墓じまいの費用は誰が払う?払えない場合はどうする?

墓じまいの費用は誰が払う?払えない場合はどうする?

墓じまいをするには、おおおそ20~30万円の費用がかかると言われています。

墓じまいをするにあたって、「墓じまいは誰がすればいいの?」「その費用は誰が負担すればいいの?」という疑問が生じるかもしれません。

この記事では、墓じまいは誰がするのか・費用の負担先・遺骨はどうすればいいのかを解説します。

なお、墓じまい全般については、『墓じまいとは?』で解説しています。

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お墓を継いだ人が墓じまいの費用を払うことが多い

お墓を建てた土地の所有権は墓地・霊園の管理者にありますが、墓石の所有権はお墓の承継者にあります。

他人の所有物を勝手に壊すことはできないため、基本的に墓じまいはお墓を所有している人が行います。
お墓の所有者は墓じまいをする権利があるため、墓じまいの費用は所有者自身が負担する場合が多いでしょう。

お墓の所有権がある人物は、法律上「祭祀承継者」と呼ばれます。

承継者の決め方

次の祭祀承継者は、被相続人の遺言や口頭の指定によって決められます。

特に指定がされていない場合は、慣習によって祭祀承継者が決められます。
ただし、慣習というのはあいまいなため、多くの場合は親族同士の話し合いで決まるでしょう。

もし、話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所にて祭祀承継者が定められます。
祭祀承継者の決め方について、民法では以下のように記されています。

民法 第897条
1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2.前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

お墓を継いだ人以外も費用を負担してよい

墓じまいは承継者が行わなければいけませんが、費用は承継者のみで負担するという決まりはありません。
ここでは、承継者以外も負担するケースをご紹介します。

兄弟や親族に相談して負担もらう

承継者以外も負担する例として、一番考えられるのが兄弟や親族に協力してもらうというパターンです。

墓じまいにかかる費用はおおよそ20~30万円ですので、安いと言える金額ではありません。
一人で費用を負担するのが難しい場合は、親族に相談をしてみましょう

ただし、親族に負担してもらうというのが当たり前というわけではありません。
トラブルにならないよう、あくまでサポートしてもらうということを忘れずに相談しましょう。

故人にお金を残しておいてもらう

次に考えられるのは、故人にあらかじめお金を残しておいてもらうというパターンです。

墓じまいというのは金銭が絡んでくるため、残された親族が費用の負担について揉める可能性があります。
自分の代で墓じまいはしたくないが、残された親族に負担を残したくない方もいますので、自分が承継者になる可能性があるならば現時点での祭祀承継者に相談しておくのもよいでしょう。

墓じまいの費用が高すぎて払えない場合は

「墓じまいをしたいが費用が高すぎて払えない」「親族に相談したが費用を全く負担してもらえない」という方は、補助金やメモリアルローンを活用するという方法があります。

ここでは、墓じまいをするにあたって、費用が高すぎて払えない場合の方法を解説します。

墓じまいの費用の補助金がないか自治体に相談する

市営などの自治体が運営する霊園の墓じまいをするにあたって、一部の自治体では墓じまいをする際に費用を補助してくれる地域があります。

例として、市川市霊園のホームページには以下のような記載があります。

事情により一般墓地を返還する場合は、使用者の費用負担で墓地を原状回復(更地の状態)して返還しますが、その原状回復に係る費用の全部または一部を助成する制度があります。

参考:市川市ホームページ

厳密には補助金ではなく助成金ですが、市川市は費用の一部を負担しています。
まずは、自分の住んでいる自治体に確認してみましょう。
また、都立霊園では墓じまいをした後、霊園内にある合葬埋蔵施設に使用料なしで納骨できるという施設変更制度があります。

メモリアルローンの利用を検討する

メモリアルローンとは、仏具や葬儀、お墓などに対して利用できるローンのことです。

すべてのメモリアルローンが墓じまいを取り扱っているわけではありませんが、大垣共立銀行のメモリアルローンのページには以下のような記載があります。

墓地・墓石・納骨堂・永代供養墓などの購入、永代使用料、管理料、工事費、墓じまい費用などに利用できます。

参考:女性のためのメモリアルローンmatinee(マチネ)

もし自治体から補助を受けられない場合は、メモリアルローンの利用も検討しましょう。

墓じまいをしないで無視し続けるとどうなるのか

「墓じまいをするのにお金がかかってしまうならば、墓じまいをせずに放置しておけばいいのでは」と考える方もいるかもしれません。
しかし、墓じまいをしなかった場合の撤去費用は、お寺や自治体が負担することになります。

実際に、鹿児島市では無縁墓1745区画を3億円かけて整地したという出来事がありました。
参考:西日本新聞|「無縁墓」に悩む自治体 公営墓地で増加、5割超えも

墓じまい費用の負担は、自治体や寺院の財政を圧迫してしまいます。

また、墓じまいをしないで放置することで、お墓の所有者に生じるデメリットもあります。
ここでは、墓じまいをしないで放置した場合に起きることを解説します。

未納の管理費を催促される

お墓を所有するにあたって、墓地・霊園の設備を維持するために、多くの場合は管理費がかかります。
墓じまいをしないでお墓を所有し続けるということは、当然管理費を払い続けるということになります。

もし管理費を払わずに滞納し続けているのならば、電話や手紙などで支払いを催促されます。
未納分がまとめて催促されることもあるので注意しましょう。

管理者によって撤去される

墓じまいをせずに放置を続けていると、お墓の管理者や自治体によってお墓が強制的に撤去される可能性があります。

墓地、埋葬等に関する法律施行規則第三条では、死亡者の縁故者がいないお墓を無縁墳墓と呼びます。
無縁墳墓の改葬申請は、官報とお墓の正面などの見やすい場所に「お墓の所有者は1年以内に名乗り出るように」と記載したものを1年間掲示することで申請ができます。
つまり、法律上では1年ほどでお墓の撤去をすることができます。

ただし、霊園や自治体によって定めている規則は異なるので、実際に1年でお墓が撤去されるとは限りません。
例えば、東京都霊園条例第二十一条では、管理料を5年間納付しないときは墓地の使用許可の取り消すことを命ずることができると記載があります。

以上を踏まえると、1~5年間管理費を払わず所有者が名乗り出ない場合は、強制的にお墓が撤去されてしまう可能性があります。
墓じまいをしないことによって、望まぬ形でお墓が解体されてしまうかもしれません。
また、強制的にお墓が撤去されて合祀墓に改葬されない限り、お墓に入っている方が無縁仏になってしまいます。
費用はかかってしまいますが、埋葬されている方のためにも墓じまいをすることをオススメします。

墓じまい費用の相場

墓じまいの費用の相場は、おおよそ20~30万円と言われています。

費用の内訳は、大きく分けて「墓石解体工事費」「魂抜きの費用」「離檀料」の3つです。
ここでは、墓じまいをする際にかかる費用の詳細について解説します。

墓石解体工事費

墓石解体のイラスト

墓石解体工事費とは、お墓の解体から更地に戻すまでの工事費に、墓石の処分代を含めた費用のことです。

墓石の大きさ・位置によって費用は大きく異なりますが、費用相場は概ね8~10万円/1㎡です。

魂抜きの費用

墓前法要のイラスト

魂抜きとは、お墓に宿っている魂を抜いてもらう法要のことです。

閉眼法要や閉眼供養とも呼ばれています。
魂抜きをするときにはお坊さんを呼ぶ必要があり、お布施として1~5万円程度かかります。

離檀料

御布施のイラスト

お寺のお墓を所有している場合、墓じまいをするにあたって檀家をやめるケースがあります。

檀家をやめる際は、お布施として離檀料を支払います。
離檀料の費用は法要1回分と言われており、相場の目安は1~20万円程度です。

遺骨の引っ越し先を決めておこう

墓じまいをする際は、埋葬していた遺骨の引越し先を決めておく必要があります。
ここでは、墓じまい後の遺骨の供養先を紹介します。

一般墓

墓石のお墓のイラスト

ここで解説する一般墓とは、墓石を建てるお墓のことです。

現在お墓を所有しているが距離が遠くて中々お参りに行けない方や、新たに家族のお墓を建てたい方におすすめです。
また、永代供養付きの一般墓を取り扱う霊園では、お墓の承継者がいない方でも墓石のお墓を建てることができます。

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樹木葬

樹木葬のイラスト

樹木葬とは、墓石ではなく樹木をシンボルとしたお墓です。

樹木葬は多くの場合、お墓の承継を必要としません。
一般墓と比較すると、墓石を建てない分費用は比較的安い傾向があります。

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納骨堂

納骨堂のイラスト

納骨堂とは、屋内に故人の遺骨を収納する形式のお墓です。

納骨堂には様々な形式があり、ロッカーのような棚にご遺骨を収める「ロッカー式」や、お参りの際に共用のお墓にご遺骨が運ばれてくる「自動搬送式納骨堂」などがあります。

また、形式によって費用が大きく異なるという特徴があります。

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合祀墓

合葬墓・合祀墓のイラスト

合祀墓とは、血縁者ではない方も含めて、一つのお墓に共同で埋葬する形式のお墓です。

樹木葬や納骨堂は、最終的に合祀墓に納骨されることがあります。

他のお墓よりも費用を抑えることができますが、一度合祀墓に移動したご遺骨は取り出すことができないため注意が必要です。

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散骨

散骨のイラスト

散骨とは、ご遺骨をパウダー状にして、山や海に撒くという供養方法です。

散骨を行う際は、個人で行うとトラブルや事故に繋がる可能性があるので、専門の業者に依頼して行うことをオススメします。

また、合祀墓と同じく、費用は抑えめですが散骨後は遺骨を個別で回収できないので注意しましょう。

海洋散骨の詳細はこちら >>

手元供養

自宅供養のイラスト

手元供養とは、遺骨を分骨して供養する方法です。

分骨した遺骨は、アクセサリーなどにして持ち歩くことができるため、納骨はしたいけれど故人と離れたくない人におすすめです。
遺骨をすべて自宅に置いておく場合は、手元供養ではなく自宅供養と呼びます。

よくあるトラブルと回避方法

お墓には特別な思い入れがある方も多く、親族すべての方が墓じまいを希望しているとは限りません。
また、金銭が絡むため思わぬトラブルが起きてしまうことがあります。

トラブルを回避するために、事前に考えられるトラブルを把握しておきましょう。

ここでは、考えられる事例を3つ紹介します。

親族に反対されてしまった

1つ目は、墓じまいをするにあたって親族に反対されてしまうケースです。

親族の中には、代々引き継いできたお墓を解体することをよく思わない方がいるかも知れません。
墓じまいをしなければならない理由を伝え、きちんと話し合いをしましょう。

また、親族に無断で墓じまいをした場合は、親族との関係性が悪化してしまう可能性があります。
費用の相談も含めて、親族には一度話しておくことをおすすめします。

石材店が高額な見積もりを出してきた

2つ目は、墓じまいをする際に石材店から高額な見積もりを提示されるケースです。

おおよその費用相場を知らないことで、相場を大きく上回る費用を支払ってしまう可能性があります。
なお、墓じまいの相場は20~30万円と言われています。

ただし、墓石が山の上や道幅が狭い場所にあり工事がしにくい場合は、金額が高くても適正価格である可能性はあります。
費用が高いと感じる場合は、石材店に理由を聞いてみましょう。

もし適正価格ではないと思われる際は、可能であれば相見積もりを取り、複数の石材店から検討することをおすすめします。

お寺に高額な離檀料を請求された

3つ目は、お寺に高額な離檀料を請求されるケースです。
墓じまいをするために離檀は必要ですが、お寺さん側からすると、檀家が減るというのは切実な問題です。
一方的に墓じまいの話を進めてしまうと、お寺さんの心証を損ない、数百万円という離檀料を提示されてしまうという例もごくたまにあります。

対策として、お寺さんに墓じまいの話をするときは確定事項ではなく相談として話を進めましょう。
相談をする際は、長い間お墓の管理をしてもらった感謝の気持ちと、どうしても墓じまいをしなくては行けない理由を伝えることをおすすめします。

また、どうしても離檀をさせてもらえないときは、「お寺に断りを入れたあとに本山に相談する」「弁護士に同席をしてもらう」という方法もあります。

まとめ

墓じまいは、お墓の所有者が行います。

一人で費用を払うのが難しい場合は、親族にサポートをしてもらったり、補助金やメモリアルローンを活用することを検討しましょう。

また、墓じまいをする際は遺骨の引越し先を事前に決めておきましょう。

墓じまいは、いずれ誰かが行わなければなりません。
まずは親族と話し合いをして、納得できる形でお墓を管理しましょう。

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