墓じまいをしてから永代供養にするまでの方法と費用を解説!

永代供養(えいたいくよう)という言葉を聞いたことはありますか?
最近では、後継者がいないという方や遺族にかかる負担を少なくしたいという方が、先祖代々のお墓を墓じまいして永代供養を選択するケースが多くなっています。
この記事では、墓じまいをしてから永代供養にするまでの流れや費用について紹介します。
なお、墓じまい全般については、『墓じまいとは?』で解説しています。
目次
永代供養と墓じまいの違いや意味
「永代供養」と「墓じまい」はセットで扱われることが多いため混同されることもありますが、それぞれ違う意味を持つ言葉です。
お墓を撤去することを「墓じまい」、お墓から取り出した遺骨の葬送の方法として「永代供養」があります。
永代供養と墓じまいの意味について詳しく見ていきましょう。
永代供養とは
永代供養とは、お寺などの墓地管理者が存続する限り故人の供養を続けてくれることをいいます。
お墓の面倒を見てくれる身内や親せきなどがいなくても、お寺に供養を任せることができるので安心です。
永代供養のシステムを採用したお墓を永代供養墓といい、跡継ぎがいない人や、1人あるいは2人だけのお墓が欲しい人などに選ばれます。
なお、遺骨を骨壺ごとに安置する永代供養墓の場合は「個別の安置期間」が設けられていることがほとんどです。
33回忌や50回忌を機に遺骨は合祀墓に移され、他の遺骨と一緒に合同で供養されます。
墓じまいとは
墓じまいとは、お墓を撤去して更地にし、お寺などの墓地管理者に敷地を返すことを指します。
お墓は地面に石が乗っているだけではなく、基礎や納骨室などの頑丈な構造物があります。
墓石自体もかなりの重量になるため、墓じまいをする場合は業者に解体工事を依頼することになります。
墓碑や外柵、納骨室などがすべて取り除かれた後、敷地を更地に戻します。
撤去された墓石は砕石場に運ばれ、砕かれて処分されます。
取り出された遺骨は遺族に返還されるか、次の納骨先に配送されます。
公営墓地や一部のお寺では業者を好きに選べるので、相見積もりを取ることができます。
共同墓地もほとんど業者の指定はありません。
一方、民営霊園では指定業者以外に工事を依頼することができないので、お墓を建ててもらった石材店に依頼することになるでしょう。
墓じまいと永代供養の費用相場
今あるお墓を墓じまいして永代供養墓に遺骨を移すには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
墓じまいと永代供養の費用相場について解説します。
墓じまいにかかる費用は20~30万円程度
墓じまいの費用総額は、20~30万円程度に落ち着くことが多いといわれています。
墓じまい費用の内訳は、以下の通りです。
- 墓石解体工事費:8~10万円/㎡
- 閉眼供養(魂抜き)のお布施:1~5万円
- 離檀料(墓が寺院墓地にある場合のみ):無料~20万円
墓石解体工事費

ただし、墓所が山の上や細道など、工事が難しい場合は、大きく相場を上回ることもあります。この墓石解体工事費には、工事にかかる人件費、石材の処分費用、機材費などが含まれています。
閉眼供養のお布施

開眼法要のために僧侶に支払うお布施の相場は、1~5万円程度です。
閉眼供養をしていないお墓は解体できないという石材店が多いため、仏式のお墓であれば閉眼供養はほぼ必須ステップになります。
離檀料

お寺にあるお墓を墓じまいする場合のみ、離檀料を支払います。
地域やお寺によっては離檀料がない所もありますし、逆に相場が高額な所もあります。
永代供養にかかる費用は3~200万円程度
一般的に、永代供養料は永代供養墓の購入費用とセットになっています。
したがって永代供養にかかる費用は、お墓の形態やお墓を使用する人数によって大きく異なります。
永代供養墓に費用相場は以下の通りです。
- 合葬墓・合祀墓: 3~30万円/1人
- 集合個別墓:10~150万円/1区画
- 樹木葬: 10~150万円/1区画
- 納骨堂: 30~200万円/1区画
合葬墓・合祀墓

特にお寺では永代供養塔などと呼ばれることもあります。
費用相場は1人あたり3~30万円程度で、永代供養墓の中では一番費用を安く抑えることができます。
遺骨が他の人のものと混ざってしまうため、一度納骨した遺骨を後から取り出すことはできません。
集合個別墓

屋外に墓石の棚のようなものを設置することもあれば、平面的に石室を整列させたものなどもあります。
合葬墓のようにすぐに遺骨が混ざるわけではなく、予定の期限内、または無期限に個別で供養されます。
樹木葬

最も安いのは合祀タイプで、一本の木の周りや地下に埋葬していくものです。ファミリー区画など区画が分かれており、かつ個別の安置期間が長いものだと1区画100万円以上することもあります。
なお、樹木葬には遺骨が土に還るタイプと還らないタイプがあるので、注意が必要です。
納骨堂

費用は種類によって異なり、1人用の位牌式や棚式は10万、戸棚に遺骨を納めるロッカー式は30-80万円、参拝室に遺骨が機械で運ばれてくる自動搬送式(マンション型)は70-100万円、仏壇と納骨スペースがセットになった仏壇式は100-200万円が相場です。
墓じまいから遺骨を永代供養墓に改葬するまでの流れ
先祖代々のお墓を永代供養墓に入れるまでの手順について順を追ってご説明します。
1.親族やお寺に墓じまいの相談をする
お墓は一族全体に関わる問題なので、墓じまいをするときは独断ではなく、まずは親戚に相談しておきましょう。
他の親戚がお墓参りに行ったらお墓がなくなっていたとなると、トラブルは免れません。
また、お寺の墓地にお墓がある場はお寺にも事前に相談する必要があります。
お寺にお墓があるお家はほとんどお寺の檀家になっています。檀家とは、お寺に仏事の面倒を見てもらう代わりに経済的援助をする家をいいます。
お寺にあるお墓を撤去するということは、自然と檀家をやめる(離檀)ことになります。
お寺からすると檀家は収入減なので、ごくたまに離檀を阻止するために高額な離檀料を要求されることがあります。
こういったトラブルを招かないためには、お寺に突然「離檀します」と言ってはいけません。
まずは決定事項ではなく、相談という形で話を始めて、相手に態度を硬化させないようにしましょう。
2.永代供養墓を決める
墓じまいの目処がついたら遺骨の引っ越し先を決めます。
相談と並行して調査は進めておいた方がスムーズです。
役所に墓じまいの申請(改葬許可申請)をするときに、引越し先の「受入れ証明書」が必要な自治体もあるので、あらかじめ見当をつけておきましょう。
3.お墓を撤去する業者を決める
次にお墓を撤去する業者を決めます。
民営霊園や一部の寺院では指定業者がいるので、事前に管理者に確認しましょう。
民営霊園なら管理事務所、寺院墓地ではお寺に問い合わせればいいでしょう。
公営墓地や共同墓地、一部の寺院では業者を好きに選べるので、複数の業者に見積もりを取ってもらう(相見積もり)こともできます。
ただし、あまり金額が安すぎる場合は悪質業者であることも考えられるので、注意しましょう。
4.今のお墓がある墓地と自治体で手続きをする
墓地から遺骨を移動する際には、自治体が発行する「改葬許可証」が必要です。
改葬許可証を発行してもらうには、現在のお墓がある自治体の役所に「改葬許可申請書」を提出します。
改葬許可申請書は役所や役所のHPで入手できます。
改葬許可申請書の提出にあわせて、「埋蔵(埋葬)証明書」「受入れ証明書」「承諾書」が必要になります。
・埋蔵(埋葬)証明書
現在の墓地管理者に発行してもらいます。
改葬許可申請書への署名捺印で代用される場合もあります。
・受入証明書
遺骨の引っ越し先の墓地管理者に発行してもらいます。
自治体によってはいらないこともあります。
・承諾書
現在のお墓の所有者に書いてもらいます。
改葬申請者とお墓の所有者が同じ場合は不要です。
5.閉眼法要をして遺骨を取り出す
お墓を撤去する際は、先祖代々のお墓から遺骨を取り出す前に、魂抜きという法要を行うのが一般的です。
魂抜きは、お墓から魂を抜くための法要です。
別名、閉眼供養(へいがんくよう)・お性根抜き(おしょうねぬき)ともいわれています。
魂抜きは、先祖代々のお墓があるお寺にお願いします。
なお、お寺で墓じまいする際は離檀料と併せてお布施を納めることもあるようです。
6.お墓の解体工事をして墓地を返還する
先祖代々のお墓があった区画は、お墓を解体し更地にして管理者に返します。
ただし、区画を分けるブロックなどは最初から設置されていた可能性もあるので、撤去するか分からないものはお寺や管理事務所に聞いておきましょう。
お墓の解体費用は1㎡あたり10万円が相場といわれています。
ただし、費用は立地条件、道幅、基礎の作りなどによって変わります。
墓石を解体する重機が入れない所だと全て手作業になるので、費用はもっと高くなります。
7.遺骨を永代供養墓に納骨する
以上の各行程を済ませたら、いよいよ永代供養墓への納骨になります。
永代供養墓へ納骨する際は、一般的に永代供養料・納骨費用・初年度分の管理料が必要になります。
管理料はまとまった期間分前納することもできます。また、合祀墓の場合管理料は不要です。
墓じまいと永代供養をしてから後悔しないための注意点
墓じまいや永代供養墓への引越しに際してはトラブルも起きやすくなります。
後から後悔しないための注意点について紹介しますので、トラブルに遭わないための参考にしてください。
親族やお寺には事前相談をしておく
墓じまいでよくあるのが親族間のトラブルです。
一般的に、墓は喪主を務めた人が受け継ぐケースが多いのですが、その人の一存で墓じまいを行ってしまうと、トラブルが起こりやすくなります。「墓じまいなんてとんでもない」「なぜ相談もしないで勝手に」「最後まで責任を持って管理するのが当たり前」と言われたりするケースが多いようです。
墓じまいをした後に意外なところからクレームを受けることもあるので、相談は幅広くしておいた方が無難です。
また、親族に墓じまいの相談をすることで、墓守を引き継いでくれる人が名乗り出てくれることもあります。
可能なら複数の石材店で相見積もりをとる
自治体が運営する霊園や一部のお寺では、業者を好きに選べるので相見積もりを取ることができます。
中には、石材店に高額な墓石撤去費用を請求されるといった悪質なケースもありますので、可能なら2~3社で相見積もりを取ることをおすすめします。
また、逆に費用が安すぎる場合も悪質業者の可能性があるので注意が必要です。
基礎や納骨室を解体せずに埋めてしまったり、墓石を山などに不法投棄してしまうような業者もいます。
担当者の対応を見極め、信頼できる業者に工事を依頼しましょう。
合祀墓に納骨した遺骨は後から取り出せない
合祀墓に納骨した場合、その後遺骨を取り出すことはできません。
後から、「合祀墓に入れるくらいなら引き取ったのに」と親せきからクレームを受けても対処の仕様がありません。
墓じまいして取り出した遺骨を合祀墓に入れる際には注意が必要です。
お墓の跡継ぎがいないときの対処法
お墓の跡継ぎがいないときの対処は、大きく分けて以下の2つが考えられます。
お墓の跡継ぎがいないときの対処法2通り
- 親族にお墓を継いでくれる人がいないか相談する
- 墓じまいをして、遺骨は永代供養や散骨などで供養する
まずは、お墓について親族に相談しましょう。
墓じまいをするにしても親族には相談しておいた方が良いので、あわせて、お墓を引き続き使ってくれる人がいないかも聞いていましょう。
それでもやはり墓守が見つからなければ、お墓は解体(墓じまい)し、遺骨は永代供養や散骨などで改めて供養する必要があります。
跡継ぎのいないお墓の対処法については、『跡継ぎがいない墓をどうする?』で詳しく解説しています。
まとめ
今あるお墓を墓じまいして、遺骨を永代供養墓に移したいと考えているなら、まずは親族やお寺に相談しましょう。
墓じまいの目処が立ったら遺骨をどの永代供養墓にするか決めます。
予算なども考えて、納得できる供養の方法を選びましょう。
なお、墓じまいをする際は役所から「改葬許可証」を発行してもらう必要があるので、注意してください。
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墓じまいに補助金は出ますか?
公営墓地の場合、ごく一部の自治体では、墓地の返還(墓じまい)に対して補助金や助成金を出しています。ただし、そういった取り組みを行っている所は現状ごく一部です。
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墓じまいの費用を払えないのですがどうすればいいでしょうか?
一度親戚に相談して、お墓を引き継いでくれる人がいないか相談しましょう。墓地管理者に相談するのも一つです。費用を捻出する方法としては、メモリアルローンや親せきに協力してもらうことが考えられます。
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遠方の田舎にお墓があるのですが、墓じまいのために赴かなければなりませんか?
土地柄などにもよりますが、一度も行かずにできる場合もあります。行政手続きは郵送で行い、ご遺骨は取り出しから供養先への郵送をすべて解体を担当する石材店に任せるような場合です。ただし、地域やお寺によっては、納骨法要や遺骨取り出しは必ず立ち会うように言われることもあります。
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墓じまいから永代供養にするまでの費用総額はどれくらいですか?
現在のお墓がある場所や永代供養先によって大きく変わります。総額30万円程度でできる場合もあれば、100万円以上かかる場合もあります。詳しくは、2.墓じまいの費用からご覧ください。