キリスト教のお墓の特徴を解説!お参りはどのようにする?

キリスト教のお墓の特徴を解説!お参りはどのようにする?

日本における仏教徒は在来の仏教の信徒、新興宗教としての仏教の信徒を含めると、全人口の99%になるといわれています。
それ以外の神道やキリスト教を信じている人は非常に少ないのです。

具体的にはキリスト教の信者は、260万人程度しかいません。
したがってキリスト教に沿ったお墓を建てる場合は人生においてほとんどないかもしれません。

逆に言えば、もしもキリスト教のお墓を建てることになった場合、情報が少なくて困るでしょう。
今回の記事では、キリスト教のお墓を建てるにはどうしたらよいのか、あるいは永代供養はできるのか、という点について解説します。

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キリスト教のお墓の建て方

まずキリスト教のお墓の建て方について解説しましょう。

キリスト教のお墓はどこに建てる?

実際のところ、キリスト教のお墓を日本で見たということがある人が少ないのではないでしょうか。
特に日本の墓地や霊園の中には、仏教や神道のお墓以外の建立を許可しないというところも少なからずあるのです。
キリスト教徒が少ないだけではなく、そのようにキリスト教のお墓がある意味除外されていることも、キリスト教のお墓をなかなか見かけない理由の1つです。

したがって、キリスト教のお墓を建てる場合は、その墓地や霊園が、宗教や宗派の制限を設けていないかを確認することが何より大切です。
具体的には公営墓地民営霊園を探すと良いでしょう。
ですが、寺院墓地でさえ宗教不問とすることがあるため、探す上では意外に苦労しないかもしれません。

しかしなかなか霊園を探すというのも大変だという場合もありますから、1番確実な方法は、所属している教会などに問い合わせることでしょう。

主なキリスト教の宗派は日本の場合、カトリックとプロテスタントですが、プロテスタントならば各教区ごとに墓地を用意しています。
またカトリックであれば、教区が所有している墓地や納骨堂もあるので、そこに遺骨を埋葬することが可能です。

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キリスト教のお墓のデザイン

ではキリスト教のお墓の墓石のデザインにはどのようなものなのでしょうか。

キリスト教のお墓のデザインには大きく分けると「石棺型」と「焼骨型」があります。

「石棺型」とは「せっかんがた」と読み、その名の通り墓石自体が遺体を納める棺になっているものです。
この墓石には、遺体を火葬せずに、エンバーミングといって防腐処置をしたうえで、肉体のまま埋葬します。

日本の基本的な埋葬方法は火葬ですがヨーロッパやアメリカではこの方法が主流であり、日本でも申請をすれば自治体によっては許可が下りる場合もあります。

また石棺型は墓域を広くとらなかったり、衛生上の問題から許可する墓地はごくわずかです。
ですから故人が石棺型のお墓を希望していた場合は、まず地方自治体への確認、そして同時に霊園への確認を行いましょう。

一方で「焼骨型」とは「しょうこつがた」と読み、このお墓には一般の日本のお墓と同様に火葬した遺骨を埋葬します。
さらに地域によって、骨壺で埋葬する場合と、骨壺から遺骨を出して直接土に埋める場合があります。

またお墓の上には墓碑を建てますが、その墓碑のデザインの種類は大きく分けると、十字架型、聖書型、石板型、家型、錨型など多様なものがあります。

墓石の材質も同様に多岐にわたりますが、多くの場合は日本の一般的なお墓のように御影石を使うのではなく、大理石を使うことが多いです。

また、墓碑に刻む文字などは、正面中央の上部に「十字架のしるし」を刻みさえすれば、あとは何を彫っても基本的に自由です。
多くの場合はお墓なので洗礼名や名前などを刻みますが、それらに加えて好きだった言葉や聖書の一節を記すこともあります。
またヨーロッパやアメリカの墓碑のように、故人の生年月日と没年月日を彫る場合もあります。

ここからわかるように、キリスト教では1人に1つの個人墓を建立することが一般的です。
しかしお墓を建てること自体、費用が1基150万~300万円するなど非常に高額であることと、個人墓はまだ日本では一般化されていないことから、キリスト教のお墓でも日本の慣習に従って家族揃って1つのお墓に入る家族墓、一族墓にすることも多いです。

ただし、違う宗派の人を同じお墓に埋葬してしまうと、1つのお墓に対してある時は仏式の法要を行い、ある時にはキリスト教式のミサを供養を行うことになるので、眠っている故人にとっては違和感があることかもしれません。
ですから家族墓を建立する場合には、家族全員がキリスト教の信者である場合が多いです。

遺骨の埋葬方法は?

ではキリスト教による遺骨の埋葬方法について、もう少し詳しく説明しましょう。

キリスト教には復活の思想があります。
何よりキリスト自体、聖書によれば亡くなった後に復活して昇天していますし、一般のキリスト教徒も世界の終末が訪れた時に、神様が全ての死者を復活させてくれるという終末思想があります。

復活するためには肉体がなければならなりません。
したがって火葬をしてしまうと復活した際の身体がなくて困るということから、キリスト教の場合は基本的に土葬なのです。

ただし、日本で土葬を選択するには先ほど書いたように多くの制限があることと、キリスト教においても価値観が多様化してきたことに伴って、近年では火葬を選択する人も増えています。

キリスト教のお参りの作法

以上がキリスト教お墓を建てる上での解説でしたが、では自分がクリスチャンではなくても、キリスト教のお墓にお参りをする場合にはどのような作法があるのでしょうか。

お墓参りの仕方

キリスト教のお墓参りの仕方は、実は、お墓を掃除し、花を供え、礼拝するということで、さほど仏教と作法の違いはありません。

ただし、キリスト教の場合は、お参りの時には線香を立てずに、ロウソクだけを立てます。
したがってお墓にも香炉の代わりにロウソクを立てる燭台を設ける必要があります。
これ以外はほとんどキリスト教式のお参りと言っても自由です。

しかし仏教と最も異なるのは、仏教の場合お参りは故人に対して行いますが、キリスト教の場合、お参りは神様に対して行う、という点でしょう。

仏教であれば故人に呼びかけその成仏と冥福を祈りますが、キリスト教の場合は神様に故人に死後の平安を与えてくれるように祈るのです。
お参りをする際の心の中は周囲からは見えませんが、しかしお参りをする本人としては、心構えとしてこの点に注意しておいたほうが良いでしょう。

花はどんなものを用意するか

キリスト教のお墓に供える花にも仏花のような基準はありません
故人の好きだった花などを供えれば、菊などではなくても全く問題ありません。

しかし一般的にはカーネーションなどの小さめの白い花を用意する事が多いでしょう。

キリスト教にもお彼岸などに相当するものはある?

キリスト教にも仏教のお彼岸やお盆にあたる法事などはあるのでしょうか。

キリスト教の法事とは?

キリスト教にも法事にあたる儀式はあります。
カトリックでは「追悼ミサ」が、プロテスタントにおいては「記念集会」がそれです。

ただし、法事と言っても仏教とは法事の意味が大きく異なります。
まず、仏教では死や忌まわしいものだと考えられていますが、キリスト教では死のことを「昇天」というように、神様の元へ帰ることのできる喜ばしいものとしてとらえられています。

ですから仏教の法事の場合は、故人が迷って悪霊にならずにきちんと成仏できるようにと祈りますが、キリスト教ではそのような、故人が悪霊化するような考えもなく、成仏に相当するものもありません。

その意味ではキリスト教における法事に相当する儀式は、故人のためではなく、遺族や故人の知人友人が故人を懐かしみ、自分の中で区切りをつけるために行うものだといってよいでしょう。

キリスト教の法事に参列する場合は、この点だけにはしっかり理解しておかないと思わぬ失礼な言動をとってしまうこともあり得るので注意しましょう。

具体的にキリスト教の儀式は以下のようなものです。

まずカトリックの場合は「追悼ミサ」を行います。
行うタイミングは、一般的には亡くなってから3日目、7日目、30日目です。
これが仏教における初七日などに相当します。そして亡くなって1年後の命日には盛大な「記念ミサ」を行います。これが仏教における四十九日に相当するでしょう。ただしキリスト教では仏教のように、四十九日で霊魂が成仏するというような考え方はありません。

プロテスタントの場合は「記念集会」を行います。
行うタイミングは、亡くなって1ヶ月後の命日と1年目、3年目、7年目の命日です。

カトリックの場合、儀式を行うのは教会ですが、プロテスタントの場合は教会だけでなく自宅で行うこともあります。
自宅で行う場合は、遺影や祭壇、十字架などを飾り、そこに牧師や親せき、友人知人を招き、祈りを捧げます。
儀式が終了した後は、追悼のための茶話会などを設けることもあります。

キリスト教でもお彼岸には法事をするところも

仏教の年忌法要の代表的なものにはお彼岸があります。これは基本的に日本だけの風習です。

したがってキリスト教には本来、お彼岸に相当する法事はありませんが、しかし日本の習俗に合わせてキリスト教でも春のお彼岸、秋のお彼岸の日にミサを催す場合もあります。

ただし個人でミサを行うのではなく、教会で「合同慰霊ミサ」を行うことが一般的です。
その内容は「その教会の信者だった故人全体が死後平安であることを祈る」というものです。

キリスト教でも永代供養はしてもらえる?

では永代供養はキリスト教でもあるのでしょうか。

永代供養は基本的に宗教不問

永代供養とは故人の年忌法要、回忌法要を遺族が行わず霊園管理者に委託するということを指します。
一般的に行われる法要は三回忌や七回忌と言った仏式のものなので、永代供養は仏教のもののような気がしますが、しかし永代供養とは本質的には法要を霊園管理者に委託することなので、キリスト教の1年目の記念ミサの主催を教会などに委託すれば、それ自体永代供養だということになります。

したがって永代供養は宗教不問であり、宗教不問の霊園に埋葬してあれば、誰でも霊園管理者によって法要と供養を行ってもらえるのです。

永代供養を仏式でしないことを希望するときは

霊園管理者に仏式ではなくキリスト教に従って永代供養をしてほしいと頼む時には、それを受け容れていくれる霊園を選ぶ必要があります。
具体的には教会が運営している共同墓や納骨堂、あるいは公営または民営の樹木葬墓地や納骨堂などが主なものです。

供養自体をしなくても良い、という場合は散骨もその方法に入るでしょう。

キリスト教のお墓の墓じまい

キリスト教のお墓の場合も基本的には年間の管理費を納めることが必要です。
特に宗教不問の霊園や墓地の場合は、管理費を滞らせると、お墓は撤去され、埋葬されていた遺骨は無縁仏として処分されてしまいます。

したがってお墓が遠方にあってお参りできない場合や、先祖の供養を自分の代で終わりにしたいと考える場合は、墓じまいをすることが必要です。
これは仏教のお墓の場合と同様です。

キリスト教の墓じまいの基本は仏教の方法とほとんど同じです。
まず納骨室から遺骨を取り出し、その後石材店に依頼をして墓石を撤去し、墓域を更地に戻します。
取り出した遺骨は永代供養墓に納めるか、散骨をします。
仏教の場合と異なるのは仏教の場合、遺骨を取り出す際に閉眼供養と言う法要を行いますが、キリスト教の場合はそのような法要がないという点です。

したがって、費用も仏教に比べて法要のために納めるお布施の数万円がなくなるだけです。

まとめ

キリスト教のお墓について詳しくなったのではないでしょうか。
キリスト教のお墓を建立する際、あるいはキリスト教のお墓にお参りする際には、以上の解説を読んで、ミスや失礼なことのないようにしましょう。

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