夫と同じ墓に入りたくない!夫婦で別のお墓に入ることはできる?

夫と同じ墓に入りたくない!夫婦で別のお墓に入ることはできる?

現在、義家族と一緒のお墓に入りたくないという女性が増えています。

夫婦や家族の価値観が多様化する今日、お墓に対する考え方もさまざまになってきました。
その一つが、「夫婦別墓」という考え方です。この手の話題は、テレビやニュース、ネットの記事などでも取り上げられるようになりました。

「主人と別のお墓に入るなんてできるの?」「夫婦別墓がいいけど、この考えはおかしい?」
そんな疑問にお答えします。

夫と別のお墓に入ることはできるのか

夫と別々のお墓に入ることは、制度上は可能です。

「墓地、埋葬等に関する法律」では、「埋葬または焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」とあります。
「墓地」とは都道府県の許可を受けているものに限りますが、逆に言えば許可を受けている墓地であれば、納骨場所に制限はありません。

「夫の家の墓に入らなければならない」という決まりはありませんから、自分のお墓は自由に選べます。
夫の家のお墓に入るというのは、単なる慣習なのです。

夫と別のお墓に入ってもいい?お坊さんの見解

夫婦が別々にお墓に入るということに対して、仏教的観点から考えてみました。
お坊さんの見解を知るために、千葉県にある真言宗のお寺、玉蔵院の住職をなさっている有坂脩岳さまにお話を伺いました。

玉蔵院住職 有坂脩岳 様
真言宗僧侶。 般若心経研究家。カルチャーセンター講師。
2013年よりサンスクリットの知識を生かした般若心経の講座をカルチャーセンターにて開講中。ヨーロッパ聲明公演ツアー、ニューヨーク聲明公演、国立劇場をはじめ国内各地の聲明公演に参加。
ブログ:仏の道

人が亡くなるとお墓に入るのは当たり前と思っている方も多いと思いますが、実はお釈迦さまはお墓を建てなくてはならないと教えてはおられません。

日本人は「土に還る」との考えから、古来は風葬(遺棄葬)や土葬が一般的でしたが、聖徳太子が日本に仏教を広めると「お墓に埋葬し供養することで魂が浄化され成仏する」と考えられるようになりました。

今日のように誰もがお墓を自由に建てられるようになったのは、昭和の中頃より霊園などの墓地が定着し一般化したからです。

宗教の違い、離婚したいけど経済的に出来ない、舅や姑と一緒のお墓に入るのは絶対にイヤ、など夫と同じ墓に入りたくない理由は様々です。
人の心はころころと移り変わります。『般若心経』というお経は私たちに「かたよらない心」「こだわらない心」「とらわれない心」を教えています。

今は自分の埋葬方法を選べる時代です。新しくお墓を建てるのも良し、ご先祖様が眠るお墓に入るのも良し、あえてお墓を建てずに散骨や樹木葬を選んでも良し。
そんな自由な時代になったからこそ、自分の行く末をしっかりと考えておく必要があります。
お経を読んだり写経をしながら自分の心を見つめ直してみませんか。

形や既成概念にとらわれず、何より自分の行く末をしっかり考えて供養の形を選ばれてみては如何でしょうか。

夫と別のお墓に入るには

では、実際に夫と別のお墓に入るには、何を準備すればいいのでしょうか。

遺言は有効なの?

遺言書に「夫の墓には入らず、実家の墓に埋葬してほしい」と書いたとしても、遺族がこの通りにする義務は生じません。
法的に効力を発する遺言事項は定められており、納骨先は該当しないからです。

遺言が実行されるかどうかは、遺族の気持ち次第ということになってしまします。
遺言で自分のお墓を指定するだけでは法的な効力がないので注意しましょう。

生前に話し合っておく

夫と別のお墓に入りたい場合は、生前に子どもお墓の権利者と話し合っておきましょう。

例えば、実家のお墓に入りたい場合はお墓の権利者が承諾しないと引き取ってもらうことはできません。
家族を始めとする関係者には、自分の葬儀が終わったら希望するお墓に入れてもらえるようあらかじめ話をつけておきましょう。

離婚する

死後離婚または熟年離婚をすることで、夫の家墓に入るのを免れるという方法もあります。
別々のお墓に入るために離婚が必須というわけではありませんが、夫と違うお墓に入れる可能性は高まるでしょう。

「死後離婚」とは、配偶者が死去したのち、姻族関係終了届を出すことで姻族との縁を切ることです。
当然自分の名字も旧姓になりますから、夫の「○○家之墓」に入ることもなくなります。

ただし、「姻族関係終了届」は一度受理されると取り消すことはできないので、慎重に考える必要があります。

自分専用のお墓を購入する

納骨先が決まっていない場合は、事前にお墓を購入しておくとよいでしょう。

「跡継ぎがいない」または「遺族に負担をかけたくない」という場合は、永代供養付きのお墓がおすすめです。
永代供養とは、遺族に代わって霊園や寺院が遺骨を供養することです。
また、永代供養付きのお墓は一般的な墓石のお墓よりも安いため、費用を抑えられるでしょう。

永代供養付きのお墓は、主に以下の種類があります。

樹木葬

樹木葬とは、樹木や草花を墓標にするお墓です。

樹木葬の種類は、自然豊かな農村などに造られている里山型と、アクセス良好な都心に造られた都市型があります。

樹木葬を探す >>

納骨堂

納骨堂とは、屋内に納骨スペースを設けた施設です。

ロッカー式マンション型などさまざまな形式があります。
屋内にあるので、雨の日でも気軽にお参りができます。

納骨堂を探す >>

集合型個別墓

集合個別墓とは、個別に設けられた納骨室が一つの場所に集合しているお墓です。

ほとんどの場合は個別安置に期限が設けられており、一定期間後は合祀墓にて供養されます。

永代供養墓を探す >>

合祀墓

合祀墓とは、共同の納骨室に不特定多数の遺骨を埋葬するお墓です。

合祀墓は、永代供養墓の中では最もお求めやすい価格で利用できます。
ただし、遺骨が他の方と混ざるので抵抗がある方は注意しましょう。

合祀墓を探す >>

散骨してお墓に入らないという選択肢もある

散骨のイラスト
散骨とは、粉末状にした遺骨を山や海に撒く供養方法です。

お墓を必要としないので、永代供養墓と同じく承継者に負担を残しません。
また、自治体によって散骨を禁止している地域があるので、専門業者に依頼することをおすすめします。

散骨について知る >>

夫と同じ墓に入りたくない理由

夫と別の墓が良いという女性たちが増えているのは、どういった背景があるのでしょうか。
女性たちの本音や現状も交えて解説します。

夫と別のお墓がいい女性の意見

夫と一緒のお墓に入りたくないという女性たちは、どのように考えているのでしょうか。
参考に、Twitterでの意見を3つ紹介します。

1つ目は、「夫婦仲や姑との関係が悪く死後まで一緒にいたくない」という意見です。


2つ目は、「今は一緒にいていいけど死後はひとりでいたい」という意見です。


3つ目は、「旦那とは一緒のお墓に入りたいけど義母や義父とは別がいい」という意見です。

女性によって理由は異なりますが、旦那と同じお墓に入ることを望んでいないという気持ちを持っている女性はいます。

「旦那と同じお墓に入りたくないなんておかしいのかな・・・」と、悩む必要はありません。

夫と別のお墓がいい女性の割合

実際に、何割の人が「夫婦別墓」を希望しているのでしょうか。
下のグラフは、2014年に第一生命経済研究所が行った「配偶者と同じお墓に入りたいか」というアンケートの結果です。
コラム夫婦別墓グラフ
出典:第一生命経済研究所(2014年)

全体では、「入りたくない・できれば入りたくない」を合わせて13.2%の人が、現在の配偶者と同じお墓は嫌だと考えていました。
女性のみの結果を見ると、「入りたくない・できれば入りたくない」を合わせて19.5%の女性は夫と同じお墓に入りたくないと考えています。

約5人に1人の女性が、「夫と同じお墓は入りたくない」と考えていることがわかります。

夫婦別墓が広まった背景

一昔前までは、女性が嫁ぎ先のお墓に入るのが当たり前でした。
現代では、なぜ「夫婦別墓」の考えが広まってきたのでしょうか。

夫婦別墓の考えが広まった理由は、家に対する価値観が変わったからです。
かつては祖父母・夫婦・子供で一緒に暮らす「三世代家族」が主流でした。
しかし、現代では核家族夫婦単位の家族が当たり前になったため、個人重視の流れが強くなりました。

個人重視である現代の風潮から、お墓に関しても「個人のライフデザイン」の一部と捉える人が増えたのでしょう。

夫たちはどう思ってる?

「配偶者と同じお墓に入りたいか」というアンケートを見ると、男性「入りたい・まあ入りたい」と考えている人は9割以上いることが分かります。
女性に対して男性は「配偶者と別墓」を志向する人は少ないようです。

また、女性の約8割「夫と同じお墓がいい」と考えているのに対し、男性の9割以上「妻と同じお墓がいい」と考えています。

少なくとも、夫婦の1割は考えが異なるということがわかります。

夫婦別墓のデメリット

夫婦で異なるお墓に入ることは法律上問題ありません。
しかし、夫婦別墓を選ぶことによって生じるデメリットがあります。

遺族の負担

子供がいる場合、子供は夫と自分の墓を管理することになります。
永代供養墓であればお寺が面倒を見てくれますが、子供が参拝する場所が増えることには変わりありません。

また、管理費が必要なお墓に納骨する場合は、2基分の費用を負担することになります。
お墓を購入する際は、子供の負担を考えて選びましょう。

費用が掛かる

新たにお墓を買う場合は、購入のための費用が必要です。
一般的な墓石のお墓は、ほとんどの場合100万円以上かかります。
負担を抑えたい方は、比較的安価に利用できる永代供養墓がおすすめです。

自分専用のお墓を購入する場合は、費用のことも考えましょう。

まとめ

夫婦で別のお墓に入ること関して、以下の内容を紹介してきました。

  • 夫婦で別のお墓に入ることは、法律上可能です。
  • 自分専用のお墓を購入する際は、費用や子供の負担を考えて選びましょう。
  • 約5人に1人の女性は夫と違うお墓に入りたいと考えています。

夫と別のお墓に入りたいと思う気持ちは不思議なことではありません。
我慢せず、自分が望む納骨先を選びましょう。

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