終活でお墓を考えるときに押さたいポイントを解説します!

日本人の死生観の変化に伴って、自分の死は忌まわしいものではなく、言葉にすることも考えることも避けたいというものではなくなってきました。
むしろ、いかに自分らしく最期の時を迎えるか、その最後の時までの限られたい時間をいかに充実させるか、ということを考える人が非常に増えています。
それが終活というものです。
終活をする場合、必ず考えなければならない点は、自分のお墓をどうするかということです。
この点を決めることが、いかに自分らしい死を迎えるかということにもつながりますし、同時に残された遺族に迷惑をかけないポイントでもあります。
今回の記事では、終活時に考えるお墓選びのポイントについて解説していきます。
目次
なぜ終活でお墓を決めておくのか
まずそもそもなぜ終活の時に自分のお墓を決めることが重要なのでしょうか。
生前に自分のお墓を決めておくべき理由を解説します。
自分の死後の葬られた方を自分で決めておける
現代は、かつてのように、お墓に遺骨を埋葬するという一律の葬り方ではなくなってきました。
自分の価値観によって、自分の遺骨がどのように埋葬されるかを、自分で選択できる時代になったのです。
豪壮なお墓に入って死後もセレブ感を味わいたい人はそのようなお墓を用意し、シンプルに自然に還って生態系のサイクルの中に入りたいという人はその価値観に合った埋葬方法を選択することが可能なのです。
言ってみれば最後の自己の価値観を表現するのが、お墓であり、埋葬方法です。
したがってお墓についてしっかり考えることが、より自分らしく生きることにもつながると言えます。
子供に負担をかけないで済む
お墓を新たに作るには多大な費用がかかります。
お墓がすでにある場合でも、葬儀から始まって三回忌や三十三回忌などの法要などの葬送儀礼にお金がかかります。
そのような費用負担を子供にかけたくないという場合は、自分でお金のかからない埋葬方法を指定することによって、金銭的な負担を子供にかけないで済みます。
金銭的な負担だけではなく、故人をどのように祀ったらよいのかということ自体について、子供を悩ませることもなくなります。
お墓によっては多大な費用がかかる
お墓を建てるにはお金がかかります。
このお金を自分で出す場合は、その分最期の時を迎えるまでの人生を充実させるお金が減ってしまいますし、子供に負担させる場合は非常に過大な負荷になってしまいます。
ですから、すべてを勘案して、どの程度のお金をお墓にかけるべきかをしっかり考えておく必要があります。
お墓について考えておくべきこと
終活においてお墓を考える上では、どのような点を検討し、選択する必要があるのでしょうか。
お墓は建てるべきか
お墓についての最大の選択肢は、そもそもお墓を建てるか建てないか、という点でしょう。
近年では価値観の多様化に併せて、お墓の種類も様々になってきました。
お墓は石を建てる以外にも、樹木葬や納骨堂、合祀墓のような形で持つことができます。
また、そもそもお墓を持たずに散骨してしまう方法も、徐々に広まってきました。
お墓を建てない理由は様々です。
跡継ぎがいないので建てても面倒を見てもらえない、子供にお参りや管理料の負担を掛けたくない、お墓に意味を感じない、お墓を建てるお金がない、などです。
また、お墓のほか、お葬式にも「ゼロ葬」という言葉が出てきました。
ゼロ層は、通夜や葬儀を全く行わない葬送儀礼方式です。
ゼロ葬の場合は、病院から火葬場に直行し、遺体を焼却したあとは、火葬場に遺骨を処理してもらいます。
どの自治体でも許可している方法ではありませんが、しかしこのゼロ葬を選択する人は増加傾向にあります。
墓地はどこにするか
仮にお墓を建てる場合、霊園をどこにするかという点も大きな問題です。
死後はどこの土地で眠りたいか、どんな雰囲気の所がいいかなど、宗教にはこだわるかなどで、墓地の選び方も変わってきます。
ただし、最も考慮したほうが良いのは、墓守がアクセスしやすいかどうかです。
お墓の承継者がお参りに行けなくなってしまうと、お墓は荒れ果てて無縁墓になってしまいます。
お墓にかけられる費用はどれくらいか
お墓を建てる場合、費用相場は150-300万円と言われます。
ただし、費用は地方などにも異なるので、もっと安く建てる方法もありますし、逆に都心の格が高いような寺院では300万円以上することもあるでしょう。
お墓を建てるには、その費用がどのような内訳で必要になるのかも知っておくことが大切です。
具体的には以下のような内訳でお墓にかかる費用は構成されます。
永代使用料
よく「お墓を買う」と言いますが、これは正確な表現ではありません。
「永代使用料」とは、跡継ぎがいる限り墓所を使用していいという、「永代使用権」の管理料です。
墓地を買うというのは、正確な表現ではありません。
永代使用料の相場は、全国平均で25万~30万円程度ですが、土地代の高い東京23区の場合は150万~200万円と跳ね上がります。
墓石代
お墓の永代使用権を手に入れたら、その墓域にお墓を建てます。
お墓は基本的に石材製ですから、その墓石を購入する費用がかかります。
墓石代の相場は120万円~175万円ですが、これもどの石材にするか、オリジナルのデザインにするか既製のものにするかなどで上下します。
管理費
管理費とは、墓地や霊園の管理者に墓地を管理してもらう費用です。
ただし墓地を管理するといっても、自分のお墓の掃除など含まれず、共有の設備の維持管理、整備、清掃などの費用です。
管理費の相場は、年間で2千円~数万円です。
どんな種類のお墓がいいか
お墓を持つには、石を建てる以外の方法もあります。
立派なお墓はいらない、跡継ぎがいないという方は、ぜひ検討してみてください。
樹木葬
樹木葬とは、木の下に遺骨を埋葬する埋葬方法です。基本的には個人墓で、跡継ぎ不要です。
納骨堂
納骨堂とは、建物の内部にロッカーや棚があり、そこに骨壺を安置する方法です。
個人から家族で使えるお墓ですが、基本的には跡継ぎ不要です。
合祀墓
合祀墓は、他人の遺骨を自分の遺骨を一緒に埋葬し、その上に供養塔を建てるものです。
合祀墓にした場合は、遺族は回忌法要などを行わず、すべて管理者が行います。
誰とお墓に入りたいか
日本でのお墓の主流は、先祖も家族も一緒にお墓に埋葬される一族墓です。
しかし最近は、夫婦だけで1つのお墓に入る夫婦墓や、自分だけが眠る個人墓、逆に親しい友人と一緒に入る友人墓といった選択肢ができて来ました。
ですからお墓は一族で埋葬されるものだという考えを取り除いて、誰と一緒に埋葬されたいか、という点も検討項目になるでしょう。
家族で入らないお墓を探す場合は、樹木葬や納骨堂などの跡継ぎ不要のお墓がおすすめです。
お墓について家族と話し合っておくこと
極論すれば、死は何にも増して自分個人の問題です。
しかし、だからと言ってお墓も自分の独断だけで決めてしまうというのは、あとあとトラブルのもとです。
たとえばお墓を作らない散骨にしてしまった場合、遺族はお参りをする場所がなくなって戸惑うかもしれません。
それ以前に、古い価値観や慣習も持っている人であれば、お墓がないこと自体モラルに背いていると考えて反対するかもしれません。
そのようなトラブルを防ぐには、どのようなお墓を建てるにしても、あるいは建てないにしても、その考えをよく家族と話し合い、共有しておくことが大切です。
霊園にはどんな種類があるか
以上の点を検討するためには、霊園にはどのような種類があるのかを知っておくことも重要です。
霊園には以下のような種類があります。
寺院墓地
寺院墓地とはその名の通り、お寺が経営している墓地です。
寺院墓地の場合、上で触れた費用の相場は以下のようなものです。
・永代使用料:20万円~200万円
・管理費:5千円〜数万円
ただし寺院墓地を購入することは、原則としてその寺院の檀家になるということです。
そして檀家になるためには「入檀料」という費用が10万円~30万円かかります。
さらに管理費とは別に、寺院を維持していくための護持会費も必要になります。葬儀や回忌法要の都度、お布施を数千円から数十万円支払う必要があります。
このように寺院墓地はほかの種類の霊園にお墓を作ることと比べて費用が高くなるのが通例です。
加えて、その寺院と宗派が異なる人は原則として埋葬できない点も要注意です。
民営霊園
国から認可を受けた企業が経営するのが民営霊園です。
民営霊園にお墓を購入した場合、かかる費用は以下の通りです。
・永代使用料:30~200万円
・管理費:5千~1万5千円
民営霊園も、区画の広さや立地で価格がかなり変わるので、一概に相場は言えません。
しかし民営霊園は寺院霊園と比べて以上の費用以外にはお金は必要ありませんし、どの宗派でも埋葬できます。
公営霊園
地方自治体が運営しているのが公営霊園です。
公営霊園にお墓を作る時にかかる費用は以下の通りです。
・永代使用料:数万円~130万円
・管理費:2千円~1万円
公営霊園は民営霊園と同様、これ以上の費用はかかりません。またどの宗派でも埋葬できます。
ただし、以上の金額を見てもわかるように、非常に安いため、競争が激しく購入は抽選になることが通例です。
お墓を建てない場合はどうするか?
上で挙げた検討項目の中に「お墓を作らない」という選択肢があると触れましたが、実際にどのような方法があるのでしょうか。
散骨
散骨とは、遺骨をパウダー状に粉砕し、海や山林などの自然の中に撒く埋葬方法です。
自力ですることもできますが、散骨をするには遺骨を2mm以下に砕く必要があるため、手作業でするのは精神的にも体力的にかなり負担になります。
散骨場所を選定するのも、条例等を確認したり近隣とのトラブルを考慮する必要があり、大変な作業になるため、多くの場合、散骨は業者に依頼します。
手元供養
遺骨を自宅に置いておく方法です。
現在ではオシャレな骨壺などの手元供養のグッズがあり、リビングの家具とも調和するような商品が数多くあります。
ただし、自宅で供養している方が亡くなった際に、やはり遺骨はどこかに埋葬するか散骨する必要があるため、そこまで考えておく必要があります。
お墓を建てないメリット
お墓を作らないメリットは以下のような点です。
・費用が安く済む
・お墓の管理が不要になる
・散骨などによって自然に還れる
お墓を建てないデメリット
一方で以下のようなデメリットもあります。
・親族や周囲から批判される
・散骨やゼロ葬にすると、遺族のお参りする場所がない。
・合祀の場合、後日に改葬ができない
今あるお墓を処分するにはどうするか
お墓を作らないということは、今すでに一族墓がある場合、それをどうするかという問題とつながっています。
墓じまいとは
墓じまいとは、お墓を撤去して遺骨を他の場所で供養することを言います。
自分の代かまたは子供の代で墓守がいなくなってしまいそうな場合、今あるお墓をどうするかというのも気になる問題の一つです。
親戚などに相談してもお墓の承継者が現れない場合は、墓じまいをする必要があるでしょう。
墓じまいのポイント
墓じまいと簡単に言っても、それは自分の遺骨をどうするか、ということ以上に親族などから批判を浴びやすい方法です。
批判を防ぐためには以下の点に注意しましょう。
・親戚をしっかりよく話し合う
墓じまいをするには、主だった親戚とよく話し合って、自分の価値観と、その価値観を実践した場合はこの方法しかないということを理解してもらう点が重要です。
・寺院、霊園の管理者に事前に報告する
墓じまいをすることになったら、必ず作業を始める前に、寺院や霊園の管理者に報告をしましょう。
・閉眼供養を行う
お墓には故人の霊魂がこもっているという考え方が日本では一般的です。そのお墓を処分するためには、お墓から霊魂を抜く必要があります。これが閉眼供養というものです。
閉眼供養は僧侶にしてもらう必要があります。
・最後は更地にして返す
賃貸住宅でも退去の際には、入居時の状態に戻す「原状回復」が義務とされています。お墓の場合も、永代使用権を返上して墓じまいをする時には、遺骨を取り除いたら墓石を撤去し、最初の更地の状態に戻すことが必要です。
まとめ
終活は自分の生死を考える、極めて思索的なことであると同時に、お墓をどうするかという現実的な問題でもあります。
終活を行う際には、自分の価値観に合ったお墓のあり方や埋葬方法を検討しましょう。
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