お墓の権利を解説!所有権は誰のもの?売買・譲渡はダメ?

  • 投稿日:2019/06/14
  • 更新日:2021/11/30
お墓の権利を解説!所有権は誰のもの?売買・譲渡はダメ?

これからお墓を建てようかなと考え始めたときに、

「お墓を購入するのに必要な永代使用権って何?」

「お墓を建てて、跡継ぎがいないときはどうなるの?」

「お墓の権利は譲れるの?」

など、お墓にまつわる権利やその権利の扱いについてこのような疑問や不安があるのではないでしょうか。

そこで、今回は、お墓の購入に必要な永代使用権、永代使用権の承継や放棄、譲渡や売買など、お墓にまつわる権利についてみていきます。

所有権と使用権:お墓の土地は誰のもの

そもそもお墓を建てるには、土地が必要になりますが、お墓を建てる土地は不動産の売買のように土地そのものを買うということできません。

お墓を建てる土地は、墓地や霊園、寺院の所有者からその土地の使用権を取得して、お墓を建てているということになるのです。

ですので、お墓の土地は、お墓を建てた人のものではなく、墓地や霊園、寺院を所有している人のものになるのです。

お墓を建てるには、その土地の使用権、使用料が必要になるのですが、実際はどのようなものになるのか、それぞれについてみていきましょう。

永代使用権

永代使用権とは、お墓を建てる土地を家の代が続く限り使用する権利のことで、永代使用権を取得したからといって、その土地の所有権を取得したことにはなりません。

また、お墓の永代使用権は承継することができるので、親から子へと代々相続することができます。
永代使用権は祭祀財産にあたります。祭祀財産には、お墓のほか仏具、仏壇、位牌、系譜など祭祀に関わるものが含まれます。
祭祀財産は一般的な相続財産とは区別され、相続税が発生しません。

ただ、永代使用権の譲渡は基本的に認められていないので、譲渡することはできないので注意してください。

また、墓じまいなどでお墓を無くしてしまうときは、永代使用権を返還することになります。
ただし、永代使用権を返還してもお金は戻ってくることはないので、返還するときは気をつけてください。

永代使用料

永代使用料とは、永代使用権の所得に支払うお金のことです。
永代使用料は、お墓を建てる土地の使用権を取得したとき、最初にまとめて払います。

永代使用料は区画や立地、霊園の種類によって相場に幅があります。

都心であれば1㎡前後の区画が最近は多く、永代使用料は50-100万円程度です。
ただし、少し郊外に行けば同じ広さでも20-30万程度で済むこともあります。
また、さらに地方に行くと4㎡で10万円ということもあり、永代使用料の相場は一概には言えません。
相場感を知るためには、お墓の購入を検討しているエリアの墓地をいくつか調べてみると良いでしょう。

墓地の譲渡・転貸し・売買

先述の通り、墓地の譲渡は原則できません。
これまでも説明した通り、墓地の永代使用権とは墓地自体の所有権ではなく、使用権にすぎないためです。
転貸しや売却も同様にできません。
譲渡や転貸し・売却については管理規約で定められており、万が一裁判で争ったとしても勝算は低いでしょう。

ただし、ごくまれに墓地の管理者側で永代使用権の売却を認めているところもあるようです。
沖縄などでは、墓地自体を利用者や石材店が所有しており、売買することも珍しくありません。
かなり珍しいケースですが、一度管理者に確認してもいいかもしれません。

承継する権利:お墓を継承するのは誰?

お墓を含む祭祀財産は、代々家の祭祀を主宰する人に引き継がれていきます。
祭祀承継者、つまりお墓の永代使用権を引き継いだ人は、お墓のメンテナンスやお墓の年間管理料など金銭的な負担も含めた管理の責任と権利も引き継ぐことになります。

祭祀財産を承継する祭祀主宰者は、口頭でも遺言書でも指名することができるのですが、基本的には一人しか指名できません。
これは、お墓は長男、位牌は次男、仏壇は三男、などのように祭祀財産を分割してしまうと、祭祀の管理が煩雑になるためです。
例えば、法要の際にそれぞれが持っている祭祀財産を持ち寄るということは、現実的には考えづらいでしょう。

お墓を承継する人

祭祀財産の承継者は、現在の祭祀主宰者の指名で決めることができます。
したがって、必ずしも長男が祭祀承継者になるわけではなく、次男や他の親戚、現実的ではありませんが全くの他人を承継者に指定することもできます。
指名は口頭でも遺言書でも構いません。

現在の祭祀主催者の指名が無ければ、承継者を誰にするかは慣習に従います。
慣習も明らかでない場合は、家庭裁判所が承継者を決定します。

このことは、民法第897で次のように規定されています。

第897条
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

参考:wikibooks 民法第897条

ただし、実際のところ、祭祀主宰者の指名がない場合は遺族の話し合いで決めることが多いようです。
現状では長男が承継者となるケースが多数ですが、長男に子供がいない、遠方に住んでいるなどの事情があれば、他の人に承継してもらっても良いでしょう。

お墓を承継したときの税金

お墓を含む祭祀財産は一般的な相続財産とは区別され、相続税はかかりません。

また、祭祀財産でもあるお墓を相続しても、行政上の手続きはなく、登記などの必要もありません。
ただし、お墓を承継した際は、墓地の管理者に申し出て手続きをする必要があります。
墓地を購入した時に発行される「永代使用許可書(墓地使用承諾書、使用権利書)」や旧名義人の戸籍謄本などの書類を用意して、手続きしましょう。

処分する権利:墓じまいは誰がする

お墓を承継する人がいないとき、永代使用権を放棄するときには、墓じまいをする必要があります。

墓じまいは、お墓の所有者、つまりお墓を承継した人がすることになります。

墓じまいには、さまざまな手続きや作業、そして高額な費用がかかり、これらの費用や手続きなどは、原則、自己負担になります。

墓じまいの流れ

墓じまいの大まかな流れは以下になります。

1.新しいお墓、納骨堂、樹木葬、散骨などの準備

2.墓地がある自治体の役所とお墓の管理者に届出
※新しいお墓や納骨堂に移す場合は改葬になるので、「改葬許可証」、「受入証明」、「埋葬証明」などの書類が必要
※散骨、自宅供養をする場合は改葬許可証は必要ないのですが、自宅供養などの場合はいずれまたどこかに納骨する場合があるので、改葬許可は取った方が無難です。

3.閉眼供養
お墓に僧侶を招いて、閉眼供養を行い、遺骨を取り出します

4.お墓の解体、撤去
石材店などにお墓の解体、撤去を依頼して、お墓があった場所を更地にします

5.新しいお墓、納骨堂への納骨、樹木葬、散骨

墓じまいの大まかな流れは以上になります。
お墓の撤去費用は1㎡あたり10万円が相場と言われています。ただし、機材が入れないなどの条件下では費用が高くなります。
新しいお墓の費用は、墓石を建てる一般墓なら150-300万円、合祀なら5-30万円/1体、樹木葬や納骨堂なら30-80万円程度が相場です。

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永代使用権が消滅する場合

永代使用権とは、「権利者の家の代が続く限り墓所を使用できる権利」のことを言います。
したがって、お墓の跡継者がいないときは、永代使用権は消滅します。

これまで、お墓を承継する人ははの家の長男が一般的でしたが、近年では少子化などの理由により、長男以外の家族が受け継ぐことも少なくありません。
ただ、墓苑、霊園によっては、承継するする人は「親族」に限るという規約があったり、寺院によっては承継者が女性の場合は拒否するということもあります。
女性が受け継いだ場合、結婚で苗字が変わる可能性が高く、お墓を守り続けることが難しいと考えられることがあるようです。

このように、お墓の承継者についても、墓地や霊園、寺院によってさまざまな条件があるので、事前にお墓の管理者に確認することも大切です。

永代使用権が消滅するとお墓はどうなる

お墓の跡継者がいないとき、お墓の永代使用権が消滅してしまうのですが、その後、お墓はどうなってしまうのでしょうか。

永代使用権が消滅すると、墓地管理者が所定の手続きを経た後、お墓を撤去して遺骨は墓地内の合祀墓や自治体の無縁塚に入れられます。
また、跡継ぎがいないとき以外にもお墓の永代使用権が消滅する場合があります。

規約違反で消滅する永代使用権

墓地や霊園、寺院には、管理者が定めた規約というものがあります。
これらの規約に違反した場合、永代使用権が消滅することがあります。

具体的には、以下の7点が代表的な例になります。

・使用の許可を受けてから連絡もなく、一定期間放置した場合
・使用の許可を受けた人の所在が不明になり、一定期間経過した場合
・使用の許可を受けた人が死亡して、一定期間が経過しても承継する人がいない場合
・規定された年数以上の間、管理料を納められなかった場合
・管理者に無断で永代使用権を譲渡または転貸した場合
・寺院墓地の場合、寺院の宗派以外の方法で法要や供養を行った場合
・寺院墓地の場合、使用の許可を受けた人が他宗派、他宗教に改宗した場合

上記の具体例にある、「管理者に無断で永代使用権を譲渡または転貸した場合」は、発覚すると、即時、永代使用権が亡くなる可能性があるのですが、それ以外の理由の場合は、一定期間の経過後に永代使用権は消滅することになります。

その他の管理規約を破った際にも永代使用権が消滅する場合があるので、規約は守りましょう。

お墓の永代使用権が消滅する流れ

規約違反などにより永代使用権は消滅するのですが、規約違反が発覚したからといって、即時に永代使用権が消滅することはありません。

お墓の永代使用権が消滅する流れは以下のようになります。

・一定期間(約3~5年)、管理料が滞納、お墓の承継者と連絡が取れない場合

1.お墓の管理者は、永代使用権が消滅したと判断され、そのお墓は無縁墓(仮)という扱いになります

2.お墓の管理者は、役所の官報などに公示を行うとともに、お墓の敷地内に立札などを立てて、お墓の承継者または、親族に名乗り出るように注意喚起します

3.公示及び立札を建てたにも関わらず、約1年間経過しても申し出がない場合は、無縁墓、無縁仏とみなされます

4.遺骨は無縁仏として、無縁墓や合祀墓に移されますお墓は無縁墓として、お墓は撤去されます

このように、約4年から6年という期間を経て、お墓の永代使用権は消滅して、お墓が撤去され遺骨も無縁墓や合祀墓に移されていきます。

まとめ

ここまで、お墓の購入に必要な永代使用権、永代使用権の承継や放棄、譲渡や売買など、お墓にまつわる権利についてみてきました。

お墓には永代使用権という権利があって、基本的には代々子孫に受け継がれていくものですが、核家族化、少子高齢化などの諸事情により、お墓の権利を受け継ぐ環境は変わってきています。

お墓の権利を巡ってトラブルにならないように、これからお墓を購入しようと考えている方は、必ずお墓の管理規約などをきちんと確認するようにしてください。

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