神道の納骨はどのように行われる?納骨時期と費用・マナー

NHKが2018年に行った世論調査によると、神道を信仰していると答えた人は全体の約3%でした。
したがって家族や知り合いが亡くなった場合に、神道のルールでの葬儀や納骨といったものに触れる機会もあまりありません。
しかし、全くの0%ではないのも事実です。神道による納骨の方法は知っておいて損はないでしょう。
今回の記事では、神道の納骨方法の基本について解説します。
目次
神道の納骨は五十日祭と同時に行われることが多い
神道では多くの場合、亡くなって50日目の「五十日祭」と同時に納骨を行います。
もともとの神道での考えでは、火葬後すぐに納骨するのが一般的でした。
しかし最近では少し考え方が変わってきていて、仏教と同じようにしばらくは遺骨を自宅に安置し、しかるべきタイミングで納骨するようになっています。
仏教でいう法要にあたる「霊祭(れいさい、みたままつり)」は10日ごとになっていて、二十日祭、三十日祭、四十日祭などを行います。
最近は十日祭、三十日祭、四十日祭は省略されることが多く、その代わりに五十日祭を比較的盛大に行って、その際に納骨をするのです。
納骨の際は神官を招いて埋葬祭を行う
神道では神官を招いて遺骨を墓所に納める儀式を、「埋葬祭」または「納骨式」といいます。
埋葬祭の流れ
埋葬祭の流れはおおむね以下のようなものです。
献饌
まず、祭壇に神様へ献上する食べ物や故人の好きだった食べ物などをお供えする献饌(けんせん)を行います。
祝詞奏上
神職が祝詞(のりと)を奏上します。
玉串奉奠
仏教では参列者は焼香を行いますが、神道では玉串奉奠(たまぐしほうてん)というものを行います。
玉串とは、真榊あるいは榊の束に紙垂(しで)をつけたものです。
玉串奉奠の順序は以下の通りです。
1.玉串の先の方を左手で、枝の方を右手で持って祭壇に臨みます。
2.祭壇の前では、右手を下げて、先が神前に枝元が手前にくるように捧げ持ち、この状態で神前で故人の冥福を祈ります
3.右手を玉串の中央に移し、左手を枝元に添えます。
4.右手を手前に左手を神前に時計回りに回し、根本を神前に向け、ゆっくりと玉串を神前に置きます。
直会
直会は「なおらい」と読みます。
埋葬祭の終わった後に、最後にお供えした神饌を下して、参列者でいただく儀式です。
この儀式には、神様の霊力を参列者に分けてもらう、という意味があります。
清祓いの儀
五十日祭で埋葬祭を行った場合、翌日に清祓い(きよはらい)の儀を行います。
これは忌明けの意味で、死の穢れが入らないように神棚に貼り付けておいた白紙をはがし、閉じていた扉を開けます。
最近では清祓いの儀は翌日ではなく、埋葬祭の当日に行う場合も多くなっています。
埋葬祭に必要な準備
神道で納骨する場合には以下の4つを準備しましょう。
埋葬許可証
神道に限らず、どのような宗教を信じていても、あるいは無宗教でも納骨の際には必ず埋葬許可証が必要です。
埋葬許可証は、死亡届を市区町村に提出した際に発行されるもので、「火葬許可証」とセットになっています。
この書類を火葬場で提出すると火葬場では押印をしてくれ、それが正式な埋葬許可証になります。
埋葬許可証は骨壺と一緒に骨箱に納められていて、納骨の際に寺院や霊園に提出する必要があります。
案内状
五十日祭などを行う場合、親族や知人友人の参列をお願いすることになります。
その案内は電話やメールではなく、きちんとハガキや封書で案内状として出すことがマナーです。
玉串料
埋葬祭では神職が故人が無事にあの世に行けるように祝詞などを読んでくれます。
そのお礼として玉串料を納めます。
永代使用料
納骨をするためにはお墓や納骨堂を用意する必要があります。
その使用料を永代使用料といい、毎年の管理費を支払っていれば永久的にそのお墓を利用できる権利金です。
埋葬祭に参列するときの服装
埋葬祭に参列する場合、喪主、遺族や親族などは葬儀の時に着たのと同じ正喪服を着用します。
正喪服とは、男性であれば和装かモーニング、女性であれば和装か黒のワンピースまたはアンサンブルあるいはスーツを指します。
遺族や親族以外の参列者は、略喪服を着ます。
男性であれば黒やダークグレーのスーツ、インナーは白のワイシャツです。女性の場合は地味な色合いのワンピース、アンサンブルで、インナーや小物は黒にします。
神道のお供えの基本
神様にお供えするものは神饌(しんせん)といいます。
御神酒、洗ったお米、水、塩、お餅、野菜、乾物、魚、卵、菓子などの神饌を、故人の好きだった食べ物などと一緒に供えます。
また幣帛(へいはく)というものも供えます。
幣帛は絹や木綿で作ったくすんだ赤地の飾りです。
お供えは片側四本足が両側についた「案(あん)」という台の上に木でできた「三方(さんぼう)」を置き、その上に配置します。
神社への玉串料の相場とマナー
神職に渡す玉串料の相場とマナーについて解説します。
玉串料の相場
玉串料の相場はだいたい3万円前後です。
ただしこれは神職へのお礼の意味合いのお金なので、神職側でお供えを用意してもらった場合は、その費用を上乗せして払いましょう。
また遠隔地から来てもらったり、霊園などに出張してもらった場合は、車代として5000円~1万円を包みます。
玉串料の表書き
玉串料はお札を裸で渡すことは失礼に当たるので厳重に注意しましょう。
渡し方はのし袋に「御祭祀料」「御玉串料」などの表書きを書きます。
それ以外には「御祭祀料(おさいしりょう)」「御初穂料(おんはつほりょう)」などでも良いでしょう。
そのほか必要な費用
埋葬祭時に神職に渡すお金は基本的に以上になりますが、それ以外にも費用がかかるので予算に入れておきましょう。
具体的には、まずお墓の納骨室を開けて、そこに遺骨を納めてもらうために石材店に支払う費用が必要です。
その費用は石材店によっても違ってきますが、だいたい1万5000円~3万円が相場です。
また墓石あるいは墓誌に故人の名前と没年を彫ってもらう費用もかかります。
彫刻料は3万円~5万円程度が相場です。
彫刻には1カ月以上の時間が必要なので、余裕をもって依頼しましょう。
納骨堂に遺骨を納める場合
神道の場合、納骨する場所はお墓には限りません。納骨堂という場合もあります。
その際のポイントや注意点には何があるのでしょうか。
神式で納骨堂に納骨することは可能?
まず気になるのは神道で一般的な納骨堂に納骨することはできるのかという点です。
まず社団法人などの実質企業が経営している納骨堂の場合は埋葬される人の宗教に制限がありませんからほぼそのまま納骨できるでしょう。
一方で寺院が経営している納骨堂の場合は確認が必要です。
お墓の場合は、埋葬される人はその寺院の宗派に帰依していないと許可されません。
しかし納骨堂の場合は、宗派に関係なく受け入れてくれる場合もあるのです。
ですからまず神道でも納骨できるかどうかを管理者に確認しましょう。
あまり多くはありませんが、神社で納骨堂を運営しているところもあるので、そういう納骨堂であれば問題なく遺骨を納めることが可能です。
また多くの納骨堂は「永代供養」というものを引き受けています。
仏教では霊魂から人格がなくなり祖霊として先祖の霊と一体化するまで33年または50年かかります。
それまでは個人としての供養が必要ですが、永代供養とはその供養を寺院や霊園管理者が遺族に代わって行ってくれるものです。
神道でも実はこの永代供養というものはあります。
ただし「供養」とは仏教用語なので、神道では代わりに「永代祭祀(えいたいさいし)」といいます。
神道でも仏教の一周忌や三回忌などのように、年忌法要にあたる霊祭があります。
具体的には亡くなってから1年目の一年祭、3年目の命日に行う三年祭、そしてそれ以降の五年祭、十年祭、五十年祭、百年祭などですが、永代祭祀は納骨堂の管理者が遺族に代わって霊祭や合同祭祀を行ってくれます。
神道における納骨堂には以下のような種類があります。
納骨殿
納骨殿とは、遺骨を骨壺ごと安置する場所を指します。
この納骨殿で、遺骨を一定期間預かりますが、その期間は神社によって異なります。
たとえば、遺骨を50年間預かる神社であれば、遺骨は50年間骨壺のまま個別に納骨殿に安置されるのです。
合祀
また遺骨を個別に安置せず、埋葬祭後にほかの人の遺骨と一緒に埋葬する合祀というものもあります。合祀を行う方法のほうが安く済みます。
しかし遺族からすると、故人の遺骨がほかの人と一緒に葬られてしまうことに抵抗を感じる場合もあるかもしれません。
いずれにしても納骨堂の管理者の説明をよく聞いて、費用とそれ以外のバランスをしっかり考慮して選択するようにしましょう。
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