樹木葬の種類とメリット・デメリット!おすすめのタイプは?

近年、新しいお墓の形として樹木葬が注目されています。
樹木葬は、墓標の代わりに樹木を植えるお墓です。
明るい、自然に還れるなどのイメージがあり、人気が高まってきました。
この他、跡継ぎが要らない、お墓を建てるよりも安価といった特徴もあります。
今回の記事では、樹木葬とは何かやその種類、メリットやデメリットも交えて紹介していきます。
目次
樹木葬の特徴
樹木葬にはどんな特徴があるのでしょうか。
主に、普通の墓石を建てるお墓との比較で、特徴を説明していきます。
墓石を建てずに木を植える
樹木葬の場合、墓石の代わりに墓標となる木を植えます。
木の植え方は主に次の2通りがあります。
・1人(1区画)につき1本植える
・広い埋葬区画に「シンボルツリー」が1本植えられている
なお、木を植えるほか、誰がどこに埋葬されているかを分かるように墓石のプレートを置くこともあります。
プレートには、故人の名前や家名、好きな言葉を刻んだりします。
代々引き継がないので跡継ぎ不要
樹木葬は、基本的に代々引き継いで行かないことを前提としています。
樹木葬で一ヶ所の区画に埋葬されるのは、1-4人程度が多いでしょう。
利用するのは、個人や夫婦、跡継ぎのいない家族、友人同士などが考えられます。
また、お墓にお参りする人がいなくなるとその後誰にも供養されなくなるのかと言ったら、そうではありません。
樹木葬には、ほとんどの場合「永代供養(えいたいくよう)」がついています。
「永代供養」とは、お寺などの墓地管理者が、墓地が存続する限り供養を続けてくれることを言います。
具体的には、お盆やお彼岸などの合同法要の際にお経をあげてもらえます。
なお、公営墓地にある樹木葬の場合は、永代供養はついていません。
これは、自治体が供養のために特定の宗教を選ぶことができないためです。
墓石を建てるよりも安価
樹木葬の場合は墓石を建てないので、安価にお墓を持つことができます。
地方にもよりますが、一般的なお墓を持つには150-300万円程度はかかります。
費用を抑えても、100万円弱は見る必要があります。
対して、樹木葬であればこれよりも安く買うことができます。
1人用のお墓であれば10万円~、数名で入る区画を購入する場合でも、費用は40-80万円程度です。
中には5万円から受け付けている霊園もあるほどです。
種類によっては自然に還れる
自然に還れる樹木葬もあります。
様々な種類がある中でも、遺骨を直接土に埋める、または遺骨を土に還る素材の袋に入れて埋葬するタイプの樹木葬であれば、遺骨を自然に還すことができます。
暗い石のお墓の中で眠りたくないという人にとっては、メリットになるでしょう。
後述しますが、逆にすべての樹木葬で遺骨を自然に還せるわけではありません。
樹木の下に石室をつくり、そこに骨壺で埋葬するタイプの樹木葬だと土には還らず、一定期間の後に合祀墓に埋葬されます。
樹木葬全般のメリット・デメリット
では、樹木葬を選ぶとどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
樹木葬のメリット
樹木葬のメリットには、下記のようなものがあげられます。
今持っているお墓の悩みを解決できるかもしれません。
・跡継ぎの心配がいらない
ほとんどの場合樹木葬には永代供養がついているため、墓守が不要です。
お墓を引き継ぐ人がいなくなったからと言ってお墓が荒廃することはなく、墓地の管理者が面倒を見てくれます。
・墓石を建てるよりも安価
区画が狭くていいこと、墓石を建てなくていいことから、安価に埋葬できます。
一人であれば10万円~、数名の区画を買う場合でも40-80万円程あれば概ね購入できるでしょう。
・自然志向にマッチしている
樹木の下で眠れるというイメージは、自然の中で眠りたいという人の需要を満たします。
暗くて冷たい墓石の下に納骨されるのが嫌だという方にはぴったりです。
樹木葬のデメリット
それでは、樹木葬のデメリットには何があるでしょうか。
買ってしまった後に後悔しないよう、しっかりとチェックしましょう。
・一度納骨すると遺骨を取り出せないことがある
里山型など直接土に還すものは、取り出しは難しいでしょう。
公園型のように骨壺で埋葬する場合も、個別の管理期間が過ぎると合祀のお墓に移動されます。
合祀のお墓に入れてしまうと二度と遺骨は取り出せません。
・代々引き継いでいくことができない
多くの場合区画を利用する人数が限られているため、代々引き継いでいくことはできません。
跡継ぎがいるのに自分が樹木葬にしてしまうと、子供や孫は新たにお墓を探す必要があります。
・通常のお墓のようなお参りはできない
当然ですが、墓石にひしゃくで水をかけて掃除するといったことはありません。
また、樹木葬墓地は火気厳禁の所も多いため、ロウソクやお線香を供えるのも厳しいでしょう。
この他、花代などお供えを置く場所も用意されていないことが多いので、お供え全般が簡素になります。
・新しい埋葬方法のため、親族などから反対される可能性がある
今日に至るまで、長らくお墓は墓石を建てて代々引き継ぐことが当然でした。
そういった価値観を親族や身内が持っていた場合は、反対される場合があります。
墓地別の樹木葬の種類
一口に樹木葬といっても、さまざまなタイプのものがあります。
樹木葬の種類は、樹木葬墓地がどこにあるかによって分けることができます。
墓地の立地による分け方だと、大きく「里山型」と「公園型」に分けることができます。
里山型樹木葬
里山そのものを墓地として、遺骨を自然に還すタイプの樹木葬です。
下記のような特徴があります。
・山中に埋葬する
・自然に遺骨を還すことができる
・アクセスは不便な傾向にある
1999年、岩手県一関市にある祥雲寺の千坂住職が散骨ではない新しい自然葬として樹木葬の墓地を開設しました。
単に木を植えて墓標とし、遺骨を自然に還すというだけではなく、それを通じて里山の回復・保護を図るという画期的な試みでした(現在は知勝院が管理)。
祥雲寺の試みは大きな反響を呼び、各地に同じような樹木葬墓地が誕生しました。
価格は、関東圏で1区画に1本木を植えるタイプのもので40-80万円程度です。
メリット | ・まさに自然の中で眠ることができる ・遺骨は自然に還すものが多い ・植樹を通して里山の自然環境を回復できる |
デメリット | ・アクセスは不便な傾向にある ・墓所が山中にあるのでお参りが大変 ・一度埋葬すると取り出すことができないことが多い ・埋葬した厳密な場所が分からなくなる |
向いている人 | ・自然に還りたい/自然に包まれて眠りたい ・他の遺骨と混ざりたくない ・跡継ぎがいないのでお参りのことを考えなくていい |
公園型樹木葬
都市やその近郊の墓地・霊園に設けられた樹木葬墓地を「公園型」あるいは「都市型」と呼びます。
下記のような特徴があります。
・都市の整備された土地にあり、公園のような雰囲気
・石室に骨壺で埋葬することが多く、必ずしも自然に還らない
・個別管理の期間を終えると合祀墓に移される
・必ずしも樹木を墓標とせず、花壇に埋葬する場合もある。
2005年、NPO法人エンディングセンターが東京都町田市の民営霊園内に桜の樹をシンボルツリーとした「桜葬」を開設しました。
一本の桜の樹を中心とした墓域に納骨し、各自が埋葬されたエリアには墓碑や外柵を設けないというもので、公園のような明るい印象のお墓です。
一本の木の周囲に多数の方を埋葬するため、永代供養墓(共同墓)と同じような扱いになります。
これが非常に人気を集め、さまざまなコンセプトの樹木葬墓地が開設されました。
2006年の横浜市営墓地メモリアルグリーン、2012年の都立小平霊園など公営霊園にも樹木葬墓地が設けられています。
価格は使用する人数や個別の安置期間によって20-100万円くらいの幅があります。
一人や二人で使用する分には20-50万円前後で見ておけばいいでしょう。
メリット | ・都心などに多くアクセスしやすい ・お参りの設備が充実しており、便利 ・プレートなどを設置するので埋葬されているかが分かる |
デメリット | ・必ずしも自然に還らない ・いずれは合祀になる可能性が高い ・個別安置期間中は年間管理費がかかる |
向いている人 | ・気軽にお参りに行きたい ・墓石のプレートなどを設置したい ・お参りが快適で便利なところが良い |
埋葬方法別の樹木葬の種類
樹木葬といえば自然に還れるというイメージがありますが、必ずしもそうではありません。
埋葬方法別の樹木葬の種類を紹介します。
合祀型
合祀型は、一本の木(シンボルツリー)の周辺に複数の遺骨を埋葬する方法です。
樹木葬で合祀と言った場合は、埋葬する穴自体は個別に用意され、他の遺骨と混ざらないことが多いでしょう。
費用は5~20万円程度が相場です。管理費もかからないので後代の負担も残りません。
遺骨は土に還る素材の袋に入れられるか直接地中に埋葬されるため、長い年月をかけて自然に還ります。
一方、明確な区画が設けられないため、遺骨は一度埋葬すると取り出すことができません。
加えて、お参りに行った際もどこに埋葬されているのかが分からないため、寂しさを感じることもあります。
また、夫婦だけ、家族だけなど特定の人たちだけのお墓を持つことはできません。
メリット | ・自然に還ることができる ・管理費がかからない ・費用が最も安価な樹木葬 ・他の遺骨と混ざらない |
デメリット | ・厳密にどこに埋葬したのかが分からなくなる ・一度埋葬すると取り出すことができない ・家族や夫婦など特定の人たちだけのお墓を持つことはできない |
向いている人 | ・自然に還りたい ・一人分の埋葬先を探している ・安価な納骨先を探している ・跡継ぎはいないが他の遺骨とも混ざりたくない ・子どもなど後代に負担を掛けたくない |
集合型
集合型は、1本の木(シンボルツリー)を中心に植え、その周辺に複数の区画を設け、その区画ごとに遺骨を埋葬する方法です。
公園型の樹木葬墓地で多くみられ、区分け型と呼ばれることもあります。
埋葬される区画が石室やプレートなどによって明確に分けられているという点で、合祀型と異なります。
区画が分かれているため、1人のみ、または夫婦のみ、家族のみといった単位でお墓を持つことができます。
シンボルツリーの代わりに花などを植える場合もあります。
ただし、区画で管理される期間は限定されていることが多く、期限を過ぎると遺骨は合祀墓などに移されます。
合祀墓の内部に土が露出している部分があればかなり長い目で見て自然に還りますが、従来の樹木葬のイメージとはかなり異なります。また、合祀墓に移された後は遺骨を取り出すことができません。
費用は使用する人数や個別安置期間によって異なり、20-100万円程度と幅があります。
メリット | ・家族や夫婦など、特定の人たちだけのお墓を持てる ・プレートなどが設置されるのでどこに埋葬されているかが分かる ・個別安置期間の間は遺骨を取り出すことができる |
デメリット | ・いずれは遺骨が合祀墓に移動される ・自然に還るというイメージからは遠い ・個別の安置期間は年間管理料がかかる |
向いている人 | ・跡継ぎはいないが、夫婦墓や家族墓が欲しい ・家制度にとらわれない、自分だけのお墓が欲しい ・しばらくの間はお参りに来てほしい人がいる |
個別型
個別型は区画ごとにシンボルツリーを1本植えて、その根元に故人1人分の遺骨を埋葬します。
個人・夫婦・家族などのまとまった世帯の単位ごとに個別に区画が分けられ、ご遺骨を区別して埋葬できます。
自分たちだけの樹木を植えるので、墓地によっては数種類の樹木や花から好きなものを選ぶことができます。
また、墓所内でお墓がそれぞれ独立しているので、個別にお供えをしてお参りができます。
遺骨を土に直接還すタイプもありますが、数としては骨壺で管理する場合が多いでしょう。
骨壺で安置する場合は、個別安置期間が終わると集合型と同様、合祀墓に移動されます。
費用はやはり使用人数や個別安置期間によって異なりますが、50-100万円程度と考えておきましょう。
メリット | ・個別にお参りすることができる ・樹木や花を選べることがある ・家族や夫婦など、特定の人たちだけのお墓を持てる |
デメリット | ・必ずしも自然に還らない ・いずれは合祀になる可能性が高い ・他のタイプに比べて費用が高い |
向いている人 | ・しばらくの間は個別のお墓にお参りしたい ・跡継ぎはいないが、夫婦墓や家族墓が欲しい ・植栽する樹木にこだわりがある |
植樹する樹木の種類
植樹する樹木の種類は墓地や霊園によって異なりますし、個別型であれば好きな樹木を選ぶこともできます。
樹木葬ではどのような木や花が植えられるのでしょうか。
サクラ
樹木葬で最もよく使われる樹木がサクラです。
特に集合型や合祀型のシンボルツリーとして採用されることが多く、地域によってはお彼岸の時期に丁度満開になります。
バラ
洋風をコンセプトとする樹木葬墓地では、バラなどの洋花を植えることがあります。
一区画に一株植えていくというよりも墓所内に多様なバラをガーデニングしているといった雰囲気の所が多いでしょう。
パンジーやマリーゴールドなどの園芸植物
公園型樹木葬の集合型のお墓には花壇のようになっているものもあります。
区画の周りに花壇を設けていくタイプのものだと、樹木ではなく園芸用の花をふんだんに植えていく形になります。
パンジーやマリーゴールドなど一年を通して咲いている花などを配して、いつもお花に囲まれている状態を保てます。
ツツジやツバキなどの花木
里山型樹木葬墓地の個別型のものでは、選べる樹木の種類が多い傾向にあります。
個別型の区画では美しい花を付ける、大きくなりすぎない木が選ばれます。
ツツジやツバキの他にも、ナンテンやハナモモ、ウメモドキなどを用意しているところもあります。
緑が美しい中~高木
個別型ではなく、合祀型や集合型のシンボルツリーとしては、緑が美しい高木などが取り入れられることもあります。
また、里山の中に埋葬するタイプだとそのまま周辺の樹木がシンボルツリーとなる場合もあります。
洋風をコンセプトとしている墓地だと、オリーブが使われたりします。
樹木に制限がない時の選び方
里山型樹木葬墓地の個別型のものだと、お寺さんと相談品がら自分の好きな花木を植えられる場合があります。
花木を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
・大きくなりすぎない
・枝が横に広がらない
・落ち葉などがあまり散らからない
・お参りの時期と開花時期
まとめ
樹木葬にも種類があります。
一つは里山全体を墓地とする里山型。もう一つは都市部に公園のような墓地を整備する公園型です。
樹木葬従来のイメージ通り自然に還りたいと考える方は、里山型がおすすめです。
ただし、自然に還ることにこだわりがない場合は、利用のしやすさから言うと都市型の方が便利です。
樹木葬と一口に言っても様々な種類のものがあります。
どんな方法で眠りたいか、お参りする人の便利はどうかなどを勘案して、理想のお墓を探しましょう。
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