納骨堂とは?種類や費用相場を解説!一般墓との違いは?

新しいお墓のスタイルとして注目されている「納骨堂」ですが、一口に納骨堂と言っても様々な種類があります。
種類によって納骨できる人数や費用相場が違うため、納骨堂の種類を知っておくことは大切です。
この記事では、納骨堂の種類ごとの特徴や費用など、お墓選びの参考になる情報をお届けします。
目次
納骨堂とは
納骨堂とは、屋内に遺骨を安置する施設のことです。もともとは遺骨の一時預かり施設としての役割を担っていましたが、最近では承継不要の「永代供養墓」の一つとして、広く定着しています。
「墓地、埋葬に関する法律」によれば、納骨堂は「他人の委託を受け焼骨を収蔵するために納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」と定義されています。
(参考:厚生労働省 墓地、埋葬等に関する法律)
納骨堂の種類と費用相場
納骨堂には、大きく分けて「ロッカー式」「自動搬送式(マンション型)」「仏壇式」「位牌式」「棚式」「屋内に墓石を建てるタイプ」の6つがあります。
それぞれの特徴や費用について解説していきます。
種類 | ロッカー式 | 自動搬送式 | 仏壇式 | 位牌式 | 棚式 | 墓石タイプ |
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人数目安 | 1~4人 | 1~8人 | 4~10人以上 | 1人 | 1人 | 2~8人 |
初期費用 | 50万~100万円 | 50万~120万円 | 100万~250万円 | 10~50万円 | 3万~10万円 | 100万~300万円 |
年間管理費 | 5千~1万円 | 1万~2万円 | 1万~2万円 | 0~5千円 | 0円 | 1万~2万円 |
ロッカー式納骨堂:50万~100万円程度


人数目安 | 1~4人 |
初期費用相場 | 50万~100万円 |
年間管理費相場 | 5千~1万円 |
ロッカー式納骨堂は、ロッカーのように前面に扉が設けられた棚に、骨壺に入った遺骨を収蔵する納骨堂です。名前からはコインロッカーのような簡素なものが想像されますが、実際には箔や絵などの装飾が施されていることが一般的です。
納骨堂によっては、骨壺と一緒に位牌や写真を入れることができます。
納骨スペースに限りがあるため、ご夫婦やご家族での使用に向いています。
収蔵人数は、1~4名程度です。
戸棚での遺骨の安置には、あらかじめ期限が設けられているところが多く、期限後は合祀されます。
中には、永続的に個別区画に遺骨を安置してもらえるロッカー式納骨堂もありますが、多くはありません。
自動搬送式(マンション型)納骨堂:50万~120万円程度



人数目安 | 1~8人 |
初期費用相場 | 50万~120万円 |
年間管理費相場 | 1万~2万円 |
自動搬送式納骨堂は、参拝室のお墓に、遺骨を収蔵した厨子が機械によって運ばれてくる納骨堂です。
一般的に参拝者には専用のICカードが渡され、受付または墓前のカードリーダーに読み込ませると、遺骨が運ばれてきます。
自動搬送式納骨堂の外観はマンションのようになることが多いため、「マンション型」とも呼ばれます。
比較的新しいタイプの納骨堂で、都内を中心に増えています。駅から数分圏内に建てられることが多く、アクセスが便利です。
埋蔵人数は多く、1~8名で使用できます。
ロッカー式と同じく一定期間が経過すると合祀になるものもありますが、年間管理費を支払い続ける限り、個別安置してもらえる納骨堂もあります。
そのため、家のお墓として代々引き継ぐこともできます。
仏壇式納骨堂:100万~250万円程度



人数目安 | 4~10人以上 |
初期費用相場 | 100万~250万円 |
年間管理費相場 | 1万~2万円 |
仏壇式納骨堂は、1区画に仏壇と収骨棚がセットになっている納骨堂です。
一般的には上下二段に分かれており、上段が仏壇、下段が収骨棚になっています。
仏具などを置いておけるほか、一般的な仏壇のように、個別にお供えをしてお参りできます。
下段の遺骨の収蔵スペースが大きく、8~10名程度収蔵できます。
多くの場合で承継できるので、家墓としても使用できます。
位牌式納骨堂:10万~50万円程度



人数目安 | 1人 |
初期費用相場 | 10万~50万円 |
年間管理費相場 | 0~5千円 |
位牌式納骨堂は、位牌や位牌を安置する祭壇の内部に遺骨を納める納骨堂です。
位牌式は、収骨スペースがある位牌に遺骨を納めて安置するものや、位牌が並んでいる祭壇の下が収骨スペースになっているものがあります。
位牌に遺骨を納める場合は、遺骨を細かいパウダー状にする「粉骨」が必要になりますので、粉骨に抵抗がある方にはおすすめできません。
ロッカー式と違って、位牌分のスペースしか設けられないので、写真などの記念品を置くことはできません。
棚式納骨堂:3万~10万円程度



人数目安 | 1人 |
初期費用相場 | 10万~50万円 |
年間管理費相場 | 0円 |
棚式納骨堂は、棚のような祭壇に骨壺で並べていくタイプの納骨堂です。
一般的に仕切りや扉が無く、区画の区別がされません。昔からあるタイプの納骨堂です。
簡素な分、費用を抑えることができます。
基本的には1人ずつ申し込むことになります。
屋内に墓石を建てる納骨堂:100万~300万円程度


人数目安 | 2~8人 |
初期費用相場 | 100万~300万円 |
年間管理費相場 | 1万~2万円 |
屋内に、一般的な墓石のお墓を建てる納骨堂もあります。一般的には、「屋内墓苑」などと呼ばれます。
屋内にあることを除いては一般的なお墓と同じなので、従来通りのお参りができます。
一般的にお墓に比べると風雨にさらされない分お手入れが楽で、積雪地域でも冬季にお参りができます。
承継を前提として、永代供養がついていない場合もあります。
納骨堂のメリット4つ
納骨堂のメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 永代供養がついており、承継者がいなくても使用できる
- 季節や天候を問わずお参りに行ける
- 街中などのアクセスしやすい立地に多い
- 承継や大人数の納骨に対応できる区画もある
1.永代供養がついており、承継者がいなくても使用できる
現在では、多くの納骨堂に永代供養がついているので、承継者がいなくても安心して使用できます。
永代供養とは、お寺などのお墓の管理者が故人の供養を続けてくれる仕組みです。
供養は、お盆やお彼岸などの年に1~数回の合同法要をもって行われます。
一般的なお墓のように定期的な掃除や草刈りなども不要で、気軽にお墓を持つことができます。
2.季節や天候を問わずお参りに行ける
納骨堂は屋内のお墓なので、季節や天候を問わないでお墓参りに行くことができます。
特に積雪する地域では、冬期にお参りできないことも珍しくありませんが、納骨堂だと年中お参りに行けます。
3.街中などのアクセスしやすい立地に多い
納骨堂は限られた広さの土地やお寺の内部に造ることができるので、街中に多くあります。
電車やバスでもアクセスしやすいでしょう。
特に都心の自動搬送式納骨堂は駅から歩いて数分の立地にあることも多く、気軽にお参りできます。
4.大人数の納骨や承継に対応できる区画もある
納骨堂の中でも区画を選べば、一般的なお墓かそれ以上の人数を納骨できます。
大人数を納骨したい方は、自動搬送式納骨堂や仏壇式納骨堂から探してみましょう。
また、大人数を納骨できる区画は、承継が認められていることも少なくありません。
将来的に承継が途絶えるか分からない、承継はするけど屋内のお墓が良いという方には、納骨堂がおすすめです。
納骨堂のデメリット4つ
納骨堂のデメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 永代供養墓としては費用がかかる
- 駐車場がないことがある
- 最終的には合祀になることが多い
- お参りが順番待ちになることがある
1.永代供養墓としては比較的費用がかかる
永代供養墓にはいろいろな種類のお墓がありますが、納骨堂はその中でも費用が高めです。
また、建物のメンテナンスや清掃も必要なので、年間管理費も高めに設定される傾向があります。
費用の安さだけで言えば合葬墓(合祀墓)、個別で供養できる永代供養墓なら樹木葬などの方が、費用を抑えられます。
2.駐車場がないことがある
納骨堂は街中などのアクセス便利な立地に多い反面、都心では専用の駐車場を設けていないことも珍しくありません。
駐車場がなければ近くのパーキングを利用することになり、普段から車に乗る方は不便と感じるかもしれません。
車でお参りに行きたい場合は、駐車場の有無を確認しながら納骨堂を選びましょう。
3.最終的には合祀になることが多い
納骨堂では、最初は個別区画に骨壺が安置されますが、最終的には遺骨は合祀墓に埋葬されることが一般的です。
合祀墓とは一つの納骨室に不特定多数の遺骨を埋葬して供養するお墓です。
多くの納骨堂では、最初に定められた期間(契約から50年、最後の納骨から13年など)が経過するか、または承継が途絶えて年間管理費の支払いができなくなると、遺骨を合祀墓に移します。
将来にわたって合祀されたくないという方は納骨堂にこだわらず、「永代個別」などと表記されているお墓から探しましょう。
4.お参りが順番待ちになることがある
仏壇式納骨堂を除いては、納骨堂ではお参りスペースが他の家族と共用になります。
お盆やお彼岸などの混雑期になると、お参りのために順番待ちになることがあります。
納骨堂の運営主体による違い
納骨堂の運営主体には、大きく分けて「お寺」「法人(民間)」「自治体」があります。
では、納骨堂の運営主体によって、どのような違いがあるのでしょうか。
お寺の納骨堂
納骨堂の経営主体としてまず考えられるのはお寺です。多くの納骨堂は、お寺の境内にあります。
もともと納骨堂は、お寺が災害などで管理が困難になったお墓の遺骨や、引き取り手のいない遺骨を境内で収蔵するようになったのが始まりといわれています。
お寺と言っても、納骨堂の場合は宗教や宗派の制限が緩いことが多く、宗派の決まりや檀家の付き合いが気になる方も、それほど身構える必要はありません。
ただし、永代供養の方法は納骨堂を運営するお寺の宗派に則ったものになります。
自分と同じ宗派で供養してほしい方は、契約前にお寺の宗派を調べましょう。
民間の納骨堂
宗教法人や公益社団、財団法人などの公益性をもつ法人が運営をしている納骨堂もあります。お寺の納骨堂と比べると、数は多くありません。
このタイプの納骨堂は、多くの場合、管理や販売を民間業者が行っています。
民間の納骨堂は、宗教・宗派に関係なく利用できます。
民間業者が運営に関わっているので、施設やサービスが充実しているところが多いという特徴があります。
自治体の納骨堂
自治体の納骨堂は、基本的には従来のような「遺骨の一時預かり」を前提に募集されています。
お寺や民営の納骨堂では一定期間後に遺骨を合祀墓に移して供養しますが、自治体の納骨堂では期限後は遺族に返還することが一般的です。
永代供養墓としての納骨堂を考えている場合は、自治体の納骨堂は適切ではないかもしれません。
ただし、期限後は園内にある合葬墓に移動してもらえる場合もあるので、申し込む前に確認しておきましょう。
また、自治体の納骨堂には居住地などの要件が設けられていたり、抽選があったりするなど、誰でもいつでも申し込めるわけではありません。
人気の納骨堂は抽選に受かることが難しく、例えば、都立多磨霊園内にある納骨堂「みたま堂」の令和4年度の公募では、募集数62に対し、905もの応募が殺到し、倍率は14.6倍でした。
参考:令和4年度 都立霊園公募受付状況と抽選会について
一方、自治体の納骨堂は費用が安い、経営主体の倒産などの心配がない、などの長所もあります。
納骨堂と一般墓の違い
納骨堂と一般墓(従来のような墓石のお墓)の違いには、次のような点が挙げられます。
納骨堂と一般墓の違い
- 承継がいるか・いらないか
- 屋内にあるか・屋外にあるか
- お墓のお世話がいるか・いらないか
- お参りの仕方
承継がいるか・いらないか
一般墓は、代々家族が引き継いでいくことを前提とするお墓です。
もし承継が途絶えると、面倒を見る人がいない、いわゆる「無縁墓」になります。
お墓を無縁墓にしないためには、承継が途絶える前に「墓じまい」する必要があり、墓石を撤去したり、遺骨を新たな供養先に移すという作業が必要になります。
納骨堂は基本的に永代供養がついており、承継者がいなくても使用できます。
承継が途絶えた場合もお寺や霊園側で遺骨を合祀墓に移してくれるので、一般墓の墓じまいのようなものは不要です。
屋内にあるか・屋外にあるか
一般墓は、基本的には屋外に建てて、屋外でお参りします。
郊外型の自然豊かな霊園では、美しい景観の中でお参りできます。自然の中で眠りたい、明るい霊園で眠りたいという方は、屋外のお墓がおすすめです。
納骨堂は屋内に遺骨を安置し、屋内でお参りします。
季節や天候を気にしないでお参りできる他、墓前法要なども屋内でできるので、法要当日の天気を気にしなくて済みます。
お墓のお世話がいるか・いらないか
一般墓は、屋外で風雨にさらされているので、定期的に掃除をしないと美しさを保てません。
また、草木を植えている場合は草むしりや剪定も必要です。
納骨堂は、お墓の持ち主が定期的に掃除する必要はありません。
区画を含めて施設全体のメンテナンスは、お寺などの納骨堂の管理者が行います。
お参りの仕方
一般墓にお参りする時は、お墓の掃除をして、墓前にお供えします。
霊園によっては、花や線香などはそのままにして帰っても良いことがあります。
納骨堂の場合は種類によりますが、共用の供物台の前でお参りするものもあります。
花は持ち帰るか、献花台のような所に移動しなければならないことが多いでしょう。また、屋内のお墓なので、お香は線香ではなく焼香とすることがあります。
一般墓のように、お墓に水をかけたり、磨いたりということはしません。
納骨堂と他の永代供養墓の違い
承継者がいなくても使用できるお墓は、納骨堂だけではありません。
納骨堂と他の永代供養墓の違いを解説します。
納骨堂と合葬墓(合祀墓)の違い


納骨堂と樹木葬の違い


納骨堂と永代供養付き一般墓の違い


まとめ
納骨堂は、ロッカー式、自動搬送式、仏壇式、棚式、位牌式、屋内に墓石を建てるタイプに大きく分けられます。
大まかではありますが、種類によって、費用相場や使用人数が異なります。
納骨堂の種類による傾向を押さえておくことは、自分にとってどんな納骨堂が合っているのかを考える一助となるでしょう。
また、運営主体によっても納骨堂を分類することができます。
運営主体には、お寺、自治体、民間があります。
運営主体にかかわらず基本的に宗教・宗派の縛りはありませんが、中には檀家になる義務があるところや利用者の宗旨宗派を制限しているところがあるので、必ず事前に確認しましょう。
納骨堂をお考えの方へ
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納骨堂に関するよくある質問
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納骨堂にはどのような種類がありますか?
納骨堂には、大きく分けて「ロッカー式」「自動搬送式(マンション型)」「仏壇式」「位牌式」「棚式」「屋内に墓石を建てるタイプ」の6つがあります。
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納骨堂を一般的なお墓と同じように代々受け継いで利用することはできますか?
できる納骨堂もあります。特に、「自動搬送式(マンション型)」、「仏壇式」、「屋内に墓石を建てるタイプ」の納骨堂では大人数の納骨に対応しており、承継に対応していることも多くあります。
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納骨堂の費用を安く抑えたい場合はどの種類がおすすめですか?
少人数で納骨堂を利用する場合は、「ロッカー式」「位牌式」が比較的安価です。
経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。