遺骨を海外に輸送するには?費用と方法を解説

遺骨を海外に輸送するには?費用と方法を解説

ご家族が海外にいる、海外で散骨したい、などという場合は、遺骨を海外に輸送する必要があります。
遺骨を海外に送る、あるいは持ち込む場合は、一般的な荷物とは異なり、事前に関係各所に確認したり、書類を用意する必要があります。
今回の記事では、遺骨を海外に輸送する方法について解説します。

遺骨を海外に送る方法と費用相場

遺骨を海外に送る方法には、以下の3つが考えられます。

遺骨を海外に送る方法

  1. 日本郵便の国際郵便を利用する
  2. 遺骨の輸送を請け負う業者に依頼する
  3. 自分で直接持ち込む

1.日本郵便の国際郵便を利用する

日本郵便の国際郵便を利用して、遺骨を海外に輸送する方法です。
国際郵便で遺骨を送る場合は、2023年7月現在で次のサービスが利用できます。

  • EMS(最速の航空便)
  • 国際小包(航空便)
  • 国際小包(船便)

日本郵便の国際郵便には「小形包装物」もありますが、これは重さ2kgまでが対象です。少量の遺骨であれば送れるかもしれませんが、火葬場から骨壺で持ってきたものを小形包装物で送ることはできません。

国際郵便の費用

国際郵便の費用は、七寸壺で5千~2.5万円程度です。
費用は、荷物の重さや大きさ、プラン、送り先などによって変わります。

国際郵便の費用は、日本郵便のページでシミュレーションできます。
参考:料金・日数を調べる | 国際郵便 | 日本郵便株式会社

試しに、関東で一般的な七寸壺の遺骨を送る場合でシミュレーションしてみます。
荷物の重さを7kg(遺骨1~3kg、骨壷3kg、その他梱包物1kg)とすると、東京から韓国に送る料金は船便で4,200円(2週間前後)、EMSで8,200円(2日間)でした。
次に東京からブラジルに送る場合は、船便で6,900円(3ヵ月前後)、EMSで22,500円(4日間)でした(2023年7月現在)。

関西で一般的な五寸壺の場合は七寸壺よりも軽くなるので、これよりも少し安くなります。

送り先の国の条件を確認しよう

郵便物を送る先の国によって、受け入れる物品や条件などが違います。
事前にその国の在日大使館や領事館に確認して、そもそも遺骨を送っていいのか、その際に必要な書類はあるのか、などを確認しましょう。

例えば、フィリピンに遺骨を送る際は、次のような条件があります。

遺骨・遺灰の送付に必要な書類(火葬許可証又は火葬証明書、死亡届・死亡診断書の記載事項証明書等)は1枚の透明なプラスチック袋に入れて郵便物の外側に貼り付け、郵便物の名宛面に「Cremated Human Remains」のラベルを貼付すること。
参考:国・地域別情報(国際郵便条件表) – 日本郵便

また、アメリカに遺骨を持ち込む場合、在日米国大使館では、米国籍の方の遺骨には、大使館または領事館発行の英文の死亡報告書を持っていき、それ以外の方の遺骨は英訳付きの死亡証明書を持っていくことを推奨しています。
参考:米国市民が死亡した場合 – 在日米国大使館と領事館

このように、国によって条件などが違うので、事前に確認しましょう。

国際郵便の梱包の注意点

遺骨を国際郵便で送る際は、次の点に注意しましょう。

梱包は頑丈にする

日本郵便国際郵便約款では、遺骨の梱包について次のように包装方法を指定しています。

骨つぼに入れ、破損を防止するため適当な保護材を詰めた堅固な容器に入れること
参考:日本郵便国際郵便約款 p98

国際郵便は国内の郵送に比べて、積み下ろしも多く配達の期間もかかります。また、「われもの注意」や「天地無用」の取り扱いがありません。
梱包が甘いと、骨壺が割れたり、フタがずれて中の遺骨が飛び出たりする可能性があります。

骨壷は、胴体とフタの接する部分をガムテープなどで一周してとめて、全体をビニール袋に入れます。
骨箱に納めて、更に隙間なく緩衝材を詰めた丈夫なダンボールで梱包します。

一般的な国際郵便の梱包については、こちらが参考になります。
参考:海外へのお荷物の送り方 初心者ガイド | 日本郵便株式会社

ダンボールの使い回しは要注意

送り先の国によっては、肉製品・野菜・果物などの絵柄が印刷されたダンボールは、その国に送ることができない「禁制品」を想起させることから、使用できません。
そうでなくてもダンボールは丈夫なものがいいので、新しく購入することをおすすめします。

2.遺骨の輸送を請け負う葬儀社などに依頼する

葬儀社の中には、遺体の海外搬送サービスに付随して、遺骨の海外搬送をしている会社もあります。

葬儀社に依頼する場合の費用

費用は、20万円程度~です。送り先が遠くなるほど、費用は高くなります。
国際郵便を利用するより遥かに高い費用がかかりますが、必要書類の手配や税関の手続き、現地での受け取り、梱包など、初めてだと戸惑うところを、プロに相談しながら進めることができます。

3.自分で遺骨を直接持ち込む

遺骨は自分が直接海外に持ち込むこともできます。

自分で遺骨を直接持ち込む場合の費用

自分で遺骨を海外に持ち込む場合の費用は、一般的な海外旅行と同様と考えると、10~50万円程度でです。
費用は主に、航空券、宿泊費、食費、交通費などにかかります。

自分で遺骨を直接持ち込む際の注意点

遺骨を自分の手で海外に持ち込もうと考えている方は、以下の点に注意してください。

航空会社の規定を確認する

多くの航空会社では遺骨の持ち込みを許可していますが、航空会社によっては、持ち込みに関しての条件が異なります。
例えば、以下のような条件がつくことがあります。

  • X線による手荷物検査のために骨壺の素材を指定されたものにする
  • 死亡証明書と火葬証明書などの書類を持参する
  • 手荷物として持ち込むこと

事前に、航空会社に、遺骨の持ち込みはどのようにするべきかを問い合わせておくと安心です。
なお、死亡証明書と火葬証明書は条件になくても、持参することをおすすめします。

持ち込み先の国の大使館や領事館に確認する

遺骨を国際郵便で送る場合と同様に、遺骨の持ち込みに関しては、国によって条件が異なります。
特に必要書類がないと、手荷物検査でもたついたり、現地で埋葬できなくなる可能性があります。

荷物がひと目で遺骨と分からないようにする

周囲への配慮として、遺骨はひと目でそれと分からないようにします。
風呂敷で包むか、遺骨専用のバッグなどを使うのもおすすめです。

まとめ

遺骨を海外に輸送するには、以下の方法があります。

  • 日本郵便の国際郵便を利用する
  • 遺骨の輸送を請け負う葬儀社などに依頼する
  • 自分で遺骨を直接持ち込む

費用は、国際郵便なら5千~2.5万円程度、葬儀社などに依頼するなら20万円程度~、自分で持ち込む場合は10~50万円程度です。

遺骨を海外に送る、あるいは持ち込む際には、国内の火葬証明書や、大使館などから死亡証明書を取得しなければならないことがあります。
遺骨を海外に輸送する際に必要なことは国によって異なるので、事前に、在日大使館や領事館に確認しましょう。

墓地や霊園をお探しですか?

お墓さがしでは、全国の墓地や霊園をご案内しています。
ご希望のエリアや条件に絞ってお探しできるので、ご自分の条件にあるお墓にはどんなものがあるか、一度チェックしてみましょう。

近くの墓地・霊園を探してみる >>

執筆者情報

お墓さがしスタッフ

佐野

経歴

2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。

遺骨の海外輸送に関するよくある質問