死産した赤ちゃんの遺骨は埋葬する?お葬式とお墓について

おなかの赤ちゃんが亡くなってしまったら、いかなる心情にあっても、役所の手続きや供養について手配しなければなりません。
どのようにお見送りをするかは、その後、この出来事の受け止め方にも影響するかもしれません。
一度きりのお見送りをきちんとしてあげる一助となるよう、今回の記事では、亡くなった赤ちゃんのお葬式とお墓について解説します。
目次
死産してから火葬まで
法的には、死産とは妊娠してから12週以降に胎児が亡くなった状態で生まれることを言います。
死産した場合のお見送りの流れは以下の通りです。
1.お見送りの方法や日程を決める
赤ちゃんを、どの日程でどのようにお見送りをするかを決めます。
この後の役所の手続きで「火葬場の名称」や「火葬の日時」を記入するので、先に手配しておきます。
葬儀社を利用する方は、相談しながら決めていきましょう。葬儀社は、病院から紹介してもらえることもあります。
火葬場を予約する時の注意点
胎児の骨は未熟で、必ずしも火葬後にご遺骨を必残せません。
できるだけご遺骨を残したい方は、必ず事前に葬儀社や火葬場に相談しましょう。
火葬炉の温度が上がりきっていない朝一番で火葬することで、多少ご遺骨を残せる確率は上がると言われています。
また、東京都四ツ木斎場の「小型炉」や京都市中央斎場の「胎児専用火葬炉」などのように、赤ちゃん専用の火葬炉を備えている火葬場もありますが、まだ数は多くありません。
2.役所で手続きをする
死産の場合は、「死産届」を役所に届け出ます。
分娩した日から7日以内に、届出人の所在地か、死産のあった場所の役所に届け出ます。
胎児が妊娠12週~22週までの死産の場合
妊娠12週以降の赤ちゃんが死産した場合は、「死産届」を役所に届け出ます。
出生届は提出しないので、戸籍には何も記載されません。
なお、12週以前の場合は死産届の必要はありません。
死産届に必要なものは以下の通りです。
- 医師等が発行する死産証書
- 届出人の印鑑(朱肉が必要なもの)
- 身分証明書
- 死胎火葬許可申請書
妊娠週数が12週+1日(85日)以上の場合は、出産育児一時金の給付対象になるので、加入している健康保険の事務所に確認してみましょう。
胎児が妊娠22週以降の死産の場合
妊娠22週以降の赤ちゃんの死産の場合も、流れは基本的に一緒です。
しかし赤ちゃんが誕生した時には生命が維持されていて、その後に亡くなった場合は、出生後の死亡になります。
その時には出生届を提出し、戸籍に記載されることになります。
赤ちゃんがいつ亡くなったかは、医師に判断してもらいましょう。
さらに妊娠24週を超えている場合は、火葬までに24時間以上ご遺体を安置します。
3.お見送りまでの過ごし方
赤ちゃんのお見送りまでにすること、できることには、何があるでしょうか。
病院での過ごし方
死産した後にどのようなサポートがあるかは、病院によって異なります。
病院によっては、以下のような対応を取ってもらえることがあります。
希望があれば、伝えてみてもいいかもしれません。
- 親子を個室に移動してもらう
- へその緒を取っておいてもらう
- 髪や爪を取っておいてもらう
- 赤ちゃんに服を着せてもらう
- 抱っこさせてもらう
- 手形や足形を取ってもらう
自宅でのご遺体安置
病院から赤ちゃんを引き取ったら、その後は自宅に安置することが一般的です。
安置にはドライアイスが必要です。葬儀社に葬儀を依頼していれば用意してもらえます。自分で用意する場合は、5千~数万円程度の費用が掛かります。
棺や骨壺の用意
火葬・収骨には、棺と骨壺が必要です。
棺と骨壺は、病院または葬儀社から購入できます。
納骨場所が決まっている場合は、納骨スペースも考えながら骨壺のサイズを選びます。
4.お見送り・火葬
ご家族が決めた手順や日程に則って、赤ちゃんをお見送りします。
お葬式は任意で行う
死産した赤ちゃんのお葬式は、火葬のみにする方が多いようです。
ただし、セレモニーをしてはいけないということはないので、家族の気持ち次第では、身内だけでささやかに葬儀を営むのも良いでしょう。
基本的には戒名や位牌は不要
戒名や位牌は、通常は作りません。
ただし、作っても問題はないので、希望があれば菩提寺や葬儀社に相談します。
火葬
赤ちゃんの火葬では、必ずしもご遺骨を残せるとは限りません。
残せなかった場合でも、遺灰を持ち帰らえるかどうかは、葬儀場のスタッフに聞いてみましょう。
また、ぬいぐるみや絵本などの副葬品を棺に入れると、ご遺骨がきれいに残せない場合があります。
葬儀場によって設備やサポートは異なるので、事前に、遺骨や遺灰を持ち帰れるか、副葬品はどのようにするのが良いかなどは、聞いておきましょう。
葬儀はどれくらい費用がかかるの?
葬儀社を通さずに火葬場を利用する料金は、死産の場合で3千~5万円程度です。料金は、自治体によって変わります。
葬儀社を使って、火葬からお葬式まで行う場合は15万円程度を考えておきましょう。
また、あまり多い例ではありませんが、一般的なお葬式を行った場合は、費用は数十万~100万円程度かかります。
遺骨は埋葬するべき?
ご遺骨の供養について解説します。
すぐに埋葬する必要はない
ご遺骨の納骨の期限は、法律上の決まりがありません。
すぐに埋葬する必要はなく、気持ちの整理が付くまでご自宅で供養される方も少なくありません。
ご自宅で供養する方法はいくつかあり、お骨壺のまま安置したり、手元供養専用のオブジェなどを使用する方もいます。
また、ご遺骨自体を加工し、アクセサリーやオブジェにして、お手元に置いたり、身に付けたりする方法もあります。
自宅の敷地に埋葬するのはNG
妊娠12週以降で亡くなった赤ちゃんの遺骨は、自宅に置いておくことは法律上問題ありませんが、ご遺骨を庭などに埋葬して(埋めて)しまうと違法になります。
「墓地、埋葬等に関する法律」では、遺骨を埋葬(埋蔵)できる場所は、行政に墓地としての許可を受けた区域に限定しています。
あくまでも、埋葬や納骨をしない形式で供養しましょう。
遺骨をお墓に埋葬する場合
従来の慣習では、死産した子どもを含む「水子」は、今あるお墓の隣にお地蔵様を建てて、その中に納骨しました。
ただし、必ずしもこの通りにする必要はありません。ご家族で話し合って納骨先を決めましょう。
新しくお墓を建てても良いですし、ご両親と赤ちゃんのためだけの樹木葬などを用意しても良いでしょう。
あるいは、お寺によっては、水子のためのお墓や納骨堂を用意している所もあります。
水子供養をする必要はある?
水子供養とは、生まれる前に亡くなってしまった子どものための供養です。
水子供養は、必ずしも必要ではありません。
しかし、「赤ちゃんのために何かしてあげたい」「一度気持ちの区切りを付けたい」という方は、水子供養をしてあげてもいいかもしれません。
水子供養は、お世話になっているお寺に相談してみましょう。時期はいつでも構いません。
お世話になっているお寺が無ければ、一度近くのお寺に問い合わせてみましょう。
まとめ
赤ちゃんをお見送りしなければならないことは、大変辛いことです。
最後の時間を悔いなく過ごせるよう、ご家族や病院、葬儀社に相談しながら、お見送りの方法を決めていきましょう。
病院によっては、赤ちゃんとの思い出を残してもらえるようなサポートをしてもらえます。
へその緒や髪の毛、手形などの何か形に残るものを取ってもらったり、洋服を着せるなどのお世話をさせてもらえることもあります。
一方、事務的には、役所に届け出を出したり、葬儀社や火葬場の手配を進める必要があります。
赤ちゃんの遺骨を残すことは簡単ではないので、ご遺骨を残したい方は、葬儀社や火葬場に相談しましょう。
ご遺骨は、すぐに納骨する必要はありません。気持ちの整理が付くまで、自宅で供養しても大丈夫です。
最近では、自宅供養や手元供養の商品も様々に開発されています。
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経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。