お墓の意味や役割を解説!なぜお墓参りをするの?

お墓の意味や役割を解説!なぜお墓参りをするの?

人は誰でも亡くなったらお墓に埋葬されます。
また自分の家族が亡くなった場合も遺骨はお墓に埋葬します。生きている以上お墓とは切っても切り離せないものなのです。

ですが、最近は散骨や手元供養などの新しい供養が広まり、お墓を持たないという選択もできるようになりました。
お墓を持たなくてもいい現代で、お墓を持つ意味はあるのでしょうか。

今回は、お墓の意味や役割について解説します。

お墓の定義は何か

まずお墓の定義から確認しましょう。

法律上の「お墓」の定義

お墓についての法律には、「墓地、埋葬等に関する法律」があります。
この法律中に、「お墓」という言葉については定義されていません。
ですが、大まかに言って、遺体や遺骨を埋蔵・埋蔵する施設は「お墓」として良いでしょう。

「お墓」に近い言葉として、「墳墓」「墓地」「納骨堂」は以下のように定められています。

第2条
4 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域をいう。
6 この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

「墳墓」は、土葬・火葬にかかわらず遺体や遺骨を埋めて管理する施設です。
「墓地」は都道府県知事の許可を受けて墳墓を設置する区域です。
「納骨堂」が、都道府県知事の許可を受けて遺骨を収蔵する施設です。

日本では、遺骨や遺体を管理する施設はおおむねお墓とみていいでしょう。

辞書での「お墓」の定義

法律にかかわらず、一般的にも「お墓」とは遺体や遺骨を埋葬する場所という認識でずれはないでしょう。

いくつかの辞書で「墓」の項を引くと、次のように出てきます。

三省堂weblio辞書 三省堂大辞林
「遺骸や遺骨を葬り、その人の霊を祀る所。また、そこにしるしとして立てた石・木など。塚。墳墓。」

goo辞書 国語辞書‐大辞泉
「遺体・遺骨を埋葬した場所。また、そこに記念のために建てられた建造物。塚。」

旺文社時点 国語豆辞典
「死者を葬る所。」

これらを参考にすると、「墓」とは死者を葬った場所の他、その上に設置した石などの墓標を指すこともあるようです。

「お墓」の種類は何がある?

一口に「お墓」といっても、墓石を建てるものだけがお墓ではありません。
死者を埋葬するものがお墓だとすると、以下のようなものもお墓に含まれます。

・樹木葬
墓石の代わりに樹木を墓標にするお墓

・納骨堂
屋内の棚などに遺骨を収蔵するお墓

・合祀墓
大きなお墓の納骨室に血縁など関係なく遺骨を一緒くたに埋葬するお墓

・個別式集合墓
屋外に墓石の棚のようなものを設けて、個別に遺骨を管理するお墓

今回の記事では、以上のようなものも「お墓」に含めるものとします。

お墓やお墓参りの役割は何か

それでは、お墓の役割とは何なのでしょうか。

お墓の物理的な役割

お墓の定義の話を重複しますが、お墓の最大の役割は遺骨を埋葬することです。

人間の遺骨は普通のモノと同様に扱うことはできず、ゴミとして処分したり、適当な所に埋めると犯罪になります。
遺骨の埋葬は必ず行政の許可を受けている「墓地」で行わなければなりません。

火葬して手元に遺骨が残る以上は、「お墓」を持つことになります。
仮に手元供養にしたとしても、供養する本人が亡くなった際はいずれにしても埋葬する必要があります。

ただし、散骨する場合はこの限りではありません。
逆に言えば、散骨しない限りいずれはどこかにお墓を持つことになります。

お墓・お墓参りの精神的な役割

それでは、散骨しないでお墓を持つ意味は何でしょうか。
お墓は、故人と今生きている家族をつなぐという精神的な役割があります。
お墓参りで故人を思い出すことによって、互いに生きていた時の関係から、生きている私たちと死者としてのあの人の関係を新たに築いていくことができます。
日本人の古代から持っている死生観では、人は亡くなっても肉体は滅びても霊魂は滅びません。
お墓はその霊魂と家族が出会うための場所なのです。

さらにお墓の副次的な効果として、今生きている親族をつなぐターミナルになるという役割もあります。
多くの人は夏休みや正月休みには、お墓のある実家に帰ることでしょう。兄弟や親せきも同様です。
同じタイミングで帰京した兄弟や親族はお墓参りをした後で、どこかに集まって会食をすることでしょう。
そのように普段はばらばらになっている兄弟や親族を1つの集めることができるのもお墓の役割なのです。

したがってお墓は、先祖と自分という縦のつながりを維持するだけではなく、兄弟同士、親戚同士という横のつながりも維持してくれていると言えるでしょう。

浄土真宗の場合はお墓の役割は異なる

以上の役割はどの宗派の場合でも同じですが、しかし浄土真宗の場合だけは、これに若干異なった要素が加わります。
なぜなら浄土真宗とほかの宗派では、その教えが異なるからです。

一般的な仏教の宗派では、人は亡くなるとあの世に行きますが、すぐには極楽浄土には行けず、この世と極楽浄土の間に滞在して、故人が自身で修業を積んだり、あるいは残された遺族が善行を施すなどをすることによって、極楽に往生することができるとされています。

しかし浄土真宗の場合は、「南無阿弥陀仏」という名号を唱えるだけで、亡くなったその瞬間に阿弥陀如来が故人を極楽浄土に連れてい行ってくれます。
したがって個人はこの世と極楽浄土の間に滞在するということはないのです。

ですから一般の宗派では、お墓はまだ極楽浄土に行ってない故人の霊魂が降りてくる場所になります。
一方で浄土真宗の場合は故人の霊魂はすでに極楽浄土にいて、極楽浄土から降りてくることはありません。
したがって、浄土真宗におけるお墓は、故人の霊魂とつながるというよりは、故人を思い出し、今生きている家族の絆を確認するためのものなのです。

この浄土真宗の考え方はキリスト教の場合とよく似ています。
キリスト教も故人の霊魂はこの世に降りてきませんから、お墓は故人とつながる場所ではなく、神に故人の霊魂が穏やかであることを祈る場所です。
したがって、お墓に手を合わせた場合も、仏教のように故人に話しかけたりせず、「天にまします我らが神よ」と言って神に語りかけることになります。

なぜお墓を作る?お墓は必要か

ではお墓ななぜ作るのでしょうか。
本当に必要なものなのでしょうか。

それは以上で述べた、お墓の役割を裏返して考えることによって、説明することができます。

そもそもお墓は全世界の人間が共通して建てているものではありません。
インドやインドネシアなどのヒンドゥー教を信じている地域では、遺体をガンジス河に流したり、火葬した遺骨を海に流したり、地面に遺体を置いたままにして自然に朽ちさせる鳥に食べさせたりする、という風習を持っています。
したがって、お墓は絶対に建てなければならないというものではないのです。

お墓を持つ意味

ではそのような必須ではないお墓をなぜ作るのでしょうか。

1つは遺骨を埋葬するためです。
日本でも後で書くようにお墓を使わない埋葬方法を選ぶ人が増えてきましたが、それでもまだ大多数は火葬した遺骨は手元に置いておいたりせずに、しかるべきタイミングでお墓に埋葬します。
その埋葬先としてお墓という構造物が必要なのです。

2つ目は、故人を偲ぶためです。
お墓に行って合掌した時に、多くの人は故人や先祖に対して、今の自分の生活の報告や、その生活が無事に送れていることの感謝などを伝えるでしょう。
あるいは故人の思い出を懐かしく振り返るかもしれません。お墓はそのように故人と触れ合うために必要なものなのです。

3つ目は、浄土真宗でなければ故人の霊魂は必要に応じてあの世からこの世に戻ってきます。
その時に戻る目印になるのがお墓なのです。したがって故人の霊魂がこの世に戻るためにお墓は必要です。

お墓を建てるメリット

メリットを挙げると以下のようになります。

・親族や周囲から非難されないで済む
・いつでも故人に会いに行ける安心感がある
・故人の遺骨の散逸が防げる
・昔からのしきたりを守る人には安心できる
・故人の霊魂が帰ってくる場所がある

お墓を建てるデメリット

一方でデメリットは以下のようなものです。

・永代使用料、墓石代、管理費など経済的な負担がある
・子供に精神的、経済的、時間的、肉体的な負担をかける
・人間は死んだら無になるので、お墓を建てるのは無駄
・亡くなってもお墓の納骨室などの狭い場所に押し込められたくない
・亡くなっても自然の生物の循環の中に還れない

お墓が要らなければ遺骨はどうするか

ではいろいろな理由でお墓を建てないと決めた場合、どのような代替の方法があるのでしょうか。

散骨する

散骨とは火葬した遺骨をパウダー状にして海や山に撒く埋葬方法です。
パウダー状に砕かれた遺骨は、海や土に拡がり、自然の循環の中に還っていきます。

散骨は、自然から生まれ自然にまた戻っていくという考え方に沿った方法で、一部に人気があります。
また、費用が掛からないのも大変な魅力です。
遺族の手で撒くプランだと10-20万円程度、すべて業者に委託すれば5万円程度で供養ができます。
加えて、子孫にお墓の負担を残さなくて済みます。
お墓があれば年間管理費を納めたり、一般墓であれば掃除が必要になりますが、散骨を選べばそのような負担はなくなります。

手元供養にする

故人をいつも身近に感じていたいという人の間で人気なのが手元供養です。
これは遺骨の一部をペンダントなどにして常に身に着けておく、という供養方法です。
あるいは自宅に小さな仏壇を購入して、そこに分骨した遺骨を安置する方法もあります。

ただし、先述の通り供養する故人が亡くなった場合、誰かがその遺骨を管理することになります。
その際は、散骨かお墓に埋葬されることになるでしょう。

まとめ

お墓の意味や役割についておわかりいただけたでしょうか。
最近は日本人の死生観も変わってきて、今までの伝統的なお墓のあり方とは別の方法を選択する人も増えてきました。
ですから、どのような方法で故人や自分を埋葬するにしても、そのお墓を選んだ意味をしっかり自分なりに考えておくことが必要な時代だといえます。
考える時にはここで解説した内容を参考にしてください。

墓地や霊園をお探しですか?

お墓さがしでは、全国の墓地や霊園をご案内しています。
ご希望のエリアや条件に絞ってお探しできるので、ご自分の条件にあるお墓にはどんなものがあるか、一度チェックしてみましょう。
近くの墓地・霊園を探してみる >>