自宅にお墓を建てることはできるでしょうか?

お墓を購入するとなると高額の出費が必要となります。霊園が遠ければ、お参りするのも大変です。
地方に行くと、庭や畑の一画にお墓が建っていることがあります。自宅の庭にお墓を建てることができれば、墓地代は必要ありませんし、いつでもお墓参りをすることができます。
それでは、自宅の庭や所有地にお墓を建てることはできるのでしょうか?
目次
原則として個人の所有地にお墓は建てられない
結論から言うと、原則として自宅の庭など個人の所有地にお墓を建てることはできません。自己所有の畑や山林などであっても同様です。
「墓地埋葬法」には、遺骨は都道府県知事(市または特別区では市長または区長)の許可を受けた墓地以外の区域に埋葬または焼骨の埋蔵をしてはならないと規定されています。墓地以外に埋葬した場合、刑法190条による死体遺棄罪に問われる可能性もあります。
厚労省の行政指導で、墓地の経営は市町村などの地方共団体もしくは宗教法人・公益法人に限られているため、個人で墓地を設置することは認められていません。
地方で自宅の庭や畑などにお墓が建っているのは、昭和23年の墓地埋葬法施行以前から存在する墓地で、「みなし墓地」と呼ばれるものです。今あるお墓を使うことはできますが、新しくお墓を建てることはできません。
今あるお墓を解体・撤去し、そこに新しいお墓を建てるのは改修という扱いになるため、可能のようです。その場合、現在のお墓の使用権者の許可が必要になります。
例外はあるが、極めて難しい
とはいえ、新しく個人墓を建てることがまったく不可能というわけではありません。既存の墓地をできないといったやむを得ない事情がある場合に限り、都道府県知事の判断で例外的に許可できることになっています。
ただし、登記について地目を墓地に変更したり、墓地に使用している部分とそれ以外の部分を分筆したりする必要があります。また、農地になっている土地であれば、農業委員会に申請して農地の転用許可を得なければならないなど、煩雑な手続きがあります。
きわめてハードルが高く、離島で墓地がないというような事情がない限り現実的ではないでしょう。
墓碑のみは可、散骨はグレーゾーン
自宅にお墓を建てることはできませんが、遺骨を自宅に安置・保管することは可能です。期間にも制限はありません。
また、遺骨を自宅に安置、または霊園や納骨堂に納骨し、庭に墓碑のみを建立するというのは可能です。墓地埋葬法で禁止されているのは遺骨の埋葬(焼骨の埋蔵)ですから、慰霊碑と同じ扱いになります。
庭への散骨は法的にグレーゾーンになります。散骨した上を土で覆った場合は違法です。当然、墓碑を建立したり、樹木葬として樹を植えたりした場合も違法です。
やはり後々のことを考えれば、きちんと営業許可をとった霊園や寺院墓地に納骨するのがよいでしょう。
手元供養という方法
昨今は、故人を身近で供養する一つの方法として「手元供養」が注目されています。骨壺の中に納めたままで安置していることもありますが、遺骨の一部をアクセサリーや小さな容器に納めたり、ダイヤモンドにしたりという方法が人気のようです。
さらに、遺骨を納めた石塔を自宅に安置して供養する「自宅墓」なども提供されています。遺骨の自宅での保管と同じ扱いですから、法律上の問題はありません。
ただ、遺骨は非常に湿気に弱く、カビが生えやすいので、安置場所には細心の注意が必要です。
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