お墓に供えるお花は何がいい?墓花の種類や選び方

お墓に供えるお花は何がいい?墓花の種類や選び方

お盆やお彼岸のシーズンになると、スーパーなどで「仏花」としてお花が売られているのを見ることがあります。
墓花としてはこういったお花で申し分ありませんが、中には、故人のために特別な花束を作りたいと思う方もいるかもしれません。
今回の記事では、お墓にお供えするお花の選び方や、費用などについて解説します。

墓花の選び方4つ

お参りに行くときは、どんなお墓を選べばいいでしょうか。

1.定番の墓花を選ぶ

墓花の代表と言えば、やはりです。
花持ちが良いので長くお墓をきれいに飾れることに加えて、枯れたときに散らかりづらいので処分も手がかかりません。
同様の理由で、スターチスやキンセンカなどもおすすめです。
他には、カーネーションやトルコキキョウ、リンドウなどもよく使われます。

2.季節のお花・故人が好きだったお花を選ぶ

お墓参りのお供えによく使われるお花はある程度決まっていますが、決まりがあるわけではないので、それに縛られる必要もありません。
季節のお花や故人が好きだったお花、または自分が好きなお花を供えるのも良いでしょう。
庭にお花を植えている方は、そこから少しお供え用に切って持っていっても季節感が出ます。

3.四十九日までは白いお花でまとめる

ご家族が亡くなって喪に服している四十九日までの間は、白いお花を中心にお供えすることが良いとされています。
この他、淡い色のお花も、多少合わせても構いません。

実際に使われるお花としては、ユリが定番です。
ユリをお供えする場合は、花粉が舞ったり衣服につかないよう、おしべを切ってからお供えしましょう。

4.墓花ではタブーとされるお花を避ける

お供えするお花の種類については厳密な決まりがあるわけではありませんが、以下のようなお花は、避けた方が良いと言われています。

トゲのある花:バラ・アザミなど

バラやアザミなどの、トゲがあるお花は避けた方がいいと言われています。
供花を置いて帰れる霊園では、霊園の管理者が枯れた後のお花を回収します。
回収する際にケガをさせてしまう可能性があるので、バラなどをお供えしたい場合は、トゲを取り除いてからお供えしましょう。

ツルがある花:アサガオ・クレマチスなど

アサガオやクレマチスなどの、ツルが伸びるお花もお供えには適していません。
花立てに立てづらいだけでなく、そのまま置いておくと、伸びたツルが地面を這って不格好になったり、となりのお墓まで伸びてしまうこともあり得ます。

毒が強い花:彼岸花・キョウチクトウなど

彼岸花・キョウチクトウなどの、毒が強いお花もお供えには向きません。
どちらも触っただけですぐに症状が出るわけではありませんが、触った手で食事をすると症状が出る可能性があります。
墓地や霊園は子どもも出入りするので、毒の強いお花を置いておくのは危険です。

お墓のお花は造花でもいい?

ご家族や墓地を管理するお寺が問題ないとしていれば、造花をお供えしても問題ありません。
逆に、地域の慣習やお寺の考えが「生花でなければならない」となっている所では、造花をお供えすると揉めるかもしれません。
なお、近年の風潮としては、墓花は造花でも良いとする考えが広まってきています。

造花を使えば、頻繁にお参りに行かずともお墓の見た目はきれいに保たれ、また、都度のお花代もかかりません。
造花をお供えする際は、風で飛ばされないよう、茎の部分に重しを付けておきましょう。

お墓にお供えする造花については、『お墓に造花を供えても問題ない?』で詳しく解説しています。

花以外でもお供えできる榊と樒

宗教や宗派によっては、植物の葉をお供えすることがあります。

榊(さかき)

榊は、神事で使われる植物です。神事では欠かせない「玉串」も榊で作ります。
榊は年中通して葉が緑色の常緑小高木です。葉の表面は平らで、葉の先はとがり、向きが揃っています。
神式のお墓には、お花ではなく榊をお供えすることが一般的です。

樒(しきみ)

樒は、仏式の法事などでお供えする植物です。
地域によっては様々な宗派でお供えしますが、特に日蓮正宗では樒を重要視しています。

樒は、榊に比べると葉が細く、波打っています。
花から根に至るまで猛毒を含んでおり、強い香りを放ちます。
かつては、動物から土葬した遺体を守るために、墓地に樒を植えられていました。

臭いや毒があるお花は基本的にお供えしてはいけませんが、樒は昔からの風習もあり、お供えされます。

お墓に持っていくお花の値段

仏花として販売されているお花の値段は、1束で500~1,500円程度です。お墓に供えるお花は1対(2ヶ所)になるので、1,000~3,000円程度の値段になります。

スーパーやお花屋さんでは、その季節に応じた花、定番の花などを組み合わせたものが用意されていて、比較的安価に購入できます。
一方、故人が生前好きだったお花を入れたり、高級なお花を入れたりするなどのアレンジをすると、値段は高くなります。

お花屋さんでアレンジしてもらう場合は、「2束でいくら」と言う風にお願いすれば、値段に応じて花束を作ってくれます。

墓花の供え方とマナー

スーパーで売られているお花、お花屋さんで買ったお花をそのまま供えるのもいいのですが、供えるお花にもうひと手間加えることで、お花の見栄えやお花を長持ちさせることができます。
お花の供え方について紹介します。

お花の葉の部分

まずは、お花の葉の部分についてですが、葉の部分が水に浸かると腐りやすくなり、花の部分も腐りやすくなります。
葉が水に触れる部分はあらかじめ取っておくと、花を長持ちさせることができます。

お花の根元の部分

お花の根本の部分、つまり茎の端ですが、茎の先端部分は斜めに切ります。
茎の先端部分を斜めに切ることで、切った部分の面積が広がり、水の吸い上げがよくなることで、お花を長持ちさせることができます。
加えて、水中で切ることで断面が乾燥したり、水の通り道にあたる導管に気泡が入ったりすることを防ぐことができます。

お花の挿し方

お花は、正面から束を見たとき、ひし形になるように整えます。
本数は、3本、5本、7本と奇数にすることが一般的です。
花立ての高さの2倍くらいの長さを目安に切りそろえると、バランスが良く見えます。

束をまとめたら、輪ゴムでまとめておくと、花立てに挿しやすいでしょう。
多くの場合でお墓には花立てが2つで1対になっているので、左右対称の花束を2つ作ると、見た目がきれいになります。
お花は、参拝者の方に向けて挿します。

供えたお花は持って帰る?

お供えしたお花を持って帰るべきかどうかは、墓地や霊園の管理者によります。
供花の持ち帰りを呼び掛けている霊園では、当然ながら持って帰る必要があります。
また、供花の回収をしない霊園でも、枯れたお花がそのままになってしまい、虫なども寄ってくるので、持ち帰ることをおすすめします。

持ち帰ったお花は、床の間やリビング、玄関などに飾りましょう。
仏壇に飾ることは、お供えをいわゆる「使いまわす」ことになるので、よくありません。

なぜお墓にお花を供えるの?

なぜ人がお墓にお花を供えるのかについては、様々に言われています。
お供えする人の心が和むから、ご先祖様を美しいもので飾りたいから、宗教の説話にそのような教えがあるから、などです。
地域や文化、あるいはその人によって、お花を供える理由は異なるでしょう。

しかしながら、死者に花を手向ける例は、洋の東西を問わず古くから確認されます。
お墓にお花を手向けたいという気持ちは、人類が直感的に持っている感覚なのかもしれません。

有名でな例では、北イラクのシャニダール洞窟で発見された、約6万年前のネアンデルタール人の例があります。
この例では、人骨から大量の花粉の化石が見つかったことから、遺体に花を手向けられていたのではないかと言われています。
他にも、イスラエル北部のカルメル山の洞窟で発見された、約1万2000年前の墓地の例もあります。
この墓地からは、ミントやセージなどの花や茎の痕跡が発見されました。
(参考:墓地に花を飾った最古の例、イスラエル)

まとめ

お墓にお供えするお花と言えばやはり「菊」が定番ですが、必ずこれを供えるという決まりがあるわけではありません。
季節のお花や、故人が好きだったお花を合わせてお供えするのも良いでしょう。
ただし、いくつかお供えしない方がいいお花もあり、バラやアザミなどの「トゲのある花」、アサガオやクレマチスなどの「ツルがある花」、彼岸花やキョウチクトウなどの「毒が強い花」は避けましょう。
また、身内に不幸があった場合は、四十九日までは白を基調としたアレンジでまとめます。

執筆者情報

お墓さがしスタッフ

佐野

経歴

2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。

お墓にお供えするお花についてのよくある質問