孤独死したらお墓はどうなる?希望のお墓に入るための生前準備

孤独死したらお墓はどうなる?希望のお墓に入るための生前準備

孤独死(こどくし)とは、主に一人暮らしの人が、誰にも看取られることなく、その人の住居内などで亡くなることをいいます。

政府が発行する「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人のうち一人暮らしをする人の割合は年々増加しており、2020年時点で男性は15.0%、女性は21.1%が一人暮らしをしています。
(参考:令和4年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況 第1節 高齢化の状況 3 家族と世帯)

また、一人暮らしをする60歳以上の人のうち、50.8%と半数以上が孤立死(当該調査においては「誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見される死」で、孤独死と同じ)を身近な問題と感じています。
(参考:令和4年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況 第2節 高齢期の暮らしの動向 3 生活環境)

このような現代、孤独死したら遺骨はどうなるでしょうか?
この記事では、孤独死した場合にお墓はどこに入れられるのか、また、孤独死した場合への備えについて紹介します。

自分のためのお墓を探してみる >>

孤独死をしたらお墓はどこに入れられる?

孤独死してしまった場合、いったいお墓には入れるのでしょうか。

身内が遺体を引き取る場合

身内がいて、遺体を引き取ってくれる場合は、火葬や葬儀、納骨も引き取った身内が行います。

遺骨は、生前のうちに決めておいたお墓があればそこに、なければ遺族がお墓を決めてそこに納骨されます。
ただし、生前にお墓を決めていても、それが納骨してくれる身内に伝わっていなければ決めてお墓に納骨してもらえません。
お墓を決めておく場合は、あらかじめどこのお墓なのかを共有しておきましょう。

遺体の引き取り手がいない場合

身内が遺体の引き取りを拒否した場合、または遺体の身元が分からない場合は、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」という法律によって地方自治体が遺体を火葬します。
遺骨は、誰も引き取り手がない場合は、火葬後一定の保管期間(一般的には5年程度)を経て、「無縁塚」などに埋葬されます。

無縁塚とは

無縁塚とは、弔う縁者のいない死者のためのお墓のことを言います。
万人塚や無縁塔、無縁墓とも言われます。
合葬するお墓で、大きなお墓の納骨室に、遺骨を直接、または骨袋などで埋葬します。

孤独死の発見から納骨までの流れ

孤独死してしまった場合、その後の納骨までは、以下のような流れになります。

孤独死の発見から納骨まで
1.孤独死の発見・通報
2.警察による現場検証
3.遺族への連絡
4.検視・遺体の引き取り
5.火葬
6.納骨

1.孤独死の発見・通報

孤独死と思われる状況が発見された場合、生存の可能性があれば救急車が呼ばれます。
明らかに亡くなっていれば、警察が呼ばれます。

2.警察による現場検証

死因が明らかでない場合は、警察が現場検証をします。
孤独死で「死因が明らかな場合」とは、かかりつけ医に死因が持病によるものと診断された場合です。このケースを除いては、現場検証がなされます。

3.遺族への連絡

現場検証で身元や親族が分かった場合は、警察が遺族に連絡します。
賃貸に住んでいた場合は、大家が連絡することもあります。

4.検視・遺体の引き取り

遺体は、事件性の有無などを調べるために、検視されます。
検視が終わると遺族に連絡が入り、遺体が引き取られます。
遺体の引き取り手がいない場合は、自治体が引き取ります。

5.火葬

遺族が遺体を引き取った場合でも、遺体の状況が良くなければ通夜・告別式の前に火葬をします。
火葬をしてからする葬儀を、「骨葬」と言います。

遺体の引き取り手が無く自治体が引き取った場合は火葬のみで、葬儀はしません。

6.納骨

遺族が遺骨を引き取った場合は、故人本人が用意していたお墓や、遺族が用意したお墓に納骨します。
自治体が遺骨を引き取った場合は、各自治体で定められた条例や「行旅病人及行旅死亡人取扱法施行細則」に則って一定期間保管され、期間中に縁者からの連絡が無ければ、指定された無縁塚や合葬墓に埋葬されます。
遺骨の保管期間は、5年とする場合が多いようです。

孤独死の対策でできること

一人暮らしでは孤独死そのものを防ぐには限界がありますが、もし孤独死してしまっても、その後を自分の望むようにしてもらうよう、手配をしておくことはできます。
自分の死後についての心配を軽減するために、できることを紹介します。

孤独死の対策でできること

  • お墓を生前予約しておく
  • 死後事務委任契約を結んでおく
  • 人との繋がりを確保する
  • その他の終活

お墓を生前予約しておく

お墓に希望がある方は、元気なうちにお墓を決めておくことをおすすめします。
近年、生前にお墓を契約する「生前予約」ができる墓地は数多く、その点でお墓を探すことは難しくありません。
跡継ぎがいない場合は、「永代供養墓」と呼ばれる継承を前提としないお墓を探します。

お墓を生前予約したら、どこと契約したかが必ず誰かに伝わるようにしましょう。
事前にお墓を決めておいても、死後誰にも伝わらなければ、希望のお墓に入れないかもしれません。
お墓の契約先は、親族がいれば親族に伝えます。
親族がいなければ、死後の手続きを依頼している人に伝えたり、お墓の契約先を部屋の分かりやすい所にメモなどで残しておいたりしましょう。

近くの永代供養墓探してみる >>

死後事務委任契約を結んでおく

自分の死後を任せられる身内がいなければ、死後事務委任契約を結んでおくと、死後のあれこれを心配せずに済みます。
死後事務委任契約とは、死後の手続きや葬儀、納骨などの事務手続きを第三者に委任する契約を言います。

死後事務の内容は、以下のようなものがあります。

死後事務の例

  • 医療費や老人ホームなどの施設利用料の支払い
  • 公共料金の支払い
  • 葬儀や納骨の実施
  • 賃貸の家賃の支払いや引き払い

など

死後事務委任は誰とでも契約できますが、サービスとして提供しているのは、司法書士、行政書士、弁護士などです。

人との繋がりを確保する

もし孤独死してしまってもできるだけ早く見つけてほしい方は、日ごろの人との繋がりを確保しておくことが肝要です。

般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会の「第6回 孤独死現状レポート」によると、孤独死の早期発見(死亡から3日以内)につながったケースの発見原因は、85.6%が音信不通による訪問でした。
ここからも、早期発見には常から人と連絡を取り合うことが重要だということが分かります。
(参考:一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会の「第6回 孤独死現状レポート」)

連絡を取り合う身内や知人がいない場合は、行政や民間が行う見守りサービスなどを活用することで、定期的な安否確認をしてもらえます。

その他の終活

自分の死後遺された人たちの負担をできるだけ減らしたいという方は、この他の終活も進めておくことができます。

生前整理

生前整理とは、自分が元気なうちに不要な持ち物や財産を処分して、整理しておくことです。
あまり物を残したまま亡くなるとその後の処分が大変になりますし、またはあちこちに土地を持っていたりすると、その相続の手続きは煩雑になります。
遺族などに手間を取らせたくないと考えている方は、生前整理がおすすめです。

エンディングノートを書く

エンディングノートとは、人生の最期に向けて、人に伝えたいことや自分の情報などを記入するノートです。
内容は、保険の情報、財産目録、葬儀やお墓の希望、メッセージなど、なんでも構いません。
自分の希望や思い、相続などで遺族が必要になる情報などを書いてみましょう。
もちろん、「エンディングノート」として枠組みが決まっているものも販売または配布されているので、それに記入していくだけでも大丈夫です。

エンディングノートを書くことで、遺された人の相続や追悼の指針を作っておくことができます。
エンディングノートは、遺言書と違って法的拘束力がなく、いつでも見ることができます。

遺言書を作る

遺言書とは、財産や相続人などについての意思表示するための法的拘束力がある書類です。
相続人がいる場合は、遺言書があることで相続のトラブルを防ぐことができます。
また、相続人以外の人に財産を遺したい場合も、遺言書は有効です。

まとめ

孤独死が発見されると、諸手続きを経て故人の親族に連絡がいきます。
親族が遺体を引き取った場合は、葬儀や納骨などは親族が行います。お墓に希望がある場合は、あらかじめ親族に伝えておきましょう。
親族がいない、あるいは親族が遺体を引き取らなかった場合は、遺体は自治体によって火葬・納骨されます。遺骨は、各自治体に指定された無縁塚や合葬墓などに埋葬されます。

一人暮らしをしている以上は孤独死のリスクは免れませんが、自分の死後の手配をしておいたり、見守りサービスに登録しておいたりすることで、エンディングへの不安は軽減できます。

ご自分用のお墓をお探しの方へ

お墓さがしでは全国のお墓を紹介しています。
永代供養のお墓を探しの方は、是非こちらからお近くの永代供養墓を探してみてください。

近くの永代供養墓探してみる >>

執筆者情報

お墓さがしスタッフ

佐野

経歴

2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。

孤独死したらお墓はどうなる?に関するよくある質問