沖縄のお墓はなぜ大きい?お墓の種類やお参りの作法!

  • 投稿日:2019/03/05
  • 更新日:2019/03/05
沖縄のお墓はなぜ大きい?お墓の種類やお参りの作法!

沖縄を旅行したりした場合に驚くことの1つが、沖縄のお墓があるのではないでしょうか。
コンクリート造りの家のようなものが立ち並ぶ様子を見て誰もが最初は用途がわからず、あとでそれがお墓だったと聞いてびっくりした、と言う経験はよくすることです。
なぜ沖縄のお墓はこのように大きいのでしょうか。ここではその秘密を解明します。

1.沖縄の墓の特徴

沖縄のお墓には大きいだけではない特徴があります。

1-1.沖縄のお墓の作りによる3つの種類

まず沖縄のお墓は大きさもさることならが3つの種類があることが特徴です。

1-1-1.女性の子宮を暗喩した亀甲墓

亀甲墓(きっこうばか)の亀甲とはその文字の通り、亀の甲羅です。亀甲墓はお墓の屋根が亀の甲羅のようになっています。
そして多くの場合は傾斜地に建っていて周囲を石垣で囲い、その前に宴会ができるスペースが確保されています。

なぜ亀甲墓がこのような形状かというと、沖縄の民俗的には亀甲墓は女性の子宮を暗喩しているからです。
お墓の入り口は産道になります。沖縄の考えには死と生は表裏一体というものがあるので、死ぬことはまた魂が子宮に還り、再度生まれてくるために準備することだとされています。

ですから遺体を子宮の中である亀甲墓に埋葬するのです。

1-1-2.伝統的な破風墓

破風墓(はふばか)はお墓の屋根が家のような形をしています。
今から150年前まで続いた琉球王国時代には破風墓は王室だけに許されていたものでしたが、琉球王国が明治初年に明治政府によって廃され、王国が日本に併合された「琉球始末」のときに、その禁令が解かれたため、一般庶民も造るようになりました。

1-1-3.簡便な掘り込み墓

また数は多くないのですが、白色凝灰岩をくり抜いた形の簡易は掘り込み墓もあります。
沖縄では「フィンチャー」と呼ばれています。

1-2.沖縄のお墓は大きい

この3種類の墓に共通する特徴は、冒頭でも書いたその大きさです。
琉球王国時代の決まり事では、お墓の大きさは庶民は36坪(118.8平方メートル)までで、士族は144坪(475.平方メートル)までとされていました。
まるで家のような大きさですが、このような決まりごとがあるほど、沖縄ではお墓を大きく作ることが一般的だったのです。

2.沖縄のお墓はなぜ特徴的なのか

なぜ沖縄のお墓には以上のような特徴があるのでしょうか。その理由は以下の通りです。

2-1.沖縄は風葬文化

沖縄の埋葬方法は伝統的に風葬です。
風葬とは遺体を火葬したりせず安置したままにし、自然に骨に還らせる埋葬方法です。
骨になった遺骨は洗浄して骨壺に入れます。このように遺体をそのままの形でお墓に納めるため、沖縄のお墓は大きいのです。

2-2.門中墓が作られていた

門中(もんちゅう)とは父方の直系血族が一族の長になっていく沖縄の制度です。現地の方言では「ムンチュー」と言います。
沖縄のお墓はこの門中の人たちを代々葬る門中墓なのです。多くの人を葬るために門柱墓には大きなスペースが確保されたわけです。

2-3.沖縄の気候に合わせた設計

沖縄の気候は雨期や台風の時期に強い風雨に見舞われることが特徴です。
その風雨に負けないようなお墓にする必要があったので、頑丈な土台と屋根が作られ、結果的に沖縄のお墓は大きく建造されるようになりました。
多くの沖縄のお墓がコンクリート造りであるのも、風雨に負けない建造物にするためです。

2-4.墓前で宴会をする

沖縄のお葬式では、納骨後にお墓の前で宴会をするのが通例です。
また季節の法要の時にもお墓の前で一族が集まって宴会を行います。
そのためお墓の前に広いスペースが設けられ、お墓も大きくなったのです。

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3.お墓参りの時期

沖縄のお墓参りの時期は本土のようにお盆やお彼岸ではなく、独自のタイミングがあります。

3-1.あの世の正月に当たる「十六日祭」

十六日(ジュウルクニチー)旧暦の1月16日に行われる沖縄のお墓参りです。新暦では2月12日に当たります。
この日はあの世の正月になるため、現世で生きている一族もお墓に集まってお祝いをします。

3-2.豊穣を祈る「清明祭」

旧暦の「清明」に当たる2月後半から3月前半、新暦では4月から5月前半に行われるのが清明祭(シーミー)です。
十六日はあの世のお正月なので法要的な意味合いがありましたが、清明祭は「春分」から、降水量が増えて稲が生育する「穀雨」の季節の間である「清明」の節気に豊穣を祈って行われる、お祝いの意味合いがあります。

3-3.墓じまいはこの時に行う「七夕」

七夕は本土と同じように「タナバタ」です。これは旧暦の7月7日のことで、あの世からこの世に祖霊が戻ってくるお盆のことです。
ですから戻ってきた祖霊をもてなすためにお墓の前で宴会をするのです。

また七夕は神の眼がこの世まで届かない「日無し」だとされています。沖縄ではお墓を開いてもよい日が限られていますが、そのうちの1つがこの日無しです。ですから日無しに当たる七夕に、改葬や墓じまい、あるいは埋葬するためお墓の前で法要が行われるのです。

4.お墓参りの方法

沖縄ではどのようにお墓参りをするのでしょうか。

4-1.沖縄のお参りは「宴会」

沖縄を法要の季節に旅行していると、あちこちで多くの人が集まって地面に座り、食事をしている風景を見て不思議に思った人も多いでしょう。

先ほどから書いているように、沖縄のお墓は祖霊がこの世に還ってくる場所です。
ですからお墓参りをするということは、その祖霊を酒食でもてなすことになるので、一族そろってお墓の前で宴会を行うことが通例なのです。

ですから沖縄では、お墓参りと言ったら何をさておいても、祖霊をもてなすために宴会をすることであり、法要時には宴会ができる用意をするわけです。

4-2.沖縄のお墓参りで必要な6つのアイテム

沖縄のお墓参りでは必ず持参しなければならない6つのアイテムがあります。

4-2-1.法要のセット「ビンシー」

ビンシーとは御願(ウガン)、すなわち拝礼をするための道具が入れられた木箱のことです。
ビンシーは大きさ22cm前後の木箱で、仏具店へ行くと必ず売っています。

内部は中央に盃を入れる場所、その両側にお酒を入れる場所があり、木で仕切られています。
そしてその前には洗ってあるお米と洗っていないお米を分けて入れるための仕切りが3つあります。

ビンシーは「あの世とこの世をつなげる実印」でもあり、ほかの家のものを借りることができません。ですからお墓参りにビンシーは用意できない場合は、同じ内容のものをそろえた「仮ビンシー」で対応する必要があります。

4-2-2.あの世のお金「ウチカビ」

ウチカビとは漢字で書くと「打ち紙」のことで、先ほど挙げた法要の時期には、スーパーマーケットに行くと目立つところに積まれて販売されています。
どのようなものかというと、茶色い紙に丸い印が刻印され、それが束になっています。

ウチカビはあの世で使えるお金のことで、法要時にはこれを燃やして煙にし、あの世に届けるのです。
それによってあの世で祖霊が不自由なく暮らせるようにするわけです。

4-2-3.ウチカビを燃やす「カニバーキ」

ウチカビはお金なので、燃やすのは多ければ多いほど良いと言われています。
紙を大量に燃やすのは地面の上では危ないので、専用の容器が用意されます。それがカニバーキです。
カニバーキは金属製のボールで、底に網を敷き、その上でウチカビを燃やします。
このウチカビに火箸も一緒に合わせた「ウチカビセット」がホームセンターなどで購入できます。

4-2-4.沖縄の線香「ヒラウコー」

ウチカビと同様に必須の御願用具がヒラウコーです。
ヒラウコーは漢字で書くと「平御香」のことで、本土では線香の役割を果たすアイテムのことです。

線香というと棒のようなものを思い出しますが、ヒラウコーは本土の線香とは異なり、平たい形状になっています。つまり数本の線香を並べてくっ付けたような板の形です。この板のようなヒラウコーを6本セットで扱い、それを「一平(ヒトヒラ)」と数えます。

ただしヒラウコーの焚き方は6本一緒ではなく、1人当たり半分の3本を焚きます。これは3が沖縄では調和を表した数字として重視されているからです。

また特に御願法要での進行役は二平に当たる12本を燃やします。これはヒラウコー12本で、12ヶ月の1年を指しています。

4-2-5.沖縄の法要ご飯「ウサンミ」

ウサンミとは法要の際に食べる料理のことです。
発祥は中国で「天、地、海」の食材を使った料理を正方形の重箱に詰めるのが基本です。

内容はカステラかまぼこ、紅白かまぼこ、揚げ豆腐、天ぷら、田芋、昆布、ごぼう、こんにゃく、皮付きの三枚肉の9品が必ず入ります。かまぼこの代わりに大根の煮つけや、白身魚の昆布巻き入れる場合もあります。

言ってみればウサンミは沖縄のお節料理に当たるもので、法要の季節にはスーパーマーケットに惣菜売り場などでも販売されています。

4-2-6.お墓に鎮座する伝統神「ヒジャイガミ」

ヒジャイガミはアイテムではありません。ヒジャイガミとは「左の神」のことで、土地神の1つです。
沖縄のお墓には、必ず中にヒジャイガミがいます。

法要の際には祖霊を祀る前に、墓の左側にいるヒジャイガミにお供えをして御願するのが作法です。
お参りをする場合は、参拝する側にとっては向かって右側になります。

ウサンミも祖霊に供えますが、まずその前にヒジャイガミに対して供え、祖霊にはそこから二切れずつ取り分けてお墓の中央に供えます。

ウサンミから二切れ取り分けると、その分が空いてしまいますが、その補充になるおかずも必ず持参します。これを「ウチジヘイジ」と言います。

5.まとめ

沖縄に旅行した時に見た、大きな沖縄のお墓の秘密が明らかになったのではないでしょうか。
沖縄は日本でも中国でもなく、独立した琉球王国として数百年続いてきました。ですから独特の民俗文化があり、それを反映したお墓や法要になっているのです。

ここでご紹介した知識をもとに、次回沖縄に旅行した際には、じっくりとお墓も観察してみましょう。