霊園の管理事務所の役割を解説!管理費を払う意味は?

霊園の管理事務所の役割を解説!管理費を払う意味は?

墓地や霊園を持っている人は毎年管理費を支払っているでしょう。
この管理費はすべて霊園の管理事務所の収入となります。
しかし、霊園の管理事務所はこのお金を受けとって、その代わりに霊園利用者に何を提供してくれているのでしょうか。
管理費を払う意味は本当にあるのでしょうか。そこでここでは、霊園の管理事務所はいったい何を利用者にしてくれるのか、ということを解明していきます。

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管理事務所とは何か

まず最初に霊園の管理事務所とはどのように定義されるのか、という解説です。

霊園の運営主体または施設管理係

「霊園の管理事務所」と一口に言った場合、その意味には2通りあります。

1つは広い意味での「霊園の管理事務所」です。
これは、霊園を運営している団体そのものを指す場合です。
寺院墓地であればその寺院が管理事務所ですし、公営墓地であれば地方自治体が管理事務所です。
民営墓地の場合は、墓地を経営している企業などが管理事務所に当たります。

2つ目は狭い意味での「霊園の管理事務所」です。
これはまさに、霊園に行った場合、その一角に設けられていて、霊園という施設を管理維持している管理人の常駐する「事務所」のことです。

この記事では両方の「霊園の管理事務所」について解説していきます。

墓地経営主体に求められる3つの要素

まず広い意味での霊園の管理事務所には、求められる3つの要素があることをご紹介しましょう。
そもそも霊園や墓地は自由に開設することはできません。

すべての霊園、墓地は「墓地、埋葬等に関する法律」に則って地方自治体に許可された団体しか経営できません。
特に霊園や墓地は、人間の生涯の中で最も厳粛であるべきことの1つである「死」について扱う施設ですから、営利目的で運営されることは社会通念上からも許されません。
そのため霊園や墓地の経営は、寺院や地方自治体など非営利団体か、あるいは営利目的ではない企業などにしか許可されないのです。

このことを前提に霊園の管理事務所には3つの要素が求められています。

永続性

1つは永続性です。
遺骨の供養、亡くなった人の供養は永続的に執り行われるものです。
何かのイベントのように時期を限って行うものではありません。
ですから遺骨の供養の場所である墓地も永続的に存在する必要があります。
一般的な企業のように霊園の管理事務所が簡単に倒産するのでは困るわけです。

その意味で霊園の管理事務所は、長らく存在し続けることが求められます。

公益性

死は富める者にも、貧しい者にも均等に訪れます。
生きているときにはその人の業績や社会貢献、社会的地位などによって、尊ばれたり、現実問題として蔑まれたりしますが、しかし「死」ということに関して言えば、誰の死も同じです。「死んでしまえばただの人」という言葉がありますが、死によって人は生きているときの装飾がなくなり、すべて同じ「死者」であり「霊魂」になるのです。

墓地や霊園はそのような、誰にでも公平に訪れる死を扱っていますから、誰かの死を丁寧に扱い、誰かの死をぞんざいに扱うということは基本的に許されません。
その意味で霊園の管理事務所にはどの死も公平に扱うという公益性が求められるのです。

非営利性

公益性というものを「お金」に絞って考えると、それは「非営利」ということになります。

お金を出せば大きな墓地を購入することは可能ですが、しかし現世でのお金の有無の差に比べれば、持っているお金によるお墓の差は非常に少ないといえるでしょう。
また僧侶がお布施を多くくれる家では読経を丁寧に行い、お布施の少ない家ではいい加減に読経する、ということもあり得ません。

その意味で、霊園の管理事務所がお金持ちとそうでない人を差別して扱ってはいけないのです。
つまり霊園の管理事務所には営利で物事を判断し、進めるということがない「非営利性」を持っている点が求められるわけです。

施設管理係としての管理事務所の役割

霊園の管理事務所の管理人とは具体的に何をしているのでしょうか。
言葉を換えるなら、霊園の管理人は、管理費によって収入を得る見返りに、利用者に何を提供してくれるのでしょうか。

霊園の管理人の所属は3種類

そもそも霊園の管理人はその運営主体によって、所属が3種類に分かれます。

公営霊園は自治体職員や嘱託職員

地方自治体が運営する公営霊園の場合、管理人は自治体の職員や嘱託職員などです。
ただし自治体には予算があるため、常駐の職員の人数には差があります。
中には管理人が常駐していない霊園もあります。

民営霊園は民間企業の社員やアルバイトなど

民間企業が運営する民営霊園の場合は、民間企業が雇用した職員やアルバイトが管理人をしています。
しかし、霊園はお盆などの繁忙期と、それ以外の閑散期によって忙しさに大きな差があるため、常雇いの職員を置かずに、期間限定のアルバイトやパートなどで対応していることが多いです。

寺院墓地は僧侶やパート従業員

寺院が運営している寺院墓地の場合も、民営霊園と同様に寺院が雇用した職員やアルバイトが管理人をしている例がほとんどです。
しかし小規模な寺院の場合は、人を雇うことができないので、弟子の僧侶や住職の家族が管理人をしているケースも多いです。

霊園管理事務所の管理人の仕事

霊園の管理人はどのよう仕事をしているのでしょうか。

霊園の運営の実務

1つは霊園運営の実務です。
たとえば霊園利用希望者への案内や、利用者からの要望への対応です。

霊園の掃除

霊園は常に清潔であることが求められます。
その点で、霊園や墓地にとって清掃はとても大切な業務です。
したがって霊園の管理人の仕事の重要なものは清掃です。

ただし清掃の対象はトイレや水場、休憩室や参道といった共用部分だけです。
墓石や墓域などの個人の利用部分は対象ではありません。

共用部分の管理、設備維持

清掃と同様に、霊園の管理人は利用者がその霊園や墓地を気持ちよく使え、ストレスなくお墓参りにができる環境を整える役割があります。
そのため水道、トイレ、休憩施設などに不具合がないか確認し、不具合があれば早急にメンテナンスします。
メンテナンス対象には霊園特有の設備の卒塔婆立て、あるいは利用者が個人に限定できない無縁墓や合祀墓なども含まれます。

管理事務所にはどんな時に利用するのか

霊園の管理事務所はどのようなときに利用すればよいのでしょうか。

墓地の取得

墓地を取得したいという時には、その霊園の管理事務所に問い合わせることが最も適切な方法です。管理事務所で墓地販売をしていなくても、取得方法やアプローチ先を教えてくれるでしょう。

墓石の建立

すでに墓域を取得していて、そこに墓石の建立する場合には管理事務所に届け出をする必要があります。なぜなら墓石を建立する場合に、石材店が霊園に入り作業をするため、共有部分を使うことになるからです。特に寺院霊園や民営霊園の場合は、指定の石材店があることも多いので、注意が必要です。

リフォームや修繕などの工事

墓石を建立しなくても、墓誌を建てたりするような小さな工事の場合も、石材店が共有部分を使うので、霊園の管理事務所へ届け出ることが必要です。

納骨、埋葬

遺骨の納骨をする時には、霊園の管理者の許可が必要です。特に書面として、火葬場で受け取った「埋火葬許可証」を提出することが法律で決められています。

承継の手続き

親が亡くなるなど、墓地の利用主体者が変更され、利用者を承継する場合も、管理事務所に届け出ることが必要です。

改葬や墓じまいの相談

今所有しているお墓から遺骨を取り出してほかのお墓に改葬する場合、あるいはお墓そのものを霊園の管理事務所に返還する場合、それに伴って墓じまいをする場合も、管理事務所への届け出が必要です。

特に寺院霊園の場合は、改葬や墓じまいをすること、イコール檀家を離れることになるので、必ず事前に相談をしましょう。

各種申請の受付け

霊園の管理事務所ではお墓の利用主体者だけではなく、埋葬されてい人をすべて管理しています。
ですから、住所が変更した場合などは、できるだけ早く届け出ましょう。

管理事務所で受け付けられる相談にはどんなものがあるか

そのほか、霊園の管理事務所には以下のような相談事が可能です。
所有しているお墓関連のことで困ったら、まずは霊園の管理事務所に相談するのがよいでしょう。

  • 隣の墓地の雑草が迷惑だ
  • ゴミ捨て場やトイレなどの管理ができていない
  • 霊園内に危険な箇所がある

などです。

まとめ

霊園の管理事務所の存在意義というものがお分かりいただけたでしょうか。

霊園や墓地は墓地埋葬法に沿って運営することが義務づけられています。
その点でいえば霊園の管理事務所は自治体の代行的な意味合いを持っています。と同時に、霊園の管理事務所には利用者が霊園を気持ちよく利用するように環境を整える役割もあります。その点でいえば、霊園の管理事務所はサービス提供者でもあります。

霊園の管理事務所への管理費はこの2つの役割を担う代償として支払っているのです。ですから支払い期日があれば遅れることなく、気持ちよく支払うようにしましょう。

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