墓地の種類を解説!寺院墓地・民営霊園・公営霊園の違いと特徴

墓地にはいくつか種類があり、それぞれに特徴や傾向があります。
それらを知っておけば、お墓が探しやすくなります。
今回の記事では、墓地の種類について解説します。
目次
墓地とは何か
お墓がある場所を墓地と言いますが、法律では、以下のように定義されます。
墓地、埋葬等に関する法律
第 2条
5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域をいう
「墳墓」とはお墓のことです。法律では、「死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設」としています。
つまり、法律上では、土葬したり焼骨を納める「お墓」を作っていいと都道府県知事の許可を受けた区域を「墓地」と言います。
墓地と霊園の違い
「霊園」とは、植樹などをして公園風に造られた墓地を言います。
法律上の「墓地」の中に、「霊園」も含まれます。
あるいは、「霊園」に対して、お寺の墓地のみを差して「墓地」という場合もあります。
公営や民営の墓地は、「霊園」と呼ばれることが多いです。
対して、寺院墓地には「霊園」という言葉は使いません。
墓地と墓所の違い
墓所とは、墓地の中にあるお墓を建てるための区画を言います。
墓地には管理棟や休憩所など、墓域ではないスペースもありますが、ここは墓所とは言いません。
運営形態で考える墓地の種類4つ
墓地の種類は、経営主体や運営形態によって分けることができます。
墓地の種類には、大きく以下の4つが挙げられます。
運営形態で考える墓地の種類
- 公営霊園:経営主体が自治体
- 寺院墓地:経営主体が寺院で管理も寺院
- 民営霊園:経営主体が宗教法人または非営利団体で、運営管理は民間
- 共同墓地:地域の墓地管理委員会が運営するお墓
公営霊園
公営霊園のポイント
- 地方公共団体が経営主体になる
- 使用者は随時募集しておらず、抽選で決めることも多い
- 永続性において安心で、年間管理費が安い傾向にある
- 原則、居住要件や遺骨の有無などの応募要件が設けられる
公営墓地とは、地方公共団体が経営主体となって運営されている墓地です。
経営の永続性について最も信頼できる墓地形態で、人気があります。
都市部などにある人気の公営霊園では、使用者は抽選で決められます。
自治体がHPや広報誌で発表する募集期間に応募し、抽選で受かると墓地を使用できます。
募集には、居住地や遺骨の有無などの要件が設けられる場合が多く、該当しなければ応募できます。ほとんどの公営霊園では、経営する自治体に住んでいることが条件になります。
年間管理費や面積当たりの墓地の使用料が安く、費用のために公営霊園を選ぶ人も少なくありません。
ただし、面積当たりの墓地の使用料が安くても、大きな面積の墓所しかない場合は、墓石代も合わせると他の霊園でお墓を建てるよりも高くなることがあります。
※公営墓地については、『公営墓地とは?』で詳しく解説しています。
寺院墓地
寺院墓地のポイント
- 寺院が経営主体となり、ほとんどの場合で境内にある
- 原則お寺と家の宗派が一致しており、かつ檀家になる必要がある
- 檀家になると仏事をワンストップで頼める一方、経済的にお寺を支えることになる
- 樹木葬などの永代供養墓では、宗派や檀家などの条件を設けないことも多い
多くの場合は、寺院の境内地に設けられています。
寺院墓地の最大の特徴は、檀家制度です。
檀家とは、その寺院で仏事全般をお世話してもらう代わりに、経済的に寺院を支える家のことを言います。
寺院墓地の多くは、その寺院と同じ宗派を信仰している人でなければ使えません。
加えて、基本的には檀家になることを条件にしています。
檀家になると、葬儀や法事などの仏事は全てそこのお寺にお願いすることになります。
お寺によっては、寄付や合同法要の参加なども義務付けられます。
檀家制度は、仏事をワンストップで頼める点が魅力です。
一方で、日ごろからのお寺の付き合いなどが煩わしく感じる人には、お勧めできません。
なお、樹木葬や納骨堂などの、永代供養墓については、宗派や檀家などの制限を設けていないことも多くあります。
民営霊園
民営霊園のポイント
- 宗教法人や非営利団体が経営主体となり、管理などは民間がしている
- 基本的に宗教を問わない公園風の霊園
- 設備やサービスが充実している一方、年間管理費は少し高く設定される
- ほとんどの場合で特定の石材店でのみ工事ができる「指定石材店制度」を設けている
民営霊園とは、宗教法人や非営利団体などが主体となり、公益事業を目的として造られる墓地です。
実質の運営自体は石材店などの民間業者が担います。
多くの民営霊園では宗教の縛りがなく、檀家などのお寺との付き合いも不要です。
花木を植えて公園風のデザインにしているものが多く、宗教色も薄いと言えます。
ほとんどの民営霊園では、「指定石材店制度」が設けられています。
指定石材店制度とは、決められた石材店だけがその霊園で工事ができるという制度です。
複数の石材店が指定石材店となっていることがありますが、一度ある石材店の客になると、その後他の指定石材店に頼む、ということができなくなります。
石材店を自分で決めたい方は、見学の際は直接現地に行かず、目当ての石材店に電話して案内してもらうようにしましょう。
管理棟や水場、休憩スペースなどのサービスが充実している傾向にあり、その分年間管理費は少し高く設定されます。
共同墓地
共同墓地のポイント
- 古くからその地域で自然発生的にできたお墓
- 地域の墓地管理委員会が運営する
- サービスや設備が充実していない分、年間管理費も安い
- 古くから地域にあるお墓なので永続性も安心
共同墓地とは、古くからその地域で自然発生的にできた墓地のことを言います。
墓地、埋葬等に関する法律が制定される前から存在しているので、例外的に地域の墓地委員会が経営主体になることが認められます。
一般的には徒歩などで通える周辺住民の使用を想定しています。
墓地の性格上、サービスや設備は充実しておらず、その分年間管理費も安く設定されています。
古くからその地域に根付いている墓地なので、永続性に関しても安心です。
お墓の種類
墓地の種類だけでなく、お墓の種類について知っておくと、お墓を探すときに役立ちます。
最近では、従来の墓石を建てるタイプでなく、新しいお墓も登場しています。
一般墓
一般墓のポイント
- 従来の墓石を建てて代々引き継いでいくお墓
- 末永くお墓を使って行きたい人にはおすすめ
- 原則は本家の家族で引き継いでいく
- 誰が入れるかは、墓地の名義人と墓地の利用規約による
一般墓とは、従来の墓石を建てて代々引き継いでいくタイプのお墓です。
原則、お墓は本家が代々引き継いでいき、分家は新たに墓を建てて、その家でまた引き継いでいきます。
ただし、未婚の子や子どものいない夫婦も、本家の墓に入れることもあります。
誰がお墓に入れるかは、お墓の名義人の意向と、墓地の利用規約によります。
一度お墓を買えば、引き継ぐ人は新たにお墓を買う必要がありません。
一つのお墓に何人も納骨できるので、末永くお墓を使って行きたい人には一般墓がおすすめです。
樹木葬
樹木葬のポイント
- 樹木や草花を墓標とするお墓
- 土に還るタイプと、還らないタイプがある
- 継承を前提としないので、跡継ぎがいなくても使用できる
- 基本的には少人数向け
樹木葬とは、墓石ではなく樹木や草花を墓標とするお墓です。
国内の樹木葬は山林の樹木の下に遺骨を埋葬して土に還すものから始まりましたが、最近では骨壺で樹下の石室に埋蔵し、土に還さないものもあります。
少人数向けのお墓で、継承を前提としないために跡継ぎがいなくても利用できます。
あるいは、自分や夫婦、家族だけで利用したい人、友人同士でお墓に入りたい人などにもおすすめです。
樹木葬について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
参考:樹木葬とは?費用・購入の流れとメリット・デメリット4選
納骨堂
納骨堂のポイント
- 屋内に遺骨を収蔵する施設
- 屋内なので季節や天候を問わずに快適にお参りできる
- 承継しなくても、承継してもいい納骨堂も多い
- 継承不要のお墓としては費用は高い傾向
納骨堂とは、屋内に遺骨を収蔵する施設です。
ロッカー式、仏壇式、自動搬送式(マンションタイプ)など様々な種類があります。
屋内のお墓なので、季節や天候を気にせず快適にお参りできる他、お墓の掃除なども不要です。
納骨堂も継承不要で利用できることが多いものの、継承してもいいという所も多くあります。
継承不要のお墓としては費用が掛かる傾向にありますが、一般墓よりも費用は抑えられます。
合葬墓(合祀墓)
合祀墓のポイント
- 他の人の遺骨と一緒に埋葬されるお墓
- お墓の中では最も費用を抑えられる形式
- 一度埋葬した遺骨は二度と取り出せない
合葬墓とは、不特定多数の遺骨を一緒くたにして埋葬するお墓です。
「合わせて祀る」という宗教的な意味合いから、「合祀墓」ということもあります。
お墓の種類としては最も費用を抑えられるもので、安いものだと3万円/1人で埋葬してもらえます。
ただし、一度埋葬した後は二度と遺骨を取り出せなくなるので、注意が必要です。
葬送の費用をできるだけ抑えたい方や、墓じまいなどで複数の遺骨をいっぺんに供養したい方におすすめです。
お墓を持つメリット
さらにお墓を持つメリットには以下のようなことも挙げられます。
- 親族や周囲から批判されなくて済む
- 合祀と比べて個人墓、家墓であれば他の人の遺骨と故人の遺骨が混ざらないので、精神的に安心できる
- 故人に対してお参りをする場所ができる
- 納骨堂は災害などで建物が倒壊したら遺骨のありかもわからなくなるが、お墓であればそのようことはない
- 合祀に比べて個人墓、家墓であればあとで遺骨を取り出して改葬したり、永代供養したりできる
- 自分の宗教心を守ったり、常識に沿っているという安心感をえることができる
お墓を建てる意味とは「故人の遺骨を埋葬する場所を確保する」ことと「先祖の存在を確認できる墓標を設ける」ことです。
さらに宗教上は故人が成仏して極楽に行けるようにするためにはお墓が必要という考え方もあります。これらの意味を達成することができるのが、お墓を建てる最大のメリットでしょう。
お墓を持つデメリット
お墓を持つデメリットには、以下のようなものがあります。
- 経済的な負担が少なくて済む
- お墓の管理が不要。さらに永代供養にしてしまえば、故人を供養することもできる
- 子供に精神的、経済的、時間的、物理的な負担を引き継がなくて済む
- 樹木葬や散骨にしてしまえば、自然に還りたいという故人の希望を叶えられる
- 人によっては合祀をした方が亡くなった後もさびしくないと思える
- 手元供養にすればいつでも故人にお参りすることができる
- お墓を継承する人がいなくなって無縁墓になる心配がない
まとめ
墓地の種類と墓地を持つメリットとデメリットを解説しました。
墓地は一般的に取得する場合、150万から300万円必要だといわれる高価な買い物です。
ですから墓地を持つという場合でも、まず以上の解説を参考に、自分の価値観に合致し、なおかつ経済的に許せるような墓地の種類を選択しましょう。
墓地・霊園をお探しですか?
お墓さがしでは、全国にある樹木葬、納骨堂、永代供養墓、墓石のお墓を建てられる霊園などを掲載しています。
ご希望のエリアや条件に合ったところがないか、こちらからぜひ一度ご覧ください。