芝生墓地の特徴は?費用やメリット・デメリットを解説します

芝生墓地の特徴は?費用やメリット・デメリットを解説します

近年人気の「芝生墓地」。
欧米でよく見られるタイプの墓地ですが、近年、日本でも見られるようになってきました。

従来のお墓がコンクリートと石でできた冷たい印象なのに対し、芝生の緑に覆われ、明るく公園のような印象を与えます。芝生墓地は、暗い、辛気臭いといったお墓のイメージを覆す、現代の感覚にあったお墓といえるでしょう。

今回の記事では、芝生墓地にはどんな特徴があるのかを紹介します。

1.芝生墓地の4つの特徴

それでは、芝生墓地は一般の墓地に比べてどんな特徴があるのでしょうか。

1-1.墓所内が全面芝生

一面の芝生の上に小さなお墓が並んでいるのが、芝生墓地です。

一般的な墓所の場合は参道がはっきりと整備されており、土がむき出しになっているか、コンクリートやタイルなどで舗装されます。また、区画もはっきりと分かれており、外柵で隔てられるか面積いっぱいに墓碑が建てられるなどします。

対して、芝生墓地の場合は全面芝生になっているので、はっきりと見た目に分かるように参道や区画のラインを分けません。

1-2.外柵がいらない

一般墓地にお墓を持つと、それなりの広さであれば石の囲いを設けます。
この石の囲いのことを、外柵と言います。
外柵には周りのお墓との境界線や土台の補強、流水を防ぐといった役割があります。

一方、芝生墓地は外柵を設けず、墓石だけを建てるのが一般的です。
ただし、一部に外柵を作るタイプの芝生墓地もあるようです。

1-3.洋型墓石がほとんど

芝生墓地では特に規定がない限り和型でも洋型でもよいのですが、一般的にはほとんどの場合で洋型墓石を用います。
またデザイン型墓石を見かけることもあります。

霊園によっては、景観を維持するために墓石の高さやデザインに制限が設けられている場合があります。

1-4.カロート(納骨スペース)は地下式

遺骨を納めるスペースを「カロート」といいます。

最近の一般墓地では、和型・洋型ともに地面より上にカロートを設ける地上式(丘カロート)や、上部を地上に出す半地下式が多いのですが、芝生墓地では地下式のカロートが一般的です(地上にカロートを設けるタイプもあります)。

また、芝生墓地では、同じ区画面積の一般墓地よりカロートのサイズが小さい場合があります。

2.芝生墓地のメリット

それでは、芝生墓地にお墓を持つとどんなメリットがあるのでしょうか。

2-1.景観が明るい

一般墓地とのもっとも大きな違いは、全体の景観でしょう。

芝生墓地では、一面に植えられた芝生の中にお墓が建っています。
霊園によっては、参道部分がインターロッキングなどで舗装されていることがあります。

お墓とお墓が離れて立っている上、背の低い洋型墓石が多いため、一般墓地に比べて圧迫感が少なく、視界が開けて広々とした感じを受けます。
芝生の緑が目にやさしく、公園のようです。

2-2.一般墓所より総額費用を抑えられる

お墓の値段は墓地と墓石の費用で決まります。
墓石代に関しては、芝墓地は外柵が不要で小さな洋型墓石を置く形になるため、外柵付きの和型のお墓を建てるよりも費用を抑えることができます。

3.芝生墓地のデメリット

それでは、芝生墓地にはどんなデメリットがあるでしょうか。

3-1.冬季にかけて芝が茶色くなる

春には瑞々しい新緑を、夏には青々とした美しい彩りを見せてくれる芝ですが、それ以降は冬にかけて段々と茶色くなっていきます。
さわやかな雰囲気が良いという理由で芝生墓地を購入してしまうと、その後に芝が枯れた様子を見たときに後悔するかもしれません。
お盆の時期はちょうど緑がきれいですが、3月や9月のお彼岸は、地域によっては芝が活き活きとしていない状態になっていることが多いにあり得ます。

3-2.デザインに制約がある

芝生墓地の場合は開放的な景観を維持するため、墓石の高さなどに制限を設けている場合があります。
また、区画自体も小さいので、大きなお墓を持つことはできません。

3-3.管理費が割高

芝生のメンテナンスにコストがかかるため、年間管理費が少し高くなります。
同じ区画面積だとしても、一般墓地より芝生墓地の方が高めに設定されていることもままあります。

4.芝生墓地にお墓を建てる費用の総額は?

お墓を建てる費用は、墓地と墓石・工事費で決まります。
芝生墓地の場合、総額費用は80~150万円程度が相場です。
これに、さらに毎年5,000~10,000円程度の管理料を支払います。

一般墓地のお墓を建てる場合の相場は150~300万円と言われていますから、芝生墓地は比較的安くお墓を持てると言えます。

4-1.永代使用料

永代使用料とは、墓地の区画を永代に渡り使用できる権利のことを言います。
永代に渡りとは、使用者が後代に承継される限りという意味です。具体的には、管理料を支払い続ける限り区画を使用できます。
土地の購入費ではない点に注意しましょう。

芝生墓地の永代使用料の相場は、2~4㎡で30-80万円程度です。
ただし都立霊園は別格で、永代使用料だけで100万円以上するところもあります。
逆に、地方の公営霊園などでは30万円以下で受け付けている場合もあります。

4-2.墓石・工事費

芝生墓地は外柵なしの洋型のお墓を建てることがほとんどのため、一般墓地にお墓をたてるよりも使用する石材が少量です。
芝生墓地の場合、一般的なデザインと石種であれば50-80万円程度で石材費と工事費を賄えるでしょう。
もし高級墓石を使ったり、複雑なデザインや彫刻を施したい場合はさらに費用が掛かります。

外柵を作るタイプの芝生墓地の場合、ゆとり墓地に近い金額になるようです。

5.芝生墓地にお参りするときの注意点

芝生墓地では、火災予防の観点から線香やロウソクなど火気の使用が禁止されていることが多いようです。

特に乾燥している冬場は、芝生に火がつくと一気に燃え広がることがあるため、禁止されていなくても取り扱いに注意しなければなりません。

花やその他の供え物は、一般墓地と同様です。

6.タマリュウ(玉竜)墓地とは

手入れが大変な芝の代わりに「タマリュウ(玉竜)」を植える墓地もあります。

タマリュウはユリ科ジャノヒゲ属の多年草です。
常緑手入れが簡単なので、芝生の葉が茶色になってしまう冬場でも青々としています。

タマリュウ墓地の場合は、芝生墓地のように区域全体を覆うのではなく、区画と区画の間に植栽スペースを設け、そこにタマリュウ(玉竜)を植えるというのが一般的です。

7.まとめ

芝生墓地は、区画全体が芝でおおわれている墓地です。
芝生の上に洋型の小さな墓碑を建てて、遺骨を納めるカロートは地下に作ることが多いです。

雰囲気が明るい、費用が抑えられるなどのメリットがある一方、冬になると芝が茶色になる、管理費が割高というデメリットもあります。
芝生墓地を持ちたい場合、費用はおよそ80-150万円程度です。
一般墓地にお墓を持つよりも安く購入できます。