五輪塔のお墓の意味を詳しく解説!由来や宗派との関係

  • 投稿日:2019/03/20
  • 更新日:2021/11/18
五輪塔のお墓の意味を詳しく解説!由来や宗派との関係

新たにお墓を建立しようと考え検討していると、五輪塔という言葉にぶつかるかもしれません。
この五輪塔とはいったいどのようなものなのでしょうか。そしてどのような人が建立するのでしょうか。
今回の記事では、五輪塔について解説します。

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五輪塔とは何か

まず最初に五輪塔とは何かということについての解説です。

五輪塔とは

五輪塔とはお墓として建てられる墓石の形状の一種類です。
あるいは供養塔としても建立されます。別名を五輪卒塔婆とも言います。

そもそも五輪塔はどこが発祥かというと、インドという説が有力です。
もともとは手のひらに乗るような小さな容器として作られ、その中には遺骨を入れていました。
それが平安時代に日本に伝わった段階で、石材で同じ形ものを作り、それをお墓や、供養塔としたのです。

しかしインドには五輪塔の遺跡はないので、一方では経典の内容に基づき日本で考案されたとも言われています。

五輪塔の基本的な形は、5つの石材の輪を重ねたものです。下から六面体の方形、球形の水輪、宝形(ほうぎょう)屋根型(三角形)の火輪は、半球形の風輪は、宝珠型の空輪で、それぞれを石で作成し、積み上げます。
五輪塔は全体で人間そのものを表し、個々の部位は人間の身体を構成するものと対照になっています。

具体的には

・地輪(方形):肉体
・水輪(球形):血液
・火輪(三角形):体温
・風輪(半球形):呼吸
・空輪(宝珠型):以上の4つが融合し調和している状態

です。

同時にこの5つは五大と言って、地、水、火、風、空と、古代インド哲学における宇宙の構成要因も示しています。
つまり五輪塔は人間の身体であると同時に宇宙そのものも表しているのです。

さらに五輪塔を開眼供養すると、ここに「識」という魂が加わって、五大が六大になり、初めて宇宙、すなわち人間が成立するとされています。
したがって、ほかのお墓のそうですが特に五輪塔は開眼供養を行わないと作った意味がないのです。

また五輪塔が普及した時には日本の仏教の中心は密教でしたが、その教義の1つの胎蔵界によれば、5つの要素は、大日如来、宝幢菩薩、開敷華王、無量寿菩薩、天鼓雷音の五仏と解釈する場合もあります。

この考え方では、五輪塔は宇宙そもものを体現している大日如来であり、この大日如来を型どったお墓に埋葬されることで、五輪塔に刻まれた戒名が示す故人が大日如来によって救済され、成仏するとされています。

五輪塔の各部分には梵字、すなわち古いインド文字で、地、水、火、風、空の五大を彫ることが一般的ですが、このほかに漢字で彫る場合もあります。
そもそも五大ではなく、南無阿弥陀仏と彫ることも鎌倉時代以降の五輪塔には見られます。

また五輪塔を上から見ると正方形で、4つの面を持っていますが、四方正面という考えによって、どちらを東西南北のどの方向に向けなければならない、ということはありません。

五輪塔を作るには身分が高いことが必要?

平安時代に作られるようになった五輪塔は当初は貴族などの身分の高い人のためのものでしたが、室町時代になると5つの部材ではなく、1つの石で彫った五輪塔が一般庶民のために作られるようになりました。

さらに鎌倉時代から戦国時代にかけて、五輪塔は武将のお墓として用いられることが多くなったため、そのような武将にあこがれて自分のお墓を五輪塔にする人も増えていきました。

したがって、五輪塔は必ずしも身分の高い人でなければ建てられないというものではありません。
特に五輪塔を建てるということ自体が極楽浄土に往生することと直結している信仰もあり、そのため極楽浄土に生まれ変わりたいという人がお墓を五輪塔にするケースも多いのです。

ただし、五輪塔は江戸時代中期に現在の和型墓石が出現すると、和型墓石にとってかわられ、作られる機会は減っていきました。
五輪塔が何か特別のもののような気がして、自分のお墓を五輪塔にするのをためらう気分がするのは、そのためでしょう。

五輪塔の場合納骨はどうする

五輪塔は形が一般的なお墓と異なっているだけで、本質的な意味は私たちがよく知るお墓と変わりません。
したがって、五輪塔に納骨する方法にも大きな違いはありません。
ただし、和型墓石には水鉢を外して納骨するタイプのものもありますが、五輪塔には水鉢に相当する部分がありませんから、同じよう納骨方法は基本的にできません。

水鉢を外す以外に、五輪塔で納骨する方法には以下のようなものがあります。

拝石納骨

拝石納骨とは、五輪塔の前に設置されている香炉や花立が乗っている部分の、拝石と呼ばれる板石を動かして納骨室を開け、そこから納骨する方法です。
拝石納骨のメリットは、場所が比較的高い位置なので、納骨作業がしやすいということです。
また隙間をしっかり密封すれば、内部に雨水などが入り込むことを防げます。

納骨蓋からの納骨

もう1つの納骨方法が、納骨蓋を外して行うことです。
五輪塔の土台部分の中央には納骨蓋というものが設置されています。
納骨蓋を取り外して納骨室への通路を開き、そこから納骨するわけです。

納骨蓋からの納骨のメリットは、他の納骨方法と比べて非常に簡単に納骨をすることができる点です。
また構造上納骨室内を広く作成できるため、多くの骨壺を納めることが可能です。

ただしデメリットとしては、しっかり密封しないと雨水が内部に入りやすいという点と、納骨蓋が低い位置にあるため作業がしにくい点が挙げられます。

五輪塔とお墓の違いは

五輪塔は基本的にお墓の形式の1つですが、詳細に見るとお墓と相違点があります。
相違点とはそもそもの五輪塔の日本のおける発祥の経緯です。

五輪塔が全国に広がっていった契機は、「高野聖(こうやのひじり)」という僧侶のグループによる力が大きいです。
高野聖は、日本の密教の1つである真言宗の創始者である空海が、道場として開いた和歌山県の高野山に所属する僧侶です。

この高野聖が、高さ15cm程度の小さな木製の五輪塔を持ち、全国を行脚して「人が亡くなった時に、五輪塔にお骨や遺髪、写経を納めると、故人は必ず成仏し、極楽往生できる」と説きました。
そして持参している五輪塔を販売しました。この五輪塔を販売したお金が真言宗のお寺などを創建する原資になったのです。

ですから五輪塔は真言宗の教義を広めるために使われた一方で、真言宗の集金ツールとしても使われたわけです。
この高野聖たちの「布教」活動によって、五輪塔はお葬式やお墓と深く関係することになって普及し、やがて五輪塔自体が木製が石造りに変わってお墓の代替になっていったのです。

鎌倉時代から室町時代のお墓の8割以上は五輪塔だった言われ、約300年間はお墓と言えば五輪塔のことを指していました。

五輪塔の文字の刻み方

先ほど書いたように五輪塔には基本的に五大の文字が梵字で刻まれます。
読み方は「キャ、カ、ラ、バ、ア」ですが、鎌倉時代の末期から室町時代になると五大の代わりに「南無阿弥陀」や「南無妙法蓮華経」という文字が彫られるようになりました。

このことは、鎌倉時代から、五大を教義としている密教に変わって、曹洞宗などの禅宗が武士階級を中心に広がったこととと、浄土真宗や日蓮宗などが庶民階級を中心に広がっていたことと密接に関係しています。

近代では、五輪塔は宝篋印塔と共に合祀供養塔として使われることが多くなりました。
永代供養などで異なった親族を一緒のお墓に埋葬し、その上に供養塔を建てますが、その供養塔は多くの場合五輪塔です。

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真言宗など宗派と五輪塔は関係あるか

先ほど少し書いたように、五輪塔は仏教の宗派の教えの内容と密接な関係にあります。
ですから宗派によって五輪塔の示す意味もか変わりますし、そもそもお墓を五輪塔にするかどうかという点も違います。

五輪塔を最初に普及させた密教の一派の真言宗では、そもそもの考え方に沿って、真言宗を帰依している人のお墓は五輪塔にすることが一般的です。

逆に庶民の間に広まった浄土真宗では、五輪塔だけではなく、五輪塔を簡略化し薄板にした「卒塔婆」も造らないことが一般的です。
この理由は、浄土真宗では亡くなった瞬間に故人は仏の力によって成仏してしまうため、そもそも先祖供養という教義概念が無いためです。

浄土真宗の開祖である有名な親鸞上人自身、「自分が死んだら、遺骸は鴨川に流して魚のエサにするように」と遺言したと伝えられているほどです。

五輪塔のお墓の値段

現代においても、特に仏教に詳しければ詳しいほど、自分のお墓は五輪塔にしたいという人がいます。
では自分のお墓を五輪塔にする場合、費用はどの程度かかると考えればよいのでしょうか。

結論から言うと、五輪塔を建立した場合も普通の和型のお墓を建立した場合も、費用的にはほぼ同じです。
具体的には和型の墓石の建立費用は一般的には100万円から300万円が相場なので、五輪塔を建てる場合でも同様の費用がかかると見てよいでしょう。

シンプルな和型墓石と複雑な形の五輪塔の建立費用が同じというのは少し意外な気がしますが、シンプルだと思われる和型の墓石も1つの石材で構成されているのではなく、実際はいくつかの部材から成り立っています。ですから結果的には和型墓石も五輪塔も同じだけの材料費と加工賃が必要なのです。

まとめ

史跡などを観光すると古い時代の著名人のお墓が五輪塔であるのをよく見ますが、実は現代においても、社会的地位に関係なく五輪塔のお墓を建立できるということに、少し驚いたのではないでしょうか。

五輪塔にはここで解説したような意味が込められていますから、その教義に感銘を受けた人は、自分のお墓を五輪塔にすることも検討の範囲に加えたらいかがでしょうか。

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