死後は宇宙へ…新しい散骨の形「宇宙葬」

死後は宇宙へ…新しい散骨の形「宇宙葬」

死んだ後は大自然の一部に還りたいという散骨。日本で散骨をする場合、海に散骨する「海洋散骨」と山に散骨する「山林散骨」が一般的ですが、最近は宇宙へ遺骨を送る宇宙葬も注目されています。

かつては功績のある著名人しか実現できなかった宇宙葬も、近年では一般向けに提供されるようになりました。日本でもアメリカの企業と提携した宇宙葬のサービスが始まっています。

さらに手軽な散骨法として、バルーンで遺骨を成層圏まで運び、空中で散骨するバルーン宇宙葬なども登場しています。

新しい散骨の形、宇宙葬についてまとめました。

宇宙葬とは

遺骨や遺灰をカプセルに収め、ロケットに乗せて宇宙空間に送り出すという散骨の一つの形です。

10人~100人程度の遺骨を一度に打ち上げるのが一般的です。カプセルに収納されているため、他の方の遺骨と混ざることはありません。打ち上げることのできる遺骨の量は1グラムから数グラム程度です。

宇宙葬の歴史

世界初の宇宙葬は1997年4月。『スタートレック』の生みの親として知られるジーン・ロッデンベリーや心理学者ティモシー・リアリーなど24人分の遺骨がペガサスロケットで宇宙に運ばれました。

翌1998年1月、アテナロケットで打ち上げられた月探査機ルナ・プロスペクターには、シューメーカー・レヴィ第9彗星の共同発見者として知られるユージン・シューメーカー博士の遺骨が搭載され、月へと運ばれました。

2000年ごろからアメリカで一般人向けのサービスがはじまり、近年、日本でもアメリカの企業と提携してサービスが始まりました。

プランと費用

日本ではセレスティス社とエリジウムスペース社のサービスが提供されています。

セレスティス社

日本では株式会社銀河ステージが正規代理店となっています。プランは4種類あります。

もっとも低価格の宇宙飛行プランは、カプセルをロケットに搭載し、高度100km以上の宇宙空間に打ち上げるプランで、費用は45万円からです(遺骨の量で価格が変わります)。

人工衛星プランはカプセルを人工衛星に搭載し、宇宙空間に打ち上げるプランです。宇宙空間に到着した人工衛星は、最長で240年間地球を周回します。費用は95万円からです。

その他、ロケットでカプセルを月に送る月旅行プラン(250万円から)、宇宙帆船に搭載して宇宙の果てへと飛び続ける宇宙探検プラン(250万円から)もあります。

※価格は2017年4月1日現在

エリジウムスペース社

日本では「お坊さん便」で話題になった株式会社みんれびが「宇宙葬Sorae」の名称で提供しています。

遺骨を収めたカプセルを人工衛星に搭載し、地球を数ヶ月から数年間周回します。その後、人工衛星は大気圏に再突入し、流れ星となって燃え尽きます。

費用は28万5千円とセレスティス社のサービスに比べて格安となっています。

スペースデブリ(宇宙ゴミ)にならないの?

地球の軌道衛星上にある大量のスペースデブリ(宇宙ゴミ)は4,500トン以上ともいわれ、深刻な問題となっています。宇宙葬はスペースデブリの排出につながらないのでしょうか。

エリジウムスペース社のプランでは、人工衛星が最終的に大気圏に再突入し、完全に燃え尽きるため、スペースデブリにはなりません。

セレスティス社では、有用な人工衛星やロケットにのみ遺骨を便乗させることで、余分なスペースデブリを極力出さないよう配慮しています。

お墓に代わる葬送方法にはならない

斬新なイメージのある宇宙葬ですが、カプセルに収めることができる遺骨・遺灰の量は数グラムですから、お墓に代わる葬送方法にはなりません。

そのため、残りの遺骨についてはお墓や納骨堂、永代供養墓に納骨するか、海洋散骨などをしなければなりません。あくまで故人の思いやロマンを実現する一つのオプションとして考えるべきでしょう。

バルーン宇宙葬

栃木県の株式会社バルーン工房が提供しているサービスです。バルーンを使って遺骨を宇宙空間に運ぶという散骨方法です。ただし実際には宇宙空間(高度100km以上)ではなく、成層圏での散骨になります。

遺骨を詰めたバルーン(直径1.5m~2m)を大空に放つと2時間で高度30km~35kmの成層圏に到達します。すると気圧の関係でバルーンが膨張・破裂し、一瞬のうちに散骨されるという仕組みです。飛散した遺骨は偏西風に乗り、地球上空を回り続けることになります。

バルーンはゴムの木の樹液から作られた100%天然素材で、日光や水によって分解されるため、環境にも影響がありません。費用も基本料金が24万円とお手頃です。

また、ロケットを使った宇宙葬と違い、ご遺骨すべてを散骨することが可能です。