遺骨の一時預かりとは?お墓が用意できてない時の対処法

遺骨の一時預かりとは?お墓が用意できてない時の対処法

家族が亡くなって四十九日も過ぎたのに、まだお墓の手配ができていない、というケースはよくあります。
そのような時に利用したいのが、遺骨の一時預かりという制度です。

今回の記事では、遺骨の一時預かりについて解説していきます。

遺骨の一時預かりとは何か

遺骨の一時預かりとは、短期間、お寺などの施設で遺骨を保管してもらうこといいます。
「預骨」と呼ばれることもあります。

家族が亡くなったのが急で、遺骨を納めるお墓も供養の方法も全く決まっていない、または費用の関係で、当分の間はお墓が用意できない場合もあるでしょう。

自宅で遺骨を安置することもできますが、住宅事情や家族の間での意見の食い違いなどでそれもできない場合があります。

そのような時に遺骨の一時預かりを利用すれば、その間にお墓を用意したり、家族でしっかり話し合うことが可能になります。

遺骨の一時預かりはどこでしてもらえる?

寺院などの宗教法人、民営霊園など、通常の納骨を受け入れている施設であれば、多くの場合、一時預かりの用意もできています。
遺骨の一時預かりを公けにしていない施設の場合であっても、とりあえず問い合わせてみるのがよいでしょう。

この他、葬儀社石材店などでもサービス受け付けていることがあります。

また、公営墓地の場合でも、遺骨を収蔵する施設を併設しているところがあるようです。
墓地の管理事務所や自治体に問い合わせてみましょう。

なお、都内在住の方を対象に、以下の都立霊園で一時収蔵を受け付けています。

遺骨の一時収蔵を行っている都立霊園

  • 雑司ヶ谷霊園
  • 八柱霊園
  • 多磨霊園

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一時預かりと納骨堂での永代供養の違い

お墓が用意できない場合のもう1つの選択肢に永代供養というものがあります。
これら違いは以下の通りです。

一時預かりと永代供養の違い

  • 一時預かり次の遺骨の行く先を決める間だけ遺骨を預かってもらう方法
  • 永代供養:納骨堂などに遺骨を納め、永久的な供養をお願いしてしまう方法

したがって、永代供養の場合は遺骨を納骨堂などに納骨してしまいますが、一時預かりの場合は保管するだけとなり、納骨の法要などは行いません。
遺骨を預けたままにしたいと考えている方は納骨堂を検討しましょう。

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一時預かりの料金相場は

遺骨の一時預かりの料金相場はおおむね以下の通りです。

料金相場(年間)

  • 民営霊園: 12,000~24,000円程度
  • 公営霊園: 3,000~6,000円程度
  • 寺院、宗教法人: 30,000~50,000円程度

公営霊園の一時預かりは他に比べて料金が安いですが、その分人気があり、利用できるかは抽選で決まることがあります。

預かり期間中にお参りはできるか

寺院や民営霊園の場合は、遺骨を一時預かりにしている間のお参りに対応していることが多いです。
しかし公営の霊園では難しいケースもあります
例えば、都立多磨霊園の「みたま堂」では、納骨時以外に遺骨を納めている区画の前まで行くことはできません。
このように直接お参りができない可能性があるため、事前の確認が必要です。

一時預かり申し込みの条件

一時預かりの申し込みには条件があります。
条件は一時預かりを依頼するのが、自治体が運営する公営霊園なのか、寺院が運営する納骨堂なのかによって異なります。

まず自治体が運営する公営霊園の場合、以下のようなものが挙げられます。

申し込みの条件例

  • 亡くなって以降、どこにも埋葬したことがない遺骨であること
  • 申し込みをするのが、故人の親族であること
  • 「火葬許可証」があること
  • その自治体の管轄範囲内に住所があること

※条件は自治体によって異なりますので、参考程度にしてください。

これに対して寺院の納骨堂での一時預かりの場合は、檀家であるかどうかが条件になることがあります。
ただし、寺院によっては檀家ではなくても受け入れてくれる場合や、宗旨や宗派も問わない場合もあります。

一時預かりしてもらえる期間

一時預かりを受け入れているところによって、期間は異なります。
お墓の準備ができるまでの短い期間に遺骨を預ける制度のため、1~2年という短い期間で設定しているところも多いようです。
ただしその期間に遺骨の行く先が決まらない場合でも、延長手数料を支払えば、預入期間を延長できるところがほとんどです。

一時預かりのメリット

遺骨の一時預かりのメリットには以下のようなものがあります。

  • 納骨方法を考え、準備する時間的余裕が生まれる
  • 建墓や永代供養に比べて費用が格段に安い
  • 管理を専門家に任せられる

納骨方法を考え、準備する時間的余裕が生まれる

一時預かりを依頼する最大のメリットは、納骨方法について考える時間的な余裕が生まれることです。
遺骨の一時預かりをしている間にしっかり準備をしたり、家族や親戚で話し合うことが可能になります。

建墓や永代供養に比べて費用が格段に安い

お墓を建てて納骨したり、永代供養をお願いすることに比べて、費用が格段に安いことも一時預かりのメリットです。
特にお墓を建てる資金が用意できていない場合は、とりあえず遺骨を一時預かりにして、その間に費用を工面しましょう。

管理を専門家に任せられる

遺骨は自宅でも安置できますが、住居のスペースの問題だけではなく、ごくたまに遺骨にカビなどが生えてしまう問題も発生します。
また遺骨は自宅にあると、幼児などがいる場合には衛生面が気になりますし、また何かの拍子に骨壺を落として割ってしまう危険性も無視できません。

その点、遺骨の一時預かりの場合は、湿度と温度管理がしっかり行われていますし、遺骨管理の専門家が担当していますから安心です。

一時預かりのデメリット

遺骨の一時預かりのデメリットには以下のようなものがあります。

  • 預け入れ期間が短期
  • 更新手続きが面倒

預け入れ期間が短期

1番のデメリットは、預ける期間が短いことです。

延長も可能ですが、延長回数の上限も決まっているので、預けたからすべてが解決する、というわけにはいきません。

更新手続きが面倒

遺骨の一時預かりは短期間での利用を前提としているため、期間の延長をしたい際には更新の手続きが必要になります。
その更新手続きも、単に更新料を振り込むだけではなく、直接事務局に行って手続きをしなければならないことも多いです。

預けている納骨堂が自宅から近ければよいですが、遠方に住んでいる場合は、1年に1回の更新手続きでも大きな負担になります。

遺骨は自宅安置してもOK

納骨までの間、遺骨を自宅で安置しても問題ありません。

「墓地、埋葬等に関する法律」では「遺骨を埋葬したり納骨する場合は市区町村が認めた墓地や納骨堂でなければならない」と定められていますが、これは埋葬する場合の規定であって、納骨までの間はどこに安置していても基本は自由です。
したがって、納骨までの間、遺骨を手元に置いて供養しても違法ではありません。

自宅安置では衛生管理に注意

ただし遺骨は環境の影響を受けやすいものなので、自宅に安置している間は以下の点に注意しましょう。

自宅安置の注意点

  • 骨壺のふたを開けない
  • 遺骨を素手で触らない
  • 骨壺を水回りや押入れの奥などの高温多湿な場所に保管しない
  • 直射日光の当たる場所に骨壺を置かない

遺骨は湿気に弱い性質があり、カビが生えてしまうことがあります。
火葬直後の骨壺の中は無菌ですから基本的にはカビが繁殖する環境ではありません。
その後の衛生管理を怠ってしまうと遺骨にカビが生え始めてしまいます。

管理が心配な場合は、遺骨をパウダー化(粉骨)して真空パックで保存するというサービスもありますので、利用してみても良いでしょう。

遺骨の保管はどこでするのか

基本的には仏間などに置いておくのが最もなじむでしょう。
長期にわたって自宅安置をする場合は、遺骨を収蔵できる仏壇などを利用するのも一つです。

仏間がない場合は、「棲家」のような自宅供養品をリビングの一角に置いて、供養スペースを用意するという方法もあります。

遺骨を収蔵できる自宅墓「棲家」について知る >>

親族の遺骨の保管には家族の了承を

人によっては、遺骨が自宅に置いてあることが怖いと感じる人もいます。
そのような家族の心情を無視して遺骨を自宅安置することは家族間のトラブルの原因になります。
ですから、遺骨を自宅安置する場合は、しっかりと家族の了承を得るようにしましょう。

手元供養にしてしまうという選択肢も

手元供養製品のイメージ
遺骨を自宅で供養する場合に、その遺骨の形状のままでは行わないというのも1つの選択肢です。
たとえば遺骨の一部をアクセサリーに加工したり、粉骨して小さな器に入れてしまうなどの方法です。
この手元供養をすれば、場所の問題や家族の心情的な問題も発生しないでしょう。
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遺骨を少量残してあとは散骨という方法も

レイセキ:海散華
火葬した遺骨をその骨壺のまま安置しておくことができない場合は、遺骨を預けるほかに、散骨してしまうという手もあります。
また、遺骨の一部だけを手元に残して、残りを海などに散骨するということもできます。
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まとめ

すぐに遺骨を納骨できない場合でも、遺骨の一時預かりという方法をとることで、時間的な余裕が生まれます。
遺骨を納骨する方法は、故人の遺志や自分の希望だけではなく、家族の心情や金銭的な事情も絡みます。
また、お墓は一生に一度の買い物になることがほとんどですから、結論を急がず、じっくりと考えたいものです。

遺骨の一時預かりを利用して、納骨方法をしっかり考える時間を確保しましょう。

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