墓じまいとは?費用相場・手続きの流れ・時期・トラブル対策を解説

  • 投稿日:2019/11/13
  • 更新日:2021/10/06
墓じまいとは?費用相場・手続きの流れ・時期・トラブル対策を解説

※記事の概要は、こちらの動画をご覧ください。

お墓が遠い、跡継ぎがいないなどの理由でお墓の維持ができなくなってしまうことがあります。
維持が難しくなったお墓は、通常の場合だとお墓を撤去する「墓じまい」が必要になります。

しかし、墓じまいをするといっても、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか。
また、何から手を付ければいいのでしょうか。

今回の記事では、墓じまいを考えている方へ、墓じまいに必要な情報をお伝えします。

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墓じまいとは

墓じまいとは、お墓を解体・撤去し、墓地を更地にして管理者に返還するまでの一連の流れを指します。

墓じまいに伴い、遺骨をどこかで改めて供養する必要があります。
遺骨の移動に重点を置いて、「改葬(かいそう)」と言われることもあります。

墓じまいをするには、墓地の使用者、墓地の管理者、親戚など方々の関係者に相談する必要があります。

墓じまいの費用・料金

墓じまいの費用・料金のポイント

  • 費用総額は20万~30万円程度に落ち着くことが多い
  • 墓じまいにかかる費用は、墓石解体工事費、魂抜きのお布施、(寺院墓地のみ)離檀料がある
  • 別途、遺骨を供養する費用が必要になる
  • お墓の立地や広さ、数によっては相場よりも高くなる

墓じまいをするにはどれくらいの費用や料金がかかるのでしょうか。
墓じまいに必要な費用について詳しく解説します。

墓じまいの費用総額

墓じまいの費用総額は、20万~30万円程度が相場です。
ただし、あくまでもこの程度の金額に落ち着くことが多いということで、お墓の広さや立地、お寺の事情によっては、費用が倍以上かかることもあります。
なお、この費用には遺骨の改葬先(取り出した遺骨の移動先)の費用は含みません。
遺骨の改葬先にかかる費用は、以下の項目をご覧ください。

参考:遺骨の引っ越し先(改葬先)と費用

墓じまいお見積もりサービス

墓じまい費用の内訳

墓石解体工事費 魂抜きのお布施 離檀料(寺院墓地のみ)
墓石解体のイラスト 墓前法要のイラスト 御布施のイラスト
8~10万円/㎡程度 1~5万円程度 1~20万円程度

墓じまいの費用は、内訳で見ると以下が相場になります。

  • 墓石解体工事費:8~10万円/㎡程度
  • 魂抜きのお布施:1~5万円程度
  • 離檀料(寺院墓地のみ):1~20万円程度

実際には、お墓の立地や墓地の種類、お付き合いのあるお寺などによって費用は変動します。

墓石解体工事費

墓じまいの解体工事
墓石解体工事の様子

墓石解体工事費の費用相場は8~10万円/1㎡です。参考までに、たたみ一畳分で1.44~1.82㎡です(地域による)。
これは、墓石を撤去してから墓地を更地に戻し、さらに墓石をしかるべき形で処分するまでの費用です。

ただし、以下のような場合は、墓石の解体工事費が相場より大きく上回る場合があります。

墓石解体工事費が高くなるケース

  • お墓が山の上などの工事が難しい場所にある
  • 道幅が狭く、お墓に機材を横付けできない
  • 石塔や灯篭など構造物の数が多い
  • 雪国などで、基礎が強固になっている
  • その他、石材の処分費や、解体のための人数・時間がかかる事情がある場合
山の上のお墓の墓じまい
山の上のお墓
石塔がたくさんあるお墓の墓じまい
一つの区画に石碑がたくさん並んでいる墓所

墓じまいの見積もり例

見積もり例1

山口県で行われた墓じまいの例です。
こちらのお墓の解体費用は、20万円でした。

墓じまい見積もり例1-2
墓じまいが行われたお墓
墓じまい見積もり例1-1
実際の見積もり
見積もり例2

兵庫県で行われた墓じまいの例です。
こちらのお墓の解体費用は、28万円でした。

墓じまい見積もり例1の画像
墓じまいが行われたお墓
墓じまい見積もり例1
実際の見積もり

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魂抜きのお布施

墓じまいの閉眼法要
墓じまい前の魂抜きの法要の様子

魂抜きのお布施の相場は、1~5万円程度です。

仏式のお墓では、お墓を解体する前に「魂抜き」という法要をします。
「閉眼法要」「性根抜き」などと呼ばれることもあります。また、浄土真宗では魂抜きの代わりに「遷仏法要」という法要をします。

魂抜きは、お墓を故人の霊が宿る霊験あらたかな物から、ただの石に戻すための法要です。
お寺にある墓地の場合、そこの僧侶に魂抜きをしてもらう必要があります。
寺墓地でない場合も、魂抜きをしないと解体できないという石材店が多いため、公営霊園や共同墓地でも、基本的に魂抜きは必要になります。

離檀料

お寺の墓地
お寺の墓地

離檀料の相場は1~20万円程度です。
離檀料は、お墓がお寺にある場合のみ必要です。

「離檀料」とは、檀家をやめるにあたり、これまでお世話になった感謝を伝えるためにお包みするお布施です。
墓地内のお墓を撤去するということは、ほぼ檀家をやめることを意味しますので、墓じまいをするにあたっては離檀料が必要になります。

ここで注意しておきたいのは、離檀料の話は、お寺から墓じまいの承諾をもらって初めて出てくるものだということです。
墓じまいをするからといって、突然離檀料を包んでお寺に行ってはいけません。
離檀料を包んでいくということは檀家をやめると宣言するに等しく、お寺としても突然離檀の話をされると気分は良くありません。
トラブルを避けるためにも、墓じまいを検討する場合、まずはお寺に決定事項ではなく「相談」という形でお話をします。改葬先を決めるよりも先にお寺に相談してください。

離檀料の目安として、法要1回分のお布施程度と言われています。
ただし、寺格や地域によっては離檀料がない、あるいはもっと高い金額で要求されることもあります。
事前に親戚や檀家総代、近所の石材店、親戚などに確認しましょう。

なお、離檀料で法外な金額を要求されたためにトラブルになるケースもごくたまにあります。
離檀料でもめてしまった場合は、基本的に離檀料とは気持ちであることを念頭に、根気強く話し合いましょう。
どうしても折り合いがつかなければ自治体や弁護士に相談することになります。

墓じまいの費用負担は誰がする?

墓じまいの費用負担を誰がするかについては、明確な決まりはありません。
ただし、お墓の処分の決定権は現在のお墓の所有者にあり、逆に言えば所有者の許可なく墓じまいをすることはできません。

したがって、通常の場合は現在のお墓の持ち主が墓じまいを決定し、費用も負担することが多いでしょう。
ただし、親が亡くなって墓を誰も継げないとなった場合は、兄弟で負担することもあり得ます。
結局は決まりがない以上、関係者の話し合いで決めるしかありません。

墓じまいの費用を安く抑えるには

墓じまいの費用を安く抑えるポイント

  • 墓石解体工事は相見積もりを取る
  • 遺骨の葬送の費用を抑える
  • 費用を抑えられる葬法には、合葬墓や散骨、送骨などがある
  • 墓じまいの費用が払えないときは、親戚や墓地管理者に相談する

墓じまいの費用をできるだけ抑えるにはどのような方法があるでしょうか。
墓じまいの費用を節約するコツを解説します。

相見積もりを取る

墓じまいをする際には、必ず着工してもらう前に業者に見積もりを取ってもらいます。
見積もりが少し高いと感じたら、他の業者にも見てもらいましょう。

ただし、墓地の指定業者がいる場合は相見積もりができません。
民営霊園では確実に指定業者がいます。お寺の場合も指定業者がいることがあります。
対して、公営霊園なら指定業者はいませんので、相見積もりができます。昔から地域にあるような共同墓地でもほとんどの場合で大丈夫です。

遺骨の供養の費用を抑える

遺骨の供養先を変えることで墓じまいの費用を抑えることができます。

最も費用を抑えられる供養の方法としては、送骨散骨が考えられます。

送骨は、お寺に遺骨をゆうパックで送って合祀墓に入れてもらう方法です。
全国に送骨を受け付けている寺院がいくつかあり、最安値で1万円/1人程度

です。

散骨は、山や海に遺骨をまいて自然に還す方法です。
遺骨を粉砕するところからまくところまで全て業者に委託するプランだと、最安値で3万円/1人程度

です。

人数にもよりますが、樹木葬や納骨堂を買うよりもさらに費用を抑えられます。

墓じまいの費用を払えない場合は

ただで墓じまいができることはありません。
どうしても墓じまいしなければならない事情があるなら、なんとかして費用を工面しなければなりません。
墓じまいの費用はどのように工面すればいいでしょうか。

家族や親戚に相談する

家族や親族に協力してもらえないか相談してみましょう。

お墓は個人の物ではなく、家や親族に関わる物です。
墓じまいしなければならない理由を伝えて相談すれば、協力してくれる人が現れるかもしれません。

例えば、墓じまいせずにお墓を放置しておくと、最終的には墓地の管理者がお墓を撤去し、遺骨は墓地内の合祀墓か自治体の無縁塚に入れられます。
埋葬されている人の縁者であれば、それは忍びないと思う人もいるでしょう。
また、お墓は手入れをしないで放っておくと傷んでいきます。
お墓をお世話しないで放置した結果、朽ちた植え込みや墓石が周辺の区画に倒れ、最悪の場合では他人にけがをさせることも考えられます。

墓じまいの必要性を伝え、お墓に関わりそうな親族に声をかけましょう。

メモリアルローンを使う

お墓や葬祭のための「メモリアルローン」を取り扱っている金融機関に相談してみます。
通常はお墓を建てる時に使われるローンですが、条件によっては審査が通るかもしれません。
また、一般のローンとは違い、おおむね年金のみの収入でも利用できます。

この他、石材店が独自のローンを持っていることがあります。
墓石の解体工事をお願いする業者を選ぶ際に、ローンを組めるところを探すのも一つです。

墓じまいの業者はどこに頼む?

墓じまいは、誰に依頼すればいいのでしょうか。
墓じまいを依頼する業者について解説します。

墓じまいは石材店に依頼する

墓じまいは、基本的には石材店に依頼します。
お墓のある墓地に出入りできる石材店に連絡して、墓じまいの見積もりをお願いしましょう。

公営墓地の場合は、どの石材店でも出入りすることができます。
共同墓地もほとんどの場合で石材店を自由に選べます。
お寺のお墓の場合は、出入りできる業者が決められていることがあります。

墓じまいを依頼する石材店を自由に選べる場合は、複数社で見積りを取る「相見積もり」ができます。
最初に依頼した石材店の見積もりが納得できなければ、他の石材店でも見積もりを取ってみましょう。

墓じまいの業者が指定されている墓地もある

民営霊園で墓じまいをする場合は、ほとんどの場合で墓じまいができる業者が墓地によって指定されています。
お寺の場合も、業者が指定されていることがあります。

民営霊園や寺院墓地にお墓がある場合、まずは墓地の管理者に相談しましょう。

なお、石材店が指定されていても、必ず契約前に見積もりを取りましょう。
見積もりの金額に不自然に高いなどの場合は、管理者に一度相談してみましょう。

解体業者は要注意

解体業者でも墓じまいを請け負っている場合がありますが、解体業者に依頼する際は注意が必要です。

解体業者は必ずしもお墓のプロではないので、工事のトラブルのリスクが高まります。
具体的には、工事中に他のお墓を傷つけてしまう、基礎を解体せずに埋めてしまう、などのような例です。

解体業者に依頼すれば費用は安く抑えられる傾向にありますが、リスクも高いことを念頭に置きましょう。

お墓さがしでは、地域で実績のある石材店をご紹介しています。
墓じまいのお見積もりを無料で承りますので、墓じまいをご検討の方はぜひこちらもご覧ください。

墓じまいお見積もりサービス

遺骨の引っ越し先(改葬先)と費用

遺骨の引っ越し先(改葬先)のポイント

  • 墓守がいない場合は、合葬墓や樹木葬、納骨堂などの永代供養墓に納骨する
  • お墓を近くに持ってきて代々引き継ぎたい場合は、近くに新たに建墓する
  • 散骨や送骨サービスでも遺骨を供養できる
  • 費用を抑えて供養するなら、合葬墓、散骨、送骨がおすすめ

墓じまいをしたら、中に入っている遺骨をどこかで供養しなければなりません。
改葬先で供養する費用相場は、以下のようになります。

遺骨を供養する費用

遺骨を供養するための費用は、遺骨をどこに移すか、あるいは、どのような方法で供養するかによって大きく変わります。
遺骨を供養するための費用相場は、以下の通りです。

改葬先・供養の方法 費用相場
墓石のお墓 100~250万円
永代供養(納骨堂) 30~200万円
永代供養(樹木葬) 10~150万円
永代供養(合葬墓) 3~30万円/1人
散骨 3~30万円/1人
送骨 1~10万円/1人

遺骨を供養する方法と種類

遺骨を供養する方法には、以下のようなものがあります。

遺骨を供養する方法と種類

  • 新たに墓石のお墓を建てる
  • 永代供養墓に納骨する
  • 納骨堂に納骨する
  • 樹木葬に埋葬する
  • 合葬墓に納骨する
  • 散骨する
  • 送骨サービスを利用する

次に、詳しく解説します。

新たに墓石のお墓を建てる

墓石のお墓のイラスト

近くに改めてお墓を建てて、そこに今までのお墓に納骨されていた遺骨を移す方法です。
この場合、費用感は新しくお墓を購入する時と同様になります。
墓地と墓石代を合わせて100万~250万円程度は見ておきましょう。加えて、年間管理費が5千~2万円程度かかります。

今のお墓は遠くてお参りに行けないので、近くにお墓を移して代々供養していきたいという方は、お墓を新しく建てることをお勧めします。

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永代供養墓に納骨する

集合個別式永代供養墓のイラスト

永代供養墓とは、親族に代わり、お寺などの墓地管理者が将来にわたって故人を供養してくれるお墓です。
永代供養墓は、お墓の継承に不安がある方、ご自分やご夫婦だけのお墓を持ちたい方、子どもにお墓の負担を残したくない方などに選ばれています。
永代供養墓にも種類がありますが、ほとんどの場合で新しくお墓を建てるよりも費用を抑えることができます。

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納骨堂に納骨する

納骨堂のイラスト

納骨堂とは、屋内に遺骨の安置場所を設ける、遺骨の埋蔵施設です。
納骨堂は永代供養墓の一つですが、永代供養墓の中では、費用が高くなる傾向にあります。

納骨堂にもいくつか種類があり、ロッカー式、仏壇式、自動搬送式などがあります。

ロッカー式納骨堂イラスト 仏壇式納骨堂イラスト 自動搬送式納骨堂イラスト
ロッカー式 仏壇式 自動搬送式

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ロッカー式納骨堂

ロッカー式納骨堂は、ロッカーのような棚に、ご遺骨を納めるタイプの納骨堂です。
上下左右で区画が隣り合うので、お参りの場所は譲り合いになります。
納骨堂としては収蔵人数は少なく、価格は安い傾向にあります。
1~2人用の納骨堂を探している場合は、ロッカー式も検討しましょう。

仏壇式納骨堂

仏壇式納骨堂は、仏壇と納骨スペースがセットになっている納骨堂です。
一般的には、上下二段に分かれた棚が並び、上段が仏壇、下段が納骨スペースになっています。
仏壇がセットになっているために、納骨堂の中では最も高価です。
納骨スペースが広いので、大人数で納骨堂利用したい場合は検討してもいいでしょう。

自動搬送式納骨堂

自動搬送式納骨堂は、屋内に共用のお墓を設け、そこに機械がご遺骨を運んで来るタイプの納骨堂です。「マンション型のお墓」「マンション型納骨堂」などと呼ばれることもあります。
一区画に最大8霊など大人数で利用できますが、費用感は仏壇式納骨堂に比べると安めです。
都心を中心に増えており、ほとんどの場合で駅から徒歩圏内にあります。
お供えが常駐されているため、気軽にお参りをしたい方や、大人数で個別区画を利用したい方にはおすすめです。

納骨堂の種類や費用については、詳しくはこちらをご覧ください。
参考:納骨堂の費用を徹底解説!納骨料や管理料はどれくらい?

樹木葬に埋葬する

樹木葬のイラスト

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標にしたお墓です。
樹木葬には、ほとんどの場合で永代供養が付いています。
個別でご遺骨を埋蔵できる永代供養墓としては、費用を抑えて用意することができます。

樹木葬と言えば樹木の下に遺骨を埋葬し、自然に還すというイメージが持たれていますが、実態はそうでない樹木葬の方が多く存在しています。

特に、都市部にある樹木葬では、ご遺骨は花壇のような区画に設けられた石室に骨壺で埋蔵し、使用期限を過ぎると改めて合葬墓に移動されるというものが多いです。
自然志向にこだわる方は、郊外や地方にある「里山型樹木葬」などを検討しましょう。

樹木葬の種類や費用については、詳しくはこちらをご覧ください。
参考:樹木葬の費用はどれくらいかかる?分かりやすく解説!

近くの樹木葬を探してみる >>

合葬墓に納骨する

合葬墓・合祀墓のイラスト

合葬墓は、血縁に関係なく、複数の遺骨を同じ納骨室に一緒くたに埋葬するお墓です。一緒に祀るという宗教的な視点から、「合祀墓(ごうしぼ)」と言うこともあります。
公営墓地でなければ、永代供養が付いています。

お墓にご遺骨を納骨するのであれば、一番費用を抑えられるのは合葬墓です。
ご供養の費用を抑えたい方は、合葬墓がおすすめです。
ただし、一度納骨をするとその後取り出すことができなくなるため、注意が必要です。

見た目の形状は墓石でできた塔、あるいは小屋のようなものであったり、仏像などの下に納骨スペースを設けているものなど様々です。

また、お墓に入っていたご遺骨の数が多い場合は、合葬墓は有力な改葬先としてあげらえれます。
かなり古い遺骨だけ合葬墓に納骨し、顔が分かる方のご遺骨は個別の永代供養墓や墓石のお墓に移すという風に、組み合わせで改葬先を用意する方もいます。

散骨する

散骨のイラスト

散骨は、海や山などに遺骨を巻いて自然に還すという供養の方法です。

散骨とは、遺骨を粉状に砕いて自然環境にまく葬法です。
散骨の方法を選べば、合葬墓と同じくらいにご供養の費用を抑えることができます。
ただし、合葬墓と同様に、一度散骨すると遺骨を回収することはできないので、注意しましょう。
また、手を合わせるべきお墓もなくなる点も注意が必要です。

散骨の種類は、海に遺骨をまく海洋散骨、山に遺骨をまく山林散骨などがあります。

山林散骨など、地上に遺骨をまく場合はその土地の所有者の許可が必要になるため、散骨の中では海洋散骨が主流になっています。

散骨は自力でできなくはありませんが、原則業者に依頼します。
散骨にあたっては、遺骨をパウダー状に砕く「粉骨」という作業が必要になります。
また、散骨地の選定は、条例に違反しないか、近隣に迷惑をかけないかなどを考える必要があります。
これらの事情から、散骨は業者にお願いした方が無難です。

散骨にもプランがいくつか用意されており、それによって費用も変わります。
海洋散骨を例に考えると、散骨のすべてを業者に任せれば3万円/1人程度から受付けているサービスもあります。
また、船をチャーターして遺族の手で遺骨をまくプランになると、費用は10~30万円程度です。
チャーター船での散骨で遺骨が複数ある場合は、2体目から1~3万円程度加算されていきます。

この他、巨大な風船の中に遺骨を入れて空中に飛ばす「バルーン葬」や、少量の遺骨をロケットにのせて宇宙に打ち上げる「宇宙葬」など、散骨の種類はバリエーション豊かです。

なお、散骨は違法なのではないかという疑問を持つ方も多くいますが、ここについてはグレーゾーンとされており、現状黙認されている状況です。
しかるべき方法を取れば、散骨をして逮捕されたり罰金を科せられることは現状ありません。

散骨について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
参考:墓じまいから散骨するまでを解説!費用・流れ・注意点

送骨サービスを利用する

送骨のイラスト

送骨サービスとは、ご遺骨をお寺や霊園に郵送し、そこで合葬墓に入れてもらえるサービスです。
場所を選べば、合葬墓や散骨よりも費用を抑えることができます。
費用は1万円~10万円くらいで請け負ってくれます。
ただし、送骨サービスを行っているお寺や霊園は限られているため、必ずしも近くのお寺にお願いできるわけではありません。
また、ご遺骨を送った後に納骨される場所は、一般に立ち入りができず、現地で手を合わせられない場合もあるので注意が必要です。

送骨サービスについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
参考:遺骨の郵送は違法じゃない?送り方や送骨サービスを紹介

独身・おひとりさまのお墓はどうすればよい?

独身の人やおひとりさまのお墓は、どうすれば良いのでしょうか。
一人暮らしの人がお墓の準備で考えておくべきことは、以下の二つです。

  1. 永代供養墓を生前予約する
  2. 予約したお墓に納骨してもらえるように手配しておく

永代供養墓は、お寺が供養してくれる跡継ぎ不要のお墓です。
種類は合祀墓、樹木葬、納骨堂、その他様々です。希望の条件に合ったものを予約しておきましょう。

また、お墓を予約したら、自分がそこに入れるように手配しておくことも重要です。
親族や友人などの縁者がいれば、その人にお願いしておきましょう。
お願いできる人がいなければ、法律家などと「死後事務委任契約」を交わしておくと安心です。

独身・おひとりさまのお墓について、詳しくはこちらをご覧ください。

参考:独身女性・独身男性の「おひとりさまのお墓」はどうする?
参考:一人暮らしの人はお墓に入れる?生前の準備で不安解消

墓じまいの流れと必要な手続き

墓じまいの流れと必要な手続きのポイント

  • まずは親族とお寺に相談しよう
  • 遺骨の引越し先は墓じまいの前に決めておくのがベター
  • 墓石を解体する石材店を決めるときは必ず見積もりを取ろう
  • 遺骨の移動には墓地のある自治体役所で手続きが必要

墓じまいでは、具体的に何をすることになるのでしょうか。
墓じまいで必要になる作業と流れを解説します。

墓じまいの流れ

  • 1.親族に相談する
  • 2.墓地管理者に相談する
  • 3.遺骨の引っ越し先を決める
  • 4.解体工事の業者を決める
  • 5.役所で改葬の手続きをする
  • 6.工事と法要の日程を調整する
  • 7.墓石解体工事・更地返還

1.親族に相談する

まず、お墓の撤去に関して家族や親族に相談しましょう。
気づいていないだけで、定期的にお参りに来てくれている親戚がいるかもしれません。
特に本家の墓の場合は一族全体に関わる問題なので、注意しましょう。

親戚に相談することで、お墓を引き継いでも良いという人が現れることもあります。
こうなると墓じまい自体しなくて良くなります。

断りなくお墓を撤去してしまうと、何も知らずにお参りに来た親族が発見した時にもめごとは免れません。
必ず事前の相談をしておきましょう。

2.墓地管理者に相談する

墓じまいする旨を墓地管理者に伝えます。
それぞれ、以下に問い合わせてください。

  • 公営霊園:管理事務所(なければ墓地のある自治体役所)
  • 民営霊園:管理事務所
  • 共同墓地:墓地管理委員会(なければ墓地のある自治体役所)
  • 寺院墓地:寺院

公営霊園、民営霊園、共同墓地の場合は、そのまま「墓じまいをします」と伝えて大丈夫です。

寺院墓地の場合は、墓じまいを決定事項としてではなく、相談という形でお話しします。
寺院墓地で墓じまいをするということは、檀家をやめることに直結します。
寺院にとって檀家が減ることは収入が減ることと同義ですので、態度を硬化させないためにも、丁寧にお話します。
どうしてもお墓の面倒が見れず墓じまいしなければならない事、今までお世話になったお礼などを伝えましょう。

お寺での墓じまいについては、こちらもご参照ください。
参考:檀家を揉めずにやめるには?離檀の手順とトラブルの対処法
参考:離檀料の相場はいくら?支払い義務はある?檀家をやめるには

3.遺骨の引っ越し先を決める

親族とお寺に相談したら、取り出した遺骨をどうするかを決めます。
公営霊園や民営霊園、共同墓地からの改葬の場合は先に引っ越し先を決めておいた方がスムーズです。

単にお墓が遠くてお墓参りに行けなっかったという場合は、近くの霊園や墓地を探します。
跡継ぎがいないという理由で墓じまいする場合は、永代供養や散骨・送骨を検討しましょう。

近くのお墓を探してみる >>

4.解体工事の業者を決める

墓地管理者の許可が出たら墓石解体業者を探します。
遺骨の引っ越し先を探す作業と並行しておくとスムーズです。

業者は、基本的には墓地近くの石材店にお願いします。
民営霊園の場合は指定業者がいるので、管理事務所に墓じまいを相談した段階で紹介してもらいましょう。
寺院墓地の場合は指定業者がいるのか、業者は自分で選ぶのかを確認しておきます。
公営霊園の場合は必ず自分で業者を探すことになります。

石材店と解体工事の契約をする前に、必ず現地で見積もりを取ってもらいます。
指定業者がいなければ、相見積もりも取れます。
指定業者がいる場合でも、あまりに相場から外れている場合は内訳を見せてもらって一度相談しましょう。

5.役所で改葬の手続きをする

参考:品川区の改葬許可申請書

品川区の改葬許可申請書
東京都品川区の改葬許可申請書 東京都品川区の改葬許可申請書記入例

墓じまいの際は、墓地がある自治体の役所での手続きが必要です。
役所の窓口または自治体HPから「改葬許可申請書」などの必要書類を入手しましょう。

改葬許可申請書には、埋葬されている人の情報を記入します。また、現在の墓地管理者の署名・捺印が必要です。
この他、自治体によっては、遺骨の引っ越し先や、解体を請け負う業者についての記載欄を設けていることもあります。

改葬許可申請書が受理されると、「改葬許可証」が発行されます。
改葬許可証が発行された時点で、遺骨を今の墓地から動かせるようになります。

遠方に住んでいる場合は郵送での手続きに対応してくれることが多いので、一度役所に電話で問い合わせてみましょう。

墓じまいの手続きについて、詳しくはこちらをご覧ください。
参考:墓じまいの手続きと必要書類がこれで分かる!手順と流れ

6.工事と法要の日程を調整する

改葬許可が出たら、工事と魂抜きの法要の日程を組みましょう
魂抜きの法要は工事当日である必要はなく、一週間前などに済ませてしまっても構いません。

墓地管理者と石材店の都合を聞いて、工事日程を調整します。

7.墓石解体工事・更地返還

日程を決めたら、業者に墓石を解体・撤去してもらいます。
更地にして管理者に墓地が返還できたら墓じまい完了です。

遺骨は、直接引き取りに行くか、改葬先や自宅に郵送してもらいましょう。

墓じまいのタイミングと最適な時期

墓じまいを行うタイミングに決まりはありません。
体力が落ちてくると手続きや挨拶が大変になりますので、元気なうちに手を付けておいた方が良いでしょう。

ただし、実際に閉眼供養や墓石解体をする日取りは、注意が必要です。
お寺の繁忙期であるお盆やお彼岸、雨が続いて工事ができない梅雨時や積雪の時期に当たらないように調整するのが無難です。

墓じまいのタイミングや時期について、詳しくはこちらをご覧ください。
参考:墓じまいのタイミングはいつがいい?時期や季節・日数は?

墓じまいにまつわるトラブルと対策

墓じまいにまつわるトラブルと対策のポイント

  • 親族にもお寺にもまずは丁寧に相談する
  • 寺院から高額な離檀料を要求されても、すぐにOKしない
  • 石材店はその墓地での施工実績がある所や「マニフェスト」を発行してくれるところだと安心

墓じまいが増えるに伴い、墓じまいのトラブルの事例も聞かれるようになりました。
巷のニュースでは離檀料について取沙汰されることが多いですが、お寺以外でも注意することがあります。

墓じまいのトラブル対策について、詳しくはこちらをご覧ください。
参考:墓じまいにまつわるトラブル対策!弁護士の見解も紹介

親戚とのトラブルを避けるには

親戚とのトラブルには、以下のようなものがあります。

  • 親戚に墓じまいを反対された
  • 墓じまいの事実が事後に親戚に伝わり、仲が険悪になった

墓じまいの意向は、必ず事前に親族に伝えておきましょう。
お墓は、家族や親族に関わることです。
墓じまいの意向を伝えると、思ってもみなかった親族から反対されることがあります。
事前に伝えず、事後に発覚した場合はより揉めるでしょう。

親戚となると葬式や結婚式などで顔を合わせる機会は何かとあります。
無用なトラブルを避けるためにも、事前の相談は忘れないようにします。

特に本家の墓を撤去する場合は一族全体に関わります。
手間だと思うかもしれませんが、思い当たった所は広範に声をかけておきましょう。

もし事前の相談で反対を受けても、真っ向から反発しないようにします。
相手の意見を一度肯定した上で、それでもやむを得ず墓じまいしなければならない事情を丁寧に説明しましょう。

寺院とのトラブルを避けるには

寺院とのトラブルには、以下のようなものが挙げられます。

  • 法外な離檀料を要求された
  • 墓じまいを許可してくれない

お寺で墓じまいをしたい場合、墓じまいは決定事項としてではなく、まずは相談として話に行きましょう
最初から「離檀」というワードを出すのはお寺の態度の硬化を招くおそれがあるのでNGです。

最初の段階でお寺との関係が悪くなると、離檀を引き留めたいお寺が法外な離檀料を要求してくるという例もごくたまにあります。
全てのお寺でそうなる訳ではありませんが、気持ちよく墓じまいするためにも最初の相談は丁寧にしましょう。

お寺にとっても、面倒を見る人がいなくなったお墓が放置されるのは困るはずです。
どうしてもお墓の面倒を見れない事情があり、ご迷惑をかけないためにも墓じまいをしたいという意向を伝えます。

もし法外な離檀料を要求されてしまった場合は、すぐに受け入れてはいけません。
離檀料はあくまでも気持ちであることを念頭に、冷静に話し合いましょう。
どうしても折り合いがつかない場合は、役所に相談することで改葬許可を出してもらえることもあります。
また、離檀料については法的根拠は非常にあいまいであるため、弁護士を呼ぶと言えばおおむねお寺も強く出られないでしょう。

ですが、理想的なのは二者間での解決です。
感情的にならず、冷静に根気強く話し合いましょう。

解体業者とのトラブルを避けるには

解体業者とのトラブルには、以下のようなものが挙げられます。

  • 撤去した墓石が不法投棄されていた
  • 基礎を解体せずに埋め立てるなど工事が悪質だった

ごくたまに、悪質な業者が撤去した墓石を不法投棄してしまうという場合があります。
また、お墓の基礎や納骨室を解体せずに、そのまま埋めてしまうというケースもあります。

基本的には、解体業者ではなく石材店に依頼するのが無難です。
加えて、あまりにも費用が安すぎる場合も注意しましょう。

墓石の廃棄に関しては「マニフェスト」という廃棄物管理に関する書類を出してもらえるか確認しましょう。
お墓の地下部分についても、地元で長く実績のある石材店であればほとんどの場合で問題ないでしょう。
お寺など管理者と知り合いであったり、よく墓地に出入りしている石材店だとより安心です。

墓じまいのメリット・デメリット

墓じまいをすることのメリットとデメリットを解説します。

墓じまいのメリット

メリットのイラスト

墓じまいをすることのメリットには、以下のようなことが挙げられます。

お墓を無縁にする心配がなくなる

もし自分の後にお墓の面倒を見る人がいなければ、自分がお墓に入った後、お墓は誰にも手を合わせられない「無縁墓」になります。

墓じまいは、今のお墓を無縁墓にしないためには非常に有効な手段と言えます。
お墓は誰にもお世話をされなくなると、墓石自体が朽ちたり、周辺の草などが伸び放題になり、見た目も荒れ果ててしまいます。
また、朽ちた墓石が倒れたりすると、隣のお墓を傷つけたり、最悪の場合はたまたま近くにいた人にけがをさせることも考えられます。

故人をしかるべき形で供養するため、周りに迷惑をかけないためにも、墓じまいは有効です。

お墓の維持費やお参りの費用負担がなくなる

通常、墓石のお墓を持っている場合は、年間管理費などの維持費が必要になります。
もしお墓がお寺にある場合は、合同法要などのお布施も納めているかもしれません。

あるいは、もしお墓が遠方にある場合、お参りに行くだけでもそこまでの交通費がかかります。
または、なかなかお参りに行けないために清掃代行サービスなどを利用してもやはりお金がかかります。

墓じまいをすると、こうしたお墓を維持するための費用負担がなくなります。

墓じまいのデメリット

デメリットのイラスト

墓じまいをすることのデメリットには、以下のようなことが挙げられます。

お墓参りができなくなる

墓じまいをして遺骨を新しいお墓に入れなかった場合は、お墓参りができなくなります。
お墓のお世話が負担になっていても、いざなくしてしまうと寂しいと感じる人は多いようです。
その後の故人や先祖との向き合い方も考えながら、墓じまいを検討しましょう。

親戚とトラブルになる可能性がある

お墓は一族全体に関わることなので、扱い一つ間違えると親戚ともめる可能性があります。
特に、本家の墓を撤去しようとする場合や、お墓に入っている人の親兄弟がいる場合は注意が必要です。
お墓や、そこに入っている故人や先祖に対して、親族が特別な思いを持つことは自然なことです。
墓じまいを検討する場合は、慎重に親族と検討を重ねることをお勧めします。

墓じまいのマナーと服装

墓じまいに立ち会う場合、服装はどうすれば良いでしょうか。
僧侶を呼んで読経してもらう(閉眼供養)場合は、原則喪服です。
僧侶を呼ばない墓石解体に立ち会う場合は、平服で構いません。派手な色を避ければいいでしょう。

閉眼供養の際は、お布施が必要です。
表書きを「御布施」として、白い封筒に包みましょう。
金額は3~5万程度が一般的ですが、お寺や地域によって違うため、事前にお寺や親戚に確認しておくと無難です。
なお、閉眼供養に参列する際の香典は不要です。

閉眼供養が終わったら、親戚やお墓の縁者に挨拶状を出しましょう。

墓じまいのマナーについて、詳しくはこちらをご覧ください。
参考:墓じまいのマナーを紹介!服装は?お布施や香典は必要?

墓じまいにお布施や香典は必要?

墓じまいをする場合、お寺に渡すお布施は必要なのでしょうか。
また、墓じまいに呼ばれた際には、香典は必要でしょうか。

お布施は必要

墓じまいに当たっては、お布施は必要です。
墓じまいで必要なお布施は、主に以下の2つです。

  • 魂抜き(閉眼法要)のお布施
  • 離檀料(寺院墓地の場合のみ)

魂抜きとは、遺骨を取り出す前に読経をあげてもらう儀式です。
魂抜きの際のお布施は、3~10万程度が相場です。ただし、地域やお寺によって異なります。
この他、わざわざ僧侶にお寺の外の墓地に出向いてもらう場合はお車台として5千~1万円程度、さらに、そのあと会食の席を設けていても僧侶が出席しない場合は、さらに御膳料として5千~2万程度別々に包みます。

離檀料は、墓じまいをするお墓が寺院墓地にある場合に必要です。
お寺の墓じまいをするということは、そこのお寺の檀家をやめるということに直結します。
檀家をやめるにあたり、今までお世話になったお礼としてお渡しするお布施がいわゆる離檀料です。
離檀料の相場は、3~20万円程度です。しかし、やはり地域やお寺により異なります。

香典は不要

墓じまいに香典は不要です。
墓じまいに関して呼ばれる可能性があるタイミングは、閉眼法要と建碑式あるいは開眼法要です。
建碑式や開眼法要はお墓を新しく建てたときに行う法要で、墓じまい後新たにお墓を建てた場合は行います。
いずれにしても、香典をもっていく必要はありません。

ただし、建碑式や開眼法要の場合は、「御祝金」を包む必要があります。
相場は3千~5万円程度です。お墓を建てるのはお祝い事なので、ご祝儀袋で包みます。
永代供養墓の開眼法要に呼ばれた場合は、お祝い事の建墓を伴わないため、不祝儀袋で5千~1万円ていどを包みます。

墓じまいをしないでお墓を放置するとどうなるの?

面倒を見られないお墓を放置しておくとお墓はどうなるでしょうか。
墓じまいしないでお墓をそのままにしておくと何が起こるかについて解説します。

こちらも併せてご覧ください。
参考:田舎のお墓は放置するとその後どうなる?無縁墓になる前に

お墓の手入れをしないとどうなる

無縁墓
手入れする人がいなくなった無縁のお墓

お参りに行かず、お墓の手入れをしないと、墓石が朽ちたり墓所内に雑草が伸び放題になったりします。
最悪の場合、墓石が倒れて隣のお墓に傷がついたり、他人にけがをさせるなど、近隣に迷惑をかけることになります。

特に、20年以上前に作られたお墓だと、外柵に大谷石が使われているお墓が多くあります。
大谷石は耐火性には優れていますが、軟らかい石のため経年変化に弱く、表面が崩れたり、欠けたり、割れたりします。
墓石のひびや割れを放置すると、墓石が倒壊する可能性もあります。

また、区画内に植え込みがある場合は、手入れしないと伸び放題になります。
また、植え込みが無い場合でも、古いお墓ですと墓石の継ぎ目から雑草が茂っていることもあります。
伸び放題になった草木が周辺の区画にかかり迷惑になるばかりか、草木の根が成長して地盤を動かし、墓石が傾くこともあります。

石でできているといってもお墓も傷みますので、長年放置しておくのは危険です。

管理費を支払わないでいるとどうなる

一般墓を維持するには、ほとんどの場合で墓地に年間管理費を支払い続ける必要があります。
年間管理費を滞納すると、最終的には墓地や霊園の管理者側でお墓が撤去されます。

墓地や霊園側によるお墓の撤去の手続きは、管理費の滞納が3年続いた時点で開始されます。
まず、官報や墓所の立て札で、お墓の使用者や被埋葬者の情報が掲載され、使用者は1年以内に申し出るように呼びかけられます。

改葬の立札
都立青山霊園のある墓所に掲げられていた立札

1年以内に連絡が無かった場合、墓地の管理者は役所に改葬許可の書類を提出します。
墓地に対して改葬許可が出ると、墓石は撤去され、遺骨は墓地内の合祀墓や自治体の無縁塚に移動されます。
参考:電子政府の総合窓口e-Gov 墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第三条

なお、管理費を滞納した場合、支払い義務の発生から10年は時効が消滅しません。
(霊園の管理費が「定期給付債権」にあたると判断されれば5年で消滅しますが、墓地の年間管理費に関する判例は見当たりませんでした。)
墓地が撤去された後も管理費を請求される可能性は十分にあるので、お墓を維持できないと思ったら早めに墓じまいをしましょう。
参考:電子政府の総合窓口e-Gov 民法第166条、167条、169条

お墓を相続したくない場合はどうするの?

一族のお墓を相続しない、あるいは、相続放棄をするということは可能なのでしょうか?

お墓は、一般の相続差財産とは区別され「祭祀財産」というものに当たります。
祭祀財産の相続については、民法897条に定められています。

第897条
1 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

これによると、お墓を含む祭祀財産の承継者は、現在の持ち主が決定できます。
現在の持ち主が承継者を決めなかった場合は慣習に従い、慣習も分からなければ家庭裁判所が決めることとなります。

したがって、お墓を相続しないためには、現在の持ち主に他の承継者を指定してもらうのが確実です。
逆に、自分が指定されてしまった場合は、お墓を相続せざるを得ません。
加えて、祭祀財産の承継には行政手続きが存在しないため、同様に相続放棄の手続きもありません。

詳しくは、こちらをご覧ください。
参考:お墓を相続したくない・・・承継の拒否はできる?

宗派別の墓じまいと永代供養

宗派によって、墓じまいや永代供養の方法に違いはあるのでしょうか。

墓じまいから永代供養にするまでの流れは、こちらもご覧ください。
参考:墓じまいをしてから永代供養にするまでの方法と費用を解説!

墓じまいに宗派は関係ない

宗派が違うからと言って、墓じまいの方法や手続き、費用に変わりはありません。
お布施などについては、宗派よりも地域柄や寺格によって左右されます。

ただし、浄土真宗のみ遺骨を取り出す前の墓前法要に少し差があります。
他宗派では、遺骨を取り出す前に「魂抜き」「閉眼法要」あるいは「お性根抜き」などと呼ばれる墓前法要をします。
これは、お墓をご先祖様の霊が宿る霊験あらたかな物から、ただの石に戻す意味合いがあります。
対して、浄土真宗では、遺骨を取り出す前の法要を「遷仏法要」と言います。
墓石を礼拝の対象からただの石に戻すという意味合いは変わりませんが、浄土真宗の場合は霊魂の考えがないため、呼び方が変わります。

永代供養とは何か

永代供養とは、故人の承継者や縁者がいなくとも、お寺が供養をしてくれることを言います。
永代供養墓は、永代供養をしてもらえるお墓のことです。

永代供養墓の種類は、合祀墓、樹木葬、納骨堂など、様々です。

永代供養墓について、詳しくはこちらをご覧ください。
参考:永代供養墓の種類と選び方を徹底解説!跡継ぎがいない人必読

永代供養先の宗派によってお経が違う

永代供養墓は、お寺の境内にある場合でも、宗教・宗派不問で利用できることがあります。
また、民間の会社が管理する民営霊園内の永代供養墓の場合は、ほとんどの場合で宗教不問で利用できます。

永代供養の具体的な内容は、年に1~3回ある合同法要での読経を指す場合が多いです。
宗教不問で利用できるといっても、お経は経営主体となっているお寺の宗派によって異なります。
自分のなじみがあるお経をあげてもらいたい場合は注意が必要です。

お経で唱えられる主な宗派ごとの唱名は以下の通りです。

  • 浄土真宗・浄土宗・天台宗・時宗:「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」
  • 真言宗:「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」
  • 臨済宗・曹洞宗:「南釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」
  • 日蓮宗:「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」

墓じまいが増えている理由

墓じまいの件数は年々増加しています。
墓じまいのことを行政手続き上は「改葬」と言いますが、2017年の改葬件数は10万件を突破しました(厳密には、改葬先が「散骨」などである場合、墓じまいでも統計には含まれない場合があります。)。

改葬件数の推移グラフ

参考:e-Stat 政府統計の総合窓口

墓じまいが増えている背景には、以下のような理由が考えられます。

少子高齢化と核家族化

墓じまいの増加の背景として挙げられるのが、少子高齢化核家族化です。
今までは、お墓は本家が代々引き継いでいくという制度がとられていました。
ほとんどの場合は、長男から長男へ、何代にもわたって引き継いでいきます。

しかし、少子高齢化が進む現代では、子供がいない夫婦、あるいは娘しかいない夫婦も珍しくありません
加えて、核家族化も進んでいます。昔のように親子がずっと同居するのではなく、子供は結婚などを機に実家を出て、新たな家庭を築くということが一般的になっています。
子どもがいたとしても実家やお墓から遠方に住む可能性があり、必ずしもお墓の管理をしていける訳ではありません。

こうした背景から、跡継ぎがいない、あるいは管理が難しいお墓が増えたため、墓じまいも増えていると考えられます。

価値観の多様化

個人主義化が進む現代では、物事の価値観も多様化しています。
お墓の価値観も同様に変わりつつあり、「お墓は必ず代々守っていかなければならない」ものではなくなってきました。
すでに家墓を持っている人からも「お墓のお世話や維持費を子供に負担してもらうのは申し訳ない」という声も聞かれます。

実際、お墓の種類自体も多様化しており、継承を前提としない「永代供養墓」も増えています。
例えば、樹木葬や合祀墓は継承を前提としないお墓です。納骨堂もほとんどの場合で永代供養がついています。

「継承しないお墓」が一般的になる中、「お墓は代々守っていくもの」という意識も希薄化し、墓じまいに踏み切る人が増えていると考えられます。

まとめ

墓じまいとは、今あるお墓を撤去し墓地を更地にして返還することです。
墓じまいをすると必然的に遺骨を他の所で供養することになります。

墓じまいにかかる費用は、墓石の解体工事だけで20~30万円程度です。
加えて、遺骨を供養するためにの費用が掛かります。
合祀など安価な方法を選べば1霊1~5万くらいで供養できますが、新たに墓石のお墓を近くに持つ場合は、それだけで100-250万円かかります。
この他、お墓の立地や面積、遺骨の数などによって費用は変わりますので、それぞれにかかる費用の相場を参照してください。

墓じまいをする前に親戚には前もって相談しておきましょう。
お墓がお寺にある場合は、お寺への相談も重要です。

費用や今後のことを考えて、納得できる形でお墓の管理を決めましょう。

【ご協力:監修者情報】
港石材平野様
株式会社港石材
平野勝也

●株式会社港石材
HP:https://minatosekizai.com/
住所:神奈川県横浜市中区南仲通3-35
加盟団体:全国石製品協同組合

首都圏を中心に、墓石の設計・施工や墓じまいの工事、墓石のクリーニングや戒名彫刻を承ります。

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