洋型墓石が大人気!形や彫刻などのデザインと費用を解説
墓石の基礎知識:各部の名称・価格・石材の種類・彫刻
墓石にはどんな加工や彫刻ができるのか、どんな石材が使用できるのかなどを知っておくと、お墓を建てる際の選択肢になります。
納得のいくお墓を建てるために、墓石の基礎知識をおさえておきましょう。
記事のポイント
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「先祖代々之墓」などの彫刻をするお墓の顔になる墓石を「竿石(棹石)」、区画の囲いとなる墓石を「外柵」と言います。
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全優石が2023年に実施したアンケートによると、墓地取得費用を除いた墓石の購入金額は全国平均で170.7万円でした。
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墓石の形は大まかに、「和型墓石」「洋型墓石」「デザイン墓石」があります。
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墓石には、国産、中国産、インド産の石材が広く使われています。
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墓石の彫刻は、墓地の利用規約内で自由に入れることができます。
目次
墓石の各部の名称
以下に、和型墓石の例と、各部の名称の例を上げます。
なお、墓石の形や名称は、地域などによって差があります。
お墓の各部の名称
お墓の各部には、次のような役割があります。
竿石(さおいし)
お墓の顔となる、一番上の石です。
和型墓石なら、「〇〇家之墓」「先祖代々之墓」などと刻まれていることが多いでしょう。
和型墓石では側面に戒名、背面に建立者を、洋型墓石では側面に建立者背面に戒名を彫刻することがあります。
「棹石」と表記することもあります。
上台(じょうだい・うわだい)
竿石を支える部分です。ここに建立者を彫刻することもあります。
中台(ちゅうだい・なかだい)
上台の下にあります。香炉と花立てをここに組み込むこともあります。
芝台(しばだい)
石塔を一番下で支える部分です。「下台」と言うこともあります。
拝石(はいせき)
石塔の前、足元に設置する石です。カロート(納骨室)の蓋の役割もあります。
敷石(しきいし)
床に当たる部分に敷く石材です。
外柵(がいさく)
区画の境界を示すための囲いです。
墓石の付属品の名称
お墓を建てると、次のようなものも一緒に施工することが一般的です。
ただし、宗教や墓地の広さによって、備えない場合もあります。
墓誌(ぼし)
納骨されている方の戒名などを刻む石版です。
香炉(こうろ)
線香を供えるためのものです。中に香皿をおいて、線香を寝かせて供えます。香皿ではなく、香立てが付いているものもあります。
水鉢や花立と一体化していることもあります。
花立(はなたて)
花を供えるためのものです。石材に取り外せる金属の筒を差し込んだり、そもそも石材を使用しない金属製のものもあります。
水鉢(みずばち)
水を供えるためのものです。天板のへこんでいる部分に、きれいな水を流し込みます。
塔婆立(とうばたて)
卒塔婆を立てるためのものです。
墓石のデザインと加工
墓石には、大きく、和型墓石、洋型墓石、デザイン墓石があります。
和型墓石
和型墓石は、いわゆる昔ながらの縦に長いお墓です。
芝台の上に、中台、上台、竿石と角柱を重ねていく形が基本です。
あるいは、角柱ではなく、五輪塔を建てることもあります。
墓石の加工の方法には、様々なバリエーションがあります。
竿石の上部
竿石の頭の部分は、加工のパターンがいくつかあります。
例えば、次のようなものがあります。
- 香箱:曲線で段を付ける
- トキン:先が尖っている。神道のお墓に多い
- 陣笠:四隅が跳ね上がっている。比較的関西圏に多い
台座
竿石と上台の間に、台座を挟むことがあります。
「蓮華台」や、蓮華台を簡略化した「スリン」と呼ばれる加工などがあります。
上台
上台は、上面を平らなまま設置することもありますが、次のような加工をすることもあります。
- 水垂加工:水が流れるように外側に向かって勾配をつける
- 亀腹加工:外側に向かって滑らかな曲線をつける
洋型墓石
洋型墓石は、戦後に公園のような雰囲気のいわゆる「霊園」形式の墓地が増えるのに合わせて広まりました。
通常竿石は横長で背が低く、上台や中台が省略されることもあり、和型墓石に比べるとシンプルな作りになります。
和型墓石に比べると決まりなどが少なく、デザインの自由度が高くなります。
大まかには竿石のデザインを、いくつかの種類に分けることができます。
- ストレート型:正面を真っ直ぐな平面にカットします。
- オルガン型:正面が角度の違う二面で構成されます。立体感があります。
- プレート型:プレートのような平らな石材を設置します。
洋型墓石についてより詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
デザイン墓石
デザイン墓石は、洋型墓石がより自由に設計されるようになったものです。
施主の要望を聞きながら石材店がオーダーメイドで設計することはもちろん、石材店がすでにデザイン墓石のラインナップを持っている場合もあります。
石材のほか、ガラスなどの他の素材が取り入れられることもあります。
霊園や区画によっては墓石形状やサイズなどの制限が厳しいことがあるので、デザイン墓石を建てたい場合は、かならず事前に区画の制約を確認しましょう。
墓石の大きさ
墓石の大きさは、おおむね墓所の広さによって決まります。
和型墓石には竿石の大きさにある程度の決まりがありますが、洋型墓石やデザイン墓石はさまざまなサイズで設計されます。
和型墓石の大きさ
和型墓石では、竿石が「8寸角」「9寸角」「尺角」のいずれかであることが多いでしょう。
「8寸」「9寸」「尺」、は竿石の横の長さです。
「1寸」は約3.03cm、「1尺」は10寸と同じ長さで、約30.3cmです。
つまり、竿石の横の長さがそれぞれ、「8寸角」なら約24.2cm、「9寸角」なら約27.3cm、「尺角」なら約30.3cmとなります。
お墓の他の部分は、竿石や墓所の広さにあわせてサイズが変わります。
洋型墓石の大きさ
洋型墓石のサイズにはこれといった決まりはなく、様々な大きさのものが見られます。
洋型墓石のサイズは「cm」または「号」で表します。これも竿石の横の長さです。
「号」は「寸」と同じで、約3.03cmです。
例えば、「20号」の洋型墓石であれば、棹石の横の長さが約60.6cmのお墓です。
お墓の大きさについて知りたい方は、こちらもご覧ください。
墓石の彫刻
墓石の彫刻は、利用する墓地が規約で定める範囲内であれば、自由に決めることができます。
ただし、形状の違いから、和型墓石と洋型墓石では、彫刻の傾向が違います。
和型墓石の彫刻
縦に長いので、一文字または二文字の彫刻はあまり見られません。
昔ながらのイメージも相まって、次のような彫刻が定番です。
和型墓石の彫刻の例
- 先祖代々之墓
- 〇〇家之墓(神道の場合は「〇〇家之奥津城(奥都城)」)
- 「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」などの仏教的な文言
洋型墓石の彫刻
洋型墓石は和型と比べて正方形に近い横長で、宗教的な雰囲気も薄く、彫刻の自由度がより高くなります。
もちろん和型墓石に彫刻するような家名や「南無阿弥陀仏」を彫刻することもありますが、一文字の彫刻でもデザインしやすく、余白に花などの図案を施すこともあります。
洋型墓石の彫刻の例
- 「心」「愛」「絆」などの漢字一文字
- 「希望」「感謝」「悠久」などの漢字二文字
- 「ありがとう」「やすらかに」などの文章
- 聖書の一節や十字架などのキリスト教的な彫刻
- 花や動物などのイラスト
その他の彫刻
竿石以外にも、花立てや水鉢の全面にデザインを入れることもあります。
一般的には家紋が多いですが、花などのイラスト、両家墓であればそれぞれの家名などを入れます。
墓石に使われる石材の種類
墓石に使用される石材は、産地で見ると、国産、中国産、インド産、その他の外国産という風に分けることができます。
必ずしも国産だからといって品質が良く、外国産だから品質が悪いというわけではない点に注意しましょう。
また、石材の価格は「希少性」に大きく左右されるので、高価だから必ずしも丈夫というわけでもありません。
石材を選ぶには、石目の美しさ、色、耐久性、価格、産地のブランドなど、いくつかの要素を考えてみましょう。
以下に、代表的な石材の種類を紹介します。
名称 | 庵治石 | 本小松石 | 大島石 | 真壁石(小目) | 天山石 | 紀山石 | 青糠目石 | 浮金石 | 万成石 | 磐梯みかげ | 吹雪石 | 芝山石 |
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産地 | 香川県 | 神奈川県 | 愛媛県 | 茨城県 | 佐賀県 | 福島県 | 茨城県 | 福島県 | 岡山県 | 宮城県 | 福島県 | 福島県 |
名称 | G688 | AG98 | 北大青 | 河北山崎 | G603 | G623 | G663 |
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名称 | マハマブルー | アーバングレー | YDK | M-1H | ニューインペリアルレッド | 銀河 |
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名称 | ブルーパール | インパラブルー | ファイングレイン | バルチックキング | ラステンバーグ |
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墓石の種類や色について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
墓石の値段はどれくらい?
全優石が2023年に実施した、第36回(2023)全国統一 全優石 お墓購入者アンケート調査結果発表によると、墓地取得費用を除いた墓石の購入金額の全国平均は、170.7万円でした。
「墓地取得費用を除いた墓石の購入金額は、150万円以上~200万円未満が最も多く22.3 %、次いで200万円以上~300万円未満が17.2%、120万円以上~150万円未満が14.2%でした。」
「平均購入価格を計算してみると、全国平均で170.7万円」
墓石の価格について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
お墓を建てる流れ
検討からお墓を建てるまでの流れは、おおまかに以下のようになります。
なお、こちらは「墓石のお墓」を建てるまでの流れです。
合葬墓など、墓石を用いないお墓の場合は、墓石工事に関連する過程が省略されます。
墓石が傷んでしまったら
石材は自然素材としては丈夫な部類ですが、やはり長く使っていると傷んできます。
例えば、墓石にヒビが入ったり、欠けたり、目地が割れたり、などということが起こります。
傷んだままにしておくとそこから更に墓石が劣化していくので、気がついたら早めに修繕しましょう。
まずは、お墓を建てた石材店に連絡すると良いでしょう。
お墓の修繕については、こちらの記事をご覧ください。
また、お墓のリフォームを機に、個人墓や夫婦墓、あるいは両家墓などで石塔がいっぱい建っていたものを、一つにまとめるという方もいます。これを、「寄せ墓」と言います。
「お墓さがし」では、お墓のリフォームのお見積りも無料で承っていますので、お墓について気になっている方は、お気軽にご相談ください。
墓石を建てないお墓はある?
「お墓」といえば墓石を建てるイメージが定着していますが、昨今では、全く違った形のお墓も登場しています。
例えば、次のようなお墓があります。
墓石を建てないお墓の例
- 合祀墓:血縁など関係なく一つの納骨室に複数人を埋葬するお墓
- 樹木葬:樹木や草花を墓標とするお墓
- 納骨堂:屋内に遺骨を安置する施設
これらのお墓は、ほとんどの場合で承継者を必要としません。
また、お墓ではありませんが、墓石を建てずに、次のような方法でも供養できます。
お墓を持たない供養の例
- 手元供養:自宅などに遺骨を安置して供養すること
- 散骨:粉状に砕いた遺骨を海や山林などの自然環境にまくこと
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
「先祖代々之墓」などの彫刻をする、お墓の顔になる墓石を「竿石(棹石)」、区画の囲いになる墓石を「外柵」と言います。
墓石の形は大きく、「和型墓石」「洋型墓石」「デザイン墓石」があります。彫刻も含めて、墓地が定める利用規約の範囲内で、お墓は自由にデザインできます。ただし、墓石の形や彫刻のルールが細かい墓地もあるので、見学の際などに確認しておきましょう。
石材は、国産、中国産、インド産のものが広く使われています。必ずしも、国産だから品質が良く、外国産だから品質が悪いというわけではありません。石材を選ぶときは、見た目や価格だけでなく、耐久性についての説明もしてもらいましょう。
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お墓さがしでは、全国の石材店をご紹介しています。
墓地をすでにお持ちの方には、墓石のお見積りを無料で対応いたします。お気軽にご相談ください。
(※墓地に出入りできる業者(指定石材店)が決まっている場合は、対応できません。)
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墓石の基礎知識:各部の名称・価格・石材の種類・彫刻に関する記事
墓石に関するQ&A
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墓石にはどんなデザインができますか?
墓石の形は大まかに「和型墓石」「洋型墓石」「デザイン墓石」があり、墓地が定める規約内で自由に決めることができます。
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墓石に彫刻する文字にはどんなものがありますか?
彫刻も墓地の規約内であれば自由に決めることができますが、和型墓石では「先祖代々之墓」、「〇〇家之墓」、「南無阿弥陀仏」などの仏教的な文言が定番です。洋型墓石やデザイン墓石では少ない文字数でも彫刻しやすく宗教的な雰囲気も薄いので、「心」「感謝」「ありがとう」など、様々な言葉が彫刻されます。
経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。