骨ではなく、私的に墓地を作って埋葬したことになってしまうからです。
したがって自宅に庭やほかの自然の中に散骨する場合は、墓標になるようなものの下を避ける必要があります。

自然葬で後悔しないための注意点

以上が自然葬の方法ですが、もしもこの埋葬方法にしてもらいたいと思った場合でも、注意点がいくつかあります。

散骨の注意点

まず散骨の場合の注意点です。

遺骨は粉末状に

散骨をする場合は遺骨を粉末状にする必要があります。

仮に遺骨のまま散骨しても「墓地埋葬法」の「遺骨は認可された墓地にしか埋葬できない」という条文には違反しませんが、しかし一方では「遺骨遺棄の禁止」という条文に違反することになるからです。

したがって、遺骨を撒く場合には、それが遺骨だとわからなくなるくらいの小ささに粉砕する必要があるのです。

具体的な粉末の大きさは法律では決まっていませんが、散骨を行っている業者の自主規制では直径2mm以下にすることになっています。ですから自分で遺骨を粉末状にする場合も、その2mm以下を目安にしましょう。

散骨場所が指導に沿っているか

また散骨する場合、墓地埋葬法では規定がありませんが、国の指導として以下の場所で実施することは避けるようにとされています。

・水源地付近や生活用水として利用される河川、湖、沼など
・漁場、養殖場、防波堤など
・公園や住宅地
・観光地や観光ルート

自宅の庭など自分が所有している場所に散骨することは、上記の指導には反していませんが、しかし近隣の住民に遺骨を撒いたことがわかると思わぬトラブルを生む場合が多々あります。
したがって、自分の所有地に散骨する場合は、最低限、近隣の住民から見えないような場所を選びましょう。

業者は信頼できるか

散骨を業者に委託した場合も注意が必要です。

たとえば、粉末設備を1柱作業するごとにしっかり清掃しているかなどは重要な点です。
清掃していない場合は、ほかの人の遺骨と自分の依頼した遺骨が混ざってしまうことになります。

また散骨事態をまるごと業者に委託した時に、悪質な業者の場合、散骨をしたと称して実際には廃棄していることもあります。ですから散骨業者を選ぶ場合は、散骨証明書を発行してくれるか確認しましょう。

樹木葬の注意点

樹木葬の場合も注意点があります。

自分で樹木の手入れをする必要があった

樹木葬墓地でよくあるトラブルは樹木の手入れを墓地管理者がしてくれるかと思っていたら、遺族が自分ですることになっていたという場合です。

樹木葬は木の手入れをしないと枝が茂りすぎたり、落ち葉が溜まったりしてしまいますから清掃は必須です。ですから樹木葬墓地を選ぶ場合は、樹木の管理は誰がするのかを購入前に確認しましょう。

線香を供えられない場合も

樹木葬墓地は周囲が木であるため、山火事防止のために火気厳禁である場合がほとんどです。
したがって、埋葬した場所に線香台がなければ、線香を手向けることはできません。

自宅や駅から遠隔地だった

樹木葬墓地の中には都心のものも存在しますが、多くの場合は自然が多い郊外に設けられます。

そのような墓地は環境が良くても交通アクセスの悪い場所である場合がほとんどです。
自家用車など自分の交通手段があったり、若い時であれば移動は苦になりませんが、しかし年齢を重ねると、長い時間電車やバスに乗ったり、駅から何十分も歩いたりするのは大変になります。

したがって、樹木葬墓地を選ぶ場合は、交通アクセスが良いかどうかも重要です。

家族は一緒に埋葬できない

樹木葬は一族墓ではなく個人墓です。したがって、故人と同じ場所に家族として埋葬されたいと思った場合に、不可能なこともあります。

改葬は不可能

木の下に遺骨をそのまま埋葬するタイプの樹木葬の場合、遺骨は分解して土に還ってしまいます。
仮に、あとで遺族が新しくお墓を作ったから故人も一緒に埋葬したいと考えても、改葬は不可能です。

家族が反対する

樹木葬霊園を購入した後に家族に伝えると、家族の中にお墓や埋葬について保守的な価値観を持っている人がいる場合、反対されることもよくあります。
したがって樹木葬墓地を購入する前に家族とよく相談しましょう。

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まとめ

日本人の死生観はこの数年で大きく変化し、石材でできたお墓の中に自分が死後ずっといるということを嫌がる人も増えてきました。
そのような価値観を背景に増えているのが、散骨や樹木葬などの自然葬です。

もしも自分が、亡くなった後に自然の循環の中に回帰したい思ったら、以上の解説を参考に自然葬の選択を検討しましょう。