自宅の庭などにお墓を建てても良い?自宅墓とは?

目次
原則自宅の庭などにお墓は建てられない
原則、自宅の庭などの私有地にお墓を建てることはできません。
原則自宅の庭などに遺骨を埋葬することはできない
お墓に関する法律として、「墓地、埋葬等に関する法律」(以下、墓埋法)があります。
墓埋法によると、行政が「墓地」として許可した区域以外に遺骨を埋葬(埋蔵)することはできません。
墓埋法では、以下のように定められています。
第2条
4 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域をいう。
第4条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
参考:墓地、埋葬等に関する法律
原則自宅の敷地が「墓地」としての許可を受けていることはないので、当然庭などにも遺骨を埋葬することはできません。
ただし、山間部や離島などで墓地に行くことが困難な場所に住んでいる場合は、墓地としての許可が下りることがありますが、これは非常に珍しいケースです。
庭での散骨もおすすめはできない
遺骨を「埋葬(埋蔵)」しない散骨も、基本的には自宅で実施しない方が良いでしょう。
散骨は、粉状に砕いた遺骨を、山や海などの自然環境に撒くことです。
散骨は新しい葬法であるために墓埋法での規定がなく、加えて、刑法190条(死体損壊等)には本来抵触します。
(参考:「平成28年度厚労科研費研究に伴う『墓地の経営・管理に関するFAQ』」Q6.[散骨と刑法第190条について]に関する質問)
また、自治体によっては条例で明確に散骨を禁止しています。
現実的に散骨は広く容認されていますが、衛生面や周辺住民の宗教感情などに配慮する必要があります。
散骨業者も自主ルールや厚労省の「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」などに則って実施している物であり、個人が実施すると、無用なトラブルを招きかねません。
なお、仮に庭などで散骨を実施した場合も、その上に土や落ち葉をかぶせることは遺骨の埋葬(埋蔵)にあたるので、墓埋法に抵触します。
墓碑の設置だけならできる
自宅の庭でも、遺骨を埋葬せず、墓石などの墓碑を設置するだけなら法律に違反しません。
ただし、外から見える位置に設置すると近隣住民の宗教感情を刺激する可能性があるので、配慮が必要です。
ペットのお墓は作ることができる
ペットの亡骸や遺骨であれば、自宅の庭に埋葬しても違法になりません。
墓埋法で定める「死体」「焼骨」はあくまでも人の物なので、動物には適用されません。
詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
参考:ペットを樹木葬で供養する方法
個人の敷地にあるお墓は何者なのか
これまで自宅の庭などにお墓を建てることは難しいということを述べてきましたが、地方に行くと、個人の敷地や畑にお墓が建っているのを見つけるかもしれません。
個人の土地にある墓地を、「個人墓地」と言います。
現在ある個人墓地は、ほとんどが墓埋法の制定以前にあった墓地です。
墓埋法の制定以前から行政の許可を得ていた墓地は、制定以後も許可を得ている墓地としてみなすとされており、これをいわゆる「みなし墓地」と言います。
第26条 この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地、納骨堂又は火葬場を経営している者は、この法律の規定により、それぞれ、その許可をうけたものとみなす。
参考:墓地、埋葬等に関する法律
墓埋法制定以後は、原則新たな個人墓地は認められなくなったので、今から庭などにお墓を建てるのは難しいという訳です。
自宅墓とは何か
骨壺や専用のオブジェなどに全部、または一部の遺骨を納骨し、仏壇やステージなどに安置するものが多いようです。

自宅墓のメリット
自宅墓のメリットには、以下のようなものがあります。
出かけなくてもお参りに行ける
自宅に居ながら、気軽にお墓参りができます。
駅から近いか、駐車場があるかなどのアクセスのことや、天候なども全く気にしなくて済みます。
故人を身近に感じることができる
ご遺骨を側に置いておくことで、故人の存在を身近に感じることができます。
お墓参りでは墓前で故人に話しかける方もいますが、自宅墓なら一緒に暮らしているかのような気持ちで日々の報告ができるでしょう。
自宅墓のデメリット
自宅墓のデメリットには、以下のようなものがあります。
親族や自宅に来た人に違和感を持たれる可能性がある
従来、遺骨はお墓に入れるのが当然だったので、お墓に納骨しないと、「成仏できない」「かわいそうだ」などと考える人もいます。
親戚でこうした考えの方がいる場合は、遺骨の扱いをめぐって揉める可能性があります。
また、友人知人が自宅に訪れた際に遺骨が目に付くと、怖いと感じる方もいるかもしれません。
いずれかはどこかに納骨しなければならない
自宅で供養している本人が亡くなると、遺骨が取り残されてしまいます。
すると遺族がその遺骨を納骨、または散骨することになります。
いつかは誰かが納骨または散骨しなければならない点は心に留めておきましょう。

その他の手元供養
手元供養品には、遺骨を自宅に安置する自宅墓の他、遺骨を加工してプレートや宝石にしたり、身に付けられる形にする製品もあります。


まとめ
自宅の庭など、個人の土地にお墓をつくることは原則できません。
ただし、遺骨を埋葬せずに墓碑だけ建てることは法に触れません。
また、ペットのお墓は作ることができます。
庭にお墓を建てることはできなくとも、自宅で遺骨を安置しておくことは問題ありません。
自宅墓などの手元供養品を使用すれば、お墓に近いような感覚でお参りしたり追悼したりすることができます。
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自宅とお墓に関するよくある質問
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自宅の庭にお墓を作ることはできますか?
特殊な例外を除いて、庭にお墓をつくることはできません。ただし、遺骨を埋葬せずに墓碑を建てるだけなら可能です。また、ペットのお墓は作ることができます。
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「自宅墓」とは何でしょうか?
遺骨を自宅で安置する葬送のスタイルを、近年では「自宅墓」と呼ぶことがあります。オブジェを設置するタイプや、仏壇に収骨スペースを設けるものがあります。
経歴
2018年より、お墓マガジンのコラムを執筆しています。適切な情報をお届けできるよう努めて参ります。