お墓の相続の悩みを解決!誰が承継する?放棄はできる?

  • 投稿日:2018/10/30
  • 更新日:2021/11/29
お墓の相続の悩みを解決!誰が承継する?放棄はできる?

お墓の相続、あるいは承継というものはあまりなじみがないものなので、誰でも問題に直面した時には戸惑うことでしょう。
そこでここでは、お墓の相続でよくぶつかる悩みについてその解決方法を一発解答します。

お墓は「祭祀財産」として相続

まずお墓は不動産や金融資産などの一般的な相続財産とは別に「祭祀財産」として扱われます。
祭祀財産はお墓の他、仏壇や系譜なども含まれます。

祭祀財産は、一般の相続財産とは全く別のものと扱います。
祭祀財産の相続には以下のような特徴があります。

・相続財産を放棄した場合でも、祭祀財産を承継することは可能
・祭祀財産の承継者は分割できない。原則一人で承継する
・相続税はかからない
・行政上の手続きが不要

お墓は誰が承継する?

ではそのただ1人の相続人とは誰を指すのでしょうか。

祭祀財産の承継者については、法律で以下のように定められています。

第897条[祭祀供用物の承継]

(1) 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する。
但し、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が、これを承継する。

(2) 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、前項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。

以下で詳しく解説します。

必ずしも長男が継ぐ必要はない

法律の条文によると、祭祀財産の承継者は以下のように決められます。

1.現在の名義人(被相続人)が承継者を指定しているときは、それに従う
2.指定がなければ慣習に従う
3.指定がなく慣習も分からなければ家庭裁判所が決める。

したがって、必ずしも長男がお墓を相続するかと言えば、そうではありません。
実際には、承継者の指定がない時は兄弟で話し合って決めることもあるようです。

ただし、墓地を管理している寺院や霊園によっては、管理の問題や檀家制度との関係から、承継者は長男や長女などの血縁者でなければならないという独自の決まり事を設けている場合もあります。

相続人は名義上1人

また、相続人が誰もよいからと言って、複数の人間で共有することはできません。
あくまでお墓の名義上の承継者は1人だけとされています。
そして民法でも相続人は「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」とされているので、相続権を争った場合は、より血縁が深い、長男、長女が優先されます。

ただし、それまでのお墓の所有者が文書でも口頭でもよいので次の相続人を指定した場合は、その人間が優先されます。
さらに以前の所有者が相続人を誰も指定せず、次の相続人がなかなか決まらない場合は、家庭裁判所が承継すべき人を1名決めることになっています。
つまり長男などの一般的な後継ぎがはっきりと存在しないためにもめごとになった場合は、家庭裁判所の判断にゆだねれば、裁判官が決めてくれるということです。

祭祀財産は放棄できる?

祭祀財産は相続財産とは別の扱いになるため、放棄の規定がありません。
なので、一度承継者として指名されてしまうと、相続の放棄ができなくなります。

お墓や仏壇の管理を続けていくことができない場合は、相続をした後処分しましょう。

お墓に相続税はかかるか

このようにお墓は明確な相続財産なのですが、それでは相続税はかかるのでしょうか。
都心の一等地に墓地などを所有している人の場合、土地価格でも相当な金額になりますから、その点について気になるでしょう。

その点については結論から言って、お墓を含む「祭祀財産」には、相続税がかかりません。
つまりお墓だけではなく、仏壇や仏具も含めて高価なものを相続してもその相続税は払わなくてよいのです。
したがって、相続税を節税しようと思ったら、生前に墓地や墓石また仏壇を購入することが1つの方法になります。

ただし、その祭祀財産を、本来の宗教的な目的ではなく、骨とう品や投資の対象として所有していると認定された場合は相続税がかかるので注意して下さい。
自分の所有する祭祀道具がそのような相続税対象になるかどうかは税理士に確認しましょう。

相続人になるべき跡継ぎがいない場合はどうするか

ですからお墓は相続後のあらゆる手間を除いて「相続」だけに絞って考えれば何も負担になることはありません。
しかしそれでも相続人が見つからない場合、お墓はどうなってしまうのでしょうか。

相続人がいないと無縁墓に

相続人が見つからないお墓は、仮にそれが先祖から何十代にもわたって継承されてきたものであっても、永代使用権が取り消され「無縁墓」になってしまいます。

永代使用権は「前払い」ができますので、そのお金が有効なうちは取り消されませんが、その有効期間が切れてからある一定期間が過ぎた場合には、そのお墓は無縁墓になります。
そして納骨されている遺骨は墓地の管理者によって合祀され、暮石も全て撤去されてしまい、お墓の区域は更地に戻ってしまいます。

血縁がなくても相続人になれる

それを避けるためには長男ではなくても誰か1人が相続人になることが必要です。
先ほど書いたようにこれについては全く規定がないので、誰でもなることができます。
ただし一般的な順序としては、故人の子供の長男、二男、そして子供の長女、次女、そして故人自身の兄弟姉妹、というのが普通です。
つまり、血縁関係がある中では、年齢の高い順であり、男性が優先、ということです。

ただし先ほどから書いているようにこれは法的に決められてことではなく、あくまで慣習です。
法的には相続人の指定方法は、それまでの所有者が何らかの形で指定した人が最優先で、そのような人がいない場合はその地方の慣習に従い、さらに決まらなければ、家庭裁判所の調停によって決められます。

ですから、家庭裁判所の調停で決める、というところまでもっていきたくない場合は、子供や配偶者、親族などの血縁関係に限らず、友人なども含めて承継者になってくれる人をさがしたほうがよいでしょう。

ただし、墓地や霊園によっては相続人は血縁者でなくてはならないという規定のほか、3親等の親族までなどとさらに細かい規定を設けている場合がありますので、留意が必要です。

どうしても継承者がいない場合は墓じまいと永代供養を

そのような手順を踏んでもどうしても相続人が決まらない場合は、どのような手段があるのでしょうか。
その場合には、墓じまいをして、遺骨は永代供養にするという手段しか採れないということになります。

墓じまいを行う

墓じまいとは、墓の所有者の判断で、永代使用していたお墓を撤去し、更地に戻して寺院や墓地に返却することを指します。
ただし、墓じまいをしてしまうと、その後に自分の祖先の年忌法要もできなくなりますし、何より墓参ができなくなりますので、判断は慎重にした方がよいでしょう。

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永代供養墓に移す

それでも墓じまいを選択した場合は、そのお墓に納められていた遺骨の行き先がなくなりますので、それらは永代供養墓に合祀することになります。
永代供養墓とは、合祀墓、合葬墓、共同墓とも呼ばれ、赤の他人と一緒に納骨されてしまうことです。
そして供養に関しては、相続人がしなくてもお寺や永代供養墓管理者が、定期的に行います。

この永代供養墓に遺骨を移す場合は、自分の家の墓地を解体する費用と、永代供養費のそれぞれが必要になります。

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お墓の管理や費用を兄弟や娘家族で共同でする場合の注意点

そのような永代供養も避けたいという場合は、誰か名義だけでも1人の相続人を立て、実際の管理や供養、あるいは費用負担を兄弟姉妹で共同するという方法もあります。
具体的にそれはどのような方法なのか解説しましょう。

お墓を共同管理するメリット

まず最初にお墓の管理を兄弟などで共同で行う場合のメリットを確認します。

1つは、お墓に関して共同で管理する責任が道義的に発生するメリットです。相続人1人に負担をかけず、お墓管理に関するあらゆる負担を共同で担って、誰か1人に集中することを防ぐことができるのです。

2つ目は費用に関するメリットです。お墓を共同で管理するということは原則としてそれに関わる費用も共同で負担するということです。その費用は厳密に等分しなくても、永代使用料は長男が負担、法要の費用は次男が負担、などのように負担を分担し、相対的に減らすことができます。

お墓を共同管理するデメリット

しかし一方で、お墓を共同管理するデメリットもあります。

最大のデメリットは、名義上1人で相続していたその相続人が亡くなった場合、再度今度は誰に相続させるか、ということを0ベースで話し合わなければならない点です。
名義的にも実質的にも相続人が1人であれば、次の相続人はその長男、と簡単に決まるところを、実質的な相続人が複数いるので、その間で権利と責任の押し付け合いが始まってしまうのです。

さらに共同管理の方法は、これこそ法的には決まっていないので、最初に取り決めておいても、あとあと費用分担の点でトラブルが起こる可能性があります。
たとえば、法要には非常に費用がかかるのに、自分1人の負担になるのはおかしい、とか、次女はお金の負担がない分お墓の清掃をすることになっていたのに全くしていないからお金を負担させるべき、などの話です。

これらの問題はそれぞれ経済状況の背景が入ってくるので。一筋縄ではいきません。
そして誰かが「わがまま」を言い始めてしまうと、そもそもの共同管理の理念がなし崩しになってしまいます。

一人娘ですでに嫁に入っているが、実家の墓はどうする

以上は相続人がいない場合の問題点でしたが、逆に自分が他家に嫁いで苗字も戸籍も変わっている場合に、実家のお墓の相続人がいなくなってしまったときどのように対応できるか、自分が改めて相続人になれるのか、という点について解説します。

遺産とは別に祭祀財産だけ承継できる

この場合に1番もめるのは、お墓の所有者にお墓以外の不動産などの相続財産がある場合です。その場合、相続権を持つ人間が、不動産は相続したいがお墓は相続したくない、と言い出すことが多いのです。またお墓の所有者が財産ではなく借金も持っていた場合、その借金も相続対象になりますから、お墓は引き継いでもいいが、借金は背負いたくないということもあるでしょう。

これについて民法では不動産などの相続財産とは別に祭祀財産だけを相続することができるとしています。つまり、不動産は別の人間が相続し自分はお墓だけを相続するということが可能なのです。それは借金についても同様なので、借金は相続しないがお墓だけ相続するということができるわけです。

墓じまいをするにしても相続してから

また実家の誰もお墓を相続しないのでこれは墓じまいしか方法がない、という場合でも、墓じまいを行えるのはそのお墓の相続人だけですから、いったんは相続し、そのあと墓じまいの手続きを踏む必要があります。

まとめ

少子化や核家族化が進み、同時に宗教心が希薄化していく中、今後はお墓を管理する「責任」意識というものがどんどん薄くなっていくことが予想されます。
それによって、お墓を相続し、管理し、供養していく相続人への「なり手」もなかなか見つかりにくくなっていくでしょう。

自分の一族のお墓がそのような現実に直面した場合は、以上の解説を参考に、できるだけ良い解決策を見つけましょう。