二世帯墓(両家墓)とは?メリット・デメリットと建てる際の注意点

二世帯墓(両家墓)とは?メリット・デメリットと建てる際の注意点

今お墓がない人の場合、自分が入るお墓と両親を埋葬するお墓、あるいは自分の家と配偶者の家の両方を埋葬するお墓を作りたいと思っているかもしれません。

そのような二世帯のお墓を作りたい場合、墓石は別に建てなければならないかといえば、必ずしもそうではありません。どういう方法があるのかという点について解説します。

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二世帯のお墓とは

そもそも二世帯のお墓とはどういうものなのでしょうか。

二つの家をまとめる二世帯の墓は両家墓という

親子代々の墓ではなく、自分の家と配偶者の家のお墓など、二世帯の家を一緒に埋葬するお墓を両家墓と言います。

つまり両家墓とは、「~家之墓」などの家墓、一族墓と異なり、姓の異なる親族を1つのお墓に一緒に埋葬する墓地のことです。

両家墓を作るケースは、1人娘が結婚して嫁ぎ先の家のお墓の入ることが決まっている一方で、実家のお墓を継承する人がいなくなったということが多いです。
このような両家墓は以前であれば比較的多かったスタイルですが、近年では少なくなってきました。

もともと日本では男子が自分の家の墓を継ぐということがほとんどで、他家に嫁いだ人はその家のお墓に埋葬されるのが一般的でした。この形式は現在も多いですが、しかし近年少子化が進むにつれ、一人娘を嫁がせた側の家でお墓の継承者がいなくなるという場合が多いのです。

その場合に、お墓の継承者を嫁いだ娘にするしかなく、娘としては自分の嫁いだ家と実家の両方のお墓を管理できないので、思い切って、両方のお墓を一体化して両家墓にしてしまう、ということなのです。

その他のお墓の種類

このほかお墓にはどのような種類があるのでしょうか。

家墓、一族墓、累代墓

最も代表的な形態が先ほど挙げた「家墓」あるいは「一族墓」です。
または「累代墓」とも言います。

この家墓は家族や同一姓の親族全員を1つのお墓に埋葬するものです。
墓石には「~家之墓」「先祖代々之墓」と彫り込みます。

この形式のお墓が墓地に行くと最も目に付くでしょう。

個人墓

個人墓とはその名の通り、故人を1人だけ埋葬するお墓です。
著名人などの場合はこの個人墓にすることが多いですが、そのほか自分の家のお墓がある寺院と違った宗派を自分が帰依したので、自分だけで眠る墓地を作る必要があった、という場合も増えています。

個人墓であれば。、お墓のデザインも自分の好きなように決めることができます。

樹木葬墓地

最近増えているお墓が樹木葬墓地です。

樹木葬とは、従来の、墓石を建ててその下の納骨室に骨壺を納めるという形式ではなく、1本のシンボルツリーの下に納骨し、自分の遺骨が土に還って樹木の養分となって、自然の生命の循環の中に戻っていくことを志向した埋葬方法です。

同様に自然に還る埋葬法に、お墓を持たない散骨もありますが、遺骨を粉末状にする必要がある散骨に対して、樹木葬場合は火葬したそのままの遺骨の状態で埋葬することができます。

ただし、散骨は原則的にどの場所にでも遺骨を撒けますが、樹木葬の場合は市区町村によって許可された樹木葬墓地にしか埋葬することができません。自宅の家の庭の木が好きだったからと言って、その下に埋葬すると墓地埋葬法違反になって罰せられます。

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二世帯のお墓の種類

では二世帯のお墓を作る場合、どのような方法や種類があるのでしょうか。

1区画に姓が違う2つの墓石を建てる

どちらの家の独立性も守りたいが、しかし両家家にする必要がるという場合は、1つの区画に両家の墓石を二つ建立する方法があります。
この場合は、納骨室も全く別になるので、実質的には2つのお墓と同じことになります。

墓地の区画が広ければできる方法ですが、やはりの墓地の取得費用が高額になるため、すでに墓地を持っている場合を除いて、最近では少なくなってきた方法です。

カロートという納骨室も2つ設けてあり、納骨する場所は別々に設計されています。

和型墓石に両家の姓を彫る

最も多い両家墓の形式は1つの和型の墓石に、両家の姓を縦に並べて彫るものです。
この場合は納骨室は1つなので、その中に両家の先祖を仲良く埋葬することになります。

ただし2つの家を納骨するため、納骨数が多くなるので、納骨室の内部は2段にし、多くの遺骨を納骨できるようにすることが多いです。

洋型墓石を両家墓墓にする

横長の墓石を洋型と言いますが、この洋型墓石を両家墓にする場合もあります。

しかしこの形式にすると、両家のどちらを上に書くかというっことで悩んでしまうことも多いため、墓石には自分の好きな「愛」とか「信頼」といった文言を彫り、両家の姓は左右の下に彫って、どちらが上位かということを感じさせないようにする場合がほとんどです。

この場合両家の家紋は墓石に彫ることができないため、左右の花立にそれぞれ彫刻します。

二世帯のお墓のメリットとデメリット

では二世帯のお墓のメリットとデメリットには何があるのでしょうか。

メリットとは

まずメリットは以下の通りです。

1人で2つの家の墓の祭祀継承者になれる

両家墓の最大のメリットは1人の人が2つの家の祭祀継承者になれるという点です。

最近は少子化などによって、1人っ子の家が増えていますから、どうしても祭祀継承者がいなくなります。
と言って、2つのお墓の祭祀継承者を兼ねた場合、お墓の維持の手間も、また管理費もダブルで必要になります。

しかし二世帯の両家墓にすれば、そのような無駄がなくなります。

墓参りが1度で済む

お盆やお彼岸にはお墓参りをしますが、両家墓にしておけば、その手間が1回で済みます

墓石建立と管理の費用が安くなる

新たにお墓を建立する場合、2軒のお墓を作るとその費用は500万円を超える可能性があります。
しかし両家墓にすればその費用が半分で済みます。

また先ほど書いたように、お墓を建立した後もその管理費は1軒分になります。

新たに墓地を買わなくてもよい

すでにお墓があって、そこを両家墓に変更する場合は、墓石の上部、棹石と呼ばれる部分をだけを取り換えれば済みます。

新たに墓地を購入する必要がありません。

デメリットとは

一方でデメリットには何があるのでしょうか。

手続きが煩雑

最大のデメリットはお墓を改修したりする場合に、1つの家とその親族だけに相談すれ済む一族墓に対して、両家墓の場合は2つの親族と話し合わなければならない点です。

親族の反対がある場合も

2つあるお墓を1つの両家墓にする場合、そこに眠っている故人の親族が反対する場合もあります。
その場合は、強行すると後でトラブルになりますから、両家墓にしなければならない理由を両家の親族に丁寧に説明して、納得してもらうようにしましょう。

二世帯のお墓でトラブルにならないための注意点

二世帯の両家墓を作る場合にトラブルにならないためには以下の点に注意しましょう。

その霊園で二世帯のお墓を作れるか?

まずお墓を建てる墓地を管理している管理者がそもそも両家墓を許可していない場合があります。

特に市区町村の経営する公営墓地の場合、許可されないケースが多いです。
無断で建ててしまうと後で大きなトラブルになりますから、両家墓を建てることを考えた場合は、まず墓地管理者に相談しましょう。

両家の宗派が一致しているか?

寺院が管理している寺院墓地の場合、そこにあるお墓に埋葬できる人は、その寺院と同じ宗派の人だけです。

したがって同じ仏教でも曹洞宗の家と、浄土真宗の家を両家墓にすることは難しい場合がほとんとです。
したがって、両家の宗派が異なる場合で、さらに寺院墓地に両家墓を作る場合は、それでも建立が可能かどうかを寺院側に確認することが必要です。

両家にとってアクセスの良い場所か

両家墓を作った場合、2つの親族がお墓参りをすることになります。
ですから両家墓は、2つの親族にとって交通アクセスが良いことが条件になります。

もしも片方にだけ交通アクセスが良いと、一方の親族は頻繁に墓参ができても、一方は滅多にできないということになります。
単にそれだけなら良いですが、交通アクセスが悪い親族からクレームがつく場合もあり得ます。

ですから両家墓を作る場合は、両方の家、両方の親族にとって交通アクセスの良い場所を選ぶようにしましょう。

親族の了解は取っているか

両家墓を作る場合、お墓に入る家族の許可を得ればよいということではありません。

最近はその意識が減ってきましたが、やはり本家、分家という考えを根強く持っている人もいます。
もしも自分の家が本家の場合に両家墓にしてしまうと、分家筋の親族からクレームがつく可能性があります。

ですから、両家墓を建立する場合は、埋葬される家だけではなく、主だった親族の了解を得るようにしましょう。

墓石の家名はどう彫る?家紋は?

両家墓の墓石には2つの家の姓を並べて彫ることがほとんどですが、墓地によってはそれが許されない場合もあります。

あるいは先ほど書いたように、洋型墓石の場合どちらかの家を上に書くことになるので、自ずから上下関係があるように映ってしまう可能性もあります。

そのような場合は、墓石には家名でなく「先祖代々之墓」とだけ彫って、両家の故人の戒名を墓石の側面に彫る方法が一般的です。また洋型墓石の場合は「愛」「縁」といった、両家の絆を表す文言を墓石には彫っておいて、両家の姓は花立などに彫る場合もあります。

家紋も同様に、和型墓石で両家の姓を並べて彫る場合にはその姓の上部に載せ、姓を墓石に彫らない場合には、花立などに彫り込む方法をとるようにしましょう。

まとめ

自分が1人娘の場合、あるいは配偶者が1人娘の場合、実家の祭祀継承者がいなくなって困ることも多いでしょう。
その際に解決策になる1つの方法が両家墓にすることです。

ただし両家墓にする場合は、いくつか注意点があります。
以上の解説を参考に、あとでトラブルにならないように慎重に実行しましょう。

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