お墓参りのタブーを解説!やってはいけないことはある?

お墓参りのタブーを解説!やってはいけないことはある?

お墓参りについていろいろなタブーが言われています。
午後にはお墓参りをしてはいけない、などのタブーはその代表的なものでしょう。
これらのタブーには合理的なものと、根拠のない迷信と言っていいものまでいろいろとあります。

今回の記事ではお墓参りのタブーと言われていることを紹介し、それが正しいことなのか、信じなくてもよいことなのかを解明します。

お供え物のタブー

お墓参りに行った時にはお供えをします。
この時にタブーはあるのでしょうか。

お酒やジュースなどの飲み物を墓にかける

お酒やジュースをお墓にかけるのはNGです。
よくドラマやマンガで、お酒の好きだった故人のお墓に日本酒を一升瓶をかけるというシーンが見受けられますが、絶対にしないでください。

お酒やジュースには糖類が含まれており、かけてそのままにすると虫が寄ってきます。
また、墓石には無数の小さな穴があります。ここからお酒やジュースの成分を吸い込むと、石材が変色したり、カビの原因になります。

お酒やジュースを供える場合は、コップなどに注いでお供えします。
缶のままお供えしても構いませんが、缶の金属がサビて墓石に侵食することがありますので、必ず持ち帰るようにしてください。

お供えを置いて帰る

お供えを置いて帰るのも好ましくありません。

昔は里山にお墓があり、お供えは動物や虫などに対する施しとなっていました。
しかし、現在ではきれいに手入れされた霊園が増えており、お供えに動物や鳥などが寄ってくるのは迷惑とみられます。
鳥のくちばしや動物の爪がお墓を傷つけることも考えられます。
加えて、食べ物自体が腐って墓石を傷めることもあります。
お供えはその場で食べるか、家に持って帰っていただきましょう。

ロウソクの火を息で吹き消す

ロウソクや線香を息で吹き消すのは、現在でもタブーとされています。
これは墓石などではなく、仏教の教義上の問題です。

仏教の教義上、灯燭(とうしょく、明かりのこと)と香は基本のお供えに含まれており、清浄なものとされています。
一方、人間の「口」は体、意識ともに「身口意」と呼ばれ、悪いものを生み出す原因とされています。

したがって、清浄なロウソクや線香の火を不浄な口の息で消すのは良しとされていません。

トゲのある花や香りの強い花を供える

お墓に供える花に関してもいくつかタブーがあります。
1つはトゲのある花や香りの強い花を供えることです。
しかしこのタブーには根拠はありませんので、もしも故人がトゲのあるバラの花が好きだった場合、その好きだったということを優先して供えてあげても大丈夫です。

花粉が多い花を供える

花粉が多い花を供えるのも避けた方が良いでしょう。

これは、花粉が墓石に落ちると、アルコールや糖分がついた時と同様に、その部分が変色してしまう可能性があるためです。
ですからそのような花を供えるのは避けましょう。

花粉が多い花を供えたい場合は、供える前に花をポンポンをたたいたり、花粉のついているおしべをぬぐったりして、花粉を十分に落としてからにしましょう。

お墓でやってはいけないこと

次にお墓参りをするときのタブーをご紹介します。

お参りの時は座るべき?

お墓参りをするときの姿勢に関しては、家や地方によって異なります。
厳密な決まりというほどではありませんが、余計なもめ事を避けるためにも慣習には従った方が無難です。

例えば、立ったままのお参りをタブーとする地域があります。
これは、ご先祖様を祀るお墓よりも上の目線からお参りするのが失礼だという考え方からきています。

しかし一方では、お参りの姿勢には立礼(りゅうれい)と座礼(ざれい)があり、靴を履いているときには立礼をし、脱いでいるときには座礼をするべき、という考え方もあります。
この考え方の沿えば、外にあるお墓にお参りする時には、靴を履いているので立って手を合わせるということになります。

この全く逆の考え方については、どちらが正しいのかという合理的な根拠はありません。
ですから自分の家で引き継がれている方法でお参りをすれば、それが立ったままであろうと、しゃがんでのお参りであろうとよい、ということになります。

ただし、足が悪いからしゃがめない、あるいは立てないのような事情があれば、できる形でお参りをすればいいでしょう。

迷信でタブーと言われること

以上のようなタブーのほかに、古くから言い伝えられていて、科学の発達した現代においては明らかに迷信だというタブーもあります。

午後にお参りに行ってはいけない

その代表的なものが、午後にお墓参りに行ってはいけない、というタブーです。

これがタブーだとされる理由としては2つあります。

1つはお墓参りは何をおいても最も優先されるべきものなので、ほかの用事を済ませてから行う、ということがしてはいけないという理由です。
したがってお墓参りは1日のスケジュールの最初である午前中の1番に行うべきということです。

もう1つの理由は、午後になるとお墓には悪い霊が現れ始めて、その霊がお墓参りをした人に悪事を働いたり、とりついたりするからというものです。

しかしこの2つの理由にはどちらも科学的な合理性はありません。
もちろんお墓参りは大切な行為ですから、優先した方がよいことですが、だからと言って、全てを差し置いてお墓参りをしなくても大丈夫です。
ましてや霊が現れてとりつく、などということは絶対にありません。

ですからお墓参りは午後に行っても問題ないのです。
むしろせわしい気持ちでお参りをするよりは、ほかの用事を済ませてゆっくりをお参りをした方が、故人と十分に会話ができるのでよいとさえいえるでしょう。

ただし一般的な墓地には照明が十分に設置されていないことも多々あります。
そうなるとあたりが暗くなってからのお墓参りは足下が危なく、転んでけがをしてしまう危険性がありますから、できればまだ日が照っていて周囲が明るい時間帯にお参りをした方が良いでしょう。

お墓参りは一人で行ってはいけない

お墓参りに一人で行ってはいけないというタブーもよく言われます。
ですが、現在では昔とお墓の事情が変わっていますので、気にしなくていいでしょう。

この理由は、1人でお墓参りをすると霊がとりつきやすいからというものです。
しかしこれにも科学的で合理的な根拠はありません。
この点については心配しなくても良いでしょう。

実際は、昔お墓は山にあることが多く、滑落など事故があった時に一人だと気づかれずに助けてもらえないなど、一人のお参りにはリスクがあったようです。
現在では都心・郊外ともにきれいに整備されたお墓が主流になってきているので、一人でお参りに行っても問題ないでしょう。

他人の墓に手を合わせてはいけない

自分の意のお墓にお参りした際に、隣にあるお墓にも手を合わせてしまうと、そのお墓に埋葬されている人が身内が来たと誤解して、お参りをした人に何らかの影響を与えるのでタブーだという説もあります。
しかしこれも迷信です。
したがってどのお墓に手を合わせても何か悪いことが起こる、ということはありません。

とは言え、本来のお墓参りはそこに埋葬されている故人や先祖に対して供養をすることと、その故人や先祖と会話をすることが正しい態度です。
したがってそこに誰が埋葬されているかもわからないのに手を合わせるということは、実はお墓参りをあまり真摯に行っていないという証明になってしまいます。
その意味では、隣のお墓に手を合わせるということはいい加減な行いなので、褒められた行為ではありません。
ですので、そのような行いは避けた方はよいでしょう。

ただし、旅先で古いお墓が道端にあって、たまたまそこに行き会ったので手元の水をかけ、手を合わせるということは、誰かは知らなくてもそこに埋葬されている人の供養になりますから、問題ありません。

まとめ

今まで何となく言われていたので、守っていたタブーもあるのではないでしょうか。
ですが、お墓参りで一番大事なのは故人を供養する気持ちです。
タブーを気にしてお参りから足が遠のいてしまうくらいなら、気持ちを優先してできる形で供養するのが良いでしょう。
ただし、墓石を傷つけたり、他の人に迷惑をかけるようなことは避ける必要があります。

最大限供養できる形で、お参りができるといいですね。