遺骨を自然に還す「散骨」のメリット・デメリットと問題点

遺骨を自然に還す「散骨」のメリット・デメリットと問題点

近年、故人の遺体を自然に還す自然葬として散骨が注目されています。

少子化や核家族化による継承者不在などでお墓の購入・維持が難しくなっていることや、お墓についての考え方の多様化、自然回帰の風潮が背景にあるようです。

山や海が好きだったという方であれば、死後、自分の好きだった山や海に散骨してほしいという人も少なくないでしょう。

散骨にはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。また、散骨をするにあたっての注意点や問題点はどうでしょうか。

さまざまな散骨方法

散骨は、海に散骨する「海洋散骨」と山に散骨する「山林散骨」が一般的ですが、ヘリコプターやバルーンを使って散骨する「空中散骨」など、新しい形の散骨方法も登場しています。海洋散骨の場合、国内だけではなく、ハワイなど海外で散骨する人もいます。

いずれも業者に依頼することができますが、山林散骨や海洋散骨は遺族で行うこともできます。

散骨のメリット

1.故人の希望をかなえる

散骨を選ぶ最も大きな理由は、故人の生前からの希望をかなえるというものでしょう。

散骨が容認されるようになったのは1990年代初めからです。それ以前は、海や山への散骨を希望していても認められませんでした。

海や山が好きだった、死んだら自然の一部になりたい、自分らしく見送ってもらいたいといった故人の遺志を実現できるのが、散骨の最大のメリットといえるでしょう。

2.金銭的な負担が少ない

散骨をするとお墓を建てずにすむため、金銭的な負担が少ないというメリットがあります。特に粉骨(遺骨をパウダー状にすること)から散骨まで遺族が自分たちで行った場合、費用はほとんどかかりません。

業者を使うと費用がかかりますが、船をチャーターしての海洋散骨でも20万円程度で行うことができ、平均200万円といわれる東京近郊でお墓を購入する費用に比べると金銭的な負担が極めて軽くなります。また、年間管理費などお墓を維持するための費用も掛かりません。

3.後継ぎの問題がない

少子化や核家族化などにより、お墓を守っていく人がいないという問題が起こっています。しかし、散骨はお墓を建立しないため、後継ぎの心配をする必要がありません。身寄りや後継ぎがないことから散骨を希望する方もいるようです。

散骨のデメリット

1.家族や親族の同意が得られない場合がある

散骨についての社会的認知は進んできましたが、まだ遺骨をお墓に入れないことについて抵抗を感じる人も多くいます。家族が同意しなければ、散骨はできません。また、散骨は故人を粗末に扱うものとして親族から叱られるかもしれません。

後でトラブルになることを避けるためにも、事前に家族や親族の同意を求めておくことが大切です。

2.遺骨が残らない

故人の希望通りに散骨したものの、時間が経つうちに故人を偲ぶためのお墓がほしいと思うようになるかもしれません。

しかし、遺骨をすべて散骨してしまうと、いざというときに遺骨が残ってないということになります。それで寂しい思いをしたというご遺族もいらっしゃるようです。

後で後悔しないよう、遺骨の一部をお墓に納める、あるいは自宅で手元供養をするという方が多くなっています。

3.実際に行うにあたっては注意すべきことが多い

散骨は「節度をもって行う」かぎりは違法行為には当たらないとされていますが、法整備がなされていないため各自のモラルによって行われているのが現状です。

そのため、むやみに行うと死体遺棄や墓地埋葬法違反に問われたり、民法上の精神的損害や財産的損害の賠償請求を受けたりする可能性があります。特に散骨を行う場所については細心の注意を払う必要があります。

樹木葬という選択肢

散骨と同じく自然葬として注目されている新しい埋葬の形として樹木葬があります。石のお墓を建てる代わりに樹木を植えて墓標とするというものです。

遺骨を自然に還すという点では散骨と共通していますが、散骨が墓地以外の場所で行われるのに対して、樹木葬は墓地として許可を受けた場所に埋葬するという点が大きく違います。

散骨が法的にグレーゾーンであるのに対し、樹木葬には法律的な問題がありません。また、故人を偲ぶ“よすが”としてのお墓があり、散骨よりも抵抗感が少ないところから人気を集めているようです。

散骨と比較した場合のデメリットとしては費用の問題があります。墓石を建てるよりは費用が抑えられるものの、散骨に比べると高額になるケースが多いようです。立地条件などによっては、墓石のお墓を建てるよりも割高になることもあります。

散骨はデリケートな問題が多いため、本人の気持ちだけでなく、家族や親族とよく話し合ったうえで決めることが大切です。

近くの樹木葬を探してみる >>