神道のお墓参りはどうやるの?お供えや作法について解説


神道とは、古代から現代に続く民族宗教であることは皆さんもご存じだと思います。
しかし、神道のお墓については良くわからないという人が多いのではないでしょうか。
ここでは、神道のお墓や、お参りするときの流れやお供えなどについてご紹介していきたいと思います。
これから、神道のお墓にお参りする人は是非参考にしてください。
目次
1.神道のお墓の特徴
まずは、神道のお墓の特徴についてご紹介していきましょう。
神道のお墓ってどういうものかご存知ですか。
実は、多くの人が良く知っている仏教のお墓と神道のお墓は形状が似ていてあまり大きな違いはないのです。
その理由は、「お墓を建てる」ということ自体が宗教の教えから始まったということではなく、日本の昔からある風俗習慣である「ご先祖様のお祭りを行う」という行為から生まれたものだからです。
1-1.角兜巾(かくときん)型が特徴
棹石の先端が細くなっているものを、角兜巾(かくときん)型といいます。
ちょうど、四角推の形をしています。
これは、神道のお墓の特徴でもあります。
1-2.神道のお墓には香炉がない
仏教のお墓と神道のお墓では、付属品にも違いがあります。
神道ではお線香をあげないため仏教のお墓にある香炉はありません。
また、お供え物を置く「八足台」があるというのが神道のお墓の特徴でもあります。
八足台とは、白木の8本の足でできたお供え物を置く台のことをいいます。
1-3.戒名がない
戒名とは、「居士」「大姉」などといった仏門に入った者に授ける名前のことを言います。
神道には、仏教と異なり戒名自体がなく、その代わりに諡(おくりな)というものがあります。
諡(おくりな)とは、男性であれば、稚郎子(幼児)、郎子(少年)、彦(青年)、大人(成人)、翁(老年)、女性であれば、稚郎女(幼児)、郎女(少女)、姫(青年)、刀自(成人)、媼(老年)といったように、年代によって変わっていくというのが特徴です。
1-4.「墓」ではなく「奥津城」
仏教のお墓の場合、墓石に「〇〇家の墓」といったように家名を刻みますが、神道の場合は、家名ではなく「〇〇家奥津城」や「〇〇家奥郡城」と刻まれることが一般的です。
また、宮司関係者のお墓かご先祖に宮司関係者がいた場合は墓石に「都」の文字が彫られます。
「津」は一般の方に使われます。
2.神道のお参りで必要なお供え
仏教のお墓には、花やお茶などの供物や線香をお供えしますが、神道の場合はどうなのでしょう。
2-1.榊(さかき)をお供えする
仏教のお墓には一般的に花をお供えしますよね。
しかし、神道の場合は、花は供えずに榊をお供えします。
仏教で花をお供えするのは、お釈迦様が仏様に花をお供えしたことが始まりと言われています。
しかし、神道では、お釈迦様とは関係がないため花はお供えせずに榊をお供えするのです。
2-2.線香はお供えしない
神道のお墓の特徴でもご紹介しましたが、神道の場合、線香はお供えしません。
その代わりに、榊の葉に麻や紙などを貼り付けた玉串(たまぐし)を奉納します。
2-3.神饌(しんせん)をお供えする
仏教の場合、一般的に、お菓子やフルーツ、また、故人が好きだったものなどをお供えします。
しかし、神道の場合は、水や洗米、塩、お神酒といった神饌(しんせん)をお供えします。
神饌とは、神様に供える酒食のことをいいます。
仏教と同じように、神饌の他に、故人が好きだったお菓子などを一緒にお供えしても問題はありません。
3.神道のお参りの流れ
仏教と神道ではお墓参りの流れに違いはあるのでしょうか。
仏教でも神道でも、亡くなった方への気持ちに違いはなく同じようにお墓参りをします。
お墓参りをする時の作法についても、基本的には仏教も神道も同じ流れで行いますが、少し違うところがありますのでご紹介しましょう。
3-1.仏教の場合の流れ
仏教の場合は、まずは、お墓をきれいに掃除をし、花やお菓子などの供物をお供えし、線香をお供えして合掌するというのが一般的な流れです。
3-2.神道の場合の流れ
神道の場合も、流れは仏教と同様ですが、お供えするものや合掌することが異なります。
神道の場合でも、まずは、お墓をきれいに掃除をし、次にお供えをするのですが、仏教の場合は花やお菓子といったものをお供えしますが、神道の場合は、榊やお神酒・塩・米などといった神饌をお供えし、ローソクを灯してから二礼、二拍手、一礼をします。
3-3.拝礼方法
仏教では、お墓に供物、線香をお供えした後に手を合わせて合掌しますよね。
しかし、神道では合掌はせずに、音を立てて柏手を打つということが大きな特徴です。
二礼、二拍手、一礼をしてから頭を下げてお墓参りをします。
初詣などで神社に行った際にすることと同じです。
注意することとしては、神道のお墓参りでは五十日祭までは音を立てないで手を合わるようにします。
五十日祭とは、仏教の四十九日法要にあたる神式の法事です。
また、音を立てないで行う拍手のことを「しのび手」と言います。
3-4.改まったお参りの際には玉串
改まったお参りの際には玉串をお供えします。
また、玉串は、神様へささげる神聖なものなので、ささげる時には常に両手で扱います。
参考のため、玉串のささげる際の流れをご紹介します。
・玉串を一礼してから両手で受け取ります
・左手で葉を、右手で枝を支えます
・左手で玉串を支えながら、右手を動かし枝を自分の方へ90度回転させます
・手を持ち替え、右手で葉を支え左手で枝が祭壇を向くように回転させます
・二礼、二拍手、一礼します(この時の二拍手はしのび手で行います)
3-5.お参りの服装
葬儀では服装に決まりがありますが、お墓参りには特に服装の決まりはありません。
ただし、仏教と同様にお墓参りにふさわしい服装を心がけましょう。
4.お盆やお彼岸は関係ある?お参りのタイミング
神道の場合、お盆やお彼岸といったものはお墓参りに関係するのでしょうか。
4-1.お墓参りの時期に決まりはない
神道の場合、お墓参りをいつするといった決まりは特にありません。
逆に、お墓参りをしてはいけない時期というものもなく、ご先祖様に感謝を伝えたいことがあればいつでもお参りして構いません。
多くの方は、命日にお墓参りをするようです。
4-2.お盆は関係あるのか
お盆と言えば仏教というイメージを思い浮かべると思いますが、元を辿れば、神道の「ご先祖様を敬い崇拝する」という考え方がもとにあります。
神道でも、お盆にはお墓やお仏壇を清めてお墓参りをします。
4-3.霊祭(れいさい)は10日ごとにある
仏式の法要(初七日、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌、十七回忌など)にあたる儀式を、神道では、「霊祭」や「みたままつり」と言います。
霊祭は、亡くなってから10日ごとにあり、具体的には、翌日祭、十日祭、二十日祭、三十日祭、四十日祭、五十日祭、百日祭、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭、二十年祭、三十年祭、四十年祭、五十年祭、百日祭があります。
五十日祭が仏教でいう忌明けに当たり、最初の大きな節目となります。
また、一年祭は特に重要な節目で、玉串奉奠をおこなう神事になります。
5.神道の墓じまいをするには
墓じまいとは、先祖代々受け継がれてきたお墓を片付け、お墓を建てていた土地をお寺や霊園の管理者に返却することを言います。
神道の墓じまいというと、なんとなく特別なことが必要なのではないかと思われるかもしれませんが、実は、一般的な墓じまいと変わりありません。
ここでは、墓じまいの流れをご紹介しましょう。
5-1.親族で話し合う
墓じまいをするときに重要なことは、必ず親族と十分に話し合いをすることです。
お墓を継いでいるからといって一人で勝手に決めずに、親族の意見にもしっかりと耳を傾けるようにしましょう。
これが、後でトラブルを起こさないための重要なポイントになります。
5-2.墓地管理者に墓じまいすることを伝える
親族の間で墓じまいをすることに了解を得た後は、墓地の管理者に墓じまいすることを伝えます。
できれば、あらかじめ電話などで相談しておくのが良いでしょう。
5-3.改葬許可申請をする
遺骨を取り出すときは、改葬許可証というものが必要になります。
必要な書類をそろえて、現在お墓がある市区町村の役所に改葬許可申請をします。
申請する際には、墓じまいするお墓の墓地管理者が発行する埋葬証明書(納骨証明書)や、引越し先の墓地管理者が発行する受入証明書(永代使用許可書)が必要な場合もあるので、事前に役所に確認しておきましょう。
改葬許可証が発行されたら遺骨を取り出すことができます。
もし、墓じまいをした後、自宅供養や散骨をするのであれば改葬許可証は必要ありませんが、墓地によっては改葬許可証がないと遺骨を出してくれない場合もあるので、事前に墓地管理者に確認しておきましょう。
5-4.石材店を決める
墓石の撤去作業をお願いする石材店を選びます。
お寺や霊園が指定する石材店がない場合は、複数の石材店で見積もりを取りましょう。
参考までに、一般的な墓じまいの予算はおよそ10万円/1平米です。
5-5.遺骨のメンテナンスをする
長い間お墓の中に安置されていた遺骨は汚れていることが多いです。
遺骨が汚れている場合は、できるだけきれいにしてあげてください。
また、未火葬のままの遺骨は、再火葬申請をして火葬してください。
5-6.墓石を撤去する
墓石を撤去し、お墓があった場所を更地にします。
お墓を建てた土地の永代使用権を返納することで、墓じまいは終了になります。
6.まとめ
以上、神道のお墓参りに関することについてご紹介してきました。
仏式と共通する部分も多くありますが、神道ならではのお墓参りの作法もあることがおわかりいただけたと思います。
神道のお墓参りに行く機会がある方は、是非参考にしてみてください。