民営霊園とは?特徴や注意点を解説!

民営霊園とは?特徴や注意点を解説!

墓地や霊園は、「どこが運営しているのか」によって、民営霊園、公営霊園、寺院墓地、共同墓地の4つに分けることができます。
この中でも、民営霊園は、購入にあたっての制限が少ないことや、区画や墓石のデザインの選択肢が多いこと、施設やサービスが充実していることなどから人気があります。

この記事では、民営霊園の特徴や注意点、他の墓地との違いについて詳しく解説します。

民営霊園とは

民営霊園とは、宗教法人や公益法人などが主体となり、公益事業を目的として造られる墓地です。
墓地の永続性などの観点から、霊園の経営は、厚労省の指導などにより宗教法人もしくは公益法人に限定されています。
ただし、経営する法人によっては、実際の管理運営を石材店などの別の会社に委託していることがあります。

寺院墓地も宗教法人によって管理・運営されていますが、宗教活動の一環であるため基本的に檀信徒でなければ使用することができません。
一方、民営霊園は公益事業として行われているため、宗教法人が経営する霊園でも宗教不問であるのが一般的です。

民営霊園の4つの特徴

民営霊園には4つの特徴があります。

1.宗教・宗派を問わず利用できるところが多い
2.宗教色が薄い
3.設備やサービスが充実していて便利
4.指定石材店がある

1.宗教・宗派を問わず利用できるところが多い

民営霊園は、ほとんどの場合において、購入にあたって宗教・宗派の指定がありません。
しかし、一部の民営霊園には「在来仏教」を信仰する方しか利用できないなどの条件あります。

在来仏教とは、一般的に「華厳宗」「法相宗」「律宗」「真言宗」「天台宗」「日蓮宗」「浄土宗」「浄土真宗」「融通念仏宗」「時宗」「曹洞宗」「臨済宗」「黄檗宗」の13の仏教の宗派を指します。
そういった制限がある場合は、自分の宗派が購入可能なのかを確認する必要があります。

2.宗教色が薄い

お寺の墓地には、大きな仏像が立っていたりと宗教色が強いところが多くあります。
しかし、民営霊園は宗教・宗派の縛りがなく利用できることもあり、宗教色が薄いのが特徴です。
園内に花木を植えて公園風のデザインにしているものや西洋彫刻のオブジェが配置されているものなど、霊園ごとに誰でも利用しやすいように工夫されています。

3.設備やサービスが充実していて便利

民間の業者が管理をしているので、以下のような設備やサービスが充実しています。

  • 最寄り駅と霊園間の送迎バス
  • お花やお線香の販売
  • 車イスや日傘の貸し出し
  • エレベーターやスロープ

4.指定石材店制度がある

指定石材店制度とは、霊園で墓石工事ができる業者があらかじめ決められていることです。
民営霊園では、この指定石材店制度があることがほとんどです。
この制度があることによって、石材店を自由に選んだり、相見積もりを取ることはできません。

この制度をほとんどの民営霊園が採用しているのには理由があります。

霊園は、永続的な運営が保証されなければならないため、一般企業などの営利法人には運営の許可が出ません。
しかし、霊園を造るには多額の資金が必要になるため、宗教法人や公益法人だけでは賄えず、複数の石材店からの支援を受ける場合も多くあります。
そういったケースでは、支援をした石材店が指定石材店となります。

宗教法人は供養や祈りという分野での専門家であるため、霊園の管理や運営面で石材店の協力が必要になるという側面もあります。
また、ずさんな工事をされるなどのトラブルを回避するため、信頼ができる石材店に限定する目的もあるでしょう。

こういった理由があるため、墓石の購入は指定石材店に限定され、例外はほぼ認められません。
最近では、指定石材店制度がない民営霊園も出てきましたが、数は多くありません。

民営霊園に見学に行く際の注意点!

民営霊園に見学に行く際に、予約をせず直接現地へ行くと、霊園を訪れた時点で自動的に担当する石材店が決まってしまいます。
担当の石材店が決まると、それ以外の指定石材店に見積もりや工事を依頼することはできません。

ご自分でインターネットで指定石材店のホームページを調べ、石材店を検討しておくのも一つの手です。
見学の際に、案内所に石材店のチラシを持って行ったり、事前予約をしておけば、希望する指定石材店に見積もりをお願いすることができます。

民営霊園の費用相場

民営霊園の費用相場は、以下の通りです。

お墓の種類 費用相場
一般墓 130万円程度
永代供養墓 40万円程度
樹木葬 35万円程度
納骨堂 55万円程度

民営霊園で起こるトラブル

民営霊園の「指定石材店がある」という性質から思わぬトラブルに巻き込まれてしまうケースがあります。
どのようなケースなのかご紹介します。

指定業者に問題があっても他の業者に工事を依頼できない

指定石材店制度があるため、指定業者に問題があっても他の業者に工事を依頼することができません。
例えば、墓石の見積もり金額が相場より大幅に高くても、他の業者と相見積もりを取れません。
そういったトラブルに遭った場合は、霊園の管理事務所や霊園を運営している宗教法人・公益法人に相談しましょう。

民営霊園のメリット

民営霊園には以下のようなメリットがあります。

  • 購入資格の制限が緩やか
  • 区画や墓石のデザインを自由に選べる
  • 施設やサービスが充実しているところが多い

購入資格の制限が緩やか

国籍や宗教・宗旨を限定しない霊園が大半です(一部、宗教に制限のある霊園もある)。

また、公営霊園では一定以上の居住年数がなければ応募できないのに対し、そういった制限もありません。
遺骨の有無による制限もありません。

いつでも購入できる

民営霊園は区画が残っている限りいつでも購入が可能です。

また、公営霊園は人気が高いため、応募が多ければ抽選になり、希望の場所を選べないというケースもあります。民営霊園は先着順で好きな場所を選ぶことができます。

区画や墓石のデザインを自由に選べる

民営霊園では広い区画から1㎡以下の小さな区画まで、ニーズに応じてさまざまな区画が用意されているので、予算に合わせて選ぶことができます。

また、公営霊園や寺院墓地より墓石のデザインなどの制約が比較的少なく、好みのデザインのお墓を建てることができます。

施設やサービスが充実しているところが多い

法要施設や休憩所・売店などの施設が充実しています。新しい霊園では、バリアフリー設計などの配慮も行き届いています。法要・仏事等についての相談に乗ってくれるところも多いようです。

民営霊園のデメリット

民営霊園には以下のようなデメリットがあります。

  • 永代使用料・管理費などが割高
  • 指定石材店制度がある
  • 交通の便がよくない

永代使用料・管理費などが割高

市町村などが管理・運営する公営霊園に比べると、永代使用料・管理費などが割高になります。

ただし、充実した施設・サービスを維持するためのコストと考えれば、必ずしも割高とはいえないかもしれません。

指定石材店制度がある

多くの民営霊園では指名石材店制度があり、霊園で指定された石材店でなければ墓石を建立することができません。

また、チラシを持参して霊園見学に行くと、そのチラシを発行した石材店が担当となります。チラシなどを持たず、見学予約もせずに霊園を訪れた場合、指定石材店が持ち回りで担当を決めます。

担当が決まると、指定石材店であっても他の石材店に変えることはできないという取り決めのある霊園も多いようです。

交通の便がよくない

郊外の霊園では、交通の便がよくないところもあります。特に公共交通機関を使う場合、慎重に選ぶ必要があります。

民営霊園は規模や施設、交通の便など霊園によって大きく違います。必ず自分自身の目で確認し、比較検討して決めることが大切です。

民営霊園以外の運営形態

民営霊園以外の運営形態には、公営霊園、寺院墓地、共同墓地があります。

公営霊園とは

公営霊園とは、市区町村や東京都などの自治体が運営しているものです。

寺院墓地とは

寺院墓地とは、文字通りお寺が運営しているものです。
お寺の境内にあるような墓地が該当します。

共同墓地とは

共同墓地とは、地域で自然発生的に生まれたものや、個人あるいは地域の方の共有名義になっているものです。

民営霊園とその他の墓地の比較

民営霊園とその他の墓地はどのような点で異なるのでしょうか。
それぞれのポイントを押さえて自分に合った墓地を選びましょう。

民営霊園と公営霊園の比較

民営霊園は民間で運営しているため、倒産の可能性があるのに対し、公営霊園は自治体が運営しているため倒産の可能性がありません。
民家霊園の倒産は、稀に起こり得ます。
墓地の永続性に重きを置いているのであれば、公営霊園がおすすめです。

ただし、公営霊園の使用者は抽選で決まります。
お墓を建てるには、抽選に当たらなければいけません。

公営霊園は、倒産などのリスクが少ないことに加え、土地面積あたりの永代使用料が安いなどのメリットが大きく、人気があります。
そのため、区画が埋まっており、使用者が墓じまいをして空き区画ができたら、使用者を募集するところが多くあります。
新設された区画に関しても抽選が行われます。
抽選の倍率は非常に高く、何年も応募していても当たらない公営霊園もあります。

対して民営霊園は、区画が空いていれば先着順に購入することができるため、すぐにお墓を持つことができます。
また民営霊園の方が施設や設備が整っておりお参りしやすい面もあります。

民営霊園と寺院墓地の比較

民営霊園は、多くの場合宗教自由で寄付や檀家になる義務がありません。
寺院墓地の利用者は、運営するお寺と同じ宗派の人に限られることがあります。
また、寄付や檀家になる義務が発生することがあります。

民営霊園と共同墓地の比較

共同墓地は、具体的には村落など地域の共同体によって使用・管理・運営されていた墓地のため、業者によって管理されているわけではありません。
また、一般的に販売されることはないことが多く、今からお墓を探している方が利用することは少ないでしょう。

民営霊園は、専門の業者が管理を行うため、墓地がいつもきれいな状態に保たれます。

まとめ

民営霊園は、宗教法人や公益法人が運営する霊園です。

宗教・宗派問わず利用できる所が多く、宗教色が薄い特徴があります。
また、法人によっては、実際の管理運営を石材店などの別の会社に委託しており、設備やサービスが充実していて便利です。
一方、指定石材店があり、自由に石材店を選べないという特徴もあります。

民営霊園の見学に行く際は、事前に予約をすると、希望する業者に見積もりを依頼できます。
何もしないまま現地に行くと、担当する業者が自動的に決まってしまうので注意しましょう。

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