お墓の地震対策!墓石の耐震・免震工法を紹介

お墓の地震対策!墓石の耐震・免震工法を紹介

日本は地震大国です。

近年では2016年(平成28年)4月14日熊本県熊本地方で発生した熊本地震は、最大震度7の強い地震で被害総額は約4.6兆円、また、2018年(平成30年)6月18日大阪府で発生した大阪府北部地震は、最大震度は6弱で被害総額は約1,800億円と大きな被害をもたらしています。

ニュースなどの報道では、倒壊した家屋や建造物、寸断された道路などの映像が流れていて、墓石の倒壊などの映像が流れることはほとんどありませんでしたが、墓石の倒壊も多数確認されていてその被害額は大きな金額になっています。

地震によって倒壊した家屋などの修復には、高額な費用が必要になりますが、倒壊した墓石を修復するにも高額な費用が必要になりその負担は大きくのしかかってきます。

また、近年では、日本の数多くの箇所で今後、地震が発生する可能性が指摘されていて、住んでいるところが、過去に地震が発生したことがないからといって安心することはできません。

地震はいつどこで発生するかは誰にもわかりません・・・

地震大国の日本においてお墓の地震対策をしておくことは、墓石の倒壊で思わぬ出費を抑えることができるので、大切なことではないでしょうか。

そこで今回は、お墓の地震対策について、耐震工法、免震工法、費用の相場など墓石の耐震についてみていきます。

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お墓の地震対策

お墓に使われる石は、硬度が高く、劣化しにくい堅牢な石材である御影石の人気が高いです。
国産の庵治石(あじいし)、大島石、唐原石(とうばるいし)は人気で、他にも中国産の御影石、インド産の石など近年では外国産の石を使ってお墓を建てる人も多数います。

一般的な墓石の和形墓石8寸サイズを例にすると、石碑と呼ばれる墓石の部分で1000kg近くあり、これは軽自動車1台分の重量に相当します。
お墓の外柵など付属の部分を含めると1300~1500kg近くになり、普通自動車1台分の重量になります。

このように墓石はどっしりとしていて、重量も重いので、地震の影響を受けにくいと思われるかもしれませんが、墓石は一つ一つのパーツを工場で製作して、現地で組み立てるという方法で建てられます。

地震が発生すると、一つ一つのパーツが地震の揺れの影響を受けて、墓石が倒壊してしまうことになってしまい、倒壊した墓石を元の状態に戻すには、高額な費用がかかり、大きな負担になってしまいます。

もしもの地震に備えて、お墓の地震対策をしておくことは大切です。

お墓の地震対策は大きくわけて、耐震と免震の2つがあるので、それぞれについてみていきましょう。

墓石の耐震

耐震とは、金具ホゾといった穴などを利用して、強固に固定して地震に耐えれるようにすることです。

墓石の耐震の方法としては、基礎コンクリートにアンカーやアングルを使ってしっかりと固定したり、墓石の中心にステンレスの綱棒を貫通したり、墓石をパーツごとに作るのではなく、一つの石から全てのパーツを作る方法があります。

このような方法だと、見た目は普通のお墓に見えますが、お墓の造り自体が強固になっているので、震度6、7の強い地震にも耐えれるようになっています。

墓石の免震

免震とは、耐震のように造り自体を強固にするのではなく、墓石のパーツとパーツの間に免震装置を取り付けて、地震の揺れを伝えにくくする方法になります。

ひと昔前までは、造り自体を強固にする耐震が主流でしたが、近年では施工が簡単で、費用の負担を抑えられる免震を選ぶ方が増えています。

また、免震工法は施工が比較的容易ということもあって、お墓のリフォームでもこちらの工法を選ぶ方が多いです。

墓石の耐震工法

お墓の地震対策として耐震と免震についてみてきましたが、まずは墓石の耐震工法について具体的にみていきます。

耐震一体墓工法

日本のお墓でよくみられるのが和形墓石で、下台、中台、竿石の順に積み木のように重ねられて造られています。

和形墓石は積み重ねられただけなので、地震の揺れに弱く、縦長の竿石は一番最初に倒れてしまいます。

地震の揺れに強いのが、耐震一体墓工法になるのですが、これは下台、中台、竿石を個別に造るのではなく、一つの石から下台、中台、竿石を造るので、下から上までがつながっていて、下にいくほど広がっているので重心も安定しています。

ただ、耐震一体墓工法はでは大きな石が必要になり、墓石の加工技術も必要になるので、通常の墓石を造るよりも高額になってしまいます。

さらに、墓石を一から造るので、すでにお墓を建てた人には不向きで、これから新規でお墓を建てようと考えている人に向いた耐震工法になります。

耐震ピン工法

耐震ピン工法は、墓石と墓石をつなぎ合わせるために、両方の墓石にダボと呼ばれる穴をあけて、その中に金属の棒を差し込んで石を連結させて、地震の揺れに耐えるようにする工法です。

差し込むダボは、墓石の中心に1本だったり、墓石の周りに複数の穴をあけることもありますが、耐震化したことが表から見えないので、墓石の外観が変わることもありません。

耐震ピン工法は地震の横揺れには強いのですが、直下型地震のように縦の揺れには弱く、金属のピンが抜けてしまったり、ピンが抜けなくても、上に飛びあがった墓石が着地した際にヒビが入ってしまうということがあります。

耐震基礎工事

耐震基礎工事は、住宅やマンションなどの建物と同様に、地盤に杭を打ち込んで鉄筋コンクリートの土台を造る基礎工事になります。

耐震基礎工事は、地震対策の中で耐震効果はとても高く、長期間に渡ってお墓を地震から守ってくれるというメリットはあります。

ただ、地盤に杭を打ち込むので、工事前には地盤調査が必要になり、工事全体の費用は高くなってしまいます。

また、杭を打ち込んで基礎工事を行うので、事前に墓地の管理者に相談して、必ず許可を取ってから行うようにしてください。

墓石の免震工法

どちらかといえば大掛かりな感じがする耐震工法に比べると、免震工法比較的工期も短く、費用も抑えられるので、近年では免震工法を採用される方が増えています。

墓石の免震工法は、接着剤工法ゲル工法があるので、それぞれの工法について具体的にみていきましょう。

接着材工法

接着剤工法は、下台、中台、竿石とそれぞれの接合部に接着剤をつけて、強固に固めてしまう工法です。

使われる接着剤は科学技術の進歩のおかげで、これまで接着しにくいと言われてきた、石と石でも強固に接合できるようになっています。

また、接着剤工法は墓石を一つ一つ取り外して、接着剤をつけながら戻していくという施工ができるので、すでにお墓を建ててしまった場合でも対応が可能になります。

ゲル工法

ゲル工法は、耐熱、耐寒に優れていて、夏の炎天下から冬の雪でも、特性に変化が少ないシリコンゲルを下台、中台、竿石の接合面の四隅にはさんでいく工法になります。

シリコンゲルはシート状のものが使われることが多く、適度の荷重で変形して、墓石を安定させる金属とゴムでできているダブルクッションプレートを併用することで、震度7クラスの地震にも耐えられるようになっています。

墓石の耐震工事の相場

ここまで、墓石の地震対策として、耐震工法と免震工法についてみてきましたが、それぞれの工法にかかる費用が気になるのではないでしょうか。

普通にお墓を建てる場合、使う石の種類、大きさにもよりますが50万円から200万円くらいが相場だと言われていて、墓石の耐震工事の費用はそれらの金額に追加でプラスされる場合があります。

耐震一体墓工法は、大きな石と加工技術が必要になり、通常でお墓を建てる費用にプラス、50万円から100万円くらいの費用がかかります。

また、強固な基礎を造る耐震基礎工事は、地盤調査、杭打ちなども必要になるので、通常でお墓を建てる費用にプラス、20万円から50万円くらいの費用がかかります。

免震工法で墓石の地震対策をする場合は、比較的容易に施工できるということもあって、3万円から10万円くらいが相場の費用になります。

新しくお墓を建てるとき

新しくお墓を建てるときは、一からお墓を建てることになるので、耐震工法、免震工法のどちらでも施工することが可能になるので、予算もあるでしょうが、しっかり地震対策を考えるようにしてください。

近年では、石材店にもよりますが、あらかじめ耐震もしくは免震の工事費が含まれている場合もありますので、石材店に確認するようにしてください。

すでにお墓があるとき

すでにお墓がある場合は、耐震工法が施工できない可能性があるので、接着剤工法やゲル工法の免震工法を採用するようにしてください。

接着剤工法やゲル工法の免震工法は、比較的容易に施工できるということもあって、3万円から10万円くらいが相場になるので、墓石をリフォームするより費用を抑えることができるので、おすすめの地震対策になります。

お墓の地震保険

住宅の地震保険があることを知っている人は多いと思いますが、お墓の地震保険があることを知っている人は、そう多くはいらっしゃいません。

お墓の地震保険は、自然災害によるお墓の損壊が対象になるので、地震に限らず、台風などによる土砂崩れや洪水などの水害、津波や火山の噴火なども対象になります。

また、自分の家の墓石が、お隣のお墓をキズつけた場合も対象になる保険もあります。

保険料は保険会社や保険商品によって違いがありますが、月々1,500円くらいから2,000円くらいの掛け金で、最大100万円くらいまで負担してくれる保険もあります。

保険を選ぶときは、補償の対象、補償の内容、掛け金、補償金などを含めて、複数の保険会社を比較して、その違いを確認した上で、保険を選ぶようにしてください。

石材店の探し方

地震対策を考えたときは、まずは石材店に相談するようにしてください。

すでにお墓を建てられた方は、建ててもらった石材店に地震対策の相談をするのがいいのではないでしょうか。

お墓を建てているので、その土地のこと、お墓のことを誰よりも知っているので、適切な地震対策をしてくれます。

ただ、建ててもらった石材店が、お墓の地震対策に対応できないのであれば、自宅に近い石材店、友達に聞いてみる、ネットで調べる方法などを使って、口コミを調べ、石材店を決めるようにしてください。

また、業界団体に加盟している石材店もおすすめで、業界団体に加盟していることで、お墓の地震対策についても最新の情報が入りやすいのも選ぶポイントの一つになります。

新しくお墓を建てる場合も上記の内容に参考にしてくださいね。

まとめ

ここまで、お墓の地震対策について、耐震工法、免震工法、費用の相場など墓石の耐震についてみてきました。

お墓の地震対策には耐震、免震工法など複数の工法があります。

新しくお墓を建てる場合は、さまざまな工法の中から選ぶことができるのですが、すでにお墓を建てている場合は、縦の揺れに強い接着剤工法と、横の揺れに強いピン工法を組み合わせることで、お墓はより強固に固定することができます。

このようにすでにお墓を建てられた方は、免震工法の両方を組み合わせた方法で地震対策を行うことが有効になります。

耐震工法、免震工法、それぞれに特徴があるので、お墓の状態、予算などを考慮しながらお墓の地震対策をするようにしてくださいね。

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