遺骨は飛行機に持ち込んでもいい?機内持ち込みの注意点

単身赴任の地や出張先で家族が亡くなった場合、遺体を飛行機で運ぶことには大変煩雑な手続きが必要です。このようなケースでは、現地で火葬し、ご遺骨を持ち帰って納骨することも多いようです。
あるいは、自分の好きな海などで散骨してほしいという遺言がある場合も、遺骨を海まで移動しなければなりません。
いずれの場合でも、それが遠方でのことならば、遺骨を飛行機で運ぶことになるでしょう。
果たしてそのことは可能なのでしょうか。
可能だとしても、一般の人が申し込めるような簡便な手続きでできることなのでしょうか。
そこでこここでは遺骨を飛行機で運ぶことはできるのか、その時に何か条件があるのか、という点について解説します。
目次
遺骨は飛行機に持ち込むことはできる?
最初に遺骨を飛行機に持ち込むことができるのかどうか、という点を航空会社別に見ていきましょう。
まず骨壺のサイズの確認を
その際に、仮に原則として遺骨を持ち込めた場合でも、骨壺あるいは骨箱は「機内持ち込み手回り品」になりますから、既定のサイズに収まっているかが大きなポイントになります。ですからまずは機内持ち込みをしたい骨壺のサイズを確認しましょう。
骨壺のサイズは9種類
骨壺のサイズは、関東では大きく、関西では小さくなっていますが、サイズの種類としては9つもあります。
具体的には以下のようなサイズがあります。
・2寸=6.6cm
・2.3寸=7.6cm
・3寸=9.9cm
・4寸=13.2cm
・5寸=16.5cm
・6寸=19.8cm
・7寸=23.1cm
・8寸=26.4cm
一般的なサイズは7寸
このうち、身長180cm未満の男女の場合遺骨はだいたい7寸のサイズの骨壺にちょうど納まる程度になります。
ただしこれは全ての遺骨を骨壺に収骨する関東エリアの場合です。
西日本の骨壺は小さい
これに対して関西の場合は、火葬した遺骨のすべてを収骨せず、足、腰、胸、腕、喉仏、頭だけを収骨します。
ですから遺骨の量は関西の半分以下になるため、骨壺のサイズも一般的には3~5寸です。
この直径、つまり幅23.1cmまたは9.8cm~16.5cmの骨壺が機内に持ち込めるかどうかを航空会社別に見ていきましょう。
ANAの規定
それでは、ANA(全日空)の規定で遺骨の持ち込みはできるのでしょうか。
機内持ち込みはOK
ANAでは遺骨は機内に持ち込めると明示されています。
ただし、急な揺れに備えたり、乗客の安全性を確保するために、骨壺の遺骨の大きさによっては座席上の収納棚への収納を依頼される場合もあります。
その急な揺れに備えるというタイミングは、主に離着陸の場合ですから、ベルト着用サインが出ている間は、骨壺を収納棚に納めることになるでしょう。
また仮に自分の座席の隣の席が空席の場合でも、そこの骨壺を置いておくことはNGです。
置きたい場合は、別途1人分の座席予約が必要になります。
参考:ANA よくあるご質問
大きさの制限に注意
ANAでは機内持ち込み荷物には条件があります。
・総重量:10kg以内
・サイズ:客席が100席以上の機体の場合は、縦55cm×横40cm×高さ25cm以内。100席未満の機体の場合は縦40cm×横35cm×高さ20cm以内
・身の回りの品の他、手の持つ1個まで
したがって、大きな骨壺の場合はこれに抵触してしまう可能性があります。
その場合は遺骨を2つの骨壺に分けるしかないでしょう。
また機内持ち込みは小さなバッグなどを除いて、1人1個です。
したがって、1人で飛行機に乗る場合は、ほかのキャリーバッグなどは預ける必要があるでしょう。
預けることは推奨されていない
では逆に骨壺を預けてしまうとどうでしょうか。
しかしこれも、遺骨は例示されていませんが、貴重品や形見などのは預けられないとなっていますから、おそらく遺骨も受け入れてもらえないでしょう。
そして仮に預けられても、何らかの事故で欠損が出た場合、その責任は負わないとしていますから、やはり預けない方が無難です。
JALの規定
次にJAL(日本航空)の場合はどうでしょうか。
機内持ち込みはOK
JALもANAと同様に遺骨の機内持ち込みはOKです。
参考:JAL Q&A詳細
さらにJALの場合はより丁寧で、予約時に遺骨をもって搭乗する旨を伝えれば、それが予約記録に記載されますから、機内に入った段階でも客室乗務員の方から、遺骨の扱いについて案内してくれるでしょう。
空港の手荷物検査ゲートにもその旨を伝えてくれますから、他の航空会社では遺骨も一般の手荷物のようにベルトコンベアに載せてX線検査を受ける必要がありますが、JALでは遺骨を抱えたままゲートをくぐれます。
また、離着陸などの際のベルト着用サイン点灯時は、非常口以外の席なら、収納棚に入れなくても、自分の膝の上に置いておけばOKです。
さらにベルト着用サインが消えていて、自分の隣の席が空いていれば、そこに骨壷を置いておいてもOKです。
これらの点からANAに比べてJALの方が遺骨を飛行機で運ぶうえではより融通が効いて、丁寧だということは言えそうです。
大きさの規定
またJALにおいても機内持ち込みの場合は、その大きさには以下のように制限があります。
・合計重量10kg以内
・上限1個まで
・サイズ:客席が100席以上の機体の場合は、縦55cm×横40cm×高さ25cm以内。100席未満の機体の場合は縦40cm×横35cm×高さ20cm以内
しかしJALの場合、仮には以上のサイズを超過している場合でも、特別旅客料金を支払えば機内持ち込みが可能です。ここもANAとは違う点です。
特別旅客料金は11,300円ですから、予約時に申し出ましょう。
遺骨は機内持ち込みを推奨
ただしJALの場合も、遺骨は預けるのではなく、貴重品として機内持ち込みをすることを推奨されています。
スカイマークの規定
では格安航空会社のスカイマークではどうでしょうか。
スカイマークも機内持ち込みは可能
スカイマークでも基本的には遺骨の機内持ち込みは可能です。
安定した容器に収納し、風呂敷や袋に包みます。
スカイマークでも貴重品を預けた場合のトラブルには責任を負わないしているので、遺骨は機内持ち込みをした方がよいでしょう。
大きさの規定
持ち込める手荷物は以下のように規制されています。
・重量10㎏以内
・1人1個
・サイズは縦55cm×横40cm×高さ25cmまで
バニラ・エアの規定
同様に、格安空港であるバニラ・エアはどうでしょうか。
機内持ち込みはOK
バニラ・エアも、遺骨の機内持ち込みは可能としています。
安定した容器に収納し、風呂敷や袋に包みます。
大きさの規定
手荷物の大きさは以下のようになります。
・重量7㎏以内
・手荷物1個+身の回りの品1個の合計2個まで
・サイズは縦40cm×横25cm×高さ55cm以内かつ、三辺の合計が115cm以内
FDAの規定
FDA(フジドリームズエアライン)は、静岡空港を拠点とした地域の空港会社です。
遺骨の持ち込みは可能でしょうか。
機内持ち込みはOK
FDAも遺骨持ち込みは可能です。
保安検査の際に、係員に遺骨であることを申し出てください。
大きさの規定
FDAの機内持ち込みができる手荷物のサイズは、以下のようになっています。
・重量10㎏以内
・身の回りの品1個の他、手荷物1個まで
・サイズは縦45cm×横20cm×高さ35cm以内かつ、三辺の合計が100cm以内
ジェットスターなどその他の航空会社
その他の航空会社は、遺骨の持ち込みについての規定を確認することができませんでした。
他の航空会社を利用したい場合は、チケットを買ってしまう前に、直接会社に問い合わせて確認しましょう。
遺骨の機内持ち込みの際の注意点
遺骨を機内に持ち込む場合は、以下の通り、ほかにも注意点があります。
遺骨は手荷物として持ち込める大きさか
前述のとおり、機内持ち込みができる荷物の大きさの上限は、各社で制限がかけられています。
持ち込めるサイズは、最大でもANAやJALの100席以上の機体で、55cm × 40cm × 25cm以内となっています。
対して、関東で一般的な骨壺のサイズは、直径約23cm、高さ25.5smです。
さらに、骨箱に入れると幅と奥行きがそれぞれ24cm、高さは約28cmです。
加えて風呂敷やカバンに入れることを考えると、それ以上の幅を見なければなりません。
これを考えると、7寸壺を機内に持ち込むのは難しそうです。
7寸壺をそのまま持ち込む際は、JALの特別旅客料金で持ち込むことなどを検討した方が良さそうです。
遺骨であることの証明書を用意しておく
遺骨であっても安全確保のために、持ち込み荷物確認の保安ゲートを通る必要があります。
万が一保安検査で反応が出た場合には手荷物を検査されますが、その際には証明書を持参して、遺骨であることを証明できるようにしましょう。
証明書とは以下のいずれかになります。
・埋葬証明書
・火葬証明書
・死亡証明書
X線検査が通りやすい骨壺に
手持ちにするか、ほかの荷物と一緒にベルトコンベアに載せるかは別にして、遺骨もX線検査を受けます。
その際に、骨壺の材質が金属製の場合は、内容物が確認できないので、やはり中を見せるように言われる可能性もあります。
それを避けるためには、骨壺または骨箱はX線を通す木製やプラスチック製のものにしておきましょう。
機内での扱いは客室乗務員に確認を
遺骨の扱いは人間の尊厳にもかかわることなので、各航空会社とも非常にナイーブになっています。
ですから、公式サイトなどではNGになっていることでも、実際には社内マニュアルとしてOKになっているものもあるのです。
たとえば骨壺は収納棚に入れるか、常に膝の上に載せていなければならない規定になっている場合でも、現実には隣の席が空いていればそこにおいても黙認されるという事例もあるようです。
また収納棚への格納の仕方も、骨壷が動かないように他の荷物で挟むなどの工夫が必要です。
これらの判断は全て客室乗務員がすることです。
ですから、機内に入ったらまず客室乗務員に遺骨を持参しているがどうしたらよいかを確認し、その指示に従うようにしましょう。
周囲の同乗客への配慮が必要
骨壺は自分にとっては大切な家族の遺骨が入っているものでも、他の乗客には不快に思われる場合もあります。
機内へ遺骨を持ち込む際は、骨壺と分からないように風呂敷や専用のバッグに入れて、周囲に配慮することが必要です。
遺骨の海外輸送はどうやってする?
以上は基本的に国内線で遺骨を運ぶ場合の話でしたが、国際線の場合はどうなのでしょうか。
遺骨を日本から海外に持っていく場合
まず海外で散骨するなどのために、遺骨を日本から海外へ飛行機内に載せて運ぶ場合です。
まず機内持ち込みの規定に関しては、その航空会社の国内での場合と同じです。
また日本からの出国に関しても特別な手続きは不要ですが、相手国への遺骨の持ち込みに関しては、それぞれの国での特有の手続きが必要です。
たとえばアメリカの場合は、大使館や領事館が発行した英文の死亡診断書が必要です。
フィリピンの場合は、フィリピンの外務省が発行した死亡診断書の記載事項証明書と日本の外務省が発行した火葬許可証が必要です。
このように、遺骨を持ち込む国によって手続きは全て異なるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
海外で火葬した遺骨を日本に持ち込む場合
逆に海外で火葬した遺骨を日本に持ち込む場合はどうなのでしょうか。
その際には日本での入国審査に関しては、明らかに遺骨を持っていることが分かれば特に証明書などは不要です。
しかし、相手国の出国審査においては、遺骨を納めた骨壺や骨箱の中身が遺骨だけであることを証明する遺骨証明の提示が必要になります。
海外から持ち込んだ遺骨を日本で納骨をする場合
さらに海外で火葬した遺骨を日本で納骨する場合には「改葬許可申請」が必要になります。それは火葬を行った海外の地の自治体が発行するものです。
また、日本の納骨する場所の自治体によっては、相手国発行の「受入証明書、死亡証明書、火葬証明書、戸籍謄本、死亡証明書、火葬証明書」を日本語に翻訳したものが必要になることもあります。
遺骨専用のバッグや風呂敷の紹介
遺骨を運ぶにあたっては、何を使うのでしょうか。
大抵の場合風呂敷は思い当たるのではないかと思いますが、実は遺骨専用のバッグというものもあります。
最後に遺骨を機内に持ち込む場合に使用する、遺骨専用バッグや風呂敷をいくつか紹介しましょう。
遺骨専用バッグ
ネットショップでは、比較的Amazonが多く取り扱っているようです。
例えば、肩にかけられる頑丈なショルダーの付いた専用バッグなどが扱われています。
それでいて材質はポリエステルなので、総重量は思った以上に軽いです。
サイズは高さ27cm×幅30cm×マチ30cmで10㎏まで耐えられますから、8寸までの骨壺であれば十分に収納可能でしょう。
この他、楽天でも手提げの遺骨専用バッグが扱われています。
参考;楽天 骨壺 手提げ
遺骨を包む風呂敷
遺骨専用の風呂敷というものは実はありません。
ただし遺骨を包むのにふさわしい風呂敷は以下の条件に合致するものとして存在します。
サイズ:7寸の骨壷を包むのであれば、三巾と言われる、一辺105cmの風呂敷が適切です。
それよりも大きな骨壺の場合は、一辺が130cmの四巾の風呂敷にしましょう。
色は無難なところでは紫、紺、グレーなどですが、これは故人が好きだった色や花柄が入ったものでもOKです。
風呂敷の生地は「正絹」「ポリエステル」「綿」などになりますが、自分が遺骨を運ぶためだけのものですから、シワになりにくく、耐水性もあるポリエステルがよいでしょう。
風呂敷は意外と打っているこ所が多く、和装品店や呉服屋から、100円ショップに至るまで扱っています。
この他、スーパーやデパート、Loftやハンズなどのバラエティショップや無印良品などでも置いています。
また、通販で種類も豊富に扱っています。
Amazonや楽天などのネットショップで購入しても良いでしょう。
まとめ
遺骨を飛行機で運ぶような経験は人生において2回も3回もありませんから、誰でもどのようにして行ったらよいのか戸惑うでしょう。
遺骨を機内に持ち込む際は、航空会社の遺骨の持ち込みに関する規定を確認しましょう。
また、骨壺のサイズが、各航空会社で定められた手荷物のサイズを超過していないかも注意が必要です。
搭乗当日は、死亡証明書や火葬証明書を持っていくとスムーズに保安検査場を通れます。
持ち込んだ後の遺骨の扱いに不安がある場合は、添乗員に聞いてみましょう。
なお、遺骨を運ぶための専用のバッグというものがあります。
ネットショップで売られているので、確認してみてください。
もちろん、遺骨の運搬には風呂敷も便利です。
風呂敷100均やバラエティショップ、和装店など色々なところで売られているので、探してみてください。
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