お墓の永代使用料って何?永代供養料や管理費との違い

お墓の永代使用料って何?永代供養料や管理費との違い

お墓のことを検討していると、永代使用料とか永代使用権という言葉にぶつかります。
かと思うと永代供養料という言葉も出て来ます。
これらは同じものなのでしょうか。そもそも永代使用料とはお墓の購入代金のことなのでしょうか。

今回の記事では、永代使用料とはどういったものなのかを解説していきます。

近くの墓地・霊園を探してみる >>

永代使用権とは何か

まず、永代使用料を知る上では、「永代使用権」について知っておく必要があります。
大まかに言って、永代使用料とは、「永代使用権」という権利を購入する費用であるためです。

それでは、永代使用権とはどういったものなのでしょうか。

「永代使用」の読み方は

「永代使用」は「えいたいしよう」または濁って「えいだいしよう」と読みます。

墓地は返還するもの

「永代」とは、その家の代が存続する限りという意味になります。
つまり、永代使用権は、跡継ぎがいる限りは墓地を使用できる権利のことです。

ここで注意しておきたいのは、永代使用権は墓地(土地)を「所有する」権利ではないということです。
あくまで「借りる」ことのできる権利なので、跡継ぎがいなくなった際には墓地は返還することになります。

あくまで墓地の管理者が所有している土地の一部を借りるという形になるため、使用が済んだり、あるいは何か問題があったら所有者に返還しなければなりません。
そういう意味では賃貸のマンションやアパートと同じです。

永代使用権の法的な根拠は?

永代使用権は、民法や「墓地、埋葬等に関する法律」通称「墓埋法」などの条文で規定されているような、明確な「権利」ではありません。
永代使用権はあくまで、墓地や霊園の管理者と墓地利用者との間で私的に交わされた契約によって規定されている権利なので、「基本的人権」などのように法的に保証された権利ではないのです。

このようなあいまいな永代使用権が誕生した最初のいきさつは、江戸時代にまでさかのぼります。
江戸幕府は、キリスト教を禁止するために「日本人は全てどこかの寺院に属する」という檀家制度を設けました。
これによって、檀家になった家に対して寺院が墓地のための土地を無償で貸し出す制度が始まりました。
これが起源となって、各檀家に代々墓を貸し続ける、という制度が生まれたのです。

この制度は、明治以降、公営霊園や民営霊園などができても踏襲され、霊園であっても墓地は「売らず」に「貸す」という方法で、墓地を提供するようになりました。

したがって、永代使用権はある日法律が施行されて生まれた権利ではないのですが、慣習として、法律の条文では規定せず、個人間の契約に任せているのです。

永代使用権は相続できるのか

賃貸と同じと考えると、個人間の契約なのだから相続ができないのではないかという懸念が生まれるかもしれません。
しかし、永代使用権は相続できます。
法律上は一般的な相続財産とは区別され、「祭祀財産」というものに分類されます。

祭祀財産にはお墓の他、仏壇や遺骨、位牌なども含まれます。
祭祀財産は、故人の指定または慣習、どちらもなければ家庭裁判所によって相続人が決められます。

なので、一般的にはその家の長男が相続する場合が多いのですが、故人の遺志や慣習によっては他の親族、あるいはまったくの他人がなることもあり得ます。
ただし霊園や寺院によっては、相続人の条件を設けている場合もあります。

なお、祭祀財産には相続税が課せられないため、お墓の相続にも税金はかかりません。

永代使用権は譲渡できるのか

永代使用権は相続できますが、ほかの財産のように他人に譲渡したり、貸したり、転売したりすることはできません。

ただし、墓地や霊園によっては、特別な事情がある限り、生前での名義人変更を認めている場合もあります。
転貸しや転売はできませんが、もし生前でお墓を引き継ぎたいと考えている場合は、墓地の管理者に相談してみても良いでしょう。

永代使用権は返還できるのか

永代使用権は寺院や霊園に返還することができます。
しかし、支払った永代使用料は戻ってきません。
なおかつ、お墓は更地にして返す必要があります。

永代使用料とは何か

それでは、永代使用料とは何なのでしょうか。

永代使用料は墓地の賃借料

永代使用料とは、永代使用権を購入する費用です。
つまり、家の跡継ぎがいる限り墓地を使用できる権利を購入するための費用です。

永代使用料は契約をした最初の時点で全額を支払うため、その土地を購入したような感覚になってしまいますが、これは誤りです。
単に土地を借りているだけなので、固定資産税などもかかりません。

永代使用料と永代供養料の違い

よく似ている言葉に、「永代供養料」があります。
永代使用料と永代供養料は別物なのでしょうか。

永代供養とは、家の跡継ぎが不在になった後も、墓地や霊園が存続する限り供養を続けてくれることを指します。
具体的には、お墓の手入れをしたり、お盆やお彼岸の合同法要などでお経をあげてくれます。

永代供養料は、管理者に永代供養をお願いするための費用です。
公営以外の納骨堂や樹木葬、合祀塔などのお墓などはほとんどの場合永代供養がついています。
そのため、「永代供養料」という言葉が出てくるのは納骨堂、樹木葬、合祀塔などの場合が多いです。
まれ屋外のお墓で永代供養がついているものもありますが、通常一般的なお墓で「永代供養料」という言葉を聞くことはありません。

なので、永代使用料と永代供養料は全く異なります。
永代使用料は使用権、永代供養料は供養をお願いする費用です。

ただし、多くの場合、納骨堂などの永代供養付きのお墓は、永代使用料と永代供養料をセット価格として販売されます。

永代使用料と管理料の違い

さらにお墓を持っていると、管理料というものも発生します。
これは何なのでしょうか。

管理料とは、墓地全体の維持、管理に必要な費用のことです。
賃貸マンションであれば、賃借料のほかに管理費を支払いますが、意味合いとしては同じことです。

管理料の用途は、参道の整備、緑地の管理、休憩所の清掃など共有部分の管理や、水回りのメンテナンスです。
したがって管理料を支払っているからお墓の掃除をしてくれるかというと、そうではありません。
個々のお墓の管理ではなく、墓地全体の管理に使用されます。

管理料はマンションの賃借料と同様に、基本的には毎年発生します。
寺院や霊園によっては3年、5年単位で前払いをするところもあります。
この管理料の支払いが滞って、お墓の相続人が規定年数以上不在になると、永代使用権は剥奪され、そこに埋葬されていた遺骨は無縁墓として整理されてしまいます。

管理料の相場は、地域、墓域の区画面積、寺院の格付けなどによっても異なりますが、おおむね下記のようになります。

・寺院:年間10,000~20,000円
・民営:年間4,000~1万円
・公営:年間1,000~4,000円

また、ごくたまに「永代管理料」という言葉が出てくることがあります。
これは、墓地の購入時に一括して納めれば、その後管理料は不要になるという制度です。

永代使用料には消費税がかかるの?

仮に永代使用料が100万円と示されていた場合、そこに消費税が課せられるのかどうかで、支払総額はかなり変わってきます。
しかし永代使用料には消費税は課税されません。
課税されるのは「墓石の工事費」と「管理料」だけです。

永代使用料の相場

では永代使用料の相場はどのようになっているのでしょうか。

相場はエリアで違う

永代使用料も管理費と同様に大きく上下します。
相場はエリアや条件によってかなり異なってきます。

大きく言えば人口が密集する都心では高く、密集していない地方では安くなります。

例えば、東京都心のアクセス至便なお寺などでは、0.6㎡程度の区画で100万円以上かかることも珍しくありません。
東京都心でも、民営霊園の場合はお寺に比べるとやや安くなる傾向にあり、100万円を切る区画から用意されています。
公営霊園も面積あたりの永代使用料が安くなる傾向にありますが、都立霊園は別格で、青山霊園などでは1.5㎡で400万円以上します。

それでは、地方はどうでしょうか。
人口が密集していないエリアほど永代使用料は安くなり、また、1区画も大きくなる傾向にあります。
墓地も公営のものが多く、1㎡あたり10万円を切ることも多々あります。
民営霊園や寺院墓地の場合でも、1㎡あたり10-30万円程度が相場です。

なぜ永代使用料は墓地によって違うのか

このように墓所によって大きく上下します。
その要因について、詳しく解説していきます。

区画の広さが違う

墓地の永代使用料に大きく影響する1つの要素は、その墓域の区画の大きさです。
やはり広い方墓域の方が、狭い墓域よりも高額になります。
そういう意味では、住宅を購入する場合の土地代の考え方と同様です。

地価や立地が違う

またやはり住宅購入時の土地代と同様なのは、永代使用料も地価や立地条件に左右されるという点です。
特に、駅から近い、都心にある、などのアクセスの良い場所の墓地や霊園の永代使用料は高額になりがちです。

さらには同じ霊園や寺院霊園の中でも、入り口から近い、あるいは日当たりの良いなどの墓域の立地条件によっても永代使用料は上下します。

墓地の設備が違う

特に霊園の場合は、駐車場が広い、トイレや休憩所が整備されている、葬儀場会場などの設備が充実しているなどの設備がよいところは永代使用料も高額になる傾向があります。

寺格によっても異なる

寺院霊園の場合は、その寺の格付け、つまり寺格によっても永代使用料が上下します。
その宗派の本山などのメジャーな寺院の場合は永代使用料が高くなり、末寺の場合は安くなります。

墓地や霊園の種類によっても違う

墓地や霊園は、「寺院墓地」「民営霊園」「公営霊園」の3つに分かれます。
このうち1番安いのは自治体が運営する公営霊園です。
民営墓地と寺院墓地はその条件と個々の物件によって、どちらが高いかは一概に言えません

永代使用料の納め方

永代使用料はいつどのように支払うものなのでしょうか。
また永代使用料はどのような形を整えて支払ったらよいのでしょうか。
普通にものを買う時のように、財布からお金を出して支払えばよいのでしょうか。

永代使用料とは毎年支払うもの?

永代使用料は契約時点に1回だけ支払う費用です。
毎年支払うのは管理料です。

封筒などの袋に入れて納めるもの?

永代使用料は特に支払先が寺院の場合は、お札などを裸で支払うのは礼を失しています。
その際には、お金を白無地の封筒に入れ、表書きに永代使用料と書くか、またはお布施としてそのわきに永代使用料と添え書きをするかのどちらかをして、支払います。

表書きの下に自分の名前と、封筒の裏に金額を書くことも忘れないようにしましょう。

また表書きは薄墨ではなく、普通の墨色です。

まとめ

永代使用料は、永代使用権を買う費用です。
永代使用権は、土地を所有する権利ではなく、あくまで借りる権利です。
永代使用料を支払っても、墓地を転貸し・転売することはできません。
また、墓地を返還したからと言っても、永代使用料は戻ってきません。

なお、お墓を買うときには、永代使用料とは他に墓石工事代金も必要になります。
墓石の費用も念頭に置いて、墓地を選びましょう。

墓地や霊園をお探しですか?

お墓さがしでは、全国の墓地や霊園をご案内しています。
ご希望のエリアや条件に絞ってお探しできるので、ご自分の条件にあるお墓にはどんなものがあるか、一度チェックしてみましょう。

近くの墓地・霊園を探してみる >>