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お墓の家紋はなぜ入れる?必要性と分からないときの対処法

墓地に行ってほかの家のお墓をしっかり観察したことがありますか?

すると墓石の「○○家之墓」という文字が彫ってある上部に家紋が彫ってあることに気づくでしょう。
果たしてこ家紋を入れる上ではルールがあるのでしょうか。

あるいは何かの考えがあって、あえて家紋を入れないということは許されるのでしょうか。
ここではそのようなお墓に家紋を入れる上でのあれこれをご紹介します。

お墓に家紋はなぜ入れる?家紋の必要性

まず1番気になる、お墓に家紋を入れるのは必須なのかどうかということについてです。

家紋とは何のこと?

そもそも「家紋」とは何を指すのかご存知ですか。
家紋とは自分の家の家系、血統、家柄、地位を表すために使われる、その一族の象徴となるマークのことです。
家紋は日本に5000種類以上あると言われます。

なぜこの家紋が使われるようになったかというと、歴史を紐解くと、そもそもは鎌倉時代に、都である京都から地方に移り住んだ武士の一族が、自分の一族はその土地に元から住んでいる部族とは違って、高貴な血を引いているのだということを示すために用いられました。

そのころ、武士の家系で由緒があるものと言えば、「源平藤橘(げんぺいとうきつ)」と言って、源氏、平氏、藤原氏、橘氏のうちのいずれかでしたが、その中でもどの系統に属するかを、家紋によって示したのです。

お墓に家紋を入れる理由は?

その家紋を墓石に彫るようになったのは江戸時代です。
もとは家紋は墓石には彫らず、合戦の際の旗印や着物、あるいは持ち物に入れることが一般的でした。
しかし江戸時代になって合戦がなくなると、自分の家の血統をなかなか周囲に示すことができません。
そこで、人の目に触れる場所ということで墓石にも家紋を彫るようになったのです。

時代的には1590年という江戸時代の初期のものが1番古いと言われています。

家紋の必要性

上記の通り、血統を示すためにお墓に家紋を彫るようになったという経緯があり、その必要が無ければ家紋も不要です。
墓石にとって必須の情報ではありません。 自分の家の血統をあえて示す必要がないと考える場合、あるいは家紋がわからない場合、調べても判明しない場合は、家紋を入れなくても問題ありません。

家紋の種類

家紋は日本全体で5000種類ありますが、全くのオリジナルというものはあまりありません。
そもそも家紋は血統を表すものなので、オリジナルで創造するのではなく、自分の家の本家の家紋を少しアレンジして作る、ということの方が多かったのです。

したがって5000種類ある家紋をその系統で分けると、片喰、木瓜、蔦、柏、桐、茗荷、沢瀉、橘、鷹の羽などの10種類にまとめることができます。
この10種類が即ち、日本の武士の系統のルーツだと言えるでしょう。

その10種類を大きく分類すると植物紋、動物紋、自然紋、建造物紋、器物紋、文様紋、文字紋などに分類することができます。
その中でも代表的なものを以下に挙げておきます。

桐、藤、蔦、梅など植物紋

1番多いのは、植物の葉などをモチーフにしている植物紋です。
日本は植物に恵まれているからか、それをモチーフにしているものが多く、中でも葉が落ちない長寿の植物を、縁起が良いから言って自分の家紋にしているケースが多いようです。

鷹の羽、鶴、雀、蝶などの動物紋

鷹や鶴などの動物類をモチーフにしている家紋もあります。
種類的には鳥は多く、四本足の動物はイノシシなどごくわずかです。

月、星、日、山、波、雲など自然紋

自然に起こる気象現象を家紋にしているケースです。
自然現象は神が起こすものなので、その自然現象の霊験を自分の家系は受けているということを示したのが最初です。

井桁、庵、石畳など建造物紋

生活していく上で身近にある建物などの部分を図案化した家紋もあります。
たとえば三井財閥では井戸の「井」の字を図案化しているように、自分の家名の中にある建物の部分を家紋にしているケースが多いです。

扇、矢、団扇、笠などの器物紋

生活する上で大切に扱われた農具や漁具、武器、生活用具、楽器を図案化した家紋もあります。
おそらくは、その道具を使った家系か、あるいはその道具を使うことが得意だった家系を象徴しているのでしょう。

巴、亀甲、七宝、菱、九曜などの文様紋

現代社会でもいろいろな場所で用いられている幾何学模様を家紋にしているケースもあります。
これも元はその文様のベースになっている器物を使うことが得意だった家系の場合と、2つの家系が協力して成り立っていることを示す巴紋のように、その文様に家のありようを象徴されている場合があります。

一文字、卍、上文字などの文字紋

家紋の名前の通り、漢字一文字を図案化している家紋です。
これもやはりその家系のルーツになっている家の名前を象徴してつけている場合が多いようです。

お墓の家紋はどのように入れる

このような家紋を墓石に彫る場合、どのようにしたらよいのでしょうか。

家紋を彫る位置

まず家紋を入れる位置と場所です。
家紋を墓石に彫る場合、一般的にその場所は「水鉢」という、凹んでいて水をそこに供える部材の正面に彫ります。
それ以外に墓石の上部の家名の上に彫っている場合もありますが、そもそもこの場所には仏を象徴した梵字を彫っていることが多かったので、家紋はそれに次ぐ意味合いとして水鉢の脇に彫っていたのです。

お墓の家紋を間違ってしまったら彫りなおせる?

墓石を発注する場合、念には念を入れる必要がありますが、それでも何らかの行き違いで間違った家紋が彫られていしまう場合もあり得ます。
そのような時に彫り直しは可能なのでしょうか。

結論から言えば、家紋は一族の名前のように深く掘ることはないので、彫り直しは十分に可能です。

ただし、まず墓石の家紋を彫っている部分を取り外す費用が必要です。
さらに彫ってある家紋を削り落とし、再度その周辺を磨き直しをして削ったことがわからないようにした上で改めて家紋を彫り直すことになるのでその費用も必要です。
以上の手間の費用としてだいたい1万~4万円程度かかります。

また、以上は石材店に支払う費用でしたが、墓石を動かす場合には、その墓石に祖先の霊が降りて来ることを一時的に停止させる必要があります。
このことを閉眼供養と言い、僧侶に読経してもらわなければなりません。
さらに削り直しが済んで墓石を戻した時にも開眼供養と言って読経が必要です。
どちらの場合も僧侶に対してはお布施を納めることになるので、その費用として3万~5万円は考えておきましょう。

複数の家族が埋葬されている場合は?

またあまり多くはありませんが、両家墓と言って1つのお墓に2軒以上の家の遺骨を埋葬している場合があります。
この場合、墓石に彫る家名は2つの家の家名を並列させますが、家紋はどうするのでしょうか? この場合は両家の家紋を2つとも彫る場合と、両家の家紋を合体させた新しい1つの家紋を彫る場合があります。

自分の家の家紋の調べ方!間違いがないようにするには?

お墓を新たに建立する場合、自分の家の家紋がわかっていればよいですが、わからない場合はどうしたらよいのでしょうか。

・本家の墓を確認する
まず大前提として家紋は本家のものと同じであることがほとんどです。
ですから家紋がわからない場合は、本家のお墓を見に行って、そこに彫られている家紋を使えばよいでしょう。

・配偶者の家紋を使う
本家の家紋が分からない場合は、配偶者の家の家紋を使うという方法もあります。

・同じ苗字の家の家紋を使う
さらに自分の家と値は繋がっていなくても、同じ苗字の家の家紋をそのまま使う場合もあります。
これも苗字が同じということは、先祖が同じという場合が多いですから、理になかった考え方だと言えるでしょう。

・寺院に確認する
また墓石に家紋が彫っていなくても、そのお墓のある寺院の過去帳に家紋が記録されている場合もあるので、寺院に言って確認させてもらってもよいでしょう。

・そもそも自分の家系が家紋を使っていない場合
またレアケースですが、そもそも家紋を用いていない家系の場合もあります。
それでも家紋を墓石に彫る必要がある時には、自分の好みの家紋を彫っても問題ありません。
そもそも家紋自体、あまり根拠があってつけられているものではなく、先祖がその時代の流行と自分の気分によってつけている場合が多いので、あまり神経質になる必要もないのです。
特に平安時代は家紋は貴族がつける場合が多かったので優雅で複雑なものが多く選ばれましたが、合戦が頻繁に行われる時代は、旗頭に入れて遠くから視認できるようにシンプルな家紋が選ばれるようになりました。
このように家紋はその時代のニーズを反映しているのものなのです。

さらに自分の家のオリジナルの家紋を創ることさえタブーではありません。
自分の好きなもの、自分の家の苗字などをデザイナーに依頼して図案化して家紋にしても何ら問題はないのです。

ただし自分の家のオリジナルの家紋を入れる場合、あるいは家紋がわからなくてほかの家の家紋を流用する場合は、前もって親族の了解を取ってください。
なぜなら親族の中には、家紋を一族のルーツを象徴するものだととらえている人がいる場合があるからです。
その考え方は間違いではありませんが、しかし一方でガチガチにその考えに縛られる必要もありません。
したがって親族間のトラブルを防ぐためには、前もって主だった親族にこのような家紋をつけることにすると伝えておいたほうが良いのです。

まとめ

家紋は日本にだけあるものではなく、外国でも紋章としてその家の血統とルーツを示すために用いられています。
現代では自分の家のルーツが誰であるかは昔よりも重要ではありませんが、しかし人によっては自分の家系を誇らしく見せるために重視している場合もあります。
そのような時には墓石に家紋を彫ることが必須になるので、以上のような方法で家紋を調べ、墓石を加工するのが良いでしょう。