旦那の実家の墓に入りたくない!婚家の墓に入らない方法

近年では、死後までも婚家や夫に縛られたくない、自分の実家の墓に入りたい、などの理由で、夫の実家の墓に入りたくないという意見が見られるようになりました。
この記事では、夫の実家の墓に入らなければならないのか、入りたくなければどうすればいいのか、などを紹介します。
目次
婚家のお墓に入らないのはダメ?
婚家のお墓に入ることは義務なのでしょうか。
婚家のお墓には入らなくてもいい
嫁いだ人が婚家のお墓に入らなければならないという法律や規則はありません。
お墓に関する法律には、「墓地、埋葬等に関する法律」がありますが、これには誰がお墓に入るかを定める規定はありません。
また、各墓地・霊園の管理規則や墓地の名義人の権限をもって納骨できる人の範囲を制限することはできますが、この観点でも、必ず納骨しなければならない人を決めることはできません。
家族・親戚の人間関係には注意
婚家のお墓に入りたくない方は、家族や親戚の人間関係には注意する必要があります。
これまでの慣習では、嫁いだ女性は嫁ぎ先の家墓に入ることが一般的だったので、配偶者や義実家との考えの違いからもめることもあります。
婚家のお墓に入りたくない理由と対応
婚家のお墓に入りたくない理由には、大きく分けて以下のようなものがあります。
婚家のお墓に入りたくない理由
- 旦那の実家と縁を切りたい
- 実家のお墓に入りたい
- 夫と別の自分だけのお墓に入りたい
- 夫婦だけで一緒のお墓に入りたい
ここからは、大きく分けられる4つの理由についてみていきます。
旦那の実家と縁を切りたい
旦那の実家と縁を切りたいなら、死後離婚という方法で、婚家のお墓に入らないこともできます。
行政に「姻族関係終了届」を提出することを、俗に「死後離婚」と言います。
姻族関係終了届を出すと、どんな事情においても義両親に対する扶養義務がなくなります。
また、自分が祭祀承継者(お墓や仏壇などの承継者)になっている場合、配偶者の親族にその立場を引き継ぐことができるので、当然にお墓のお世話をする必要もなくなります。
姻族関係が終了して旦那の実家とも縁を切ることで、義実家が心の負担になっている場合は、精神的にも楽になります。
名字も旧姓に戻したければ、「復氏届」も届け出ます。
ただし、姻族関係終了届は、一度提出してしまうと取り消すことはできません。
感情に任せず、十分に考えてから実行しましょう。
実家の墓に入りたい
馴染みのある実家のお墓に入りたいため、婚家のお墓には入りたくないというケースもあります。
一般的に未婚の場合は実家のお墓に入りますが、既婚の場合でも墓地の管理規約と実家のお墓の名義人の了解があれば、実家のお墓に入ることができます。
逆に、墓地の管理規約で異なる名字の人の埋葬を禁止している場合は名字を変えなければ入れませんし、実家のお墓の名義人に拒否されれば入ることはできません。
旦那と別の墓に入りたい
夫婦関係が良好ではないなどの理由で、死後は自分だけのお墓で眠りたい場合もあります。
自分だけのお墓を持つ場合、基本的には永代供養墓を用意することになります。
永代供養墓とは、お寺などの墓地の管理者が、お墓や遺骨の供養をしてくれるお墓です。
承継しなくていいので、跡継ぎがいない方や、少人数だけで使用したい方に人気です。
夫婦だけで一緒のお墓に入りたい
夫は好きだけど義実家と折り合いが悪いため、夫婦だけのお墓を持ちたいというケースです。
自分だけのお墓を持つ場合と同様、夫婦だけのお墓は一代限りの使用になるため、いずれお墓の面倒を見てくれる人がいなくなります。
やはり、永代供養墓を用意しておくことが一般的です。
旦那の実家の墓に入らない方法
婚家のお墓に入らないようにするには、どうすればいいでしょうか。
祭祀承継者に合意を取り付けておく
自分の祭祀承継者になるであろう人に合意を取り付けておくことで、婚家の墓に入る可能性を低くすることができます。
祭祀承継者とは、お墓や祭壇などの祭祀に関わる財産(祭祀財産)を引き継いでいる人のことです。
遺骨は、過去の判例から、祭祀承継者に帰属するとされています。
祭祀承継者は自由に指定できます。
ただし、祭祀承継者は葬儀や法要などの喪主もすることになるので、あまり縁遠い人を指定することは現実的ではありません。
自分の祭祀承継者になり得る人の中でも、自分の意見を一番尊重してくれそうな人を指定し、婚家の墓に納骨しないように頼んでおきましょう。
指定の方法は口頭でも書面でも指定できますが、後々にもめないためにも、書面で残す方が無難です。
関係者に意思を伝えておく
祭祀承継者以外にも、関係者には婚家の墓に入りたくないという意思表示をしておきましょう。
祭祀承継者が他の関係者に説得されて、婚家の墓に納骨してしまうということもあり得ます。関係しそうな人にはできるだけ話をしておきましょう。
また、墓に入りたくないという意思を伝える以外に、希望の納骨先や供養の方法を伝えておくと、より手堅く婚家の墓に入らずに済むでしょう。
墓に入りたくないという遺言は有効か
遺言書に「婚家の墓に入りたくない」と記しておくことに、法的な効力はありません
ただし、遺族に自分の意思を伝えることはできます。遺族が故人の思いを尊重してくれれば、要望通りに納骨してくれるでしょう。
遺言書の内容が法的に保護されるのは相続や遺産、身分上の事項などに限られます。
これらの内容に遺骨の処遇は含まれません。
したがって、遺言書に納骨の要望を記したとしても、遺族はそれを実行する義務はありません。
婚家のお墓に入らないときのお墓・供養の選択肢
婚家の墓に入らないときのお墓の選び方について紹介します。
実家の墓に入る
婚家の墓に入らないときのお墓として、まずは実家の墓が考えられます。
慣習から考えれば、既婚の娘は実家の墓に納骨しませんが、実家の墓の継承者の同意があって、かつ、墓地管理規約上も問題なければ、実家の墓に入ることができます。
墓の継承者は、墓に誰が入れるのかを決めることができるので、まずは、墓の継承者の同意を得ることが必要です。
また、墓地によっては規約により、家族であっても戸籍上、苗字が変わっていると墓に入れないという場合があるので、確認する必要があります。
永代供養墓を買う
永代供養墓は、家族や親族に代わって、お寺などの墓地管理者が供養してくれるお墓です。
永代供養墓の種類には、以下のようなものがあります。
合葬墓(合祀墓)

お墓の中では最も安価ですが、他の方と遺骨が混ざるため、自分や夫婦だけのお墓を検討する場合は向いていません。
個別のお墓がいらないという方にはおすすめです。
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樹木葬

樹木葬を探す >>
納骨堂

1人で利用する場合は、位牌式などの納骨堂もあります。
指定された期間を過ぎたり、承継が途絶えた時点で、合祀墓に移動されるものがほとんどです。
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その他の永代供養墓

永代供養墓を探す >>
散骨してもらう

お墓が残らないので、遺族がお参りする場所を持てないという点に注意しましょう。
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手元供養にしてもらう

手元供養は本人よりも遺族が希望することが多い方法ですが、例えば、本人は散骨したいけれど、遺族がそれに反対するような場合に、遺骨を少し残して手元供養にすることを提案してもいいかもしれません。
ただし、将来的にはどこかに納骨しなければならない点に注意しましょう。
詳しく >>
同じ墓に入りたくないと言われたら
もしこの記事を読んでいるのが、お嫁さんに「義実家のお墓には入りたくない」と言われている夫や義両親の立場の方で、それに否定的な思いを持っているなら、まずは本人の気持ちや考えを聞いてみましょう。
そのうえで自分の要望も伝えて、冷静に話し合うことをおすすめします。
また、義実家とは別のお墓に入るとして、嫁の実家の墓には入れるのか、別な墓を買うとしたら面倒は誰が見るのかなど、現実的に別の墓に入ることができるのか、ということも、確認する必要が出てくるでしょう。
まとめ
今回の記事のポイントをおさらいします。
- 必ずしも嫁ぎ先の家墓に入る必要はないが、親戚などの人間関係には注意が必要
- 嫁ぎ先の家墓に入りたくなければ、祭祀承継者を始めとする関係者に合意を取っておくと良い
- 実家の墓に入れるかは、その名義人と墓地の管理規則次第
- 実家の墓以外にも、永代供養墓や散骨などで遺骨を供養してもらうことができる
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婚家のお墓に入りたくないのですが、お墓はどうすればいいでしょうか?
実家のお墓に入れる手筈を整えておくか、永代供養墓を検討しましょう。
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希望するお墓に納骨してもらうにはどうすればいいでしょうか?
祭祀承継者を指定して、希望する場所に納骨してもらうように合意を取り付けましょう。
経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。