墓守とは何をすること?仕事内容や誰がするかを徹底解説

墓守とは何をすること?仕事内容や誰がするかを徹底解説

墓守という言葉はイメージ的に言うとかなり古いものです。

子供の面倒を見ることを、古くは「お守をする」といいましたが、最近はあまり使いません。
それと同様に墓守という言葉もあまり聞かない種類のものでしょう。

しかしお墓の話になった場合、この墓守という言葉が頻繁に使われる、ということも一方では存在します。
ではその墓守とは一般に誰を指し、誰がなり、そしてどのような仕事をするものなのでしょうか。

今回の記事では、墓守について徹底解説して行きます。

墓守とは昔の仕事は何がある?

墓守とは「はかもり」と読みます。
ずいぶん古い言葉のようイメージがありますが決してそうではありません。

墓守の意味は字面だけから言うと、子守と同様に「お墓の面倒を見る人」「お墓を管理する人」です。
しかしそのような物理的な面倒見る人のことだけを指すのではなく、お墓の祭祀継承権を引き継いで先祖の供養の責任を持つ人も墓守といいます。

さらにもう1つの意味は、祭祀継承者ではなく、実際に霊園の管理事務所にいて霊園内のメンテナンスを行う管理人のことです。

両方の墓守とも墓所の管理をするという意味では同じですが、実際の仕事はかなり違っています。

墓守の仕事内容

墓守の仕事には以下のようなものがあります。

お墓を継いだ人・祭祀継承者の仕事

親からまたは親せきからお墓を継いで、先祖を供養する責任を持った人を祭祀継承者と言いますが、その意味での祭祀継承者、すなわち墓守の仕事には以下のようなものがあります。

お墓を物理的に管理する

1つはお墓の物理的管理です。
霊園には管理費を毎年払っていますが、この費用は霊園の参道や駐車場、トイレといった共有施設を管理、整備するためのものです。
それぞれのお墓を整備してくれるための費用でありません。

したがって、お墓自体を清潔な状態にしていく義務、すなわちお墓を清掃したりして物理的に管理する義務は、墓地の所有者にあります。

具体的には年に数回のお墓参りやお墓の清掃などです。
墓石は石材でできているので、硬くて頑丈なようなきがしますが、風雨によって汚れますし、徐々に劣化もします。
一般的な墓石の耐用年数は30年~50年だともいわれています。
しかししっかりとこまめにメンテナンスすれば150年は使用できるとも言います。

したがって墓守になったら自分の家のお墓をきれいに清掃し、墓石が弱っていないかを確認し、欠けていたりした場合は補修の段取りをする必要があるのです。

お寺の法要に参列する

宗教法人が経営していない霊園では、霊園側が主催者となって宗教行事を行うことはほとんどありません。
しかし寺院墓地などの宗教法人経営の霊園の場合は、寺院主催で、彼岸法要やお盆の施餓鬼が行われることも多々あります。

祭祀継承者となってお墓に責任を持っている人は、一方ではその寺院の檀家としての代表者でもあります。
したがって、檀家の1人として、寺院が行う年に数回の法要に参列をするのが本来の役割です。

お墓の管理費を支払う

霊園の共有施設を維持、管理していくための費用となる管理費を毎年きちんと支払うのも祭祀継承者としての墓守の役割です。
管理費の支払いを滞らせてしまうと、一定期間後に霊園管理者の手によってお墓から遺骨を取り出され、無縁仏として処分され、お墓も撤去されて更地になってしまうので十分に注意しましょう。

お墓を管理する人の仕事

一方で霊園の管理事務所の管理人としての墓守は、主に霊園全体の清掃や修繕、あるいはお葬式の時に埋葬作業、法事や法要の時の仏花、会食の手配などを行います。

墓守の仕事は誰がする?

では墓守の仕事は誰がするものなのでしょうか。
言葉を換えれば祭祀継承者には誰がなるものなのでしょうか。

お墓の相続とは

故人の資産を引き継ぐことを相続と言いますが、相続の対象になるものには、相続財産祭祀財産があります。

相続財産とは現金、預金、株などの金融資産、家や土地などの不動産、車などの動産を指します。
これに対して祭祀財産とは「系譜」「祭具」「墳墓」を指します。

系譜とは系図とも言い、先祖代々の血縁関係を図示した絵図や記録です。
祭具とは位牌、仏像、仏壇、神棚などの供養の際に使う器具のことです。
墳墓とは棺、墓石、そして墓地自体を指します。

祭祀財産は相続財産と区別して扱われ、相続財産の相続人が自動的に引き継ぐというものではありません。

お墓を継ぐのは長男とは限らない

祭祀財産は一般的に長男、長女が相続することが多いですが、これは長年の日本の風習がそうなっているからだけであって、法的には長男が祭祀継承者にならなければならない、あるいは長男でなければ祭祀継承者にはなれない、ということはありません。

祭祀財産の相続について、民法897条では以下のように定められています。

系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

ここで言う慣習とは「長男や長女が祭祀継承者になる」ということですが、しかしよく条文を読めばわかるように、それは絶対条件ではなく、何もなければ優先されるというだけのことです。

もしも「故人の遺言、または生前に口頭や文書で指定していた者」がいた場合は長男、長女がいても、その指定された人が祭祀継承者になります。

個人の指定がない場合、承継者は慣習にならいます。
慣習も明らかでない場合は「家庭裁判所の調停か審判」で祭祀継承者が決められます。

したがって他家に嫁いでいる娘でも、またそれが長女ではなくても、あるいは姪や甥でも、さらには血のつながっていない親族でも、もっと言えば故人の親友でも、誰でも祭祀継承者にれるのです。

祭祀財産は分割して相続できない

ただし金融資産や不動産など相続財産は、複数の相続人の中で、長男が家を相続し、次男が預金を相続するなど、財産を分割して相続することが可能です。

ですが、祭祀財産の場合、そのような分割相続はできません。
長男がお墓、次男が仏壇、というように分割して承継した後、法要のたびにそれぞれの祭祀財産を持って集まるということは現実ではありません。
また、分割された祭祀財産がさらに下の代に相続されたとき、全くの遠縁の親戚同士が同じ家の祭具を持つことになり、関係性が煩雑になります。

実際の管理や費用負担を誰がするかはともかく、祭祀承継者は名目上一人でなければなりません。

実際の墓守は複数人でしてもいい

祭祀承継者は名目上一人でなければなりませんが、実際にお墓のお世話や管理費の負担を分担することは問題ありません。

ただしその場合、維持費、管理費の負担の問題などでトラブルが発生する場合もよくあります。
トラブルを防ぐためには、祭祀継承者に共同でなる前の段階で、お金のことについてしっかりと話し合い、明確に決めておくことが何より重要です。

またお墓参りや法要の主宰者に誰がなるかも決めておいたほうが良いでしょう。
特にお墓参りを行きたい人が行きたい時に行く、としてしまうと、みんなが誰かが行くだろうと考えて、結局誰も行かず、お墓が荒れ放題になってしまう、ということもよくあります。
あるいは三回忌などの法要も1人責任者を決めておかないと、話し合いで進めるとなかなか内容が決まらないことも多いです。

そのようなことを防ぐためには、お彼岸やお盆には祭祀継承者は全員必ずお墓参りをする、法要の実施は長男が仕切る、などと決めておくことが大切です。

墓守がいないときはどうする

祭祀財産の相続とセットで考える必要のあることに、「墓じまい」があります。
祭祀継承者、すなわち墓守の重要な権限にはこの墓じまいをするかどうかを判断することもを含まれます。

墓じまいをする

墓じまいとは何かというと、現在埋葬されている遺骨をお墓から取り出して、ほかの墓地に改葬したりあるいは永代供養の手続きをした後、お墓を霊園管理者に返却することを指します。
その際には、賃貸住宅でも退去の際には入居時と同じ状態に戻す原状回復の義務があるように、お墓の場合も墓じまいの際には、お墓自体の墓石を撤去し、墓域を更地に戻すことが必要です。

墓じまいはどのような時にするかというと、自分の代までは祭祀継承者がいても、自分から引き継ぐべき祭祀継承者が見つからない場合、あるいは自分がいったんは祭祀継承者になったものの、何らかの理由で墓守の役割を全うできなくなった場合などが考えられます。

法律上、お墓の処分は祭祀承継者の一存で行うことができますが、独断で墓じまいをすると各方面からトラブルを招く可能性が高くなります。
当然、その墓に遺族が埋葬されている親戚の同意も必要ですし、また墓地側の承諾も必要です。
特に寺院墓地の場合は、墓じまいをすることはすなわち檀家からも抜けるということなので、必ず寺院側の承認を取らなければなりません。
そして檀家を離れる場合は、離檀料と言って数十万円単位のお金を寺院側に納めることになります。

したがって、墓じまいの実施には実施当事者である祭祀継承者、すなわち墓守に大きな負担がかかるのです。

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永代供養にする

また墓守がいない場合、あるいは形式上墓守はいても実質的にお墓の管理や先祖の供養ができない場合は、永代供養にするという方法があります。

これは墓じまいをする時に、すでに埋葬されている遺骨をどうするかという場合でも選択肢になってくる方法です。

永代供養とは、祭祀継承者や遺族に代わって、寺院や霊園が合同法要や回忌法要で故人を供養してくれることを言います。
しかし遺骨を個別安置で供養してくれる期限には限りがあり、以降は合祀墓に埋葬されます。
期限の区切りとしては、三十三回忌や五十回忌法要の「弔い上げ」が多いでしょう。
お寺や霊園によって期限は異なるので、確認が必要です。

永代供養をする場合、主な方法には以下のようなものがあります。

最も多い方法が納骨堂に遺骨を納めるものです。
棚に遺骨を並べる納骨堂や、ロッカーのようなところに安置する納骨堂、仏壇や墓石が並んでいる納骨堂などがありますが、どの場合でも、霊園内あるいは霊園と全く別の場所に納骨堂専用の施設を建設してそれを納骨堂にします。

そのほか普通のお墓に永代供養のサービスがついている場合も、あるいは最初から遺骨をほかの人と一緒に合葬してその上に供養塔などを建てる場合もあります。

納骨堂は寺院が運営している場合も、実質企業が経営していることもあります。
自治体などの公営墓地では宗教を選ぶことができないため仏式の「供養」を代行してくれるお墓はありませんが、樹木葬など、その後のお世話がいらないお墓はあります。

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まとめ

墓守には2つの意味があります。
霊園の管理者にはすべてのすべての人がなることは少ないですが、祭祀継承者としての墓守には誰もがなる可能性があります。
自分が墓守になった場合は、以上の解説を読んで、役割をしっかり果たすようにしましょう。
それが先祖の供養につながります。

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