お墓がない場合には遺骨はどうする?お墓を持たない供養の方法も解説

葬儀が終わって遺骨が手元にあるけど、お墓がないという場合はどうすればいいのでしょうか。
今回の記事では、一般のお墓がない場合の対応や、お墓を持たない供養の方法などを解説します。
目次
お墓がない時の対処法3つ
遺骨があるけどお墓がない場合の対処法をご紹介します。
お墓がない時の対処法3つ
1.納骨先を用意する
今から遺骨の納骨先を用意する方法です。
遺骨の納骨先には、以下のようなものが考えられます。
納骨先の例
墓石のお墓(一般墓)
墓石のお墓は工事から引き渡しまでに2~3か月程度かかるので、四十九日の納骨には間に合いません。
墓石を新たに建てる場合は、一周忌や三回忌に合わせて納骨する方もいます。
その他のお墓(合葬墓、樹木葬、納骨堂など)
永代供養墓とは、家族に代わって霊園の管理者やお寺がお墓の供養をしてくれるお墓です。継承する必要がないため、核家族化や少子化が進む現在では需要が高まっています。永代供養墓には、合葬墓(合祀墓)、樹木葬、納骨堂などがあります。
納骨の費用を抑えたい方は、合葬墓(合祀墓)がおすすめです。合葬墓では、3~30万円/1人程度で納骨できます。
いきなり合葬墓に納骨することに不安がある方は、樹木葬や納骨堂、その他集合個別式のお墓などを検討しましょう。
2.散骨する

自然志向の方や、葬送の費用を抑えたい方に選ばれています。お墓を持たない葬法なので、その後にお墓参りをしなくていいという方は検討してみましょう。
主な散骨の種類としては海洋散骨(海洋葬)や山林散骨が挙げられます。
3.自宅で管理する

納骨に期限はないので、納骨先に迷ったり、費用が工面できない場合は、当面の間自宅で管理しても問題ありません。
ただし、いつかは何らかの形で遺骨を供養しなければならないという点に注意しましょう。
お墓を持たない供養の方法
お墓を持たない供養の方法を紹介します。
「散骨」で遺骨を自然に還す

遺骨を砕く工程から散骨するまで全ての工程を業者に委託すると、5万円程度から探すことができます。遺族の手で散骨する場合の費用相場は、10~30万円程度です。
供養の費用を安く押さえられる一方、お墓参りをする場所がなくなってしまうというデメリットもあります。
「手元供養・自宅安置」で供養する

骨壺をそのまま安置することもあれば、インテリアになじむデザインの骨壺に移し替えたり、遺骨を加工してオブジェやペンダントなどののアクセサリーに加工する方法もあります。
骨壺をそのまま安置すれば費用は掛かりません。遺骨を加工する場合の費用相場は10~30万円程度です。
お墓を建てずにお墓を持てる永代供養墓
本当はお墓が欲しいけどお金や跡継ぎに不安がある人は、永代供養墓を検討するのも一手です。
永代供養とは、墓地の管理者が、墓地が存在する限り遺骨を供養し続けてくれるという意味です。
値段は一般的なお墓よりも比較的安価で、後継ぎがいない人や費用を抑えたい人に人気です。
永代供養付きのお墓には様々な種類があります。
屋内にお墓を持つ「納骨堂」

ロッカー式、仏壇式、自動搬送式(マンション型)などの様々な種類があります。
人数や形式などにも寄りますが、費用相場は10~200万円程度で、場所を選べば墓石のお墓より費用を抑えられます。
個別管理に期限がついている場所では、期限後に合祀される点に注意しましょう。
木の下で眠る「樹木葬」

納骨室に骨壺を埋蔵するタイプと、遺骨を土に還すタイプがあります。
費用相場は5~200万円程度で、場所を選べばかなり費用を抑えてお墓を持つことができます。
必ずしも遺骨を土に還すわけではなく、一定期間後に遺骨を合祀墓に移すタイプもあります。
家墓と同様に使える「永代供養付き一般墓」

霊園によって承継者がいなくなった場合の対応が大きく二つあり、一つは追加費用なしで墓石を撤去して遺骨を合祀墓に移動する、もう一つは、お墓をそのまま残しておいてくれるというものがあります。
後継ぎに不安があるけど、従来のようなお墓が欲しいという方に人気です。
安価に抑えられる「合葬墓(合祀墓)」

合葬墓は、永代供養墓の中では最も費用を抑えることが出来るお墓で、3万円/1人程度からお墓を探すことができます。原則年間管理費もかかりません。
ただし、納骨した後は、遺骨を取り出すことができなくなります。
要注意!遺骨を捨てたり庭に埋葬するのは違法
お墓にこだわりがない場合も、遺骨を捨てたり庭や近所に埋めたりすると違法になります。
必ずしかるべき方法で遺骨の葬送をしてください。
遺骨を捨てた場合
遺骨を捨てると、刑法190条に違反します。罰則は、三年以下の懲役です。
刑法190条では、以下のように定められています。
(死体損壊等)
第百九十条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
宗教的な感情がない方も、遺骨は、捨てたりゴミに出したりしてはいけません。
遺骨を庭や近所に埋めた場合
遺骨を庭や近所に埋めると、「墓地、埋葬などに関する法律」に違反します。
ただし、行政から墓地としての許可を得ている区域の場合はこの限りではありません。
違反すると、1000円以下の罰金または拘留、または科料があります。
墓地、埋葬などに関する法律に関する法律では、以下のように定められています。
第2条
5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域をいう。第4条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
第 21条 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
一 第3条、第4条、第5条第1項又は第12条から第17条までの規定に違反した者
つまり、都道府県知事に「墓地」として許可を受けている所でなければ、死体の埋葬や遺骨の埋蔵はできません。「墓地」以外に遺骨を埋蔵すると、罰則が科せられます。
お墓は必要なのか
お金のことや後継ぎのことを考えると、お墓を建てるのを躊躇する方も多いのではないでしょうか。
お墓はどうしても必要なものなのでしょうか。
ここでは、お墓の意味や役割を見ていきながら、お墓の必要性について解説します。
Point
- お墓には遺体や遺骨を納めるという役割がある
- お墓があることで、故人を偲ぶときの拠り所になる
- 現在定着している先祖代々の墓が広まったのは明治以降
- お墓が必要かどうかは本人や遺される人次第
そもそもお墓とは何か
根本的には、お墓は遺体や遺骨を葬る場所です。
墓石などの墓碑もお墓と呼ばれ、実際に故人が埋葬されていなくてもお参りの対象となることがあります。
お墓は故人との繋がりを感じる場所
人との付き合いは、その人が亡くなってからも続いていきます。
故人を偲ぶことで気持ちが動いたり、時間を経て故人に対する思いが変わったりするということはよくあります。
お墓は、そうした故人とのコミュニケーションを取るときの拠り所になります。
例えば、お墓に語りかけたり、何かを報告をしたり、決意表明をしたりするという方もいるのではないでしょうか。
あるいは、お墓を目の前にすることで、故人との思い出や関係をより強く思い起こすこともあるでしょう。
「先祖代々之墓」の歴史はそれほど長くない
「お墓」と聞いて想起されるような、墓石を建てて代々引き継ぐいわゆる「家墓」は明治以降に広まったもので、歴史はそれほど長くありません。
それまでは個人や夫婦単位での埋葬が一般的でしたが、明治時代に入ると政府が「家制度」に沿って、戸主がお墓を相続するとした法律(明治民法987条)や、お墓は一定の場所で永遠に保存することを記した規則(東京府墓地取扱規則)を定めました。これによって、現代で広く見られるような「家墓」が普及していきました。
したがって、「お墓を先祖代々承継していくこと」は長い歴史から考えると特別あたりまえなことではなく、何らかの宗教の教義を根拠にしているわけでもありません。
加えて、現代ではもちろん家制度も廃止されており、お墓を持たないことが道義的に反するとは言い難いでしょう。
お墓はなくても大丈夫?
結局、お墓が必要かどうかは、自分と家族次第です。
必ずしもお墓を持たなくても、遺骨を供養する方法はあります。
一方で、お墓は、遺された人たちが故人と新たな関係を作っていくためのよりどころともなります。
遺された人の中にはお墓を必要とする人もいるかもしれないので、お墓を持たないという選択は独断で決めず、慎重に話し合いましょう。
お墓がない家の事情
お墓を持っていない家は、基本的には次男や三男の世帯です。
先祖代々の墓は、慣習的には長男が引き継ぎ、本家家族のみを納骨するためです。
あるいは、お墓が遠いなどの理由で、すでに親の代でお墓をなくしている(墓じまい)ことも考えられます。
それでは、お墓を新たに建てない理由は何でしょうか。
お墓を建てるお金がない
墓石のお墓を建てる場合の費用相場は、80万~250万円程度です。
加えて、墓石を建てると、多くの場合で年間5千~2万円程度の管理費がかかります。
少なくとも数十万円のまとまったお金が必要になり、その後も費用がかかり続けるので、経済的に余裕がなければお墓を建てることは厳しいでしょう。
お墓がいらない
墓石のお墓の維持には、ある程度の努力と費用が必要です。この負担を子どもたちに残すくらいなら、お墓を建てなくてもいいという考え方もあります。
例えば、墓石のお墓を建てると、基本的には誰かに引き継いでもらう必要があります。
お墓を引き継ぐと、定期的に掃除をしたり、年間管理費を納めたりすることになりますが、これを負担と考える人もいます。
親子が離れて暮らしている場合はなおさらで、遠方にお墓参りに行くとすると、交通費や宿泊費だけでもまとまった出費になります。
加えて、お寺のお墓であれば檀家の付き合いも引き継がなければなりません。
後継ぎがいない
お墓を引き継ぐ子供がいなければ、お墓を建ててもやがて無縁墓になってしまいます。
親の納骨のためにお墓を建てても、自分の代でお墓を撤去(墓じまい)しなければならなくなります。
後継ぎがいない場合は、一般のお墓ではなく永代供養墓や散骨を選ぶことが多いでしょう。
まとめ
お墓がない場合の遺骨の扱いは、「納骨先を探して納める」「散骨する」「一度自宅で管理しておく」の大きく三通りが考えられます。
納骨先は必ずしも墓石のお墓を用意する必要はなく、承継を前提としない「永代供養墓」でも良いでしょう。
費用を抑えて遺骨を供養したい方は、「合祀墓への納骨」や「散骨」がおすすめです。
お墓を絶対に持つ必要はありませんが、あれば故人を偲ぶ際の拠り所になります。
お墓に入る人、遺される人の双方ができるだけ納得する形で、供養の方法を選びましょう。
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現在では「散骨」が容認されているので、必ずしもお墓を持たなくても供養できます。なお、お墓の中で永代供養墓を選べば、お墓の費用や管理の負担を減らすことができます。
経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。