浄土真宗のお墓はどう建てる?お墓の特徴とお参りの仕方

  • 投稿日:2019/06/19
  • 更新日:2019/06/19
浄土真宗のお墓はどう建てる?お墓の特徴とお参りの仕方

日本における仏教の宗派は、主要な分け方で言うと13宗派あります。
その中でも最も信者の多い宗派が浄土真宗です。

浄土真宗の信者は1000万人以上います。
特に浄土真宗本願寺派は800万人近くいて、日本の仏教信者数ではトップです。

しかし意外に浄土真宗でのお葬式の仕方、あるいはお墓の建て方などについては知られていないのでしょうか。

今回の記事では、墓の建て方を中心に浄土真宗の特徴を解説していきます。

浄土真宗とは?

まず最初に浄土真宗とはどのような教義の仏教なのかについて、その基本を解説します。

浄土真宗は絶対他力の仏教

浄土真宗は平安時代の後期に浄土宗で法然(ほうねん)から教えを受けた親鸞(しんらん)が創始した仏教です。

浄土真宗で有名な言葉は「善人なをもて往生す、いわんや悪人をや」というものです。
直訳すると「善人でさえ極楽に行けるのだから、悪人が極楽に行けないことはない」ということです。

これは一見、常識と逆なのではないでしょうか。
普通の常識であれば、悪人は極楽にいけないけれど、善人は極楽に行ける、と考えると思います。
しかしこの「逆説」のような言葉が、浄土真宗の教義の基本を表しているのです。

親鸞は浄土真宗の教義は、とにかくひたすらに「南無阿弥陀仏」を唱えて阿弥陀如来によって救われることを祈ることを推奨しています。
そうすれば、亡くなった時に阿弥陀如来が迎えに来て極楽浄土へ連れて行ってくれると説いています。

その時に、善人は自分が極楽往生できると思い込んでいるので一心に阿弥陀如来に頼ることはないが、悪人は自分が極楽に行けないと思い込んでいるので救ってもらえるように一心に阿弥陀如来に頼る、だから極楽に往生できるというのが「善人なをもて」の意味なのです。

この「南無阿弥陀仏」という念仏を唱えることで極楽浄土へ往生できるという信仰は浄土信仰と呼ばれています。
この教義を端的に言うと「他力本願」ということです。
「他力」とは阿弥陀如来のことで、その慈悲によって極楽に往生できることをただひたすら祈るというものです。
この点が自分で修業をして悟りを開くことを基本にした曹洞宗などの禅宗とは全く正反対のことなのです。

このように浄土真宗では戒律を守らないという意味の悪人こそが、その悪行を知っているので極楽往生できる、と言う考え方なので、ほかの宗派に見られる戒律の「妻帯してはいけない」「肉を食べてはいけない」などの教義はありません。
とにかくただひたすら阿弥陀如来を祈ることがその教義なのです。

したがって阿弥陀如来に一心に祈れば、亡くなってすぐに成仏できるので、ほかの宗派のように亡くなって四十九日目で成仏できるなどのような考え方はありません。

この特徴が葬儀の仕方にも、そして今回解説するお墓の建て方にも反映しています。

浄土真宗はこのようにあまり学問のない庶民でも、あるいは寺院に寄進して徳を積むことができない人でも極楽に行けるので、身分の上下にかかわらず多くの人に信仰されました。
その結果が日本で最大の宗派に成長したことにつながるのです。

浄土真宗本願寺派と真宗大谷派:浄土真宗の中にも宗派がある

浄土真宗はその中にいくつかさらに宗派があります。
それは細かい宗派も入れれば、真宗十派と言われるほど、非常に多くあります。

その中で主なものは京都の東本願寺を本山とする真宗大谷派と、同じく京都の西本願寺を本山とする本願寺派です。

キリスト教でいえばカトリックとプロテスタントがあるのと同様です。

なぜこのような2つに分かれているのでしょうか。その歴史は今から500年前の安土桃山時代までさかのぼります。
それまで浄土真宗は1つしかありませんでした。
しかし織田信長が今の大阪城の地にあった、浄土真宗の本山の石山本願寺を攻めた際に、浄土真宗の教団の中でも信長と和睦するか、徹底的抗戦するかに議論が分かれ、この2つの考えで本願寺内が2派に分離してしまったのです。

当時の浄土真宗のトップは顕如(けんにょ)でしたが、顕如と三男の准如(じゅんにょ)は和睦すると言い、長男の教如(きょうにょ)は徹底抗戦を主張しました。
結果はトップの顕如が和睦を決め、石山本願寺を信長に明け渡したのです。
この時以来、顕如と教如の間に溝が生まれ、顕如は浄土真宗のトップの座を長男の教如ではなく三男の准如に譲りました。

納得できない教如はその時天下を握っていた徳川家康に訴えて、浄土真宗の本山とは別に東本願寺を建てたのです。

この結果、浄土真宗は東と西に完全に分かれ、敵対するようになりました。
ただし、その後二派は共同歩調を取るようになり、現在では確執はほとんどありません。

浄土真宗の他宗派との違い

浄土真宗と他の仏教宗派の違いをもう少し具体的に説明しましょう。

まずほかの宗派では亡くなった人が成仏するように祈りますが、浄土真宗の場合は亡くなったらすぐに阿弥陀如来がやってきて極楽浄土へ連れて行ってくれます。
したがって生きている間は、その阿弥陀如来の慈悲にひたすら感謝していればよい、と言うのが基本的な教義です。

ですから浄土真宗の場合はたとえば仏壇には位牌を祀りません。
仏教で供養といった場合は、「追善供養」の意味合いが強いです。
追善供養とは、故人が極楽に行けるように仏様にお願いすることです。
しかし、浄土真宗の場合は故人は亡くなったらすぐに極楽浄土に行くので、追善供養の必要がありません。
つまり、故人のための供養をする必要がないので、位牌も必要ありません。
その代わり、浄土真宗の仏壇は、亡くなった人達を書き記した過去帳を置きます。

また戒名もほかの宗派であれば「~居士」「信士」などの「位号」を最後に付けます。
しかし、浄土真宗では位号はつけません。
これは、位号とは修行や仏教への貢献度合いを表すものですが、浄土真宗の場合は戒律を守れない人、つまり修行できない人が信者になるためです。
また、浄土真宗は「戒名」とは言わずに「法名」と言います。
この理由も位号と同様で、戒名とは戒律を守って仏弟子となった人に付けるものであり、修行を必要としない浄土真宗の考えに合わないためです。

浄土真宗のお墓の特徴

では浄土真宗の場合のお墓にはどのような特徴があるのでしょうか。

お墓に特徴はある?

まずお墓の特徴です。

墓誌ではなく法名碑

お墓の隣に故人や先祖の戒名を刻む石碑を、ほかの宗派では墓誌、あるいは霊標と呼びますが、浄土真宗では戒名を法名と言うので「法名碑」と言います。

また、これが1番大きな違いですが、他の宗派の場合お墓は故人の霊があの世から戻ってくる依り代ですが、浄土真宗の場合はすぐに成仏してしまうので、故人の霊魂はお墓には戻ってきません。
したがって、法名には「霊位」などの「霊」の文字は使用しないばかりか、そもそもお墓に法名碑は必ずしも建てません。

卒塔婆は立てない

さらに浄土真宗では、故人はすぐに成仏するので、成仏を願った追善供養は行いません。
したがってほかの宗派の場合には三回忌などで立てる卒塔婆も不要です。

五輪塔も地蔵尊もNG

五輪塔とは、お墓の脇に建てる先祖の霊をまとめて祀る塔のことです。
しかし浄土真宗では先祖の霊を祀る必要がないため、五輪塔を建てないばかりか、教義で建ててはいけないことになっています。

また浄土真宗ではひたすら阿弥陀如来を信仰するため、阿弥陀如来以外の地蔵像や観音像なども建てるべきではないとされています。

墓相にもこだわらない

お墓を建てる時に気になるのは、そのお墓が吉相かどうかという墓相でしょう。
しかし浄土真宗ではどのような祀り方でも阿弥陀様が無条件に成仏させてくれるので、お墓の方位や形、色などによる墓相も気にしません。

浄土真宗のお墓のデザイン

では具体的に浄土真宗の場合、どのようにお墓を建てればよいのでしょうか。
今流行の洋型墓石を建てても良いのでしょうか

墓石文字はどう彫る?

ほかの宗派では、墓石の正面に彫る文字は「~家先祖代々之墓」「~家之墓」などですが、浄土真宗での場合は阿弥陀如来への信仰を示す「南無阿弥陀仏」と彫ります。
あるいは故人や先祖に「同じ極楽浄土で再会しいましょう」と伝える意味での「倶会一処(くえいっしょ)」と彫る場合もあります。

もしもお墓に家名を彫りたい場合は、墓石を構成している部材の二段目の台石や花立てに刻みます。

お墓の形は和型でも洋型でも自由

また浄土真宗ではお墓の形に規制はありません。
先述の通り阿弥陀如来にすがってさえいれば戒律など何らかの決まりを守る必要がないので、基本的には自由です。
したがって、和型墓石だけでなく、洋型墓石でもデザイン墓石でも構いません。

浄土真宗の墓開き

お墓を建てた際にはほかの宗派では、そのお墓に故人の霊が戻ってこられるように、霊魂から認知されるための開眼供養を行いますが、浄土真宗の場合はどうなのでしょうか。

浄土真宗では開眼供養と言わない

浄土真宗の場合もお墓を新しく建てたときには法要を行いますが、それはお墓を霊魂に認知してもらうための法要ではないので、開眼供養とは言わずに「建碑(けんぴ)法要」または「建碑式」と言います、

浄土真宗建碑式のお供え詳細

建碑式の際には以下のようなお供えを用意します。

まずは海のもので、昆布、わかめ、ひじきなどです。
そして山のものとして、りんご、みかんなど季節の果物を2~3種類供えます。
さらに里のものとしてニンジン、きゅうり、芋、ナスなどの季節の野菜やお菓子、そのほか餅、酒、研いだ後の米、塩などを準備します。特に餅は白い丸餅です。

またほかの宗派と同様にローソクや線香、花も必要です。

さらに生前故人が好きだった食べ物やタバコなどを供えても良いでしょう。

浄土真宗のお墓はどこで建てる?

浄土真宗のお墓は、浄土真宗の寺院墓地または宗教不問の公営霊園や民営霊園で建てることができます。
寺院墓地を選ぶ際は、真宗大谷派か、本願寺派かまで確認しましょう。
また、寺院墓地でお墓を持つ際は、他の宗派で言うところの「檀家」にあたる「門徒」になる必要があります。
寺院の門徒になると仏事全般のお世話をしてもらえますが、都度のお布施などを納める必要があるので、注意しましょう。

お墓を建てる墓石工事は他の宗教・宗派と同様に石材店に依頼します。
お墓を建てる墓地の指定業者の石材店にお願いしましょう。
なお、公営墓地は指定業者はないので、好きな石材店を選んで相見積もりを取ることもできます。

浄土真宗のお墓参り

浄土真宗の場合のお墓参りはどのようにすればよいのでしょうか。

浄土真宗本願寺派の墓参りの作法

浄土真宗でのお墓参りはその宗派によってさらに分かれます。

まず浄土真宗本願寺派での場合は、お墓の前で唱える「南無阿弥陀仏」と言う念仏は「なもあみだぶつ」と言います。
「なむあみだぶつ」は間違いなので唱えないように注意しましょう。

お参りの際に合掌しますが、この時の数珠の持ち方は片手ではなく両手にかけます。
さらに数珠は房が下に来るようにし、上側を、親指で軽く押さえます。

焼香にも作法があります。
まずよく焼香の際に行う「額にお香をおしいただく」ことはしません。
さらに「回数は1回」です。
そのほか焼香の作法としては、焼香前に本尊に向かって軽く一礼し、お香を1つまみし、額におしいただかずにそのまま香炉にくべます。
これを1回だけして、合掌礼拝し、再度本尊に軽く一礼します。

真宗大谷派の墓参りの作法

一方で真宗大谷派での念仏は「なむあみだぶつ」です。
数珠の持ち方は、女性のみ房の部分が上に来るように持ちます。
房は左手の側に垂らしましょう。

また焼香は「額にお香をおしいただかない」ことは本願寺派と同様ですが、「回数は2回」という点が違います。

まとめ

浄土真宗は日本で最大の仏教宗派ではあるものの、その考え方も、お墓の建て方も、お参りの仕方も常識で知っていた仏教のそれとはずいぶん違うのではないでしょうか。
もしも浄土真宗で葬儀や法要、あるいはお墓の建立をする際には、以上のことを参考に間違いがないようにしましょう。

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