里山型の樹木葬について解説!費用や選ぶ際の注意点

里山型の樹木葬について解説!費用や選ぶ際の注意点

お墓の中でも人気が高い樹木葬ですが、近年その数が増えるにつれ、実態も多様化しています。
特に、都市部の樹木葬では、遺骨を土に還さないものが主流です。実際に見学に行ってみたらイメージが違ったという方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、山間部にある「里山型樹木葬」について解説します。

近くの樹木葬を探してみる >>

樹木葬とは

まず、樹木葬とは何でしょうか。

樹木をシンボルとしたお墓

樹木葬とは、樹木や草花を墓標とするお墓です。
樹木葬のシンボルツリーに選ばれる樹木としては、桜やハナミズキ、ウメモドキ、サルスベリ、ヤマツツジほかが挙げられます。

樹木葬の歴史

1990年代前半に、自然志向の葬法が話題になり、東京でも樹木をシンボルにした墓を希望する意見が出ていましたが、大都会ではなかなか許可されないだろうと思っていたところに、岩手県一関市で認可されました。

国内で初めての樹木葬墓地は、祥雲寺(現・知勝院)の千坂げんぽう前住職が発案し、地元住民の同意を得た後、1999年(平成11年)7月に宗教法人祥雲寺の墓地として一関市から許可を受けました。
この樹木葬は、里山型樹木葬でした。
(出典:知勝院ホームページ
その後、地方の寺院や都市部でも樹木葬が設置されるようになり、日本全国に樹木葬が広がっていきました。

里山型の樹木葬とは

千葉県にある里山型樹木葬(市原南霊園)

ここでは、里山型の樹木葬についてご紹介します。

山間部に設置される樹木葬

里山型樹木葬は、山間部にある樹木葬を言います。
植樹をすることで、山の環境保全にも繋がるという観点から始まりました。

埋葬場所はさまざま

遺骨を埋葬する場所は、墓標として植樹した木の下や、自然に生えている木の下、また、何もない場所に埋葬したりとさまざまな埋葬方法があります。
また、埋葬した場所が分かるように、墓標にプレートをつけたり、目印になるような大きな木の近くに埋葬することもあります。
必ずしも1区画に1本の樹木を植えるわけではなく、複数の区画で1~数本のシンボルツリーを共有するものも多くあります。

里山型樹木葬は自然な形態が多い

多くの里山型樹木葬は、遺骨を自然(土)に還す形態をとります。
自然志向の方には、ぴったりのお墓です。

里山型は樹木葬の原点

国内で初めての樹木葬は、里山型樹木葬でした。
近年、遺骨を骨壺で納めて土に還さないタイプの樹木葬も増えていますが、最初は里山型樹木葬です。

里山型の樹木葬の費用

里山型の樹木葬の費用相場をご紹介します。

10万円から80万円が相場

里山型樹木葬の費用相場は、土地使用料・永代供養料などを含めて10~80万円程度です。
埋葬する形態や人数によって、費用は前後します。
運営管理費(年会費)や骨壺代、埋葬手数料が別に必要な場合もあります。

埋葬する人が増えるとその分高くなる

樹木葬は、基本的に一人あたりの費用になるため、埋葬する人が増えると高くなるケースもあります。
家族で利用するお墓を考えるのであれば、一般的な墓地のほうが安くなるケースもあります。

全国の樹木葬を探す >>

里山型樹木葬はどこにある

全国の里山型樹木葬には、以下のような所があります。

里山型樹木葬はこんな人におすすめ

里山型樹木葬は、次のような人におすすめです。

里山型樹木葬がおすすめの人

  • 自然に還りたい
  • 好みの花木を植えたい

自然に還りたい

多くの里山型樹木葬では、遺骨を土に還します。
自然に還りたいと考えている方は、都市部の樹木葬よりも、里山型樹木葬の方が希望に合うものを多く見つけられます。

好みの花木を植えたい

自分で樹木を選んで植樹したい場合は、1区画につき1本の花木を植えるタイプの樹木葬(個別型樹木葬)を探す必要があります。
個別型樹木葬は、1区画あたりの面積を広く取るため、里山型樹木葬に多くあります。
ただし、全ての里山型樹木葬で個別型を用意しているわけではないので、選択肢は絞られるかもしれません。

里山型樹木葬の注意点

里山型樹木葬の注意点は、以下の通りです。

里山型樹木葬の注意点

  • アクセスとお参りが不便
  • お墓が荒れることがある

アクセスとお参りが不便

里山型樹木葬は山間部にあるため、基本的にアクセスは不便です。
交通機関がなかったり、車で長時間運転したり、気軽に行ける場所ではない可能性があります。
さらに、山林に埋葬されるため、埋葬された場所まで歩いていく必要があり、足が不自由な人や高齢者には大変でしょう。

お墓が荒れることがある

里山型樹木葬の中には、自然に還すという趣旨に従い、あえて樹木を選定しなかったり、墓地周辺の除草をしない所もあります。
お墓を持った後もきれいな場所で眠りたい、快適にお参りをしたい方は、事前にどのような趣旨で管理されているかを確認しましょう。

里山型樹木葬で植樹できる木の種類

墓標に使える木は、墓地によって指定されていることが多いのですが選べる墓地もあります。
ここでは、人気の木をご紹介します。

一番人気なのは桜の木

樹木葬で人気が高いのが桜です。桜葬という言葉があるほどです。
桜は、日本になじみの深い特別な花木だからでしょう。

しかし、桜は地面の浅いところに根を張り、横に広く広がって成長する特性を持っています。
このため、隣の墓所まで根が伸びてしまう可能性があり、実際に桜をシンボルツリーにするのはほとんど難しいのが実情です。

花の咲く低木

日本最初の樹木葬はヤマツツジでした。
樹木葬でよく使われるのは花の咲く低木です。
人気があるのは、ハナミズキ、サルスベリ、ウメモドキ、エゾアジサイといったところです。

常緑樹なども使われます

花木に人気がありますが、モミジやムシカリ、ツバキ、ユキヤナギなども良く使われます。
また、クスノキのような常緑樹も使われます。
ちょっと変わったところでは、バラの樹木葬もあります。

他の樹木葬について

これまで、里山型の樹木葬についてご紹介してきました。
里山型以外に樹木葬にはどのようなものがあるのかと気になる方のために、ここでは、里山型以外の樹木葬についてご紹介します。

都市型、公園型

メモリアルパーククラウド御殿山(東京都)

都市型、公園型の樹木葬についてご紹介します。

都市部にある樹木葬

都市型・公園型の樹木葬は都市部にある樹木葬です。

交通の便が良くお参りしやすい

里山型樹木葬に比べると圧倒的にアクセスが便利で、電車やバスでお参りに行ける所もたくさんあります。
園内をバリアフリーにしている場合もあり、比較的お参りも楽です。

自然には還さないことが多い

都市型樹木葬は多くの場合で、遺骨は骨壺などで樹木の下の石室に納められ、一定期間後には合祀墓に移動されます。
いわゆる「自然に還る樹木葬」のイメージとは異なるかもしれません。

ガーデニング型

さがみ野霊園樹木葬の画像2
さがみ野霊園(神奈川県)

つぎに、ガーデニング型の樹木葬についてご紹介します。

花や植物に囲まれた場所に埋葬

ガーデニング型の樹木葬は、庭園風に花木を整えた場所に、遺骨を埋蔵する樹木葬です。

花が好きな人にはおすすめ

たくさんの花に囲まれて眠りたいという方は、ガーデニング樹木葬がイメージに合うかもしれません。

遺骨は自然に還さないことが多い

ただし、都市型樹木葬同様、遺骨は土に還さないものが主流です。

まとめ

里山型の樹木葬は、自然に還るということを強く感じることができる埋葬方法といえます。
緑あふれる自然の中で、樹木や植物たちと共に安らかに眠ることができます。
日本の四季を感じながら、自然の一部として自然に還っていけるということが里山型の樹木葬の良いところではないでしょうか。
家や宗教とは無縁のところで眠りたいという人にも樹木葬は適しています。

里山型の樹木葬を考える場合は、メリットとデメリット、そしてなにより、しっかり家族と相談して決めるようにしてください。
この記事が里山型の樹木葬をお考えの方のお役立てれば幸いです。

樹木葬をお探しですか?

お墓さがしでは、全国にある樹木葬を掲載しています。
ご希望のエリアや条件に合ったところがないか、こちらからぜひ一度ご覧ください。

ご希望のエリアを選んでください
北海道・東北
関東
北陸・甲信越
東海
関西
中国
四国
九州・沖縄

【監修者情報】
井上 治代 様

井上 治代
(いのうえ はるよ)

社会学博士。エンディングデザイン研究所代表、元東洋大学ライフデザイン学部教授、認定NPO法人エンディングセンター理事長。研究テーマは、「人口減少社会における家族変動と葬送」「死生観」「日本仏教の再生」などで、執筆・評論活動を続け、公的機関の諮問委員や講演等を行っている。主な自著は『最期まで自分らしく』『墓をめぐる家族論』『墓と家族の変容』『桜葬』、「集合墓を核にした結縁―「桜葬」の試み」『地域社会をつくる宗教』、”Death Dying, and Disposal in Contemporary Japan,” It will be published by Routledge (UK ),「死生観なき時代の死の受容」『「終活」を考える』など多数。

里山型樹木葬に関するよくある質問