お墓を持たないで遺骨を供養するには?墓石を建てないお墓も紹介

近年では、遺骨は必ずしも墓石のお墓に納骨するものではなくなりました。
この記事では、お墓を持たない新しい葬送のスタイルや、墓石を建てないお墓について紹介します。
なお、『お墓がいらない人のための供養の方法を紹介!』では、現代のお墓に対する意識や、終活の方法についても解説しています。あわせてご覧ください。
目次
お墓とは?
辞書や法律の定義を参考に、この記事では、「お墓」は「遺体や遺骨を埋葬したり、納めたりする場所」とします。
- 辞書の「墓」の定義
遺体や遺骨を葬ってある所。つか。おくつき。また、その上に立った墓碑・墓石。
参考:学研 現代新国語辞典,2004 「墓」
- 法律上の「墳墓」の定義
第二条
4 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
参考:墓地、埋葬等に関する法律
お墓はいらない?必要?
お墓は、必ずしも必要ではありません。
散骨をすれば、お墓を持たずに遺骨を弔うことができます。
逆に、散骨をしない場合はお墓が必要です。
遺骨を遺棄することは、刑法190条の死体損壊などに抵触します。遺骨は、しかるべき形で弔わなければなりません。
遺骨をどこかに納める以上はそこが「お墓」になるので、お墓は必要です。
また、遺族がお墓参りをしたい場合も、お墓は必要です。
墓石を建てないお墓もある
現代においては、お墓と言っても必ずしも墓石を建てる大掛かりなものではありません。
不特定多数の人と一緒に入る合葬墓、草花を墓標とする樹木葬や、屋内に遺骨を安置する納骨堂など、お墓の形態も様々です。
お墓を持たないことにこだわらなくても、要望に合う形のお墓が見つかるかもしれません。
お墓を持たないで遺骨を弔う方法
お墓を持たないで遺骨を弔う方法を紹介します。
散骨をする

お墓の管理などの問題も起こらず、費用も3万円~と安価に抑えることができます。
自宅供養・手元供養

手元供養や自宅供養でも当面は供養できますが、供養する本人が無くなる前に、遺骨を何らかの形で弔う必要があります。お墓を持たないことにこだわるなら、最終的には散骨をすることになるでしょう。
お墓を持たないメリット
お墓を持たないメリットには、以下のようなものがあります。
- お墓のお世話や費用負担がない
- 遺骨を安価に弔うことができる
お墓のお世話や費用負担がない
お墓があれば、お参りに行くためにそこまで移動する必要があります。
他にも、年間管理費を納めたり、墓石のお墓では定期的な掃除や手入れも必要です。
お墓を持たなければ、お参りやお墓の維持の負担が残りません。
遺骨を安価に弔うことができる
散骨や自宅供養では、お墓を持つよりも費用を抑えて遺骨を弔うことができます。
散骨では、遺骨の粉砕から散骨までを全て業者に委託すれば、3万円~で受け付けている所があります。
自宅供養では、骨壺をそのまま自宅に置いておくだけなら費用は掛かりません。
お墓を持たないデメリット
お墓を持たないデメリットには、以下のようなものがあります。
- お墓参りができない
- 親族ともめる可能性がある
お墓参りができない
お墓がないと、遺族がお墓参りをすることはできません。
故人と向き合う場所を持てず、寂しい気持ちになる方もいます。
親族ともめる可能性がある
お墓を持たず、仮に散骨した場合は、その後遺骨を回収することができません。
事後にお墓を建てたいという親族が現れても取り返しがつかず、もめることがあります。
また、自宅に安置する場合も、納骨を急かされることがあります。
墓石を建てないで遺骨を弔う方法
お墓を持たないことにこだわらなくても、墓石を建てないシンプルなお墓を建てることで、希望通りの供養ができるかもしれません。
墓石を建てないお墓を紹介します。
永代供養墓
承継しなくてもいいお墓で、個人や夫婦だけでも利用できます。墓石を建てる永代供養墓は珍しく、多くは樹木葬や納骨堂、合葬墓などが永代供養墓として利用されています。
合葬墓(合祀墓)
お墓の中では最も費用を抑えられる形態で、3万円/1人から探すことができます。
納骨後は遺骨を取り出せない点に注意しましょう。
樹木葬
納骨堂
納骨堂の種類もさまざまで、ロッカー式、仏壇式、自動搬送式などがあります。費用相場は永代供養墓としては高めで、1区画あたり10~200万円程度。場所によっては、承継することもできます。
集合個別墓
墓石を建てないメリット
墓石を建てないお墓のメリットには、以下のようなものがあります。
メリット
- 費用を抑えてお墓を用意できる
- 跡継ぎを気にしなくていい
費用を抑えてお墓を用意できる
墓石を建てない分、従来のお墓よりも費用を抑えてお墓を持つことができます。
合葬墓であれば3万円/1人~、個別区画でも、10万円程度~で見つけられるでしょう。
跡継ぎを気にしなくていい
墓石を建てない形式のお墓は、基本的には跡継ぎを必要としません。
おひとり、ご夫婦、ご家族など、少人数だけでお墓を持つことができます。
墓石を建てないデメリット
墓石を建てないお墓のデメリットには、以下のようなものがあります。
- 承継は難しいことが多い
- お参りのスペースが確保できないことがある
承継は難しいことが多い
墓石を建てないお墓は少人数向きであることが多いので、代々承継することには向いていません。
ただし、一部の仏壇式や自動搬送式などの納骨堂では、承継できることがあります。
お参りのスペースが確保できないことがある
墓石を建てないお墓はサイズがコンパクトな傾向にあるので、お参りのスペースが十分に確保できず、他の人との譲り合いになることがあります。
また、お参りのスペースを共用する場合もあり、個別のお供えができないこともあります。
今あるお墓がいらないときの対応
すでにある家墓を手放したいときは、以下のような対応が考えられます。
家墓を手放したい時の対応
- 墓じまいをする
- 親戚にお墓を引き継いでくれる人がいないか相談する
墓じまいをする
墓じまいとは、今あるお墓を撤去することを言います。
お墓の撤去にあたっては、納骨されていた遺骨を移動する必要があるので、同じような文脈で「改葬」という言葉も使われます。
墓じまいをするには、お墓のある自治体の役所で「改葬許可申請」を出す必要があります。
改葬許可申請をするには、墓地管理者やお墓の名義人の承諾などが必要です。
親戚にお墓を引き継いでくれる人がいないか相談する
もし親戚にお墓を引き継いでくれる人がいれば、墓じまいをしなくても済みます。
必ずしも誰かが名乗り出てくれるわけではありませんが、一度相談してみてもいいでしょう。
これからのお墓のあり方
家族単位でお墓に入るお墓は、明治時代に広まり始めたものでした。また、お墓を本家で引き継いでいくというシステムは、明治31年に制定された「家制度」が関係しています。いわゆる「家墓」の歴史はここ100年ほどと、それほど長くはありません。
(参考:グエン ティ ホアイ チャウ「現代日本の葬送における変化と連続」)
現代ではもちろん家制度は廃止されており、加えて少子化や核家族が進むことで、お墓を承継していくというシステムの維持に無理が出てきました。
1990年代には、国内で散骨や樹木葬などの、新しい葬送の実践も行われました。
今後も、承継を必要としないお墓が増えていくとともに、葬送のスタイルも多様化していくことが予想されます。
まとめ
お墓を持たないで遺骨を弔う方法には、散骨が挙げられます。
逆に、散骨をしない限りは、どこかにお墓を持たなければなりません。
自宅供養をする場合も、最終的には遺骨をしかるべき形で納骨または散骨する必要があるので、同様です。
お墓といっても、現在では墓石を建てず、跡継ぎも必要としないものが多くあります。これらのお墓は「永代供養墓」などのキーワードで探すことができますが、ニーズによっては、お墓を持たないことにこだわらず、永代供養墓を検討しても良いでしょう。
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お墓をもたない供養の方法に関するよくある質問
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お墓を持たないで遺骨を供養するにはどうすればいいでしょうか?
現状で考えられる方法としては、散骨があります。
-
お墓は必要なのでしょうか?
散骨しない場合はどこかに納骨しなければならないので、必要です。自宅供養をしていても、いずれは納骨することになります。
-
跡継ぎがおらず、お墓を建てられないのですが?
永代供養墓という、跡継ぎを必要としないお墓か、散骨をご検討ください。
経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。