お墓の情報発信マガジン

お墓に関する知識・ニュースなどを発信

お墓のくぼみは何?水鉢・水受けの意味と使い方がわかる

水鉢のイメージ1

お墓の構造をじっくり見たことはありますか。

お墓は1つの石材でできているのではなく、いくつもの部材を組み合わせて構成されているのものです。
その中にはなぜこれがあるのかわからない、というものもあるでしょう。

その1つがお墓のメインである家名が彫刻された竿石の前に備えられた四角形の石材です。
それをじっくり観察すると、上部にはくぼみがあることも発見できるでしょう、このくぼみはいったい何なのでしょうか。

ここでは、そのくぼみの意味合いについて徹底解説します。

お墓のくぼみは何?水鉢とは

まず竿石の前に備えられいる四角形の石のくぼみは何なのでしょうか。

お墓のくぼみはいったい何?

実はその四角形の上部にくぼみが彫られている石材を水鉢と言います。

水鉢とはその名の通り、お墓に埋葬されている先祖や故人に水を供えるための器です。
一般的な水鉢の形は、四角形の石材の上部に楕円形のくぼみを彫って、竿石の両方に建っている花立の間に備えます。
くぼみの深さにルールはありませんが、だいたい数cmというものが一般的でしょう。

仏教の教えでは、先祖の霊魂は食べ物をとりません。
その代わりに線香の香りと、水が食べ物になります。
したがって水鉢に水を張って、先祖の霊に水を供えることは非常に重要なのです。

ですから、お墓の水鉢にはいつも水が張られていること、水鉢が汚れていないこと、そして常に新鮮な水が供えられていることが大変重要です。
また、水鉢に張られている水は、故人や先祖の霊がお墓に降りてきたときに、その姿が水鉢の水の表に映し出されるとも言われています。
その意味でも水は常に澄んでいる必要があるのです。

また構造としては、水鉢が花立と独立している場合と、花立と一体化している場合があります。
どちらも意味合いには変わりはありませんが、費用的に一体化しているものの方が多少安くなっています。

水鉢のへこんでいる部分を水受けと言いますが、この水受けに水を入れる際には、柄杓を使います。
ペットボトルに入った水を注ぐのはマナー違反です。
また水は水受けの1番上まで、なみなみと張ることが正しい作法です。

前回のお墓参りから日があいていると、水鉢にゴミが溜まっていたり、ひどい時には水受けに水こけがついいる場合があります。
そのまま水を張るとせっかくの新鮮な水が汚れてしまいますので、水を張る前にまず柄杓などを使って、水受けの中をきれいにしましょう。

ただし、このような水鉢を設けるお墓は仏教の中でも浄土真宗以外に限られます。
浄土真宗のお墓や神道、キリスト教のお墓には水鉢を設けません。
神道の場合は水は供えますが、それは水鉢ではなく、別の供物台というものを設置して、そこに器に入った水を食べ物と一緒に備えます。
浄土真宗の場合は、故人は亡くなった瞬間に阿弥陀如来の力によって極楽に行ってしまうので、水を供えなくても、十分に食べるものに恵まれているため、供えません。
またキリスト教ではそもそも故人の食べ物に水が含まれる、という考え方がありません。

なぜ水鉢に水を供えるのか

水鉢の水受けに水を供える理由についてもう少し詳しく解説しましょう。

お墓に供えるものは五供(「ごく」あるいは「ごくう」)と言って、5つのものから構成されています。
具体的には花、香、灯燭(とうしょく)、浄水、飲食(おんじき)です。

花は花立てに供えする花のことで、故人の魂を慰めます。
香は線香から漂う香りのことで故人の食べ物になります。
灯燭はろうそくの明かりで故人があの世からお墓に降りて来る時の道しるべになります。
そして浄水が清らかな水でやはり故人の食べ物になります。
最後に飲食とはいわゆる食べ物のことで、故人は食べ物は食べませんが故人に対する生きている人の供養の気持ちを示すために供えます。

五供のうちでも、故人の食べ物になる浄水と香りは常に絶やさないことが肝心です。
これが絶えてしまうと、せっかく極楽に成仏した故人の霊魂のお腹が減って、飢餓地獄に堕ちてしまうのです。

また水鉢をろうそく立てや香炉代わりに使うのもNGです。
なぜなら、ろうそくのろうが水受けに落ちると、その部分が墓石のシミになってしまい、掃除をしてもなかなか落とすことができなくなるからです。

さらに、水鉢を香炉の代わりにして、水ではなく線香を供える人もいます。
確かに水受けは横に広がった楕円形なので、線香を供える場所としては格好のところのようにも見えます。
しかし水受けに線香を供えると、清らかな水を供えるべき場所が線香の灰で汚れてしまいます。
その灰はなかなかすべてを除去することができません。

ですから水鉢の水受けには浄水だけを供えるようにしましょう。

水はコップや湯呑で供えてもいい?

墓地に行くと、中には水受けの上に湯飲みやペットボトルなどを置いているケースがあります。
おそらく水受けに浄水を張るよりはその方が清潔だという考えがあって行っているのでしょう。

しかし、本来であれば水受けの上に湯飲みなどの食器を置くことは好ましくありません。
なぜなら、お墓参りをしてその場に人がいる時には良いですが、帰ったあとにカラスや風によって、その食器やペットボトルが落下してしまうこともあり得るからです。
下に落ちた陶器は、墓石に当たって割れてしまいます。
そうなるとその掃除はお墓を管理している寺院や事務所の人が掃除をしなければなりません。
それは非常に迷惑なことです。

ですからお墓に浄水を供える場合には、必ず水鉢の水受けを使うようにしましょう。

水の代わりにお茶を供えてもいい?

お茶やお酒、コーヒーを供える場合は、水を供えた上であげてください。
浄水の代わりにお酒やコーヒーを供えることはNGです。
仏式のお供えは「五供」が基本であり、その中に浄水の一つです。水は必須のお供えです。

また、水以外の飲み物を供える際は、こぼさないように注意しましょう。
まして水以外のものを水受けに入れてはいけません。
こぼれたところがシミになったり、あるいはそこからカビが生えることがあります。
お供えはふたや包みを外した状態であげるのが作法ですが、扱いには注意しましょう。

水鉢の掃除の仕方は

水鉢の中でも水を張る水受けは常に清潔にしておく必要があります。
お墓参りをした時に、すでに水受けに水が入っていたとしても、それは前にお墓参りに来た人が供えたのではなく、雨が溜まっている場合も多いです。
特に秋の彼岸の時期は長雨が降るので、水受けが雨水でいっぱいになっている場合も多いでしょう。
雨水には細かいほこりがたくさん含まれているため、そのほこりによって水受けの中に赤い水あかが発生してしまうことも十分に考えられます。

お墓参りをした時には、必ず水受けの中をいったん空にして、内部についている水あかや汚れを落としましょう。
柔らかいブラシや布を持っていって、それで内部を磨きます。
あまり硬い素材のものを使うと、内部に細かい傷がつき、その傷に菌が入ってカビの原因になることもあるので気を付けましょう。
それでも水受けの中に落ちない汚れがある場合は、たわしのように硬い素材の洗浄器具を用いるしかありません。
しかしその場合も、内部を傷つけないように、優しくこすることが大切です。

1回の作業ですべての汚れを落とすのではなく、何回も繰り返して徐々に汚れを落として行きましょう。

水鉢がないお墓もある?

先ほど書いたように、お墓の中には水鉢がないものもあります。

まず、神道のお墓には水鉢はありません。
浄水は食べ物などと一緒に八足台に供えます。
なお、神道では香りが故人の食べ物になると言う考えもないので、線香も供えません。

また浄土真宗の場合も浄水は供えないため、水鉢はありません。
浄土真宗の教えでは、人は亡くなった瞬間に阿弥陀如来が迎えに来て、そのまま極楽浄土に導いてくれるとされています。
極楽浄土はすべてのものが備わっているユートピアなので、改めて生きている人間が何かを供える必要はありません。
したがって故人の食べ物ととなる浄水は不要なのです。

次に、キリスト教のお墓も水鉢を設けません。
キリスト教では水をお供えしません。

また、これらのような宗教に関係なく、デザインの関係上水鉢がないお墓もあります。
最近は自由なデザインの墓石であるデザイン墓が増えています。
そもそも水鉢を設けるのは仏教独自の習慣なので、宗教にこだわりが無ければ設計の過程であえて水鉢を入れる必要もありません。

まとめ

普段見落としがちな水鉢にも実は深い意味があったということがお分かりいただけたでしょうか。
清らかな水はお墓に眠っている先祖や故人にとって大切な食べ物です。
ですから水鉢をしっかりと洗って、常にきれいな水を供えてあげるようにしましょう。