お墓開きのやり方と流れを解説!服装・お布施などのマナー

お墓開きのやり方と流れを解説!服装・お布施などのマナー

お墓を購入したり修繕をかけたり、あるいは移転をさせた時には、墓開きが必要です。
しかしそう一生の中で何でも行うことではありませんから、墓開きで何をするのか知っている人も少ないでしょう。
そこでここでは、墓開きの準備と流れ、加えて香典をいただいた時のお返しのマナーについて解説します。

お墓開きとは

そもそも墓開きとはいったいどのようなものなのでしょうか。

墓開き(開眼供養/開眼法要/魂入れ/入魂式)とは?

そもそもお墓とは何なのかというと、亡くなった人の遺体や遺骨を埋葬するための施設です。
しかし実はそれだけではなく、お墓は遺族がお参りをした際に、あの世から先祖の霊が降りてくるための依り代です。
ですから先祖の霊魂の目から見ると、お墓はまるで道端にあるバス停のように、あの世の空間の中でそこにお墓があるということを認識できるようにしておかなければなりません。

墓開きとはそのような、あの世から見たときに、霊魂の依り代として認知できるようにするための法要なのです。

墓開きの別名としては、「開眼供養」「開眼法要」「魂入れ」「入魂式」などと言います。

宗派が浄土真宗の時のお墓開き

墓開きは基本的にすべての仏教の宗派で共通して行う法要です。

ただし浄土真宗だけは若干意味合いが異なります。
浄土真宗の場合は、墓開きのことを「御移徙(おわたまし)」と言います。

御移徙とは本来の意味は「尊い人の転居を敬った言い方」であり、まれには「神輿を担いで練り歩く」ことも指します。

浄土真宗ではこの御移徙という言葉で、墓開きを表すのです。
内容的には御移徙は墓開きと同じものです。

墓開きはいつ行う?

では墓開きとは具体的にどのような時に行うのでしょうか。

お墓を購入した時

まず行うタイミングとしては、お墓を購入して、引き渡しが完了した後です。
遺骨は埋葬する前に行ってください。
お墓は購入して設置しただけでは、単なる石のかたまりですから、その石のかたまりがあの世なら見て依り代と認知できるようにするために、墓開きの法要を行うのです。

お墓の改修後

また改修などのためにお墓を動かしたりする際に、その作業が終わった段階で墓開きは必要です。
そしてお墓を移動させる前段階で閉眼供養という、依り代としての機能をいったんオフにするための法要も必要です。

この墓開きを行う理由と同様の理由で、位牌を購入した場合にも、開眼供養が必要です。
位牌もお墓と同様、あの世から先祖や故人の霊魂が降りてくるための依り代だからです。

仏壇開きとは同じこと?

墓開きと似たような言葉に仏壇開きという言葉もあります。
仏壇開きも墓開きと原則としての内容は同様です。
つまり位牌を供える仏壇も、あの世から見たら霊魂が降りてくるための依り代なので、霊魂が認識できるように、依り代機能をオンするための法要が必要です。
そのための法要を仏壇開きというのです。

ですから仏壇開きを行うタイミングは、新たに仏壇を購入した時です。

墓開きをする準備

では墓開きの場合に準備はどのようにしたらよいのでしょうか。

お墓開きの日柄はいつがいい?

墓開きをする場合、遺族がちょっとお墓に行って個人的に行うということができません。
そこには僧侶を招きますし、親族にも案内して来てもらわなければなりません。したがって、墓開きをする場合はその日程をしっかり決める必要があります。

よく法事や葬儀の場合仏滅を避けるなどの日柄的なタブーがありますが、墓開きに関してはそのようなものはありません。

したがって墓開きを独自に催しても良いですし、新たな墓に遺骨を初めて納める際に行ってもよいです。
遺骨を埋葬するタイミングは多くの場合、四十九日法要か一周忌などの年忌法要などの時なので、墓開きはその法要を一緒に行うのが一般的です。

お墓開きで僧侶に渡すお布施はいくら?

ず僧侶に渡すお布施としての相場は、だいたい1万円~5万円の範囲で考えましょう。
ただし、宗派の考え方や寺院の格式によってこの相場は変わりますから、墓開きの法要を予定して僧侶に依頼をしたときに、一緒にお布施の額についても相談したほうが良いでしょう。

また四十九日法要など墓開きの法要を納骨法要を同じ時に行う場合は、墓開きだけした場合の1.5倍~2倍程度のお布施になると考えておきましょう。

施主に渡す開眼祝いのお祝い金は

仏事においてお墓を新たに作るというのはめでたいことです。
したがってその法要に招かれた際にはお祝い金を包みます。

その一般的な相場は、友人、知人の場合は5000円~1万円、親族であれば1万円~3万円程度です。

のし袋の表書きの書き方は

お布施は、お札を裸で渡してはいけません。
必ずのし袋に入れ、表書きをして渡しましょう。

僧侶にお布施を渡す際の表書きは「御布施」または「入魂御礼」あるいは「志」とし、のし袋の形式は黒白または双銀結び切りの水引のものを選びます。

墓開きに招かれた際ののし袋は、それは納骨などの法事と一緒に行う場合は黒白のものですが、墓開きだけの場合は紅白のものになります。
しかし紅白ののし袋を用意して行ったら納骨法要と一緒だったという場合もあるので、普通の白封筒に入れて持参した方が無難でしょう。
表書きはどの場合でも「開眼祝い」としておけば大丈夫です。

開眼祝いのお返しはどうしたらいい?

知人友人、親族から墓開きのお祝いをもらった場合は、その返しをする必要があります。

その際に選ぶ商品としては、ほかの仏事でのお返しと同じように消え物、つまり消耗品や日用品が良いでしょう。
具体的にはお茶の葉や入浴剤、あるいは洗剤などです。

墓開きの当日の流れ

墓開きは以下のような流れになります。

墓開きの流れ

墓開きを催す際には事前準備が必要です。

1.施主を決める

具体的に法要の主催者である施主を決めます。
一般的にはその墓を管理する祭祀承継者が施主になります。

2.僧侶を手配する

次に法要時に読経してくれる僧侶を手配します。
お墓が寺院墓地であればその寺院の僧侶になりますが、公営霊園、民営霊園などの場合は、自分の家の宗派と同じ宗派の寺院に頼みます。
菩提寺があればそれが1番ですが、菩提寺がない場合、あるいは遠隔地の場合は、ネットなどで探して頼んでも良いでしょう。
あるいは墓地の管理者などに相談すれば、適切な僧侶を紹介してくれる場合も多いです。

3.日程を決める

僧侶に依頼をする場合には、墓開き法要の日時も合わせて事前に決定しておく必要があります。
先ほど書いたように、墓開き法要には特にタブーとなる日柄はありませんから、僧侶の都合がつき、参列者が参加しやすい土日などで設定するのがよいでしょう。

4.石材店を手配する

墓開き法要の際に納骨も一緒に行うのであれば、墓石を移動させる必要があるので、石材店にも依頼しなければなりません。

5.参列者を招待する

そして参列者をリストアップして、墓開き法要の開催を連絡し、招待します。どの範囲の知人友人、親族を招くのかということに関しても決まりはありません。
しかし四十九日法要などと一緒に行う際には、故人の親しかった知人友人、叔父叔母、伯父伯母、従妹などの親族は呼ぶのが一般的です。

招待の仕方は、ごく近しい人であれば電話などでも良いですが、原則はハガキで行います。
また墓開き法要にはあとで書くように会食が伴いますから、その予約のためにしっかり出欠を確認し、法要参加の人数を確定させる必要があります。

6.会食の手配をする

墓開き法要のあとでは一般的に参列者を招いた会食を行います。
ですからその会場、そこで提供する料理の手配も行う必要があります。
霊園の付属施設に信徒会館などがあって食事ができるようであれば、そこを利用するのが一般的です。
その会館が食事の用意もしてくれれば予約は1回で済みますが、そうでない場合は仕出し屋などに松花堂弁当や飲み物などを手配をする必要があります。
また会館などがない場合は、近隣の料理屋やホテルで手配しましょう。

7.お墓の掃除・供物や引き物の手配

墓開き法要が近づいたら、事前に1回行ってお墓とその周囲を清掃します。
墓石は白い布で覆います。またお墓の前に用意する祭壇や法具の依頼、供花や供物の手配なども行います。
どのように手配すればよいのかわからない場合は墓地の管理者に相談しましょう。

さらに参列者へのお土産としての引き物を手配します。内容は先ほど書いたように消え物にします。

ここまで準備は終了で、当日の流れは以下の通りです。

8.当日の流れ

まず施主は参列者を丁寧に迎えます。開始時間には僧侶が来るのでお迎えします。
僧侶の読経後に、施主は墓石に巻いた白い布を取り払います。
その後参列者が順番に焼香し、法要自体はこれで終了です。

そして会食を用意している際には、そこへ全員で移動します。会食も何となく始めるのではなく、まず進行役が挨拶をし、参列者の中で故人に近しかった人に献杯の発声をしてもらいます。
会食の最中は、故人の思い出などを中心に和やかに歓談してもらいましょう。
そしてお開きの時間が来たら、施主がお礼の挨拶をして、終了です。

お墓開きの時の服装

墓開き法要の際に服装は、そのお墓を生前に建てた場合と、亡くなってから建てた場合によって異なります。

生前に建てた場合は、お祝い事になるので、礼服を着用します。
亡くなってから建てた場合は弔事になるので喪服を着用します。

まとめ

墓開きの具体的な準備と流れなどについておわかりいただけたのではないでしょうか。

墓開きはその行うタイミングがいつかによって、慶事にも弔事にもなります。
それによってマナーなども変わるので注意しましょう。