お墓を守る人がいない!跡継ぎがいないときはどうする?

お墓を守る人がいない!跡継ぎがいないときはどうする?

この記事では、「先祖代々のお墓があるけど自分の後に墓守がいない」「自分のお墓を用意しようにも守ってくれる人がいない」というときの対応について解説します。

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墓守がいなくなったお墓はどうなる?

お墓の跡継ぎがいない、お墓を守る人がいないとお墓はどうなってしまうのでしょうか。

無縁墓・荒れ墓になる

無縁墓
雑草が生い茂る無縁墓

お墓のお世話をする人がいなくなると、お墓はいわゆる無縁墓、または荒れ墓と言われる状態になります。
無縁墓とは、お世話をする人がいないお墓です。
長く放置されると、区画の中に雑草や木が生い茂ったり、石に苔がむしたり、石塔や外柵が割れたりします。
雑草が伸びたり石塔が倒れたりすると、近隣の区画に迷惑になるばかりか、事故につながる可能性もあります。

墓地や霊園全体の管理は管理者側が整備しますが、個々の管理はお墓の持ち主がしなければなりません。

管理料が滞ると墓地管理者に整理される

一定期間管理料が滞納され、使用者とも連絡が取れなくなると、お墓は墓地の管理者によって解体され、更地にされます。
遺骨は、墓地内などにある合葬墓に埋葬されます。

墓地管理者がお墓を整理する手順

墓地管理者がお墓を整理する際には、以下のような手順が取られます。

1.無縁墓についての情報を官報や立て札で知らせる
無縁墓に立てられた改葬の立札
無縁墓に立てられた立札
まず、官報という国の情報誌への掲載や、該当する墓所に立札を立ててることで、申し出が無ければお墓を撤去する旨が知らされます。
2.1年間縁者の申し出がなければ墓は処分される
墓石撤去の様子
情報の掲載から1年経っても縁者からの申し出がなければ、その墓地は無縁とみなされ、墓地の管理者によって撤去されます。
墓所の使用権は、墓地の管理者に戻ります。
3.無縁墓の遺骨は合葬墓に埋葬される
民営霊園にある合葬墓
無縁墓から取り出された遺骨は、墓地内などにある合葬墓に埋葬されます。
合葬墓とは、一つの納骨室に不特定多数の遺骨を埋葬するお墓です。
供養をされない公営墓地の合葬墓は、特に「無縁塚」などと呼ばれることもあります。

墓守は本当にいない?親戚に聞いてみよう

お墓を守る人がいなければ、お墓は撤去しない限り無縁墓になってしまします。
墓守で困ったら、一度親戚に相談してみましょう。
あまり多いケースではありませんが、親戚に墓守を名乗り出てくれる人が現れることもあります。
逆に、お墓の撤去に関して相談しないで進めてしまうと、後で思わぬクレームを受けることもあります。

子どもでなくてもお墓は継げる

墓地の管理規程では、お墓の承継者は「名義人の親族~親等に限る」などとすることが一般的です。
墓地の管理規程によっては、子どもに限らず、兄弟やおじ、おば、姪や甥なども承継できる可能性があります。

なお、墓地の管理規程で制限が無ければ、親族でなくてもお墓を承継できます。

法律上のお墓の承継

法律上は、お墓の承継者には誰でもなることができます。
お墓は一般の相続財産とは別の「祭祀財産」に該当します。
祭祀財産の承継は、民法で下記のように定められています。

第897条

系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

簡単に言うと、お墓の承継者はお墓の持ち主であった故人の指定で決まります。親族であることなどの制限はありません。
指定がなければ慣習に従い、慣習も分からなければ家庭裁判所が承継者を決めます。
ただし、実際には故人の指定がない限り、承継者は遺族の話し合いで決まることが多いようです。

お墓の跡継ぎがいなければ「墓じまい」をする

墓じまいとは?費用相場・手続きの流れ・時期・トラブル対策を解説
お墓の撤去工事の様子

お墓を継ぐ人が見つからなければ、お墓を撤去する必要があります。
お墓を撤去することを「墓じまい」と言います。
ここでは、墓じまいの手順について解説します。

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1.親族とよく話し合う

墓じまい-親族のイラスト
まずはお墓に関係のある主だった親族とよく話し合い、墓じまいしか方法がないのか検討し、墓じまい自体に納得してもらうことが重要です。
お墓は親族全体が関わる問題です。事前の承諾なしに墓じまいをした後、他の親戚が墓参りに来たらお墓がなかったという事態になったら、トラブルは免れません。また、後々に思わぬところからクレームが来ることもあります。

2.お寺や霊園の管理者に相談する

墓じまいー寺のイラスト
墓じまいが決まったら、墓地の管理者相談します。

お寺の墓地以外の場合

民営霊園や公営墓地、共同墓地の場合は、そのまま墓じまいをすることを連絡するだけで構いません。
そのまま手続きを案内してもらいます。
連絡先は、おおむね以下のようになります。

墓地管理者の主な連絡先

  • 民営霊園:管理事務所
  • 公営墓地:管理事務所または自治体役所
  • 共同墓地:墓地管理委員会または自治体役所

お寺の墓地の場合

お寺の墓地の場合は、まずは決定事項としてではなく、相談という形から入ってください。

お寺のお墓を撤去すると、ほとんどの場合で檀家をやめること(離檀)になります。
檀家の減少はお寺の経営問題に直結するので、これをよく思わないお寺も中にはいます。
お寺の反発を招くと、法外な離檀料(檀家を辞めるときに納めるお布施)を要求されたり、遺骨を人質にお墓の撤去をさせてくれないなどのトラブルになることもごくたまにあります。

無用なトラブルを招かないためにも、丁寧な態度で相談することをおすすめします。

3.石材店に見積もりを依頼する

墓じまい-見積もりのイラスト
石材店から、墓じまいの工事の見積もりをもらいます。見積もりに納得できれば、そのまま契約します。
まずは、墓地の管理者に「指定石材店」の有無を確認しましょう。
「指定石材店」とは、その墓地で工事できる石材店のことです。

指定石材店がある場合

指定石材店がある場合は、墓地の管理者に紹介してもらいます。

指定石材店は、ほぼすべての民営霊園と、一部の寺院墓地で決められています。

指定石材店がない場合

指定石材店が無い場合は、自分で石材店を探します。
見積もりに納得がいかなければ、複数社に見積もりを依頼する、「相見積もり」もできます。

墓地の近く店舗がある石材店に相談したり、墓地管理者によく出入りしている業者を聞いてみても良いでしょう。
ネット上にある墓じまいの相談窓口も便利です。

公営墓地とほぼすべての共同墓地、一部の寺院墓地では、指定業者がありません。

4.新しい納骨先を探す

色々なお墓のイラスト
お墓から取り出した遺骨の、新しい納骨先を探します。あるいは、納骨せずに、散骨する人もいます。石材店の手配と同時に探しても良いでしょう。
お墓の跡継ぎがいない場合は、「永代供養墓」がおすすめです。永代供養墓とは、お寺などの墓地管理者が故人を供養してくれるお墓です。跡継ぎがいなくても、安心して使用できます。

「永代供養墓」を見てみる >>

5.役所から改葬許可をもらう

墓じまい-役所のイラスト
現在の墓地がある自治体の役所で、「改葬許可申請」という手続きをします。
改葬許可申請は、今ある墓所から遺骨を移動するときに必要な手続きです。

改葬許可申請に必要な書類は、多くの場合で役所のHPから手に入れることができます。電話で相談すれば、郵送で書類を送付してくれる場合もあります。

改葬許可申請にあたっては、墓地管理者の署名捺印が必要です。
この他、新しい納骨先の証明書や、工事をする業者の情報、その他書類などが必要になることもあります。

改葬許可が出ると「改葬許可証」が交付されます。
次の納骨をするときに必要なので、大事に保管します。

6.閉眼法要を行う

墓前法要のイラスト
仏式のお墓の場合、お墓から遺骨を取り出す前に閉眼法要(魂抜き)を行います。
閉眼法要とは、墓石を礼拝の対象からただの石に戻す儀式です。解体工事より前の日程なら、当日でなくても構いません。
閉眼法要をしないと解体できないという石材店も多いので、基本的には必要なステップです。

7.遺骨を取り出して墓石を撤去する

墓じまいー解体工事のイラスト
改葬許可申請と閉眼法要が終わったら、遺骨を取り出すことができます。
石材店に遺骨を取り出してもらってから、解体工事をしてもらいます。
墓地を更地にして、管理者に返還します。

墓じまいの処分費用

多くの場合、墓じまいにかかる費用は、おおむね20~30万円程度に落ち着きます(新しい納骨先は含めない)。
実際には、お墓の立地や墓地の種類、お付き合いのあるお寺などによって費用は変動します。

各工程にかかる費用は、以下の通りです。

墓石解体工事費 8~10万円/㎡程度
魂抜きのお布施 1~5万円程度
離檀料
(お寺の場合)
1~20万円程度

遺骨はどうする?永代供養墓と散骨

墓じまい後の遺骨
お墓から取り出された遺骨

手元にある遺骨や、撤去したお墓から取り出された遺骨はどうすればいいでしょうか。
跡継ぎがいない場合は、永代供養墓に納骨するか、散骨をすることになります。

永代供養墓とは

松伏やすらぎの里(埼玉県)の永代供養墓

永代供養墓とは、お寺などの墓地管理者が、故人の供養をしてくれるお墓のことです。
お墓のお世話ができる跡継ぎや親族がいなくても、墓地の管理者が手入れや読経をしてくれるので、安心して利用できます。

一般的な墓石を建てるお墓に永代供養がついていることはまだ珍しく、お墓の形態は合祀墓、樹木葬、納骨堂などが多く見られます。

永代供養墓の種類には、以下のようなものがあります。

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合祀墓

合葬墓・合祀墓のイラスト
他の遺骨と一緒に祀られるタイプのお墓です。お墓の中では最も費用を抑えられる形態で、3~30万円/1人程度が相場です。一度埋葬したら取り出すことができないので、注意が必要です。
遺骨をお寺に郵送してそのまま合祀墓に入れてもらう「送骨サービス」をしているお寺もあります。
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納骨堂

納骨堂のイラスト
屋内の専用スペースに遺骨を安置するお墓です。
種類は様々で、ロッカー式、自動搬送式(マンション型)、仏壇式、位牌式、棚式などがあります。
種類によって価格に幅がありますが、10-120万円くらいが相場です。
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樹木葬

樹木葬のイラスト
樹木や草花を墓標とするお墓です。
一本のシンボルツリーの周りの芝に区画を分けずに埋葬していく「合祀タイプ」であれば、安い所で1体3-5万で対応していることろもあります。複数人の区画を検討する場合は、40-150万円程度が相場です。
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永代供養墓以外の供養方法

遺骨は、必ずしも納骨せずに、供養することもできます。

散骨

散骨のイラスト
散骨とは、粉状に粉砕した遺骨を海や山などにまいて自然に還すという葬送の方法です。
遺骨が2mm以下の粉末状に砕かれている、土地の所有者の承諾を得ている、土地が条例や国の指導に反しない立地にあるなどの諸要件を満たせば自力で散骨することもできますが、ハードルが高いので一般的には業者に委託します。
散骨について詳しく >>

手元供養

自宅供養のイラスト
手元供養とは、遺骨を自宅などで保管して供養することを言います。
火葬場から持ち帰った骨壺をそのまま家に置いておくこともありますが、専用の自宅供養グッズを使って供養することもできます。
近年では遺骨をアクセサリーに入れて持ち歩ける「遺骨アクセサリー」も新しい手元供養の形として注目されています。

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跡継ぎのいないお墓Q&A

Q&A
跡継ぎのいないお墓ついてよくある質問に答えます。

Q.娘しかいないのですが、墓じまいするしかないでしょうか?

A.娘にお墓を継いでもらうことはできますが、両家墓を検討してもよいかもしれません。

娘がお墓を引き継ぐことはできますが、その後のことでお悩みだと思います。

娘が婿を取って、かつ子どもがいる場合は、家墓はそのままで問題ありません。
娘が他の家に嫁いだ場合は苗字が変わるので、その子ども以降の代が両家の墓を引き継いでいくことは現実的ではありません。
この場合は、「両家墓」にすることなどが考えられます。

いずれの場合も子どもがいなければお墓を引き継ぐことはできないので、親戚に引き継いでくれる人がいなければ、墓じまいをしなければなりません。

Q.跡継ぎはいないけれど、墓石のお墓を建てたいのですが

A.永代供養付きの一般墓を探してみましょう。

まだ数は多くありませんが、これまでのように墓石を建てる一般墓でも、永代供養を付けている墓地があります。
永代供養付きの一般墓には、管理費を一括前納してお墓をそのまま残してくれるタイプと、初期費用に承継が途絶えたのちの墓じまいの費用を含めておくタイプがあります。
これらのお墓は、「永代供養付き墓所」などとして販売されています。

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Q.子どもがいないのですが、夫婦だけで入れるお墓はありますか?

A.夫婦だけで入るお墓には、樹木葬や納骨堂などの永代供養墓がおすすめです。

永代供養墓とは、お寺などの墓地の管理者が供養してくれるお墓です。
承継を前提としないので、跡継ぎがいない方や、お墓を引き継ぎたくない方などに選ばれています。
二人だけのお墓であれば、樹木葬や納骨堂などの、個別区画がある永代供養墓がおすすめです。

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Q.跡継ぎがいない仏壇や位牌の処分はどうすればいいでしょうか?

A.魂抜きをして、お焚き上げをしたり、仏具店に引き取ってもらったりします。

お墓と同様に、位牌や仏壇も処分する時は、「魂抜き」という法要をします。
お世話になっているお寺に来てもらい、仏前で読経してもらいます。

魂抜きをしてもらった後は、自治体のルールに従ってゴミに出して構いません。
抵抗がある場合は、「お焚き上げ」を行っているお寺に相談しましょう。
また、仏具店でも仏壇の引き取りをしている所があります。まずは、仏壇を購入した仏具店に相談してみましょう。

まとめ

今あるお墓の墓守がいなくなってしまう場合は、まずはお墓に関わる親戚に相談してみましょう。
お墓を引き継いでくれる人がいなければ、お墓を撤去して、遺骨は他の方法で供養します。

自分のお墓を考えているけど守ってくれる人がいない場合は、「永代供養墓」がおすすめです。
永代供養墓には、樹木葬、納骨堂、合葬墓など様々な種類があります。予算や人数、アクセスなどを見ながら、検討しましょう。

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