永代供養でもお布施は必要?費用相場や封筒の書き方
永代供養が付いているお墓といえば、後継ぎがいらず、宗教の制限も少ないイメージがあります。
多くの場合は檀家などにならずに利用できるので、お寺と深い付き合いを持ちたくないという方も、多くの選択肢から選ぶことができます。
しかし、遺骨を永代供養にしても、お布施が必要になることがあります。
今回の記事では、永代供養をした後に必要になるかもしれないお布施について解説します。
なお、永代供養全般については、『永代供養とは?』で解説しています。
また、永代供養の費用について詳しく知りたい方は、『永代供養の費用はどれくらい?』をご覧ください。
目次
お布施とは
布施(お布施)は、仏教における修行の一つで、施しを与えることを言います。
布施は大きく「法施」と「財施」に分けられます。
法施は仏法を説くこと、財施は食べ物や服、お金などの物品を施すことです。
(経典によっては、恐怖を取り除く「無畏施」が布施に入ります。)
出家者が在家者に「法施」をし、在家者が出家者に「財施」をすることが一般的です。
今日私たちが僧侶に渡す「お布施」は、財施にあたります。
読経のお礼にお布施を渡すという認識が定着していますが、仏教上は、修行としてお布施を渡す、という位置づけになります。
永代供養とは
永代供養とは、将来にわたる長い期間、供養を続けることを言います。
ただし、今日では、「お寺などの墓地管理者が親族に代わって故人を供養する」という意味で広く認知されています。
以下、本記事でも、永代供養は「お寺などの墓地管理者が親族に代わって故人を供養する」ことを指すものとします。
永代供養墓とは
永代供養をしてもらえるお墓を、「永代供養墓」と言います。
永代供養墓は承継を必要としないので、跡継ぎがいない方、子どもにお墓の負担を残したくない方、家族にとらわれないお墓を持ちたい方などに選ばれています。
現在では、従来のような墓石を建てるお墓を永代供養墓とすることはまだ少なく、樹木葬や納骨堂、合祀墓などが永代供養墓として多く販売されています。
お布施が必要なタイミングと費用相場
お布施といえば「檀家がお寺に納める」というイメージがありますが、永代供養墓は、檀家にならずに使用できるものが多くあります。
しかし、遺骨を永代供養墓に納める場合でも、都度の法要などではお布施が必要です。
納骨法要
お墓に遺骨を納めるときの法要を、「納骨法要」と言います。
お布施の相場は、3万~5万円程度です。
また、納骨法要と併せて、四十九日や一周忌などの他の法要も営む場合の相場は、5万~10万円程度です。
納骨法要の具体的な内容は、墓前での読経です。
納骨法要は、墓石のお墓に限らず、樹木葬、納骨堂、合祀墓などの永代供養墓に納骨する際も営まれます。
ただし、納骨法要のときのお布施を、お墓の販売価格に含めている墓地もあります。
この場合は、納骨時に別途お布施を包む必要はありません。
例えば、合祀墓では定期的に複数人を一度に納骨し、親族は納骨時に立ち会わないこともありますが、この場合はお布施を改めて包むことはありません。
年忌法要
一周忌、三回忌などの年忌法要を営む場合も、お布施を包みます。
お布施の相場は、3万~5万円程度です。
ただし、親族やお寺の意向によっては、必ずしも年忌法要をする必要はありません。
お寺から他の会場に僧侶が出向くような場合は、別途お車代として5千~1万円程度(実費がそれ以上であれば実費を上回るキリのいい金額)を包みます。
さらに、僧侶が法要後の会食に参加しない場合は、御膳料として5千~1万円程度包みます。
その他の法要
この他にも、僧侶を呼んで読経してもらう場合はお布施が必要です。
例えば、お盆やお彼岸にお経を上げてもらうような場合です。
また、後々にお墓を引っ越す場合は、その前に「閉眼供養」という法要が必要です。
檀家・信徒になる場合
墓地の規約などにもよりますが、お寺の檀家や信徒にならない場合は、法要以外でお布施が必要になることは基本的にありません。
一方で、お寺の檀家や信徒になって永代供養墓を使用する場合は、この他にお布施が必要になることがあります。
檀家や信徒になれば、葬儀は必ずそこのお寺に依頼します。その際、ほとんどの場合で戒名も必須ですから、戒名料がかかります。
あるいは、本堂の修繕など、都度のタイミングでお布施を依頼されることもあります。
どういうタイミングでどの程度のお布施が必要になるかはお寺によります。
檀家や信徒になったからといって、法要以外のお布施がかからないお寺もあります。
永代供養にしても法要はする?
遺骨を永代供養墓に納めた後も法要をするべきかというと、必ずしもそうではありません。
お墓を使用す条件として法要が必須であれば営む必要がありますが、そうでなければ、遺族の意向で法要をしなくても構いません。
逆に、永代供養墓に入れてしまったら法要をしてはいけない、ということもありません。
お布施の封筒と書き方
お布施の包み方について解説します。
封筒のマナー
お布施は、白無地の封筒に包みます。郵便番号が印刷されていない、一重のものを選んでください。
ただし、地域によっては黒白や黄白の水引をかけることもあります。
表書きは、「御布施」または「お布施」と書きます。筆または筆ペンを使用します。薄墨ではなく、普通の墨を用います。
裏面(中袋がある場合は中袋)には、郵便番号、住所、氏名、電話番号を書きます。
お札のマナー
葬儀の香典に新札を使うと用意していたようで失礼と言われますが、御布施に包むお金はむしろ新札を用意したほうが丁寧です。
お札は、封筒の表が見える状態から取り出したときに、肖像画が見えるように向きを揃えます。
お布施の渡し方
お布施は、切手盆という小さなお盆に乗せて渡す方法が丁寧ですが、切手盆がなければ、ふくさの上に乗せて渡しても失礼にあたりません。
お布施は両手で差し出し、僧侶から表書きが読める方向で渡します。
渡すタイミングは、法事の前に僧侶に挨拶をしたときが望ましいですが、時間がなければ法事の後でも構いません。
永代供養料とは
永代供養料とは、お寺や墓地に故人の供養をお願いするためのお金です。
お墓の契約時に、決められた金額を支払います。
墓地が「永代供養料」と表示している中に、墓所使用料、彫刻料、納骨手数料、納骨法要のお布施、戒名料など、他の費用を含めることがあります。どこまでの費用を含めるかは、契約前に必ず確認しましょう。
永代供養料の包み方
永代供養料は、白無地の封筒に包んで支払います。
表書きは「永代供養料」とします。
ただし、浄土真宗では、故人は亡くなった瞬間に浄土に行くとされているので、故人が浄土に行けるように供養するという考えがありません。そのため、表書きは「永代経懇志」とします。
裏面には、氏名を記入します。指定があれば、住所や電話番号なども記入します。
まとめ
遺骨を永代供養墓に納骨しても、法要の際にはお布施が必要です。
一回の法要で包むお布施の相場は、3万~5万円程度です。
納骨法要のお布施はお墓の初期費用に含まれることもありますが、そうでなければ別に包んで当日お渡しします。
一周忌や三回忌などの年忌法要の際ももちろんお布施を包みます。ただし、お墓の契約の条件になければ、年忌法要自体必ずしもしなくても構いません。
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永代供養でもお布施は必要?費用相場や封筒の書き方に関する記事
永代供養をしたときのお布施に関するよくある質問
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永代供養墓に納骨した後も、お布施は必要なのでしょうか。
納骨法要や年忌法要など、僧侶に読経してもらう場合は必要です。ただし、納骨法要のお布施は、お墓を契約したときの初期費用に含まれることがあります。また、檀家や信徒になる場合は、都度お布施を依頼されることがあります。
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永代供養にした後も、年忌法要は続けるのでしょうか。
お墓を契約した墓地やお世話になっているお寺との間に取り決めがなければ、続けなくても構いません。
経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。