在来仏教とは?在来仏教に入る宗派・入らない宗派を紹介

  • 投稿日:2019/06/17
  • 更新日:2021/09/23
在来仏教とは?在来仏教に入る宗派・入らない宗派を紹介

在来仏教という言葉は聞いたことがあるでしょうか。
お墓を購入したりする場合、その霊園の使用規定の中に「在来仏教の信者のみ埋葬可能」など書いてあって、在来仏教とは果たして何なのか、自分の家の宗派は在来仏教に含まれるのか、と悩むこともあるかもしれません。

在来仏教とはその仏教の宗派がいつ、どのように創始されたのかによって決まります。
では在来仏教には何が入るのでしょうか。

今回の記事では、在来仏教について詳しく解説します。

在来仏教の意味とは?

では最初に在来仏教とは何かという点について解説しましょう。

日本人の99%が「仏教徒」

知り合う人にもしも可能であればその人の家の宗派は何かを聞いてみてください。
ほとんどん人は仏教と答えるでしょう。

実は日本には、約7万5000の寺院、30万体以上の仏像が存在し、2013年の統計では約8470万人が自分は仏教徒だと答えているのです。
また自分が仏教徒だと答えなかった人の中にも、明確にキリスト教徒などと自覚している場合もあれば、実は自分の属している宗派が仏教の一派だとは理解していない場合もあります。

それら潜在的な仏教も含めると、日本人の99%が広い意味での仏教徒になります。

そして仏教の中には、たとえば浄土真宗、たとえば曹洞宗など、何を教義にしているかによって宗派が分かれます。
在来仏教とはその中の一部の宗派をまとめて分類する時の考え方です。

在来仏教を知るためには、仏教の歴史を理解しよう

では在来仏教にはどのようなものがあるのかというと、仏教が日本に伝来してから日本人の中に定着していく過程に沿ってみていく必要があります。

仏教伝来から「国家仏教」へ

仏教が日本に最初に伝来したのは、日本の最古の公式な歴史書である「日本書紀」によると、飛鳥時代の西暦552年だとされています。

しかし仏教伝来以前には日本には、天照大神を中心にした固有の神道という宗教があったため、すぐには受け入れられませんでした。
特に日本の朝廷では、仏教という新しい宗教を信仰する蘇我氏と、日本古来の神道を崇敬する物部氏という、2つの最大貴族がいて、どちらの宗教を日本の正式なものにするのかという点で激しく対立しました。
その対立は、蘇我氏と物部氏が戦争を行い、物部氏が敗れて衰退する587年まで続きます。
この時の蘇我氏の側に、有名な聖徳太子もいました。

そして聖徳太子の属していた蘇我氏が勝利することで、正式に日本の国教は仏教だと決まり、聖徳太子は「十七条憲法」の中で「篤く三宝を敬へ 三宝とは仏、法、僧なり」と定めて、日本を仏教の考えを中心に運営してという方針を明らかにしました。

これ以降朝廷は国家を守る宗教となり、天皇家自らが寺を建てるようになりました。

このころすでに仏教はその教義によっていくつかの宗派に分かれています。
それは南都六宗と呼ばれた、三論宗、成実宗、法相宗、倶舎宗、律宗、華厳宗です。これらは最も古い在来仏教です。

また平安時代中期には、中国に留学した空海によって真言宗、最澄によって天台宗という密教が創始され、それぞれ国を守護する仏教として篤く敬われました。

仏教は極楽往生のためのものに

一方で平安時代後期から、釈迦が入滅してから千年の後に仏教が滅びる暗黒時代、つまり末法の世が来ると考えられていました。

末法の世になると、どのように努力しても誰も悟りを開けず、したがって極楽にも往生できず、地獄に落ちるとされていました。
当時の人にとって、仏教は現在の科学に当たるものなので非常に信ぴょう性があり、このような地獄に落ちるという思想は、当時の人たちを震撼させました。

地獄に落ちることを救ってくれ、極楽往生を助けてくれる仏として注目されたのが阿弥陀如来です。
そして、天皇や貴族など財力がある人達を中心に、阿弥陀如来を祀り極楽往生を願うための寺院がしきりに建立され、阿弥陀如来によって極楽往生が果たされるという教義の浄土宗が篤く信仰されるようになりました。

この段階で国家を守る仏教は、個人の極楽往生を助ける宗教となったのです。

このころ貴族の間で信仰された浄土宗も在来仏教です。

庶民を仏教に帰依し始めた鎌倉時代

鎌倉時代に入ると、平安時代末期の血なま臭い源氏と平家の争いの中で、仏教にも変革が起きました。
それまで国と貴族を守っていた仏教が、次第に一般民衆の救済のための存在となっていったのです。

特に庶民が篤く支持したのが、法然の創始した浄土宗と、その弟子の親鸞が創始した浄土真宗です。

浄土宗と浄土真宗は、難しい教義や修業は必要とせず、ただ「南無阿弥陀仏」と唱えて、死後の極楽往生を祈るだけでその願いが叶うとされていたため、多くの一般民衆に受け入れられました。

また平安時代末期から台頭し、力をつけ、最終的には鎌倉幕府という政権まで支えた武士の中にも、武士が信仰する仏教の宗派が現れました。
それが禅宗というもので、有名なところでは栄西が創始した臨済宗とその弟子の道元が創始した曹洞宗です。
この2つの宗派は自分で修業を積んで悟りを開くというもので、自助努力によって力をつけた武士の心情にぴったりマッチし、武士の間に広がって行きました。

一方で、さらに一般民衆の心をとらえたのが、単に「南無妙法蓮華経」と唱えれば救われるとされた、日蓮の創始した日蓮宗、さらには踊りながら念仏を唱えるだけでよいとされた一遍の時宗などです。これらは瞬く間に全国に帰依者を増やしていきました。

仏教が庶民糾合の旗頭に

このように庶民の間に広まった仏教の一部の宗派は、その信徒の信仰的な中心になるだけではなく、信徒が集まるなどの集団組織を中心に政治力と武力も持つようになりました。

その結果、全国各地で浄土真宗や日蓮宗の信徒による暴動、すなわち一揆が勃発しました。
特に今の石川県である加賀国では浄土真宗の信者によって守護大名の冨樫氏が滅ぼされ、その後約80年に渡って浄土真宗の信者によって国が治められたほどです。

また浄土真宗の拠点である石山本願寺などはまるで大名のような強固な組織と強力な軍事力を持つようになり、時に支配者と激しく対立し、時には武力による争いを行いました。
多くの大名はその圧倒的な勢力の前で妥協するしかありませんでした。

幕府の管理下に仏教が置かれた江戸時代

このような戦国時代が江戸幕府によって統一されていく過程で、武力を持った仏教の宗派はその力を奪われていきました。
その極めつけが、全ての人間はどこかの仏教寺院に所属しなければならないという寺請制度です。

これによって、幕府は仏教を管理し、同時に仏教を通じても一般大衆を支配するようになりました。

またこの江戸時代には1654年に来日した明の隠元によって黄檗宗が創始されています。

在来仏教とはここまでで挙げた、国を守護した真言宗などの密教、一般民衆の極楽往生を約束した浄土真宗、武士に信仰された禅宗などを指し、これ以降に創始された仏教は新仏教と呼ばれるようになりました。

新しい仏教が生まれた昭和、平成時代

江戸時代末期以降も仏教では新しい宗派が創始されました。
たとえば天理教などもその1つです。
さらに昭和に入り第2次世界大戦終了後は、宗教法人令が制定、施行され、宗教団体への規制が撤廃されたため、多くの宗派が設立されました。
仏教から分かれた宗派として代表的なものでは、日蓮正宗系の創価学会や法華系の立正佼成会、あるいは密教系の阿含宗真如苑などです。

また仏教ではありませんが、いわゆる新興宗教と呼ばれる幸福の科学や統一教会などもこの時代に創始されたものです。

霊園によっては在来仏教しか埋葬を許可しないところも

宗教法人が経営していない公営、民営の霊園の場合、多くの場合「宗教一切不問」なので、在来仏教に限らず、どの宗派、どの宗教を信じていても埋葬することは可能です。
しかし中にはいわゆる新興宗教を制限し、キリスト教、神道、在来仏教のみ埋葬を許可する霊園もあります。

また寺院が経営している霊園の場合は、その寺院の属する宗派に所属している人でなければ埋葬できないことがほとんどです。
さらには、埋葬するためにはその寺院に所属する檀家にならなければならないという場合もかなり多いです。

在来仏教に入る宗派

ここまでで在来仏教の概略を解説してきましたが、同じ浄土真宗でも「真宗大谷派」、曹洞宗でも「永平寺系曹洞宗」など細かく分かれているため、本当に自分の宗派が在来仏教に含まれるのかどうかわからないという場合もあるでしょう。

それらをすべて網羅するには、数が膨大過ぎて困難なのが現実です。
そこでここでは、主な宗派についてリストをお示しします。

【南都六宗系】
・華厳宗:日本における開祖は審祥ら、本山は東大寺
・法相宗:開祖は道昭、本山は興福寺、薬師寺
・律宗:開祖は鑑真、本山は唐招提寺

【平安仏教(平安二宗)系、密教系】
・真言宗(東密):開祖は空海(弘法大師)、本山は東寺(東寺真言宗)、高野山金剛峯寺、醍醐寺(醍醐派)、智積院(智山派)、長谷寺(豊山派)、根来寺(新義真言宗)ほか
・天台宗(台密) 法華円宗とも 開祖は最澄(伝教大師)、本山は比叡山延暦寺

【法華系(鎌倉仏教法華系)】
・日蓮宗 開祖は日蓮(立正大師)、総本山(「祖山」という)は身延山久遠寺

【浄土系(鎌倉仏教浄土系)】
・浄土宗:開祖は法然、浄土宗(鎮西流)総本山は知恩院。そのほか本山が光明寺の西山浄土宗、禅林寺の西山禅林寺派、誓願寺の西山深草派。
・浄土真宗:開祖は親鸞、本山は本願寺(浄土真宗本願寺派は西本願寺)、真宗本廟(東本願寺)(真宗大谷派)ほか。
・融通念仏宗:開祖は良忍、本山は大念仏寺
・時宗:開祖は一遍、本山は清浄光寺(遊行寺)

【禅系(鎌倉仏教禅系)、禅宗系】
・曹洞宗:開祖は道元、本山は永平寺、總持寺
・臨済宗:開祖は栄西、本山は建仁寺、円覚寺、妙心寺、東福寺ほか
・黄檗宗:開祖は隠元、本山は黄檗山萬福寺

在来仏教に入らない宗派

一方で仏教でも在来仏教に含まれないものには何があるのでしょうか。
これも網羅はできませんが、代表的なものを挙げておきます。

【日蓮宗系】
・本門佛立宗
・日本山妙法寺大僧伽
・釈尊会
・国柱会
・日蓮宗葵講
・法師宗

【霊友会系】
・霊友会
・霊法会
・立正佼成会
・佛所護念会教団
・妙智会教団
・妙道会教団
・大慧會教団
・正義会教団
・思親会
・希心会(分派)
・正導会
・在家仏教こころの会
・日本敬神崇祖自修団
・普明会教団

【日蓮正宗系】
・顕正会
・正信会
・創価学会
・正理会
・妙観講

【天台宗系】
・念法眞教
・孝道教団
・鞍馬弘教

【浄土系】
・浄土真宗華光会
・浄土真宗親鸞会
・浄土真宗一の会
・仏眼宗
・真宗長生派
・浄土真宗同朋教団
・仏教真宗
・門徒宗一味派

【その他浄土系】
・念佛宗三寶山無量壽寺

【真言宗、密教系】
・真如苑
・辯天宗
・光明念佛身語聖宗
・中山身語正宗
・身言正宗
・一切宗
・肥後修験総本山六水院
・海命寺
・阿含宗

【禅系】
・如来宗
・一尊教団
・救世教
・三宝教団
・一畑薬師教団

まとめ

在来仏教についてお分かりいただけたでしょうか。
おおむね分けた方としては江戸時代までに創始されたものが在来仏教、それ以降のものが新仏教と考えれば大丈夫でしょう。

もしも霊園の購入などの際には、在来仏教に関する注意書きがあったら、以上を参考に自分の家の宗派が当てはまるかを確認してください。

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