遺骨を郵送したい人必見!送り方と梱包の方法

遺骨を郵送したい人必見!送り方と梱包の方法

菩提寺が遠方でお墓の管理が難しいなどの理由から、別な所にお墓を移す「改葬」や今あるお墓を更地にする「墓じまい」が増えています。
遺骨を遠方に移す場合は、郵送が便利です。
また、遺骨の郵送は、散骨などでも必要になる場合があります。

今回の記事では、墓じまいや散骨を考えている人のために遺骨の郵送方法を解説します。

遺骨を郵送するのは違法?

改葬や墓じまいでは、複数の遺骨を運ぶ必要があります。
遺骨は意外と重く、複数となると、遠方の場合はもちろん、近郊でもご自分で運ぶのは大変です。
ご自分で運ぶのが難しい場合には、郵送は安心で便利です。

ですが、そもそも遺骨は郵送してもいいのでしょうか。

遺骨の取り扱いは、「墓地、埋葬等に関する法律」、略して「墓埋法」で定められています。

墓地埋葬法は、遺骨の埋葬について「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」(法第4条第1項)と定めています。
定められた場所以外では、遺骨は埋葬できません。

また、お墓の移動である「改葬」も法律で定めています。市町村長の許可が必要です(法第5条第1項)

お墓の移動は市町村長の許可が必要ですが、国内で遺骨を送ることは法律で規制されていません。
日本から海外へ郵送することは禁止されていますが、国内に限っては問題ありません。

参考:墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)|厚生労働省

遺骨を宅配便やゆうパックで配送するには?

法律上は問題ないのですが、遺骨を取り扱う業者は限定されます。
現在、日本郵便のゆうパックのみ遺骨を郵送できます。

郵送以外で遺骨を配送することはできない

日本では、ゆうパック以外の方法で遺骨を配送することはできません。
例えば同社の「宅急便約款」には、「遺骨、位牌、仏壇」は「荷物の性質により拒絶するもの」とされています。

参考:宅急便で送れないもの|ヤマト運輸宅急便約款(認可年月日:平成26年4月22日)|ヤマト運輸

佐川急便や他の業者でも、遺骨は取り扱いません。
その理由として、「紛失した場合に対応できない」としています。

日本郵便での遺骨の取り扱い

日本郵便では、ゆうパックで郵送できます。
一般の荷物と同様の取扱いであり、特別な補償はありません。

ゆうパックには、損害賠償制度があります。万が一、荷物の破損や紛失があった場合、最高30万円までの実損額を賠償することになっています。
ですが、遺骨は客観的な価値がつけられないので、損害を賠償できません。

ゆうパックには、配達の経過を調査できる「追跡サービス」があります。
さらに、オプションサービスに引受けから配達までの送達過程を記録する「セキュリティサービス」もあります。配達の過程を確認することで、トラブルを防ぎやすくなります。

遺骨を郵送する窓口と料金

通常のゆうパックと同じです。
コンビニエンスストア、取扱店から申し込む場合は、セキュリティサービスを利用できません。
セキュリティサービスをご希望の際は、郵便局の窓口をご利用ください。

遺骨をゆうパックで郵送するときの料金は?

遺骨を郵送する料金は、通常のゆうパックと同じ計算になります。
ゆうパックで送るときの料金は、重さサイズ距離により決まります。

ゆうパックは、荷物の大きさ(縦・横・高さの合計)が170cm以下で重さ30kg以下の荷物で利用できます。
重さにより、料金が変わります。重さが25kg以下の荷物は通常のゆうパックですが、重さが25kg超え30kg以下の荷物は「重量ゆうパック」を利用します。

荷物の大きさによっても変わってきます。

大きさは、縦、横、高さの合計で表します。合計が60cm以下の場合は、60サイズに区別されます。

次のサイズは、80サイズです。80サイズは60㎝超え80cm以下60cmです。
170サイズ以外は、20cm刻みでサイズが区別されています。

また、ゆうパックには都道府県別基本運賃表があります。
各都道府県からどこに送るかにより、料金は変わります。重量ゆうパックの料金は、ゆうパックの基本運賃+500円になります。

参考:郵便・荷物 > ゆうパック|日本郵便

日本郵便の窓口はどこでも遺骨をゆうパックで郵送できる

遺骨は、正しく梱包していれば、一般の荷物と同じ扱いで、ゆうパックで郵送できます。
郵便局の窓口だけでなく、コンビニエンスストアなど取扱所からも郵送できます。
また、自宅など登録している場所に荷物を取りにきてくれる集荷サービスも利用できます。

コンビニエンスストア、取扱店から申し込む場合は、セキュリティサービスを利用できませんのでご注意ください。

遺骨を送るときに必要なものは?

遺骨の郵送は、ゆうパックで一般の荷物を郵送することと変わりません。
荷物を梱包し、宛名ラベルを用意すれば発送できます。

寺院に直接郵送して納骨してもらう場合には、埋葬許可証や改葬許可証を忘れずに郵送します。

埋葬許可証

お寺に遺骨を郵送して納骨してもらう場合は、「埋葬許可証」も一緒に郵送します。
埋葬許可証は、死亡届を提出した時にもらう「火葬許可証」に火葬場が証印したものです。
納骨には、埋葬許可証が必要です。

改葬許可証

墓地や納骨堂に納骨している遺骨を、他の墓地や納骨堂に移すことを「改葬」といいます。
改葬には、現在、納骨している地域の自治体から改葬許可証をもらう必要があります。
改葬許可証は、納骨している場所により申請窓口は違います。
納骨している地域の市区町村役場にご確認ください。

遺骨を送るときの梱包方法は?

遺骨を送る場合は、遺骨を納めた骨壺単体ではなく、骨壺を納めている桐箱(骨箱)ごと送ります。
遺骨の梱包の方法や注意点を紹介します。

埋葬していた骨壺は水が入っていないか確認

郵送をするために梱包する必要があります。
梱包の前に骨壺の中になどが溜まっていないか、蓋をあけて中を確認します。

従来の旧型墓地に多い地下カロート(納骨スペース)に安置していた場合、地下は湿気が多ので結露により水が溜まっていることがあります。
水が溜まっている場合は、風通しの良い場所で乾燥させます。

水が溜まったまま郵送すると、途中で水が漏れる危険性があります。

骨壺の蓋を固定

中を確認したら、骨壷を梱包します。

最初に、骨壺の蓋を固定し、遺骨がこぼれないようにします。
骨壺の蓋は、単に上に持ち上げて開くタイプと、回して外すロック式タイプがあります。
特に持ち上げて開くタイプは、ガムテープなどで厳重に蓋を固定しておきます。

蓋を固定したら、骨壷をビニール袋に入れて桐箱(骨箱)に納めます。
この時、骨箱の四隅に緩衝材をつめて箱の中で骨壷が動かないようにしておきます。
骨箱の蓋を閉め、さらにガムテープで固定します。

段ボール・緩衝材を用意

自分で郵送する場合は、段ボールや緩衝材などを用意します。
ゆうパックは、荷物の大きさで料金が変わります。
骨箱に合わせた大きさにしましょう。
骨箱の大きさ(縦、横、高さ)をきちんと測り、適切なサイズの段ボールを用意します。

郵送中に段ボールの中の骨箱が動かないように、緩衝材で囲みます。
緩衝材には、エアー緩衝材(プチプチ)や新聞紙だけでもいいですが、万が一を考えて吸水性のあるタオルなどを敷いておくとよいでしょう。

梱包

用意した段ボールの下にタオルを敷き、骨壺の周囲を新聞など緩衝材で囲んで入れます。
忘れないように、必要な書類を同梱します。
寺院に郵送して納骨してもらう際は、指定書類(納骨申込み書や本人確認書類のコピーなど)だけでなく、埋葬許可証や改葬許可証なども必要になります。

骨壺の上にも緩衝材

必要な書類を確認し、用意したら、忘れないように同梱します。
郵送中に安定するように、骨箱の上も緩衝材をつめましょう。

郵便局へ持込み、郵送

ゆうパックの送り状を用意します。
届け先や依頼主などの欄に必要事項を記入します。
品名の欄は「割れ物」でも問題ありませんが、「遺骨」と書いた方がより丁寧に扱ってもらえる可能性があります。
郵便局へ荷物を持込み、郵送します。ご自宅に荷物を取りに来てもらう集荷サービスも利用できます。

送骨キットとは?

遺骨を郵送するためのキットを使うと、自分で用意するよりも簡単に梱包できます。
遺骨を郵送する時に必要な段ボールや緩衝材、送り状などをまとめたキットです。

送骨キットは、Amazonなどのネットショップでも購入できるほか、送骨や散骨のサービスを利用した場合には付属で送られてきます。

送骨とは

送骨とは、配達サービスに依頼して遺骨を寺院に郵送することです。
お葬式は自宅近郊であげたけれど、菩提寺が遠方で直接持参できない場合や、永代供養を含めた埋葬を目的として利用されます。

送骨するための専用梱包キット

遺骨を送るために、必要なものをまとめた専用梱包キットも販売されています。
専用梱包キットの内容は、以下のようなものがあります。

・骨箱専用段ボール
・緩衝材
・ゆうパック送り状
・ガムテープ
・梱包用説明書

東日本では、すべての遺骨を骨壺につめる「全収骨」を行い、西日本では喉仏や歯などの一部の遺骨を収骨する「部分収骨」を行う地域が多いです。
関東と関西では、骨壺の大きさが異なります。
送骨専用梱包キットも、骨壺の大きさにあわせていくつか種類がありますので、ご購入する場合はサイズにお気をつけください。

粉骨、散骨サービス

近年、手元供養や散骨など新しい供養の形を希望される方も増えています。
散骨とは、遺骨を粉末状(粉骨)にして、海や山などで撒く葬送です。
粉骨は、完全に形状が分からないように細かく砕くのがマナーです。
ご家庭でもできますが、ご家族の遺骨を砕く行為は、精神的にも肉体的にも負担がかかるでしょう。

郵送で粉骨を受け付けるサービスや、粉骨から散骨まで行ってくれるサービスなども増えています。
散骨場所にお坊さんの手配をしてくれるところや郵送のための専用梱包キットを用意してくれるところもあります。
粉骨サービスでは、粉骨前に洗浄や乾燥、カビ予防対策をしてくれるので、自宅において供養する手元供養にも利用されています。

まとめ

遺骨はしっかりと梱包すれば、一般の荷物と同様に郵送できます。

遺骨を郵送する際はゆうパックを使うことになります。
ゆうパックでの配送は全国の日本郵便の窓口で受け付けてくれます。
なお、ヤマト運輸や佐川急便など、他の宅配業者では遺骨の配送は受付けていません。

遺骨を梱包する際には、骨壺に水が溜まっていないかを確認しましょう。
また、お寺に送ってそのまま永代供養墓に入れてもらう場合は、改葬許可証かまたは埋葬許可証も一緒に梱包します。
梱包材は一般的なエアーキャップや新聞紙で構いませんが、もし骨壺の中に水が残ってしまっていた時のことを考えて、タオルなども入れておくと良いでしょう。