遺骨の郵送は違法じゃない?送り方や送骨サービスを紹介

生活している場から、お墓が遠く離れているというのはよくあることです。
遺骨を実家のお墓に納骨しようと思うと、遺骨はどのように移動すればいいのでしょうか。
一つに、遺骨を送るということが考えられます。
しかし、法律上、遺骨は一般のモノとは異なる扱いを受けます。
遺骨を送るのは、法律に抵触しないのでしょうか。
また、最近では、遺骨をお寺に送ってそのまま合祀のお墓に入れてもらう「送骨サービス」なるものも登場してきました。
今回は、遺骨は郵送や送骨サービスについて紹介していきます。
目次
遺骨を郵送する事は出来るのか?
法律上、遺骨は許可を受けた墓地以外に埋葬してはいけないなど、普通のモノとは異なる扱いをうけます。
遺骨を郵送するというのは、本当に大丈夫なのでしょうか?
遺骨を郵送する事は違法か?
結論としては、遺骨を郵送することは可能です。
遺骨を郵送することは法律に触れるのでしょうか。
実際にこの遺骨を郵送すること自体を禁止している法律はありません。
しかしながら現段階ではゆうパック以外の方法では、遺骨を郵送することができないとされています。
その理由に宅配業者の殆どはその約款で遺骨の郵送を禁じているというのがあります。
多くの場合、遺骨は最も貴重な部類にはいるので、その保証ができないのが一つの理由になっています。
また、遺骨をさまざまな方法で送る送骨サービスが最近では注目を浴びてはいますが、この送骨サービスも、結局のところはゆうパックでおくることになります。
遺骨を海外に送る事は出来るのか?
海外への送骨はゆうパックでも禁止しています。
また、有名な輸送会社でも遺骨の輸送を禁止していることが多いため、受け付けてくれない場合が多いでしょう。
中には受け付けてくれる業者もあるようですが、気をつけたほうがよいでしょう。
実際に、遺骨の持ち込みは海外の法律において詳細に決められており、その気がなくてもそのような海外での法律に引っかかってしまうリスクが十分にあります。
遺骨を郵送する方法
では、実際に遺骨を郵送するにはどうすればよいのかについて紹介していきましょう。
遺骨の梱包方法
梱包の方法は難しくありません。
実際に送骨を受け付けている寺院やNPO法人では以下のように紹介されています。
・骨壷よりも大きなダンボールを用意する
・骨壷が開かないように蓋をガムテープで閉じる
・骨壷とダンボールの間に緩衝材を詰める
このように、ほかの割れ物を送る場合と特に大きな差はありません。
出来るだけきっちりと詰めて、骨壷が動かないようにしましょう。
また、ネットでは送骨用の専用キットが販売されていたりまします。
梱包の仕方に不安があるばあいは、そのようなキットを利用するのもよい手でしょう。
郵送にかかる費用と日数
ゆうパックの料金は、以下の3つの要素で変わります。
・重さ
「25kg以下」「25kg超30kg以下」で体系が変わります。
・サイズ
荷物の縦・横・高さの3辺の合計で区分が変わります。
60サイズから160サイズまで20刻みで設定されており、この他170サイズがあります。
3辺の合計が60cm以下なら60サイズです。
・差出地から宛先地までの距離
輸送距離で料金が変わります。
例えば、Amazonで販売されている送骨キットを例に見てみます。
一般的な骨壺は7寸壺なので、6~8寸壺用を参照します。
段ボールのサイズは、内寸:タテ26cm×ヨコ28cm×高さ32cmなので、3辺の合計は86cmとなり、ゆうパックの区分としては100サイズとなります。
北海道から各地方に送るとすると、費用と日数は以下のようになります。
差出地 | 宛先地 | 料金(円) | 日数 |
北海道 | 東北地方 | 1,530 | 1日後 |
関東地方 | 1,730 | 2日後 | |
中部地方 | 1,730~1860 | 2日後 | |
近畿地方 | 1,960 | 2日後 | |
中国地方 | 1,960 | 2日後 | |
四国地方 | 1,960 | 2日後 | |
九州地方 | 1,960 | 2日後 |
なお、料金や日数は、日本郵政のHPから調べることができます。
参考:ゆうパックの運賃・料金計算
送骨サービスとは
送骨サービスとは、寺院などに遺骨を郵送して、そのまま永代供養墓に入れてもらうというサービスです。
永代供養墓とは、跡継ぎのあるなしにかかわらず、お寺などの墓地管理者が、供養し続けてくれるというものです。
申し込むと、送骨キットを送ってくれることもあります。
宗旨・宗派不問の場合が多く、多くの人が使いやすいサービスです。
ただし、どこの寺院でも受け付けているわけではなく、むしろかなり少数です。
場合によっては、遠方のお寺さんにお願いすることもあり得るでしょう。
送骨サービスの費用・支払い
送骨サービスのほとんどは、他人と遺骨が一緒くたに埋葬される「合祀墓」で供養されます。
総額で総量は2~5万円程度が相場です。
ただし、個別での埋葬を希望する場合は20万円程度かかります。
申し込みが済むと送骨キットが送られてくる場合が多いでしょう。
支払いは、送骨キットを受け取る際に、代引きで支払うことが一般的なようです。
送骨サービスのメリット
送骨サービスを使うメリットはさまざまあります。
送骨を行うとどのようなメリットがあるのかを紹介していきましょう。
遠方からも納骨出来る気軽さ
最大のメリットは、送骨をすることによって遠方のお寺に納骨することがあげられます。
高齢化がすすむなか、なかなか遠方への納骨を行うのも容易でないケースが増えていますので、送骨を行って供養するという人やニーズも増えています。
今後もその傾向は拡大していくとみられています。
通常の納骨よりも安価
送骨は普通の供養に比べて大変安価であるという点があげられます。
例えば、お墓を建てる場合は、地域差はあるものの150-300万円程度の費用がかかります。
お墓を建てずに、納骨堂や樹木葬で個別に埋葬する場合は、1人用で20~50万円くらいが相場です。
合祀のお墓に納骨する場合も、お寺であれば30万円くらいが相場ですし、安い場合でも5万円はかかります。
では散骨はどうかと言えば、全てを業者に代行してもらう場合では、5~10万円が相場でしょう。
骨を砕くところからまくまで全て自分で行えば費用を0円にすることができますが、骨をすりつぶす、場所を選定するなどハードルが高いため、一般的には業者に頼みます。
しかしながら送骨を行うと2~3万円くらいの値段で永代供養をおこなうことができます。
送料込みでこの価格で行われる場合も多くあります。
ですのでしきたりや風習、納骨を郵送で済ませるという心情を気にしなければ、その安価な納骨は経済的に大きなメリットをもたらしてくれます。
宗派などの取り決めが少ない
納骨をするときに、その送り先での宗派を気にされる方も多いかもしれません。
従来のお墓の檀家制度においてはそのような取り決めである程度入れるお墓が決められていたという経緯があります。
しかしながら、この送骨サービスのメリットのひとつとして、宗派を問わない場合が多いということです。
ですので、気兼ねなくサービスを利用することができるのが大きなメリットとして注目されています。
送骨サービスのデメリット
送骨にはさまざまなメリットがありました。一方で、デメリットもありますのでみていきましょう。
従来のやり方と違うので抵抗がある
送骨サービスのデメリットとしては、従来の供養方法とは異なるという点にあります。
送骨して納骨しても大丈夫なのかと心配になる方も多いのではないでしょうか。
とくに昔ながらの供養方法が大切だと考える人からすると、遺骨を郵送するということは、遺骨を雑に扱っているような気になるかもしれません。
一度送骨するとほとんどの場合は合祀のお墓に埋葬され、二度と取り出せなくなります。
気持ちが迷っているうちは、送骨してしまわない方が良いかもしれません。
運搬時に紛失される可能性
自分の手で納骨を行えないというのは最大のデメリットのひとつです。
もちろん、最近の運搬技術は格段に向上しており、割れ物や貴重品の紛失は起こりにくく、よほどのことがなければそのような被害にはあいにくいとはいえますが、現にゆうパック以外の配達業者は運送約款上送骨を断っています。
また、代行サービスを使う場合でも業者はゆうパックを使用しますがその送骨時の事故に関しては責任をとってくれない業者がほとんどです。
そうなっても仕方がないと思えるかどうかも、ひとつの判断材料の一つではあります。
最近ではお墓にいかなくても自宅で供養できる手元供養なども流行っています。
十分の考慮したほうがよいでしょう。
送骨サービスを使う時の注意点
最後に送骨を行う上での注意点を紹介しておきましょう。
大切なご遺骨だからこそ、留意しておきましょう。
紛失されることもあると知っておく
すでにお伝えしたように、送骨はゆうパック以外では受け付けておらず、ゆうパックですら万一の場合30万円までの実損害が補償があります。
当然、そのような規約がある以上紛失等の可能性は全くのゼロではないともとれますので、送骨をするときは念のため知っておくほうがよいでしょう。
送骨には手続きが必要
送骨では手続きがあります。
基本的には必要書類として火葬証明書か許可証が必要になります。
またそれ以外にも依頼者の住民票又は免許書のコピーや、埋葬許可書、故人の謄本などが必要になる場合があります。
それらの必要書類の内容は、その送骨先が示していますのでそれに順じます。
これらの書類が揃わないと受け付けてくれない場合もありますので十分に注意しましょう。
送骨サービスをしている墓地・霊園
全国にある、送骨サービスをしている墓地や霊園には、以下のようなところがあります。
東北地方
関東地方
永代供養墓3万円~
寺院墓地宗教不問
永代供養墓5万円~
民営霊園宗教不問
中部地方
永代供養墓10万円~
寺院墓地宗教不問
近畿地方
永代供養墓3万円~
民営霊園在来仏教
永代供養墓3万円~
民営霊園宗教不問
永代供養墓5.5万円~
民営霊園宗教不問
中国・四国地方
まとめ
今回は遺骨の郵送について紹介してきました。
現在では送骨サービスも登場し、納骨方法として多くの人々に利用されています。
今一度そのポイントをまとめていきましょう。
・遺骨の郵送は違法ではない
・遺骨をどこかに送るにあたって、郵送以外の宅配業者を使うことはできない
・海外への郵送も理論上は可能だが、海外の法律など壁が多い
・送骨サービスは郵送という形で納骨を済ませる方法である
・送骨サービスは、かなり安価で手軽に行える納骨方法である
・送骨は高齢化や宗教がなくなってきた時代に好まれている
以上が今回のおおまかなポイントになるでしょう。
送骨は現代のニーズを強く反映したあたらしい形の納骨方法です。
実際に、これによって助かっている人もおおいと聞きます。
さまざまな問題がありますが、これからも注目される納骨の方法となるでしょう。